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魔族転生  作者: 桃源郷
第三章 新天地
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活動拠点と告白と種族特徴

襲撃の後始末と亡くなった獣人の埋葬を済ませた後、俺達は村長達と共に村の真ん中の広場に集まった。


村長は無事だった自分の家に招待しようとしてくれたけど、交渉に関する話は全員に直接聞いてもらいたいからと、俺が全員が集まれる広い場所を希望してここに集まってもらったのだ。


「疲れてるトコ、申し訳ないです」

「何を仰いますか。ケイクイル様が1番働いてくだすっておられたじゃろうに。転位魔法と創造魔法でしたかのぅ? 長く生きとりますが、あのような魔法は初めて拝見しましたわい」

「かなり古い文献を複数読み解いて完成させた魔法ですから。ちょっと自慢の技です」

「ケイってば・・そこは自慢するトコじゃないわよ?」

「いーんだよ。実際に苦労したんだから」

「ほっほっほっほっ。苦労して会得したものには胸を張りたくなるものですじゃ。ましてや、真に素晴らしい魔法ですからのぅ」

「ありがとうございます。そう言ってもらえると、苦労した甲斐が増しますよ。んで、交渉に入らせてもらいたいんですけど、構いませんか?」

「勿論ですじゃ。後始末の間に他の者達にも意見を聞かせてもらいましたが、できうる限りにこのご恩に報いたいと皆が申しておりますでな」

「まぁ、ホントに可能な範囲で構いませんから。無理させるつもりはないですし、無理させて後々問題になるのは困りますんで」

「お気遣いありがとうございます。して、どのようなお話しでしょうかの?」

「俺達の事情と状況も含めて、順番に説明します。まず、俺達は魔族の軍に召集を掛けられて住んでた街を出てます。本来なら、今頃はプリーマアシー峠に向かって行軍中の筈です。まぁ、スピカに乗ってその辺の行程はサラッと無視しましたけどね」

俺の言葉に黙って頷く村長達。



そこから、俺達が辿ってきた過程を簡単に説明した。


最初は徴兵に従って、その中で生き抜くことを目標にしていたこと。でも、純人族の砦を吹き飛ばしたスピカの竜の息吹(ブレス)の威力が想像以上だったから、態々生きにくいことが予想できる軍に加わらなくても、生き残る為の戦力としては十分そうだから、軍に合流する前に純人族の支配領域で拠点にできる場所を探し始めたこと。


ついでに、俺達が魔族の中ではどういう立場にあるのかも伝えた。つまりは、捨て駒として戦場送りになったから、軍に合流しなかったら、確実に逃亡者、もしくは裏切者扱いになるってことを包み隠さずに教えておいたのだ。何せ、最悪のケースとしては、魔族の軍に俺達が追われることにもなりかねないからな。そうなると、この村にも被害が及ぶ可能性も否定できないんだから、伝えないのはフェアじゃない。どうでもいいような連中ならともかく、なんだか懐いてくれてるちびっ子達を裏切るような真似はできないし、したくないんだよ。


「つまり、ケイクイル様方の拠点としてこの村を利用されたい、ということですな?」

「そうなりますね。それを認めてもらえることによるそっちのメリットは、用心棒が手に入るって点ですね。スピカクラスの魔物が群れで襲ってこない限りには魔物の襲撃からは確実に村を守れますし、今回みたいな襲撃の場合も被害を最小限に抑えられるでしょう。デメリットとしては、もし、魔族の軍が俺達を追ってくるようなことがあったり、純人族に俺達の存在がバレたりしたら、それに巻き込まれる可能性が高くなるってことですね」

「仰る通りでしょうな・・・しかし、仰られたデメリットに関しては、ケイクイル様方がここを拠点にしようがしまいが、変わらぬ話じゃと思うんじゃが、皆はどう思う?」

「・・長の言う通りだと思います」

「そうですね・・ケイクイル様達がいるいないに拘わらず、純人族は私達を狙ってることに変わりはありませんし、魔族の軍がここまで攻めてくるような状況になれば、それこそ確実に襲われることになると思いますから」

村長さんの問いかけに対して、狼顔の獣人とライザの母親がそう答えると、他の獣人達からも同じような意見が出てくる。


まぁ、その通りだわな。俺達がいることによって多少は危険度が上がるだろうけど、村の防衛力が増すってのは確実なんだし。


「うむ。お聞きの通り、村の衆の意見としてもケイクイル様方がここを拠点として利用されることに反対することはなさそうですじゃ。しかし、この村を拠点にしていただいてもよろしいのですかのぅ? ご覧の通り、寂れた小さな村でしてな・・ご満足いただけるような環境ではないのではと思われるんじゃが・・」

「あぁ、その点なら大丈夫です。住む家も必要な物も自分で用意しますから。住環境に関しては一切妥協しないつもりなんで、自重ナシでいきますし」

「うわ、そこも自重しないんだ」

「しません。快適な生活の為の拠点確保なんだからな。《創造(クリエイト)》で家を建てるのは楽勝だし、生活必需品を作るのもセシリアがいるから大丈夫だし」

「はい。素材は必要ですが、その為の知識は埋め込まれていますので」


魔導生命体は屋敷全体の管理も役目として与えられるからなぁ。壊れたり傷んだ物を修繕したり作り直したり、新しく追加する為に1から作ったりもできるんだよ。セシリアの部屋にあった物は何から何まで全部がセシリアが作った物だって聞かされたときは本気でビックリしたもんだ。


「分かりました。こちらで何の準備もできないのは心苦しい限りですが、儂らでお手伝いできることがありましたら、何なりとお申し付けくだされ」

「あ、それじゃ、村を囲う防壁を造る許可が欲しいです。今、村を囲ってる柵だけだと浸入が簡単過ぎますから、落ち着いて寝起きできる環境を作りたいんですよね」

「も、勿論ですじゃ。むしろ、儂らからお願いさせていただきたいくらいの話ですぞ。しかし、それにはかなりの時間と労力が掛かりますのぅ・・」

「いえ、許可がもらえるんなら、すぐに終わらせますよ?」

「は・・・?」

「囲いの範囲は、今の柵が作られてる所くらいまででいいですか? 多少は広げられますけど」

「は、はい。あ、いや、もし、強固な囲いになるのでしたら、少し広くしていただければありがたいですじゃ。強固な囲いさえあれば、畑を作って糧を得られますでな」

「了解です。んじゃ、とりあえずは今の倍くらいの敷地面積を確保しますか。先々で必要になれば、また広げればいいですし」

「は、はぁ」

軽い口調で言う俺に、村長さんは理解が追い付かないらしく、首を傾げて返事を口にした。他の獣人達も似たり寄ったりの表情だったりする。


・・・ちびっ子達だけは、何か期待するようなキラキラした目で見つめてきてるけど・・・そんなに期待しないでほしい。プレッシャーになるから。そんな大したことするワケじゃないから。


ちびっ子達のそんな視線から逃れるように、スピカに顔を向ける。

「よ、よし。スピカ。ちょっと上まで運んでくれるか?」

「ガウッ」

スピカが返事をしてその巨体を起こすと、獣人達から動揺の声が洩れてきた。


まぁ、すぐには慣れんわな。無理もない。


そんなことを思いながら、スピカの背中に跳び乗る。

「セシリア達はここで待っててくれ。すぐに終わらせて戻るから」

「防壁魔法使うんでしょ? 手伝わなくていいの?」

「手分けするより、一気に1人でやった方がズレが出る心配しなくていいからな。むしろ、その後の作業を手伝ってもらいたい」

「その後、ですか?」

首を僅かに傾げて問いかけてくるセシリアに、頷きながら答えを口にする。

「そ。対空迎撃用に《斬糸(スラッシュヤーン)》と《機雷(マイン)》を村の上空に仕込んでおきたいから。あ、勿論、スピカの通り道だけは確保するぞ? 緊急時には、直接村に降りてもらわないといけない場合が出るかもしれないからな」

「分かりました。では、ここでお待ちしています」

「おう。まぁ、ホントにすぐだけどな。頼む、スピカ」

「ギュァァ」

翼を羽ばたかせて飛び立つスピカ。程無くして、村全体を見下ろせる高度になる。

「よ~し、この辺でいいぞ」

「ガウ」

俺の指示に従って、その高度を保ち始めてくれるスピカ。


さて、パッと見た感じだと囲む予定の範囲内に魔物はいなさそうだな。念の為に後で確認はするけど。


そんなことを考えてから、魔力構成を編み上げて最高硬度の防壁を造り出すべく、全力で魔法を発動させる。

「《防壁:岩石ロック・プロテクティブウォール》!!」

発動された魔法により、大地が大きく隆起するようにして生まれた高さ約10m程の防壁が村全体を広く囲い込んだ。同時に、立ち眩みを起こしてしまい、スピカの背中に座り込んでしまう。


さ、流石に、この範囲をこの高さの防壁で囲むのはキツかったか・・・軽く魔力欠乏症状が出ちまったな。いやまぁ、こんな範囲を囲む壁を一瞬で生み出してんだから、当然っちゃ当然だけどな。

まぁ、とにかく、これで野球場のドーム(客席込み)2個分くらいの敷地を確保っと。


「ギュァァ」

スピカが心配しているような鳴き声を上げて、鼻先を擦り寄せてきた。

「はは。心配してくれてるのか? ありがとな。大丈夫だ。あとはセシリア達にも手伝ってもらうしな」

「ギュァン」

鼻先を撫でながらそう言うと、甘えた鳴き声を上げてからゆっくりと元の広場へと戻り始めるスピカ。


後は、対空迎撃の備えは3重に設置して・・・あ、ゴーレムも造って防衛戦力として配置しとくか。強い魔物が相手だと時間稼ぎにしかならないだろうけど、ゴーレムが壊されたら分かるし、そんな事態になったとしたら《転位(ディスロケーション)》で戻ってくりゃいいんだしな。あ、それに、出入口も作らないと。出入口は2つでいいかな? 1つだけだと不便かもしれないけど、多過ぎても襲撃のときに守りが緩くなるだろうし。出入口前にはデカい堀を作って、跳ね橋と門を設置しとけば、そう簡単には侵入できないよな。

あ~、村の中に避難所も作るか。出入口のゴーレムが壊されたり対空迎撃用の魔法が2層目を突破されたら警報が鳴るように魔法を連動させといて、それを合図に避難すれば俺達が駆け付けるまでの間に出る被害も抑えられるだろ。


村の防衛に関しての計画を整理しながら元の広場に戻ると、ちびっ子達が跳びついてきた。

「おぉっ!? な、なんだ? どうした?」

「兄ちゃん、スゲェェェェェェッ!!」

「あんな高くて丈夫そうな壁があっという間にできちゃったよ!! ケイさん、凄すぎるよぉぉぉぉぉっ!!」

「ケイお兄ちゃん、カッコいい~っ!!」

ライザ、フレア、メイティが絶賛の声を上げて、他のちびっ子達も口々に俺を褒め称えてくれる。


あぁ、なるほど。手作業でこれだけの物を作ろうと思ったら、とんでもなく時間も労力も掛かるもんな。それに、俺くらいの保有魔力量がないと、魔法をつかったとしても一気には無理な話だし。



しかし、ここまで絶賛してもらえると調子に乗りたくなっちゃうね!!



「驚くのはまだこれからだぞ? 《創造:岩石人形クリエイト・ロックゴーレム》!!」

我ながら単純だと思うノリで魔法を発動させると、岩でできた全長3mほどのゴーレムが俺達と村長さん達を囲うようにして地面から次々と湧き出してきた。その数、150体。

その様子に、ちびっ子達は歓声を上げて大はしゃぎ。大人の獣人達は口を半開きにして呆然唖然。


んで、俺はかなり強烈な立ち眩みが襲ってきたものの、気合いと根性で平静を保つことに必死だったりする。


し、しまった・・・さっき軽めの魔力欠乏症状が出てたってのに、マジで調子に乗っちまった・・・ここで倒れたりフラつくような無様だけは晒さないようにしないと!! カッコ悪過ぎるから!!


自分の行動に若干の後悔を覚えている間に、ゴーレム達の目に赤い光が灯り、魔力構成を編み上げたときに埋め込んだ指示通りの行動を開始するべく動き出した。

「ケイさんケイさんケイさんケイさん!! あの岩人形達、勝手に動いてるよ!?」

「安心していいよ。ゴーレムを作ったときに指示も与えてあるから、その通りの行動を開始しただけだから」

「ゴーレムっていうのかぁっ!! すっげぇぇぇぇぇぇっ!! 兄ちゃん、ホントにすっげぇぇぇぇぇぇっ!!」

「あのゴーレム達って何するの!? 何ができるの!?」

「メチャクチャ強そうっ!! それに、いっぱい!!」

「凄い凄い凄い凄い凄い凄いぃぃぃぃぃっ!!」

ゴーレムの出現で、ちびっ子達のテンションが完全に振り切れたらしい。大興奮で口々にいろんなことを口走ってる。

「あ~あ~もう・・調子に乗っちゃって・・・」

「ケイくんって意外にテンションが上がっちゃうとムチャをしちゃいますよねぇ」

「大丈夫ですか? いくらケイクイルさんでも、魔力枯渇状態になってもおかしくないかと思われるのですが・・」

呆れた声を出すカサリナに、なんだか生暖かい視線をくれるルーシア。それに、若干オロオロしてるセシリア。


うん、ごめん。調子に乗ったのは自覚してるし、若干後悔もしてる。してるんだけど、このちびっ子達の前ではカッコ付けさせてくれ!!


「この程度なら軽いモンだ。心配するな」

「「「「すっげぇぇぇぇぇぇっ!!」」」」「「「「カッコいいぃぃぃぃぃぃっ!!」」」」

セシリア達に投げ掛けた言葉に、ちびっ子達からさらなる称賛の声が上がった。


ははははははっ!! これ、気分いいなぁっ!! 保有魔力量が多くてホントによかった!! ゴーレム作成の魔法も俺だけの特技だし!!


「よしよし。落ち着け。ゴーレム達には囲いの中にいるかもしれない魔物の駆除と、防壁の警護を指示してあるからな。安全の確認が取れるまでは村の皆から離れるんじゃないぞ?」

「「「「うんっ!!」」」」「「「「は~いっ!!」」」」「んっ」


最後の短い返事はルルか。表情に乏しい子だけど、尻尾と耳の動きの方で感情表現が豊かなことで。何気にこの子もテンション上がってたのな。まぁ、高速で首を縦に振ってたりしてたしな。


「こ、言葉になりませんな・・・」

「ケイクイル様1人で軍隊ができますよ、これ・・」

「・・こんな方に守ってもらえたなんて、私達は本当に幸運ですね・・・」

ちびっ子達の元気な返事で我に返ったらしい村長さん、狼顔の獣人、ライザの母親がそんなことを呟くように口にした。


あ・・いけね。大人達のこと、忘れてた。


「なはは。すんません。ライザ達に煽てられて、つい調子に乗っちまいました。まぁ、とりあえずは囲いの中の安全確認はゴーレムに任せて問題ないですよ。万一、ゴーレム達で手に負えないような相手がいても、ゴーレムが破壊されたら分かるようにしてありますから」

「離れた所でも伝わる、ということですかのぅ?」

「はい。《警告音(アラーム)》って魔法があるんですけどね。ゴーレムの損壊に連動して発動するように魔力構成を編み上げてあるんです。かなりの大音量が鳴り響きますから、防壁の周辺からなら防壁内のどこにいても聞こえると思います」

「そこまで考えてたのね・・てっきり、テンション上がり過ぎて何にも考えられてないかと思ってた」

「失礼な。村の安全確保は俺達の快適な生活にとっても重要事項だってのに、考えナシでやるワケないだろ。まぁ、テンションがアゲアゲになってるのは認めるけど」

カサリナの感心したような言葉に、弱めのツッコミを返しておく。


後先までは考えられてなかったからなぁ。テンションが上がりまくってて。今も、気を抜いたら倒れそうだし。


「流石、ケイくんですっ。でも、あんまり無理しないでくださいね?」

「はい。後の作業はお任せください」

ルーシアとセシリアの言葉に、苦笑が洩れてしまう。


無理してるのはバレバレですか。カッコつかないよなぁ、ったく。


「分かったよ。対空迎撃の備えは任せる。3重に《斬糸(スラッシュヤーン)》と《機雷(マイン)》を上の空間に敷き詰めておいてくれ。あ、でも、この広場の上空と、俺達の家を作る場所の上空だけは空けておいてくれるか? スピカの出入口にしたいから」

「あたし達の家、かぁ・・えへへへへ」

「な、なんだか照れちゃいますね」

「は、はい。で、でも、その・・なんだか、嬉しくて幸せな響きです」

3人揃って赤くなりながらモジモジされてしまった。その反応に、俺まで顔が赤くなってしまう。


た、確かに、結構な発言だよな。でも、それを喜ばれると俺はさらに気恥ずかしいんですが・・・ゆる甘な空気が戻ってきたなぁ。


そんなことを思っていたら、クイクイと袖を引かれた。そこに視線を移すと、フレアがなんだか難しい顔をして俺を見上げていた。

「あのお姉さん達、ケイさんのお嫁さんなの?」

「ま、まだ嫁ではないよ。ついこの間、付き合い始めたばかりだからな」

「じゃあ、恋人?」

「ん、んん。まぁな」

「・・・あ、あのね? ボク、その・・・」

俺の答えに、真剣な表情を浮かべたかと思ったら、真っ赤になって俯いてしまうフレア。


ヲイ・・ちょっと待て。これはまさかの展開なんじゃないのか? あぁ、でも、このくらいの歳の子なら有り得るのか。ピンチを救ったワケだし、一生残ると思ってた顔の傷まで治されてるワケだし。


「あ、もしかして・・・」

「まだ幼いのに、いい目をしてますね」

「今はまだ幼いですが、魔族は若い期間が長いですから、十分に対象となり得ます。頑張ってください」


セシリアからまさかのエール!? あ、そう言えば、ルーシアがまだ引っ込み思案だった頃はよく橋渡しとか後押しをしてくれてたよな・・・性根が優しくて思いやりに溢れてるんだよなぁ、セシリアは。


「はっ、はいっ!! ボっ、ボクっ、ケイさんのこと、大好きですっ!! ボクも恋人にしてくださいっ!!」

「「「「「「おぉ~」」」」」」

ライザ達に加えて、村長さん達からまで感嘆の声が重なって上がってきた。


オイ、そこの大人共。何を目を輝かせてやがる。当事者の俺はどうすりゃいいのかマジで困るってのに。


「よかったのぉ。フレアは悪魔の爪痕のせいで、誰とも顔を合わしたがらなんだ。このまま恋もできんかと思うとったが」

「ケイクイル様が優しく強い方だというのは疑う余地もない話ですし、フレアにとっては正しく救いの英雄様ですからねぇ」

「獣人の恋愛は攻めて攻めて攻めまくるものだぞ!! 幸い、ケイクイル様の伴侶の方々も悪く思われていない様子だっ!! 頑張れ!! フレア!!」

狼顔の獣人の強い応援の言葉に触発されるように、次々と後押しするような言葉がフレアに投げ掛けられていく。


オイィィィィィィ!? 何を全力で応援しちゃってんの!? 俺、魔族だぞ!? 確かにこの村を助けたけど、敵対種族だろ!? その辺の忌避感とかはないのか!? っつーか、獣人達、恋愛方面への食い付き良すぎだろ!? 何!? そういう種族なのか!? 獣人ってのは!!

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