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死亡フラグは勝手に立つ  作者: パンツ大将軍
4/9

狂気

胸糞&残酷注意

 薄暗い紫色の部屋のなか、一人の不気味な男が紙に何かを書き込んでいた。


 その部屋は、男が座っている椅子と机が一つずつあり、複数の数値を表示している巨大な魔導装置がある。そして、部屋を埋め尽くすほどに紙と本が散乱している。

 扉が2つあり、片方は数種類の鍵がついた金属製のものであった。その対面には紫色に発光する不透明の水晶の扉があり、この面のみ壁も水晶で作られていた。


 鍵が解除され、扉が開く。


「研究は進んでいるか?」


「これは皇帝陛下、こんなところまでご足労いただけるとは有り難き幸せ。えぇ、効率良く快楽と苦痛を与える事が可能となりました」


「ほぅ、我が娘もなかなか役に立てているようだな」


 部屋に入ってきた者は四,五十代の厳つい男で、金の王冠を被り、全体に銀や宝石の装飾をした黒い服と深紅のマントを纏っていた。


「それはもう。それに奥方様も記憶と人格の保存と書き換えの調整に貢献してくれましたし。お会いになりますか?」


「ふむ」


「皆様、貴方にお会いしたいと」


「そうか。たまには労を労ってやろう」


 返事を聞いた不気味な男は立ち上がり、水晶の扉へ向かう。


「何の役にも立たなかったアヤツらを、貴様にくれてやったのは間違いではなかったようだな」


「その件は本当に感謝してます。それでは扉を開けますので、ご注意下さい」


 不気味な男が懐から青い石を取り出して扉にかざした。


 扉がしばらく赤く光り、消えると同時に扉が開く。


 そして、






 ――――魔力が吹き荒れた。


 紙は舞い、本は吹き飛び、体も浮き上がりかける。高濃度の魔力による紫色の光も、先程までとは比べ物にならないほど明るくなる。


 そこは部屋というよりも、中をくりぬいた水晶とでも言うべき空間であり、非常に広く歪な形をしていた。


 次第に爆発的な魔力の奔流は収まっていき、少し強めの風が吹く程度の勢いに落ち着く。


 皇帝は部屋の中心に向かって声をかける。


「会うのは何年ぶりだろうか。我が妻、そして我が娘よ」


 しかし、返事はない。


 その部屋の中心には()()はいないのだから。


 そこにあるのは、天井と地面から伸びた水晶内に納められた()()()()()()()()であった。


「ふむ、娘の反応はどうだ?」


 不気味な男は左側の脳が入ってる水晶を見る。その水晶は本の少し赤くなっていた。


「そうですねぇ、リヴディは怒りの感情があるようですね。流石貴方の娘といったところでしょうか」


「ほう。まだまだ活躍できそうではないか。して、アイツの方は?」


 真ん中の水晶は反応を示さなかった。


「んー、奥方様は全く反応がありませんね。確認不足でした、申し訳ありません。直ぐに巻き戻しますか?」


 その言葉を聞いた皇帝は口の端を吊り上げる。


「それは良い。是非お願いしようではないか」


「では、こちらのアンチマジックフィールドへどうぞ。軽く説明しますと、この装置にある三つの窪みはそれぞれ三人と接続されており、左がリヴディ、真ん中が奥方様となっています。そして、ここに精神を保存した魔石を嵌め込むと」


 扉の直ぐ近くにある魔方陣の中にある円形の装置に、不気味な男が黒い魔石を嵌め込む。


 すると、装置から水晶を通して魔力が通り、真ん中の水晶内の脳へたたどり着く。


「これで精神が壊れる前の奥方様に戻りましたよ」


「ほう、これだけで可能とは凄いものだ。して、我が妻よ。気分はどうだ?」


 男は再度水晶を確認する。


「これは、おそらく助けを求めていますね」


「フハハハハハ!アヤツにとっての救いとは我が糧になることだろうに、不思議なことを言いよる!」


「もう救われているというのに、不思議な御方です……ククク」


 助けを求めたその思いを、二人は面白いジョークを言われたかのように笑い続ける――――








 ――――濃い紫色に発光する()()()()には気付くことなく――――――
















「くそ、なんつー夢だ」


 朝から最悪の気分だった。


「普通、夢なんか直ぐ忘れるもんだろ」


 その夢は鮮明に、そして全てを記憶していた。


「うっ……」









 ほんの少しだけスッキリしたあとベッドに座っていると、ノックもせずに赤毛のチャラ青年であるブレイズ君が部屋に入ってきた。


「よっす、レオン!ってどした?お前顔色悪いぞ」


「あぁ、まぁ少し休めば大丈夫だよ。てか、ノックしろや」


 わりぃわりぃと片手をあげながら謝るブレイズにため息をつきつつも、本当は少しありがたかった。


「で、こんな朝早くにどうした?」


「いうほど早くないぞ。普段からもう少し早く起きろ。理由はまぁ、頼まれてお前を呼びに来たんだ」


「お前にジト目で常識的なことを聞くとなんか腹立つ。女になって出直してこい。」


「え?俺が女だったら好みだったのか?なんか、照れるな」


「ちげーよ気持ち悪いからやめろ単細胞ゴミムシのトンチキノータリン」


「心折れそう」


「誰に頼まれたんだ?」


「少しは優しくしろ!」


 悪かったって、泣くなって


「……。女の子だよ。天気の良い朝だったから走り込みしてたら、ピアノの音が聞こえてな。あまり上手くはなかったけど、なんか心惹かれて見に行ったら、凄く可愛い子がいたんだ」


「ほうほう」


 やはり気に入ったか。 ロリコンだもんな。


「で、俺に気付いたその子がな?俺の顔見て、もしかしてブレイズ様ですかって聞いてきたんだよ、初対面のはずなのに。一瞬運命かと思ったよ。俺に惚れてるんじゃ!?って年甲斐もなく期待しちまったさ。でも、お前から聞いた話のイメージが俺にピッタリだったって言われてなんか悟ったわ。お前、何か吹き込んでないだろうな?女の子に変なこというのやめろよ?その子はピアノの事をお前に教えてもらってから一週間練習してたらしくてさ、まだまだだけどもし良かったら聞いてほしいらしくてさ、もしかしたら伝えてもらえないかと思って声をかけたらしい羨ましいですね糞が。俺に女の子紹介して下さいお願いします」


 何かやけに喋るなこいつ。


 それにしてもあいつ、許可貰えたのか。今度聴きに行ってみるか。


「何時弾いてるか聞いたか?」


「今日なら昼過ぎ辺りにもう一回弾くらしいぞ。行けるか?」


「あぁ、顔出すことにするよ。ありがとな」


「おう。朝飯食いにいくか?」


 あまり食欲は無いが、入れとかないと後がきついだろう。頷き、服を着替える。






「お前、あの子に失礼なことすんなよ?」


「しないわ」


 どいつもこいつも過保護かよ。ロリコンどもめ。

野球しないポケットや、本当の愛のオルタとかが悪い。俺は悪くねぇ!


前半部分、男が皇帝の娘を呼び捨てにしてるのは、夫かつ皇帝が男を娘より気に入っているからです。

皇帝の指示であの状態に→実験を経て男が気に入る→皇帝が報酬の一部として認める

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