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異世界防衛戦線  作者: 暇人
一章・武器屋の戦い
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二節・職と戦争への序章

疑問はさておき、昨日一日如月烈火の相手をしていたらなんの仕事も探せなかったから今日こそは仕事を探そう。

すると、見覚えのある人影を見つける。

「やあ!久しぶりだね!」

「おお!スカスか!」

先にドラゴンスレイ騎士団に入った友人のジョンとあった。ジョンは、僕よりも竜退治が得意で、昨日の数の竜程度なら軽く100匹は倒していた程の実力者だ。

かくかくしかじかで状況を説明する。

「うーん、職業かぁ…騎士団が嫌なら、武器職人とかどうだ?お前得意だろ、鉱石の取り扱いや鋳物。」

「ああ、じゃあいい武器職人とか知らない?」

「騎士団専属の職人がいるから、それを紹介してもいいか?」

「全然いいよ。」

そして城の中の工房につく、思ったより気難しそうな職人さんだった。

「紹介するよ、武器職人のアメジさんだ。」

「…あんた、新入りか」

「どこの地方の出身だ。」

「…ブロンダです」

「…そうか。」

すると、アメジさんはおもむろに工具と鉱石を取り出し、スカスへ渡す。

「ブロンダの連中は、ドラゴン退治には長けているんだろうが…武器の扱いがどうも雑だ。見てみろ、そのお前の脇差…ドラゴンの血で腐食しまくってる。まずはそのボロボロの脇差を強化してみろ、出来次第なら雇っても構わない。」

「はい!」

「…返事はいいようだな」

しかし…アメジさんはこの剣を見てボロボロと言ったのだろうか…僕にとってはこれはまだ使える方なんだけど…まあいい、物は試しだ。まずは…と

武器の強化には段階がある、まずは元の武器を加熱することから始まる、完全に熱せられれば赤く変色する。そこに渡された鉱石とともに打ち付けて元の剣と合成する。といった具合だ、いつも自分の村でよくやっていた一般的な鍛造技術だ。でもあの気難しそうなアメジさんだ、いつもの方法じゃ認めてもらえないだろう、多少の工夫が必要になるな…

一方その頃、ドラゴンスレイ騎士団では…

「それでは如月くん、君の見解を聞こうか。」

「はい…先日から放たれている砲撃は、間違いなく隣国からの攻撃と見られます。私の能力、千里眼で放たれている砲弾が隣国のものと判断されます」

「…そうか、やはり我々も竜退治ではなく戦争に打って出る必要があるのかもしれんな。」

「それだけは避けるべきです!」

「ジョン君…君の気持ちは解るが、領土に向けて砲撃されたのも事実だ。今は作戦を立てるべきだ…」

「ですが…」

領土拡大を狙おうとしたこちらの動きを察知したのか、砲撃による先制攻撃を仕掛けたらしい。

いつまでも原生生物であるドラゴンを退治しているわけにもいかず、戦争への秒針は刻一刻と迫っているようだ。

「おそらく我々ほどの実力ならば、まず負けることはないでしょう!」

驚きの発言。この発言をしたのはやはり如月烈火だ。未来人と自らを名乗るが、妙にきな臭い男だ。魔法を使えるのはこの国でも数少ないにもかかわらず、上級魔法や治癒魔法をそれぞれ使いこなせる力を持つ、ドラゴンスレイ騎士団に欠かせない力だとは思うが、国王の娘とラブラブなのが怪しさに拍車をかける。

「ならばどうする?それだけ言うなら如月君には立派な作戦があるのだな」

「ええ、もちろん。その作戦はーーーー

その頃、スカスはちょうど鍛造を終えたようだ。

その出来を見てアメジは眉をひそめる。

「やはり、な…ブロンダ地方の奴らは剣を扱うことはできても剣の気持ちを理解することができてねぇ。まるでダメだな、うちじゃ雇ってやれねぇな、他を当たりな小僧」

「はぁ…」

まるでうまくいかなかった…これは後からジョンから聞いた話だが、アメジさんは元々シルバリー地方の鍛冶屋だったらしい。地元じゃ右に出る者がいないほどの実力者で、その鍛冶屋の前を偶然通りがかったドラゴンスレイ騎士団に声をかけてもらいそれからこの城の専属の鍛冶職人になったらしい。

通りでキツい訳だ…ここまで丁寧に仕上げてこの言われよう、自分の実力不足をどこまでも感じる。鍛造を終えたら、気がつくともう日が暮れてしまっていた。

あと探せる職種はあるかな…酒場というのはどうだろうか、城下町にはなくてはならない職種だと思う。

早速、城下町の裏手側にある酒場につく、酒屋の割には女の人の声が多いなと思えば、昨日も見たあの男だった。

「如月…烈火。」

「ああ、ブロンダ地方のスカス君」

すると、如月の傍にいた女の1人がこう話す。

「あなた、ひょっとして私達のストーカー?こうも会うだなって不思議じゃない?」

「別に僕にはそんなつもりはないよ、今日も仕事探しにここに来たのさ。だがちょっとだけ状況が変わった」

と話したものの、その側にいた女は昨日泊まった宿屋の娘だった。仕事休んでまでなんでこんなとこにいるんだろう

酒を注文したついでに、如月烈火と真正面の席に着く

「僕もみんなと同じでね、未来の話が聞いてみたいんだ。ぜひ話してくれると嬉しいのだが…」

「ああ、全然いいよ」

そこからは、僕から見て現実離れしすぎた物語がたくさんだった…だけど、気になるものが一つだけあった

「俺のいた時代では、テレビってものがあった」

「それは…どんなもの?」

「さっき話したカメラで人物を撮ったりして動きとかを光を通じて映し出すことができるんだ。」

「光を通じて…ひょっとしてそれって五センチくらいの厚さだったりする?」

「ああ、俺の時代のものなんてまさしくそれだった。」

「偶然それと同じようなものを昨日見た夢で見たんだ、その時に見た夢では妙に薄暗い部屋の中にいて、とてつもなく臭い部屋だったんだよ。この時代の人なのに、なんで僕はこんな夢みたんだろうね。」

「えっ…」

すると、如月烈火は何か悪いことを思い出したようで急に頭痛が起きて倒れ込んでしまった…

その光景を見てルナス様は寄ってたかって僕を責める

「ちょっと!あなたが変なことを話したばっかりに如月様が倒れてしまったじゃないの!!少しくらい竜を倒すのが上手いからって、調子に乗らないでよ!!」

「そうよ!如月様を傷つける人は私が許さないわ!」

宿屋の娘ですら怒らせてしまった…それからかなりの大騒ぎを起こされてしまって、結局酒場の主人にも宿屋からも追い出されてしまった。

今日だけは寝泊まりする場所もないまま、大通りの床の端に眠ることにした。

「はぁ…今日は散々な1日だった…」

鍛治職人のアメジさんには完全に才能がないと見限られて、酒場では大騒ぎになって働かせてもらえるかどうか以前の問題だったり、酒場の騒ぎはほとんど突然倒れた如月のせいだと思うんだが…まあこれ以上は気にしたら負けな気がする…ルナス様を敵に回すということは国を敵に回すということだ、下手に行動に出ると打ち首だ。都会にもわざわざ出てそんな末路は送りたくない、できることならば。

「おう小僧、そんなとこで寝てたら風邪引いちまうぞ。」

声を掛けてくれたのは、まさかのアメジさんだった。

「アメジ…さん?」

寝ぼけつつあった頭を頰を叩くことで目覚めさせる、

どうやらアメジさんは、夜の街を歩いて城に帰る途中で道端で寝ている僕を見つけたらしい。

「せめて城で寝てろ、こんな地べたなんかよりはあったかいだろ」

「その代わり、今日からお前の剣の鋳造と鍛造の指導は俺が請け負う。わかったか」

「…はい」

「昼間の返事はどうした小僧…まあ、返事もできるほど元気はねぇか。国のお嬢さんを怒らせたんだからなぁ」

「あんたのせいで城の中大騒ぎだ、なぁに。大丈夫だ俺が騒ぎが収まるまで匿ってやるよ」

まさかあの厳しいアメジさんに救われるとは思いもしなかった、世の中というものはいつ誰に救われるとはわからないものである。また今日一日が終わる、色々あったが、結局最初の鍛冶職人に雇ってもらうことになった。城の中に匿われるということは、また如月烈火に遭うことになるのかもしれないけれど、その時は彼の地雷に踏み込まないようにしないと。次あんな騒ぎになったらこの国から追い出されるかもしれないから。

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