一節・未来人と謎の夢
不慣れですが、異世界転生モノに違和感を覚えてきたので執筆させていただきました。
「よっ、と」
「やっぱり田舎から荷台をずっと引きながら歩くのは…疲れるな」
大量の荷物が乗った荷台をゴトンと置いた少年は「スカス・マダ」、ひょんな出会いから大いなる運命に巻き込まれる今はまだ何の力もない少年である。
「さてと、まずは寝泊まりする場所を探さなきゃなぁ。」
ゴルダラ王国の城下町を適当に歩く、この町の住民のほとんどは兵士で、建たっている一軒家のほとんどが兵士の家族がほとんどだ。
このゴルダラ王国は永世平和を謳っているが、こんなにも兵士を雇っているのには訳がある。
この国にはやたらとドラゴンが多いんだ。それを駆除するために自ら兵士を志願するものが大半だけど、噂によればこの国の隣国に勢力を拡大しようとする計画もあるらしい。
こんなののどこが永世平和だよ、国王は領土獲得を描き、そこら中にドラゴンが飛び交っていて。正直この国はちょっとだけ危ない側面があると思うんだ。
「うん?あれは…」
少し足を止めてみる、そこには妙な人だかりと黒髪黒目のあからさまな異邦の少年がいた。
「うわー!すごーい!」
あれは恐らくあれだろうか。近頃噂になっている未来人とやらだろうか、よくのわからない大道芸人のような技を繰り出し、荒れた人間を訳の分からない論法で説得したつもりになってその上周りの女の黄色い声が鼻に付く。
流石に未来人と聞いて僕も興味がないわけではない、とりあえず名前を伺ってみる。
「君、すごい芸を持っているね。よければ名前を聞いてもいいかな?」
「俺ですか?俺は、『如月烈火』という名前です。」
「このお方は素晴らしいんですよ、見た事もないようなすごい魔法でドラゴンをねじ伏せ、私が山賊に襲われそうになった時も助けてくれたんです。」
割って入るように如月烈火について解説してきた女の子は、この国でも知らない者はいないゴルダラ王国の王女のルナス・ゴルダラである…
…ルナス・ゴルダラ!?なんでそんな人がこんな街中歩いてていいんだ?ひょっとしてそこの異邦人がルナス様を口説いたとでもいうのか?半ば信じられないが、そう解釈しなければ状況を整理することができない。
「ルナス様!?そんな易々と出歩いて良いのでしょうか?」
「ええ。父上からの許可も頂いております。」
な、なにぃーつ!?あの国王からの許可も得ているのかぁーっ!!
僕が驚いている反応をよそに、如月烈火は
「そろそろ竜退治に行くか」
「待って、竜退治だったら僕にだって自信がある」
ーーー異世界を守るんだ。
何故か僕はそんな気持ちにさせられた、このまま放っておいたらこの国は如月烈火国になってしまう、それだけは何としても避けなければならない。
そうして火蓋を切って落とされたドラゴン退治対決、
ルールは簡単、50分以内にどちらが多くのドラゴンを退治できるかだ。
「今日は大漁だな」
如月烈火は余裕の表情を浮かべる。
「王国近辺はこんなもんか」
スカスは思いの外少なくて拍子抜けしたようだ。
「やっ、とおりゃっ!」
如月は得意の魔法を使って次々と焼き払っていく。
恐らく魔力の底がないのだろう、いくら魔法を使用しても段階を下げることなく着々と討伐数を増やしている。
「はっ、でぇりゃあっ!」
一方スカスは、地元から持ってきた剣を振るい、魔法を一切使わずドラゴンを切り裂いていく。
スカスの地元の「ブロンダ」には毎日のようにドラゴンが飛び交っていて、都会の数十倍生息しているため、歳が10も満たないうちに狩りの手伝いをしているのである。
そのため、異世界から来た人には分からない弱点を的確に突き、人間の力であっても一撃で倒す術を知っているのだ。
結果は如月烈火は67匹、スカス・マダは68匹と、僅差でスカスの勝利という結果になった。
「スカス君、すごいね。」
「狩りだったらよくやってるし、地元行けばもっと凄腕の狩人だっている。」
すると、その結果を見ていた兵士がスカスに話しかけて来た。
「君、すごいね。よければそこの如月と同じ、ドラゴンスレイ騎士団に就職するのはどうかな?」
「結構です、僕らのブロンダ地方では兵士になることは何の自慢にもなりません。」
「へえ、ブロンダ地方かぁ。ならしょうがないな、あの地方の人はドラゴン退治なんて朝飯前だからなぁ。」
「じゃあ、僕は寝泊まりできる場所を探すので、気持ちだけは受け取っておきます。兵士さん。」
「お気をつけて」
そうして、その場を去る。
未来人と噂されていたが、並の人よりは技量は高いとは思うが、思いの外大したことなくて驚いた。
日も暮れかけているので、適当に宿屋に泊まる。
その宿屋の娘が美人だったが、これも如月烈火の彼女だというのはまた別の話である。
宿屋で眠りにつくと、妙な夢を見た。
気がつくと僕は、薄暗い部屋の中にいた。大量のゴミの入った袋が乱雑に置かれている、妙な異臭が漂い、竜の死骸より酷い香りが部屋の中に充満していた。
体を動かそうとするとずっしりと重く、体を触ってみると妙にぶよぶよとした感覚がある。
僕は突然太ってしまったのだろうか…よくもわからないので薄暗い部屋から出ることにした。
二階から一階のリビングに降りる、60代から70代だろうか。そんな老夫婦が僕の姿を見て大喜びした、あんな薄暗い部屋から出るだけでそんなに喜ぶことなのだろうか、僕にはその光景が一切理解できなかった。
そこで夢は終わり、魘されていたのだろうか、気がつくと午前10時に起きてしまっていた。
あれは誰の夢だろうか、そんな疑問が職を探すより気になってしまっていたようだ。
ものすごく下手くそな文章なので、伝えるべきべきことが伝わったかどうか不安です。
ですが、人気であろうとなかろうと私は執筆を続けさせていただきます。
出来上がり次第、次の章に進むので、悪しからず。