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魔族転生  作者: 桃源郷
第二章 青年期
19/30

報復と伝えた想いと初めての反抗

スピカと一旦別れた主人公達は街へと戻ります。



第二章 青年期 第十部の開幕です。


どうぞ、最後までお楽しみくださいませ。

スピカと一旦のお別れをした俺達は翌日の昼前に街に到着。夕方にもう1度集まることにして、一旦それぞれ帰宅した。

俺とセシリアは、それぞれ風呂に入ってスッキリしてから、セシリアの部屋でお茶を飲んでまったりすることに。セシリアが用意してくれたお茶は、俺の好きなガフの葉を使った紅茶だ。

「あ~、やっぱりセシリアの煎れてくれたお茶はいいなぁ。美味い」

「ありがとうございます。私のご主人様(マイ・マスター)

嬉しそうにそう言うと、そっと肩を寄せてくるセシリア。


むぅ。こんな風にされると、物凄く照れ臭いんですが。セシリアのことを誤解してた件が解決してから、どんどんスキンシップが増えてってるんだよなぁ。特に、カサリナとルーシアの告白を受けてからは。

あ、そういや、返事は帰ってからとかって言ってたのに、まだしてなかったな。なんでまた夕方に集合なのかと思ってたけど、その話か。いかんな。どうにもそういう方向には意識が向き辛い。女っ気、全然なかったもんなぁ。


そんなことを思っていたら、セシリアが腕を絡めてきた。

「セ、セシリア?」

「え? あ・・・・そ、その・・・こうするとご主人様(マスター)は嬉しいと、その、言っていましたから」

俺の呼び掛けで自分の行動を認識したらしく、いきなり真っ赤になって、言い訳のようにそう言うセシリア。


無意識か。無意識に腕を組んできたのか。やっべ、マジで可愛いっ。


「ん、あ~、うん。照れ臭いけど、な。セシリアも喜んでくれてたら、尚更嬉しい」

「は、はい、私のご主人様(マイ・マスター)・・すみません・・魔導生命体として有り得ないのですが・・・私がこうしたいから、したんだと、思います・・・」

申し訳なさそうにそう言うセシリアの頭を撫でてやる。

「謝ることなんかないよ。その方が俺は嬉しい。その、上手く言えないけど、セシリアがやりたいと思ったことをやりたいようにしてくれた方が嬉しいんだよ。魔導生命体として仕える主にってより、セシリア自身が俺にって方がさ」

「・・・分からない、んです。私は魔導生命体で、それも、情緒面に不良のある出来損ないです。ご主人様(マスター)と一緒にいると、魔導生命体として有り得ない思いばかりが溢れ出てきてしまいます。これが何なのか、私には分からないんです・・・」

俯きながらギュッと俺の腕を抱き締めるセシリア。まるで迷子になった子どもみたいな表情を浮かべて。

「セシリア。それはセシリアにとって、嫌な思いか?」

俺の問いかけに、俯いたままで激しく首を振るセシリア。

「じゃあ、俺と一緒にそれが何なのか、1つずつ分かっていこう? '魔導生命体'なんて括りは必要ない。セシリアはセシリアだ。昔、カサリナに話したことがあったろ? セシリアは魔導生命体だけど、魔導生命体全てがセシリアなワケじゃない。俺はセシリアが相手だから言ってるんだって」

「あ・・・」

「だから、'自分は魔導生命体だから'なんて考えなくていい。自分のことを'出来損ない'だなんて言わないでくれ。俺にとって、セシリアは本当に大切な人なんだ」

「は、い・・・はい・・・はいっ、私のご主人様(マイ・マスター)っ」

瞳に涙を浮かべて俺を見上げたセシリアは、目が合うとそのまま唇を重ねてきた。


をぅっ!? また不意打ちにっ!?


唇が離れると、顔から湯気が出そうな俺を不思議そうな顔で見つめてくるセシリア。

ご主人様(マスター)?」

「ん、んん。ふ、不意打ちは勘弁してくれ。その、物凄い照れ臭いから」

そう言うと、セシリアも湯気が出そうな程に真っ赤になって、俺の胸にポスンと顔を埋めてきた。

「す、すみません。また・・」

「い、いや、嬉しいんだけどな。心構えとゆーものがだな・・・」

「嬉しい・・・マ、ご主人様(マスター)は、私と口付けをしても、嬉しい、です、か?」

不安気に、でも、どこかに期待したような顔で俺を見上げてくるセシリア。


グハッ!? なんでこいつはこう、俺の急所を的確に貫いてくるような反応を見せてくれるかな!? さっきのと合わせて、心臓が破裂するわ!!


「お、おう。嬉しい、ぞ?」

「は、はい。私も、嬉しい、です。ご主人様(マスター)だけに仕えてほしいと言ってもらえたときよりも、ご主人様(マスター)に頭を撫でてもらえたときよりも、何よりも・・・ご主人様(マスター)との口付けが幸せで嬉しいです」

そう言ったセシリアの表情に、俺は完全に見惚れてしまった。その、花が咲き誇るような微笑みに。





気が付くと、俺は何度もセシリアと唇を重ねていた。強く抱き締めたままで。何度目のキスからかは分からないけど、セシリアも顔を真っ赤にしながら、俺を抱き締め返してくれていた。


「愛して、います。愛してます。私のご主人様(マイ・マスター)。この気持ちが、きっと愛するということだと思えます。私のご主人様(マイ・マスター)

「俺も、愛してるよ。セシリア。魔導生命体としてじゃなく、親代わりとしてでもなく、女性として、愛してる」


初めて、お互いにハッキリと愛の言葉を交わしながら、何度も何度も、飽きることもなく、キスをし続けていた。




それ以上に進む度胸はございませんでしたがね!! 初めてセシリアが笑ってくれたトコ見て、いろんなモノが頭から吹っ飛んでもここまでが今の俺の限界だよ!!

っつーか、ヤベェッ!? 夕方に待ち合わせしてるカサリナとルーシアに何て説明するんだ!? いや、あいつらのことも好きなんだけども!! セシリアが物凄く幸せそうな柔らかい表情してくれてるんだよ!! 何があったか、絶対に聞かれる!! そしたら、またハイライトが消えるぞ!? なんとか対策を考えておかねば!!







カサリナとルーシアとの待ち合わせに戦々恐々としながらも、セシリアとの甘い時間に浸っていると、あっという間に夕方になった。

少し慌てて待ち合わせ場所であるいつもの公園に向かおうとしたところで、機嫌が死ぬ程悪そうなドリューシャと遭遇してしまった。

「チッ。我が一族の恥晒しと出来損ないの人形か。出来損ないの人形に何をさせている!! 恥晒しと言えども、貴様もフォルティス家の一員として見られるのだぞ!! 情けない真似は即刻止めろ!!」

セシリアと腕を組んでいるのを見咎めたドリューシャが、捲し立てるように怒声を上げた。その言葉に、柔らかくしていた表情をいつものものに戻してしまったセシリアが腕を離そうとするけど、俺はそのままセシリアの肩に手を回して抱き寄せてみせた。

「マ、ご主人様(マスター)?」

「愛してるよ、セシリア」

「なっ!?」

戸惑うセシリアに伝えた言葉に、ドリューシャが激昂した声を上げるけど、知ったこっちゃない。

「セシリアへの俺の気持ちに、嘘も恥じる気持ちも何一つない。だから、セシリアも堂々と俺を好きでいてくれよ。あんな屑に言われたくらいで、俺から離れないでくれ」

私のご主人様(マイ・マスター)・・」「貴様ぁっ!!」

セシリアの嬉しそうな声とドリューシャのブチギレた声が重なるけど、セシリアはそのまま俺に体を預けるように寄り添ってきてくれた。

「はい。私のご主人様(マイ・マスター)。私はご主人様(マスター)を愛しています。ずっと、愛しています」

「うん」

「・・・この俺をコケにしやがって・・いいだろう。その魔導生命体は今を以て廃棄「黙れよ。屑野郎」き、貴様・・また俺に向かって・・・この場で殺されたいか!!」

殺気を籠めた怒声を上げるドリューシャ。俺はそのドリューシャを、かつてない程の怒気が籠った目で睨み付ける。


その台詞を言いたいのは俺の方だ。俺が小さい頃には何回もセシリアをズタボロにしやがった。そして、今度はセシリアの心を一気にズタズタに傷付けた。


「死ぬより辛い目に合わせてやるよ」

「調子乗るなぁっ!!」

俺の口から、心の内にだけでは納まらなかった感情が溢れ落ちると、ドリューシャが殺気を籠めた拳を突き出してくる。

「《増強(エンハンスメント)》」「ガハッ!?」

魔法を発動させると同時に、拳の軌道上からセシリアを外すようにセシリアごと体の向きを逸らして、その動きのままにドリューシャの腹に拳を突き立てた。鈍い音が響いて、ドリューシャが吐血して、そのまま床に崩れ落ちる。

「ゴホッブフッ」

そのまま咳き込んで血を吐くドリューシャの顔を踏み付けてやる。俺を庇ったいつかのセシリアがされたように。

「'無様に惨めに命乞いをしてみせろ。無能の出来損ないが'だったよなぁ?」

「ギギッ。ぎ、ぎざま゛ぁ、っ」

「[前兆の子]の一撃で、血を吐いて無様に踏み付けられる。さて、そんな()()()()()()()に、フォルティス家は居場所を残しておいてくれるかねぇ?」

「あ゛っ、有りっ、得ないっ、こん、なっ!!」

「まぁ、安心しろ。()()()()()()()()も、俺の話なんか聞こうともしないだろうさ。こんな話をしたって、誰も信じやしない。でもな」

「グギィッ!?」

ドリューシャの顔を踏み付ける足に力を籠めると、ドリューシャから苦悶の呻き声が洩れた。

「俺が戦場に行くまでの間、お前は俺の視界に入る度にこうなる。血反吐を吐いてのたうち回り、[前兆の子]にプライドも自信も自尊心も、何もかもを踏み付けられて、踏みにじられて、踏み潰されるんだ。最後には、お前は俺の姿を見る度に、怯えて逃げ惑って許しを乞うことになる」

「ふっ、ふざけっイギィッ!?」

「何年間も俺のセシリアを痛め付けやがった分を、ほんの十何日かで済ませてやろうってんだ。感謝しろ」

喚こうとするドリューシャに、さらに踏み付ける足に力を籠めて黙らせて、そう言い捨てた。


認められない現実を無理矢理に認めさせてやる。プライドも自尊心も何もかもをへし折って、無力感と惨めさの中で残りの魔生を進ませてやる。魔族にとっては、何よりの屈辱だろ? 自分より弱い筈の奴に()()()()()()ってのは。


ご主人様(マスター)・・・ご主人様(マスター)は、私の為に怒って、くれている、のですか・・・?」

「セシリアを傷付けられたことが許せない。セシリアを傷付ける奴から守れなかった自分が許せない。だからってだけだよ」

「・・・はい。私のご主人様(マイ・マスター)

そう言って、俺の胸に頬を寄せるセシリア。


あ~、いや、その、何? ブチギレちまって、戦場に出る前の最後の計画が突発的に発進しただけと言うか、そんなに喜ばれることじゃないと言うか・・・えぇいっ!! 照れ臭い!!


「ほ、ほら。カサリナ達が待ってるだろうし、そろそろ行こう?」

「はい。私のご主人様(マイ・マスター)

そう言って、改めて俺の腕に腕を絡めてから、頬にキスをしてくるセシリア。

「愛しています。私のご主人様(マイ・マスター)



ぬぅぁぁぁぁぁぁっ!? 照れ臭さが限界突破するから!! 笑顔のセシリアが見たいとは思ってたけど、破壊力が想像を遥かに上回ってますからぁぁぁぁぁっ!!







セシリアの想像以上の可愛さに照れて悶えながらも、カサリナ達との待ち合わせ場所に到着。そこには、何故か待ち合わせたつもりのない奴もいた。


・・・なんでこいつがいるんだ? カサリナは警戒しまくってるけど、喧嘩を吹っ掛けてる様子もないし・・


「あっ、ケ~イ~っ!!セシリア~っ!!」

俺達の姿を見つけたカサリナが大声で呼び掛けてきて、ルーシアと共に駆け寄ってきた。

「悪い。待たせた」

そう言うと、カサリナとルーシアの視線が腕を組んでるセシリアとの接触点に固定された。


をぅ・・早速キタか・・・


「・・・セシリアさん、なんだか物凄く幸せそう・・・」

「あたしにもハッキリ分かるくらい笑顔、よね・・」

「ケイクイル フォルティス!! ようやく姿を見せたな!!」

カサリナ達の瞳からハイライトが消えかけた瞬間に、少し離れた所で腕組をしながらジェイスが吠えた。


ナイスだ!! ジェイス!! いつもは鬱陶しいだけだけど、今回だけはマジで助かった!! 一時凌ぎにしかならないけど!!


「今日こそは貴様を打ち倒してくれる!!」

「いやまぁ、いつも言ってることだけどさ。勝てる自信付けてからこいっての。まぁ、その機会ももうすぐなくなるんだけど」

「何? どういう意味だ?」

「戦場送りになるんだよ。俺も」

「なっ!?」

「仮にお前が戦場に来たとしても、そこでまで戦り合うワケにもいかないだろうし、[前兆の子]である俺はそれなり以上に過酷な戦地に送られるだろうから、エリートのお前とはそもそも鉢合わせること自体が無いだろ。それに、俺達は絶対に死なないけど、休暇をもらって帰ってくるってのも難しいだろうしなぁ。[前兆の子]なんぞ、使い潰すのが普通だろ?」

「ぐっ、なっ、ならばっ!! 今日ここで貴様を打ち倒せば済む話だ!!」

「兄様? 今はケイくんと私達が()()()()()をするんです。引っ込んでてください」

「・・・は?」

堂々と宣言するジェイスに、横から絶対零度の声音が響いた。不意打ちの台詞に、ジェイスは意味が理解できなかったらしく、間の抜けた声を洩らした。


ル、ルーシアが喧嘩腰になってるぞ・・・しかも、トラウマな相手の筈のジェイスに・・・マジか、これ。俺の生命の危機が最大限なんじゃないのか?


「・・・・貴様、今何と言った?」

「引っ込んでてくださいと言いました。邪魔です」

冷淡な口調のルーシアに、ピキピキとジェイスの額に青筋が増えていく。


いや、キレてる場合じゃないと思うぞ? 逃げろ、ジェイス。俺にすら勝てないお前が、ルーシアの相手になるワケないんだから。っつーか、基本的に戦いたがらないルーシアがこうなってるって異変に気付け。


「調子に乗るな!! この出来ゾッ!?」

ジェイスが口走り掛けた単語に、反射的に間合いを詰めた俺の拳が、ジェイスの腹を打ちつけた。無意識の内に《増強(エンハンスメント)》を発動させて。

「グ・・・」

ヨロヨロと後退りして、そのまま膝から崩れ落ちるジェイス。

「なぁ、ジェイス? 昔に言ったよな? ルーシアに2度と'出来損ない'なんて言うなって」

脂汗を掻きながら、膝を着いたまま俺を睨み上げてくるジェイス。それには構わずに、俺は言葉を続ける。

「どうにも忘れてるらしいな? もう1度、ルーシアに許しを乞うか? '地面に頭を擦りつけて許しを乞ってみろ。惨めに無様に泣き叫んでみろ'だったよな?」

「ケイくん・・・」

ルーシアが俺の隣に来て、俺の手を握ってくる。

「ありがとうございます。でも、私ももう、言われっ放しで泣いてるだけの弱虫じゃなくなってるんですよ?」

「知ってるよ。今じゃルーシアの方が圧倒的に強くなってるんだし。でも、それで腹が立たないかって言われたら、別問題だ」

「ふふ。はい。凄く懐かしいですね。初めて一緒に遊んだ日も、こうしてケイくんが庇ってくれたんです」

嬉しそうにそう言うルーシア。


よく覚えてらっしゃることで。でも、そんなに嬉しそうに言わないでくれる? メチャメチャ照れ臭いです。


「兄様はもうこれで十分です。上辺だけの言葉を引き出しても、兄様は変わりませんし、正直、もうどうでもいいので」

「ぜ、[前兆の子]がっ、どうでも、いいっだと!? この、俺を!!」

ルーシアの言葉に激昂して、フラフラと立ち上がるジェイス。

「あ、でも、1つだけ感謝はしてるんですよ? 兄様達が私を虐めてくれていたから、私はケイくんと出会えたんです。家にいると、いつ殴られて蹴られて酷い目に合わされるか分からなくて、だから、怖くて逃げ出したら、そこでケイくんに会えたんですから」

ジェイスの怒気を欠片も気にした様子もなく、にっこりと笑ってそう言うルーシア。


ホントに強くなったなぁ。


「ふざ、げるなぁっ!!」

ルーシアに殴り掛かるジェイスだけど、瞬時に魔法を発動させたルーシアはアッサリとその拳を受け流して出足を払い、ゆっくりと地面にジェイスの体を落とした。

「な・・」

「言いましたよね? もう言われっ放しで泣いてるだけの弱虫な私じゃないんです。これからは、ケイくんの傍で、ケイくんを助けられる私になりたいんです。だから、もうあなたの相手をケイくんに任せたりしません。私が受けて立ちます」

「で、出来損な、いの[前兆の、子]風情が・・・舐め、るな、っ!!」

再び立ち上がってルーシアに殴り掛かるジェイス。



それから、延々とジェイスはルーシアに転がされ続けた。あくまでも、優しく丁寧に、体を痛めないように。



最終的に、激しく息を切らせながら呆然としたジェイスは立ち上がれなくなり、ルーシアの'おしまい'宣言で打ち切られるようにして、妹から兄への初めての反抗は終わりを告げた。

倒れ伏すジェイスを残して、俺達はその場を離れることにして、歩き始める。

「痛め付けないように倒してたのは、俺の最初の一撃があったからか?」

「はい。フェアじゃないかなと思ったので。兄様はしつこくケイくんに喧嘩を吹っ掛けてきてましたけど、1度も卑怯な手段は使わずに正面から堂々と挑んでましたから、私もそこだけは見習おうかなって」

照れたように言うルーシアの頭を撫でてやる。


うん、マジで強くなった。トラウマになっててもおかしくないのに、あんなに堂々と、しかも、認める部分は認められてる。ちゃんと向かい合えてる証拠だよな。


そんな風に感慨に耽っていたら、両の腕にそれぞれ腕が絡みついてきた。何故か、'ガシィッ'という擬音を伴って。


あ、いつの間にか目のハイライトが・・・


「それはそうとして、ケイくぅん?」

「ルーシアが強くなったのを確認できて喜んでるトコ悪いんだけどぉ・・お話し、しなきゃよねぇ?」

絶対零度の声音に、俺の全身からブワッと冷たい汗が噴き出してきた。


し、しまった・・()()()の話から完全に意識が逸れてた・・・いやでも、この流れでそう来るか!? 恋愛ってそういうモン!? これは意識を逸らした俺が悪いのか!? 分かんねぇぇぇぇぇっ!! 誰でもいいから教えてぷりぃぃぃぃぃずっ!!

カサリナとルーシアへの主人公が持つ恋愛感情が薄いワケでは決してありません。作中で主人公が語っていた通り、自分が中心となる恋愛に縁が無かった為に意識がそちらに向きにくいだけなのです。

カサリナとルーシアに捕らえられた主人公の運命や如何に!?(笑)



では、これにて第二章 第十部を閉幕とさせていただきます。


お付き合いいただいた皆様に感謝を。よろしければ、次回もまたお付き合いくださいませ。

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