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魔族転生  作者: 桃源郷
第三章 新天地
24/30

伝えられた想いと知らなかった事実と知らなかった一面

どれだけ長い付き合いでも、知らない一面というものはあるものですよね。



第三章 第一部の開幕です。


どうぞ、最後までお楽しみくださいませ。

魔獣狩りを終えてから、のんびりとはとても言えなかったけど、俺達は出発までの期間を、デートしたりデートしたりデートしたりといった感じで、楽しく過ごした。


っつーか、帰ってきてから、ほとんどデートしかしてねぇ・・・







何故にのんびりとは言えなかったのか。どんなことがあったのかも含めて、それを簡単に語ろうか。



まず、ドリューシャへの制裁と報復は毎朝の日課みたいになっていた。デート前にそういう殺伐とした日課はどうなんだとも思ったけど、これだけは絶対に譲れなかった。

抵抗も逃亡も許さずに、毎朝血反吐を吐いてのたうち回らせた。積もり積もった怒りの余りに、何回も殺してしまいそうになったけど、ギリギリで踏み留まった。死んで楽になることなんか許せなかったからだ。

ドリューシャはこっそりと治癒師を呼びつけて治療させてたみたいだけど、魔法じゃなくて薬での治療だ。前世の世界とは比べ物にならないような効果があるけど、重傷を一瞬で治すなんて程じゃない。


結果、ドリューシャは今、ベッドの上で寝たきり状態だ。当然、そんな状態になればフォルティス家の面々にも知られないワケがない。でも、ドリューシャをそんな状態に追い込んだ犯人は不明のままだ。当のドリューシャが'[前兆の子]にヤられた'なんて口を割るワケもなく、目撃者を作るようなヘマもしてないからな。

そして、フォルティス家に置けるドリューシャの評価は地に落ちた。めでたく、'()()()()()()'という烙印を押されたってワケだ。


これでドリューシャの件は一旦は()()だ。溜飲は全く下ってないけど、戦場に行く以上はどうしようもなくなるからな。戦場で顔を合わせるか、帰ってこれることがあれば遠慮なく再開するけど。





ただ、ドリューシャの件があったから、のんびりとは言えなかったワケじゃない。のんびりって心境になれなかったのは、セシリア達のせいだ。



まず、カサリナとのデート。デート前日のやり取りのせいで、恥ずかしがって部屋から出てきそうになかったから迎えに行ったんだけど、そこからいきなり必死に練ったデートプランがブッ壊された。落ち着かせる為に抱き締めてみたら、いきなりキスされて、カサリナの部屋でずっとイチャついてたいとか言い出しやがったんだよ。


やたらと可愛らしいし、俺も嬉しいし照れ臭いしで文句も言えないし・・・


ただ、流石にカサリナの部屋でってのはハードル高過ぎたから、いきなりデートプラン上の最終目的地である魔皇樹の頂上に。そこは昔からカサリナが行きたいって言ってたトコだったから喜んでくれるかと思ってたんだけど・・・


予想以上に喜びまくってくれました。お姫様抱っこしたまんまで、イチャイチャしながら何回もキスしてました。

さらに、

「そ、その、あ、あたしとのデートは魔皇樹の頂上がいい。そっ、そこでずっとイチャイチャしながら、ケイとまたいっぱいキスしたいのっ!! 」

とか悶絶させられるようなことを言われて、マジで毎回そんなデートになりましたよ。


何、あの可愛い生き物は。ずっと照れながら嬉しそうにしてくれて。



でもまぁ、カサリナはまだ健全だったからいい。お姫様抱っこしてる腕と、首に腕を回されて密着した体に伝わってくる柔らかさと、至近距離なせいで嗅覚を刺激してくるカサリナのいい匂いと、恥ずかしがりながらもずっと嬉しそうにしてくれるカサリナが可愛過ぎるのとで、今世の若さが暴走しそうになったのは1度や2度じゃなかったけど、まだ暴走の危険は少なかった。



問題はセシリアとルーシアだ!! あいつら、本気で俺の理性と自制心をブチ壊しにかかってきてやがったんだから!! ヘタレ紳士な俺が待ってくれっつってんのに、グイグイグイグイとっ!!



ルーシアとの初回のデートは、予想外に積極的なルーシアに大いに照れさせられまくったものの、大体はプラン通りの進行ではあった。でも、最後に'早く押し倒せ'と言わんばかりのことを吐かされたんだよ。でも、必死の説得の結果、俺のヘタレ度合いを納得してくれたように見えた。そのときは・・・


なのに、それ以降のデートでは大胆さに拍車がかかっていったんだよ!! 腕を組んで歩いてるときは明らかに不必要なくらいに胸を押し付けてくるし、食事中はやたらとスキンシップ増えてくし!! ルーシアオススメのトコで飯を食いに行ったら、暑いとか言って個室の中で上着を脱ぎ出して、その下はおもいっきり胸元が開いた服だったりしたし!! そのまま抱きついてくるから、生の温もりと感触が直に伝わってきたし!!

「えと、普段から少し大胆になっていけば、早く慣れてもらえるかなぁと思って・・ダメ、ですか?」

とか上目遣いで言われて、ダメとか言えるかぁぁぁぁぁっ!!



んで!! 1番タチが悪いのがセシリアだ!!


初デートにどこか行きたいトコがあるか聞いたら、

「私の部屋ではダメでしょうか? そこでご主人様(マスター)のお世話をさせてほしいです。ご主人様(マスター)は何でもご自身でされてしまうので、今日は私に全てを任せていただきたいです」

とか言い出した。ちょっとは外に出ようと説得してみても、珍しく頑として聞き入れてくれなくて、'まぁ、いつも通りに部屋でのんびりってのも悪くないか'とか思って了承したのが、それから続く理性と自制心の無限耐久試練の始まりだった・・・


少し準備をすると言われて、セシリアの部屋を一旦退出した。少しして戻ってきたら、セシリアは何故か膝に薄い毛布を掛けてベッドに腰掛けてて、そのまま、'まずは耳掃除を'と言われた。

ただし、毛布を取ったら丈の短すぎるワンピースに着替えてたのが発覚!! そのままでの膝枕を半強制(涙目でお願い)されて、抵抗不可(拒否なんかできるか)!!

さらに、その格好のままで覆い被さるようにキスされまくるし、キスしまくることになる(理性がブッ飛ばされた)し!! 頭ん中が沸騰してるトコに不意打ちで顔を胸に埋めさせられて抱き締められるし!! 食事は常に'あ~ん'で、何もさせてもらえないし!! 最終的には、セシリアも真っ赤になってる癖に俺の膝に跨がって抱きついてキスしてくるし!!

「恥ずかしいですけれど・・幸せ、です。ご主人様(マスター)

とか言われて、降りろとか言えるワケねぇっ!! 服装が服装なだけに、余計にヤバいのに!!


絶対にリアルに顔から湯気が出てたぞ!!


さらに、離れたくないとか言われて、帰ってきた日と同様に延々と口付けを交わし合いながら寝ることになったし!! なんか艶かしい声がセシリアの口から洩れるし!! 体を撫でたりまでしてくるし!!


しかも、それが毎晩だぞ!? カサリナとルーシアとのデートの日でも夜はセシリアの待つ屋敷に帰るから!!




こんな状況で'ゆっくり'とか'のんびり'とかって心境になれるかぁぁぁぁぁぁぁっ!! 常に本能と理性が大戦争状態だったよ!!







そんな日々も今夜で最後だ。安心したようなもったいないような、複雑な気分だけどな。まさか、こんなに甘々な時間を過ごせるとは思ってなかったし、でも、理性と自制心の耐久値はガリガリ削られてくし。


いくらなんでも、そういう関係になるのは早すぎると思うワケですよ。段階的に。


そんなことを現実逃避気味に思っていたら、隣で横になっているセシリアが、抱きついたままで俺の服の裾を軽く引っ張ってきた。

「ん? どした?」

「あの、マ、ご主人様(マスター)・・・ケ、ケイクイル様と呼ばせてもらっても、いいですか?」

俺に抱きついたまま、意を決した様子で真っ赤になりながら、そう言うセシリア。

「魔導生命体としてだけではなく、あなただけのセシリアとして傍にいたいから・・・ケイクイル様と、呼ばせてもらいたいんです」

続けられた言葉に愛しさが溢れて、理性がぶっ飛んだ。セシリアに覆い被さるようにして、その唇を貪るようにキスをしてキツく抱き締めちまった。


あ~っ!! くそっ!! そういうのは反則だろ!!


「そんなこと言われて、俺が耐えられるワケないだろ。でも、'様'はナシだ。せめて、'さん'くらいにしといてくれ」

「は、はい。ケイクイル、さ、ん・・・ケイクイル、さん。ケイクイルさんっ」

俺の首に腕を回して引き寄せるようにしてキスをしてくれるセシリア。


唇が離れると、嬉しそうで照れ臭そうで、花が咲き誇るような笑顔を見せてくれるセシリア。その笑顔に、俺の理性の最後の堤防が完全消失させられた。







翌朝。俺の隣には幸せそうな寝顔を見せてくれるセシリア。しっかりと抱き締められてて、身動き取れません。


我慢してた分、昨日はもう完全に野獣化しちまいましたよ。出発前日だってのに。セシリアには無理させちまったなぁ。珍しく俺より起きるのが遅いんだからなぁ。


「ん・・・あ、マス・・・・・ケイクイルさん。その、お、おはようございます」

「おはよ、セシリア。体、大丈夫か?」

俺の問いかけに、顔を真っ赤にしながらキスをしてくるセシリア。

「夢ではなかったんですよね」

「ん、んん。夢だと、俺が死ぬ程残念になるな」

そう言うと、花も月も霞むような笑顔を魅せてくれるセシリア。

「嬉しくて幸せで、どうにかなってしまいそうです。また、その・・・だ、抱いてほしいです。昨晩よりも沢山」


ぬぁぁぁぁぁっ!! 耐えろ!! 俺の理性!! 今日は出発なんだぞ!!


「お、おう。俺もセシリアを抱きたい。ぜ、全然抱き足りてないからな。だから・・死ぬのも離れるのも絶対にナシだぞ?」

「はいっ。ケイクイルさんっ」


そのままの状態でイチャイチャしてたら間違いなく理性がブッ飛ぶ、っつーか、消し飛ぶから、ほんの少しだけ抱き締め合ってキスをしてから、出発の準備を整えた。それから、カサリナとルーシアとの待ち合わせ場所に向かう。


・・・あれ? これ、マズくね? カサリナはまだしも、ルーシアもモロに誘ってきてくれてたのに・・・・セシリアはこっちが照れ臭過ぎるくらいの幸せオーラ全開だし、俺に対する呼び方が変わってる。こんな分かりやすい変化に気付かんあいつらじゃない。


・・・・・・もしや、出発前に修羅場る? いかん!! これは何とか速やかに収めないと!! っても、どうやって!? セシリアに最初に迫られたときは、キスで誤魔化せたよな!? それって通用するのか!? キャラじゃないけど、やれることはやらねば!! ヤン眼になったあいつらは怖過ぎる!!


そんな風に戦々恐々としていても、待ち合わせの場所には到着してしまう。んで、カサリナとルーシアもちゃんといてくれてる。


いてくれないと困るし嫌なんだけど、つまりこれって逃げ場ナシってことですよねぇ!? 穏便に済みますように!!


「おっはよ~、ケイ、セシリア」

「おはようございます、ケイくん、セシリアさん」

「お、おう。おはよ」

「おはようございます、カサリナさん、ルーシアさん」

朝の挨拶を交わすと、カサリナがそのまま近付いてきてキスをしてきた、と思ったら、ルーシアまで続いてキスをしてきた。


な、なんですのん? スッゲェ照れ臭いんですが。


「えへへ。ここのところ、ケイと会ったらずっとキスしてたでしょ? だから、なんだか我慢できなくなっちゃった」

「はい。それに、なんだかまたセシリアさんの雰囲気が変わってますし」

ルーシアの言葉に、ビクゥッと俺の体が震えた。


ひ、一目で気付きますか? 気付くよね~。セシリアってば、ずっと俺の腕に抱きついたままなんだからなぁ。帰ってきた日から今日まで2人はセシリアと顔を合わせてないし、そこから考えたらかなりの変化っぷりだわなぁ。


「セシリア。もしかして、とうとう押し倒したの?」

「ブハッ!?」

「い、いえ。その・・ケイクイルさんから、覆い被さってくれました」

「あぁ、やっぱりぃ・・・同じ家ってやっぱりズルいわよねぇ」

「寝るときまで同じベッドなんですからねぇ・・条件の不利はありましたけど、私も精一杯誘惑したのに、やっぱり少しショックですよぉ」

「あ、あたしは誘惑とかしてないもん。恥ずかしくてできなかったし・・・で、でも、これであたし達も、その、だ、抱いてもらえるよね? ケイ?」

俺の驚きを他所に会話を続けられて、カサリナがそう問いかけてきた。

「セシリアさんを抱いたのに、'私達はダメ'なんてことありませんよね?」

「お、お、おう。っつーか、え? 何? なんで3人共通じ合ってる感じなんだ?」

「勝手な行動を取って申し訳ありません。初めてケイクイルさんとデートをした次の日、ルーシアさんを訪ねたんです」

「へ?」

「ケイクイルさんを全力で誘惑しますと伝える為に。その次の日にはカサリナさんにも伝えました」

「な、なんでまた・・・」

「同じケイの恋人だから、何も知らせないままで抜け駆けみたいにしたくなかったんだって」

「狡いですよ。これからもケイくんを一緒に支えていってもらいたいから、私達との間に遺恨を残したくないなんて言われたら、文句も言えなくなっちゃいます。私なんて、ケイくんに押し倒してもらうことしか考えられてなかったのに」

意外過ぎる事実に、俺は驚き過ぎて声も出せない。


マジか・・そこまで俺の為にって考えてくれてたのか・・・


「あはは。セシリアはホントにケイが1番だからね~。ちょっと悔しいけど」

「ハァ・・・本当に。こんなにケイくんのことを第一に考えられるんですもん。今のケイくんが1番好きなのがセシリアさんでも仕方ないって思っちゃいますよ」

「い、いえ。ケイクイルさんはカサリナさんのこともルーシアさんのことも大切に想ってます。幼い頃から、何がお2人の為になるのか、どうやったら助けになれるのかをずっと考えてらっしゃいました」

カサリナとルーシアの言葉に、赤くなりながらも2人へのフォローの言葉を口にするセシリア。


っつーか、それ、バラさないで。なんか微妙に恥ずかしいから。


「ふふ。はい。分かってますよ。それに、あくまでも'今のケイくんは'です。いつまでも負けているつもりはないですからっ」

「そうそう。それに、ケイのことだから、あたし達に順番なんか付けられっこないんだし。あたし達の間だけの話なんだから」

「・・・はい。そういう意味でしたら、私も負けられません。ケイクイルさんだけのセシリアとして生きていくと決めましたから」

「あ、それで呼び方が変わってるんだ? 'ご主人様(マスター)'だと魔導生命体としてって感じになっちゃうから?」

「はい。昨日、ようやくお願いすることができて、受け入れてもらえました」

「あ・・・ケイく~ん? それで理性が崩壊したんですね?」

「をぅっ!?」

「ハァ・・・もう。分かりますけどね。セシリアさんのことは1度も魔導生命体として見てなかったんですから」

「え?」

「ホラ、小さい頃に言ってたじゃない。セシリアは母親代わりで家族みたいなものだ~って」

「あ・・」

カサリナの言葉に、また見惚れるような笑顔を魅せてくれるセシリア。


・・・よく笑うようになってくれたなぁ・・・・昔からセシリアの笑顔が見たいとは思ってたけど・・・・


そんなことを思っていたら、カサリナとルーシアが交互にキスをしてきて、顔が赤くなってしまう。

「な、お、お前ら、何を急に・・」

「セシリアばっかり見つめ過ぎっ!!」

「確かに魅力的な笑顔だと思いますし、滅多に表情を変えなかったセシリアさんが笑顔になってくれるのが嬉しいのは理解できます。でもっ! 私のことも見ていてくれないと嫌ですっ!!」

「い、いや、あの・・・ご、ごめん。っつーか、お前らにも大概・・・」

「「え?」」

「い、いや、いい。そろそろ時間だ。行くぞ」

「あっ、そんなのズルい!!」

「続きっ!! '大概'の続きを聞かせてくださいっ!!」

「あ~っもうっ!! 分かってて聞いてるだろ!? いいから行くぞ!!」

嬉しそうに問い詰めようとしてくるカサリナとルーシアを強引に受け流して、腕を組んだままのセシリアを引っ張るようにして歩き出す。


ったく。これ、戦場に行く前の空気じゃねぇよ。緊張感の欠片もねぇな、オイ。まぁ、悲壮感に暮れてたりするよりずっといいんだけどな。

それに、自重の期間はおしまいになるんだ。本気の全力と使えるモノは何でも使って、絶対にこいつらは死なせたりしない。俺も絶対に死なねぇ。だから、いつも通りのこの空気でいい。



それを脅かすモノは、どんな手を使っても、何が相手でもブッ潰す。俺の総てを使って。そう決めたんだからな。



そんなことを考えていたら、空いていた左腕にルーシアが抱きついてきて、耳まで赤くなりながら顔を伏せてしまった。それに、セシリアとカサリナが熱に浮かされたみたいな顔で見つめてきてるのに気付いた。

「? どした?」

「・・・バカ・・そんな顔して・・・・また好きになっちゃったじゃない・・」

「へ?」

「無理です卑怯です反則です・・こんなの、格好良すぎて顔が見れなくなっちゃいます・・・」

「・・惚れ直す、というのはこういう気持ちなんですね・・・」


え? な、何? 何を急に仰ってるんでしょうか? そういう目で見ないで。なんかメチャクチャ照れ臭いんですけど!!







そんなゆる甘な空気のまま、戦場送り組の集合場所である街の外周に到着した。その場の空気は重苦しく、ピリピリとした緊張感が漂ってるだけに、場違い感が半端ない。


うわ、おもいっきり睨まれてら。見たことない奴らもやっぱり多いなぁ。まぁ、デカい街だから当然っちゃ当然なんだけど。


「オイ。貴様」

後ろから掛けられた声に俺達が振り向くと、鎧姿の白魔族の男が立っていた。


戦場送り組の監視役ってトコかね?


「白魔が何故紅魔とつるんでいる?」

「戦場に行くのに、それが何か関係あるのか?」

「フン。口の聞き方も知らない紅魔のガキが。気安く俺に声を掛けるな。俺は白魔の女に聞いているのだ」

「あ、そうだったんですね。では・・'戦場に行くのに、それが何か関係あるのか?'」

白魔の男の言葉に、笑顔でそう答えるルーシア。


あの? ルーシアさん? 目が全然笑ってませんよ? っつーか、俺の台詞をそのまんま言うって、完全に喧嘩売ってません? ホラ、この監視役っぽい奴が青筋立てて、プルプルし始めたし。


「いい度胸だな、女。戦場で慰み物にされたいのか?」

「いえ。真っ平です。と言うか、寒気がしますね。ケイくん以外に触れられるなんて想像もしたくないです。次に同じ事を言ったら、本気で殺しますよ?」

目が笑っていない笑顔のままで、氷点下の声でそう言い放つルーシア。


ルーシアさぁぁぁぁん!? 発言が過激過ぎますよぉっ!? あれ!? ルーシアって戦いとか嫌いじゃなかったっけ!? 絡んでくる奴には逃げの一手で、喧嘩とか1回もしたことなかったよな!? 実は意外に好戦的ですか!? これまでは目立たないように抑えてただけとか!?

ルーシアが躊躇なく兵士を煽っているのは、兵士を主人公の敵として認識したからです。

また、ルーシアはこれまで見せていなかった自分の攻撃的な一面を主人公に見せることに何の躊躇いもありません。一緒に積み重ねてきた時間と主人公への揺るぎない信頼が、自分の全てを曝け出すことに微塵も不安を覚えさせませんから。



では、これにて第三章 第一部を閉幕とさせていただきます。


お付き合いいただいた皆様に感謝を。よろしければ、次回もまたお付き合いくださいませ。

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