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異世界クラスのアサシン・クリード~ただし、引退しました~  作者: 瑠璃色唐辛子
異世界クラス、新参の騎士編
106/179

95時間目 「道徳~思い立ったら吉日が、正解とは限らない~」3

2016年7月21日初投稿。


なんとか、改稿作業が一段落付きましたので、続編を投稿。

とはいっても、改稿作業の段階で余ってしまった、以前投稿したことのある話に新規プラスで書き込んだものをアップするだけとなってしまいました。


また、私生活が忙しくなっているので、次回更新は来週の火曜日以降になりそうです。

ちょくちょく、改稿はしておきますが、有言実行出来るかどうかは不透明です。


95話目です。

※改稿作業の結果、話数が大幅に短縮されました。

ご了承くださいませ。


***



 最初に感じたのは、懐かしい気配。

 次に感じたのは、とても心地よくて清々しい香り。


 あたい(・・・)同じ(・・)でありながら、まだまだ兆候だけ(・・・・)染まり切っていない(・・・・・・・・・)匂い。


 彼が入って来た時から、分かっていた。

 あたいと、同じ(・・)人間。


 人間ではない(・・・・・・)けど、『アイツ等(・・・・)』じゃない。

 半端(・・)な、龍族の匂いだ。


 だから、我慢が出来なくて、話しかけてしまった。


 話していた男か女かも分からない魔族も、店主も邪魔だと思った。

 外で騒いでいた連中も、騒がれたままではおちおち話も出来ないから、邪魔だと思って黙らせた。


 あたいの覇気で。


「………ねぇ、聞いてる?」


 驚いた様子で、あたいを振り返った女か男かも分からない『異端の堕龍(・・・・・)』。

 話している様子を聞くに、男の子のようだ。


 短い黒髪に、女にしか思えない程整った容姿。

 包帯で片目が隠れちゃってるけど、素直に勿体無いと思った。

 染み一つないんじゃないかと疑わしい白肌に、目の色は夜の海のような群青。


 けど、あたいと目が合った瞬間、銀色に変わった。


 間違いない(・・・・・)

 この子は、あたいと同じだ。


「………あ、アンタは…ッ」

「あたい、アンナっての。

 アンタは、なんて名前なんだい?」

「………お、オレは、銀次だ。………銀次・黒鋼」


 ふむ、名前はギンジ。

 変な語呂の名前だけど、なんとなく彼には似合っている気がする。


 近くで見てみると、この大陸で暮らしている人種のどれとも違う顔立ちをしている。

 ほとんどの種族を見たことが(・・・・・)あるけど(・・・・)、こんな顔立ちの人種は初めて見ると思うから。


 ますます、興味が沸いた。


 それに、驚いていながらも、この子は逃げ出そうとしない。


 普通の人間なら、まず逃げ出すぐらいの覇気を浴びながら、平然とあたいを見ている。

 しかも、さっきこの赤い髪の魔族とのやり取りを聞けば、もしかしたら覇気自体に気付いていなかった可能性が高い。


 店主も、この赤い髪の魔族も、数秒で気絶するような覇気を浴びて、意識を保っている。

 この子は、逸材だ。

 きっと、適合も(・・・)している(・・・・)だろうし、そのうち『昇華(・・)もするんだろう(・・・・・・・)

 

 そうなれば、この子も、あたいと(・・・・)同じになる(・・・・・)

 『天龍族』に、世界の果てまで追い回される(・・・・・・)羽目になる(・・・・・)


 そうなる前に、同胞として(・・・・・)先達として(・・・・・)教えてあげなきゃ。

 こんな寂しい余生は、無いのだから。


「………アンタ、気を付けなよ。

 『天龍族』の血を浴びたって事は、アンタもそのうち『昇華』することになる」

「………なっ、」


 いきなり、何を言い出すのか。

 なんて、顔に書いてあるように見えて、苦笑を零してしまう。


 可愛い顔だ。

 それでいて、可哀想だ。


「『天龍族』は、歴代の『龍王』が、同胞の死を読み取れる(・・・・・・・・・・)

 アンタがいつ『天龍族』を殺したのかは分からないけど、『龍王』が生まれればすぐに分かっちゃうんだ」

「………ど、どういうことだ…!

 い、いや、それよりもアンタ、一体何者なんだ…!?」


 頭は良く回る方ではないのかな?

 人の注意は、ちゃんと聞くように躾けられなかったのかもしれないね。


 だけど、その瞳には焦りと共に、理性が同居していた。

 そうか。

 この子(ギンジ)は、意図的にこの話題を逸らしたい(・・・・・)のか。


 どうやら、自分の状況が分かっていないお馬鹿さんな訳では無いらしい。

 分かっているけど、きっと拒否をしたいのだろう。

 考えたくないのだろう。


 自分の存在が、『戦争の鍵』となってしまう事を。


 可哀想な子。

 でも、可愛い同胞だ。


 大目に見てあげよう。


 にっこりと、微笑んだ。

 瞬間、彼の気配から警戒が色濃くなった。


 失敬なんだから。


「あたいは、あたい。アンナだよ。

 ただの通りすがりの旅人で、『天龍族』にちょっとだけ詳しいだけだ」


 そう言って、またにっこりと笑ってやった。

 警戒を露わにしていたギンジの表情が、呆然としたものに変わった。


 やっぱり、そういう顔をしていると可愛いね。

 男の子にしておくのは、本当に勿体無い。

 だけど、彼はきっとそのアンバランスでありながらも、恵まれた容姿のおかげで得をしているのだろう。


 まるで、女神ソフィア(・・・・・・)瓜二つ(・・・)だからね。

 髪の色が、もっと明るければ(・・・・・・・・)、きっともっと騒がれていたに違いない。


 まぁ、可哀想だから言わないけど。


 そう思った瞬間だった。


「………おっと」

「………いきなり、なんなんだよ、アンタ?」


 ちりり、とこめかみに何かが当たった。

 感じた鋭くも鈍い痛みとは別に、目の端に煌いた銀色の輝き。


「………なんで、オレの『体質』を知ってるんだよ…!」


 地を這うような声音と、剣呑な視線が向けられている。

 そんなギンジの声に、不覚にもあたいですら、ぞくりと背筋が粟立った。


 ああ、刃物か。

 あたいでも、取り出したのを気付けなかったなんて、やるね。


 しかも、急所に向けてくるなんて、なんて恩知らず。

 折角、注意してあげただけなのに。


 ふと、視線を上げると彼の目と視線がぶつかった。

 だけど、降り注ぐ針のような剣呑な色と裏腹に、視線の奥底にあるのは懇願のような色だった。


 怯え?

 それとも、これは何かに縋っているのかな?


 期待とは違うけど、きっとこの子も色々戸惑っていたのだろう。


 『体質』と言ったように、きっと自分の体に怒っている変化には気付いている。

 でも、きっと答えが分かっても、どうすればいいのか分からないんだ。


 その答えが、今目の前にあるかもしれない。

 そこまで考えて、ようやく分かった。


 ああ、そっか。

 この子(ギンジ)は、焦っているんだ。


 だから、あたいからいっぱい情報を手に入れたくて、こんな事しているんだね。


「………本当に、可哀想な子」

「………ッ、」


 噛み締められた歯がぎしり、と軋む。

 そこから漏れた、ちょっとだけお酒臭い息が引き攣っている。


 驚いたの?

 本当に、可愛いんだから。


 仕方ないから、大サービス。

 本当はこれ、誰にも教えちゃいけないって、言われてた(・・・・・)けど、


「答えは、『天竜宮』にあるよ。

 ………そこにある『石板(・・)』の『守り手(・・・)』なら、何でも教えてくれる」


 にっこりと、先程と同じように笑ってあげる。

 笑いながら、聞き取れるか聞き取れないかの声音で、呟くようにヒントをあげる。


 この子は、きっと賢い。

 だから、答えにはすぐに辿り着けるだろう。


「………ッ、『石板』だと…!?」


 しかし、その後の反応は、あたいの予想外のものだった。


 眼の色を変えたギンジ。

 ………元々の色が変わっていたって意味じゃないよ?


 あたしのこめかみに押し付けていたナイフを離して、代わりに肩を掴んできた。


 あ、今気づいた。

 この子、左腕が動いてないや。


 こんな症状は、『昇華(・・)には(・・)含まれて(・・・・)いなかった筈(・・・・・・)だけどな。


「『女神の石板』だな!?

 『天竜宮』に行けば、『女神の石板』があるんだな…!?」

「………う、うん。『石板』って言えば、それしか無いでしょ?」


 慌てるように、それでいて確認をしっかりとしていくギンジ。

 その眼には、はっきりと縋るような色が現れていたから、驚きと戸惑いがあったけども。


 しかも、それ以上に驚いたもの。


「あれ?………アンタ、『守り手』の加護を受けてるの?」


 肩に触れた手から感じた、懐かしい気配。


 彼を見た時に感じた気配とはまた違う、微かに感じられる魔力の残骸。

 この魔力の質は、間違いない。


 『石板』の『守り手』()の、あの途方もない膨大な魔力だ。


 びくり、とギンジの手が震えた。

 これも、図星だったのか。


 あたいの肩を一瞬離してしまった彼は、もう一度ナイフをこめかみに向けようとしていた。


 けど、


『………時間切れだ』


 その前に、あたいは彼の後ろに(・・・)回り込んだ(・・・・・)

 

 ぼそり、と聞こえた声。

 それは、あたいのものでも、目の前のギンジの物でもない。


 そもそも、言語が違う。

 あたいと何千年も一緒(・・・・・・)にいてくれている相棒の、言葉だ。


『………話し過ぎだ、アンナ』

『ごめんよ、『周奉しゅうほう』。

 ついつい、ギンジが可愛すぎて、口が閉じてくれなかったんだ』

「………ッ」


 回り込まれた、と気付いたギンジが振り返る。


 だけど、それよりも更に早く、あたいは店を出ていた。

 扉の開閉音と、カウベルの音が後ろ背に聞こえた。


 店を出た瞬間、何かをたくさん(・・・・・・・)踏みつけた(・・・・・)ような気がするけども、今はあの店から離れる事を優先した。

 覇気で気絶させた、騒いでいた連中だったのかもね。

 悪いことをしたとは思うけど、悪いとは思わないよ。


 あの店からなるべく早く離れるべきだと思っていた。

 どちらかと言うと、彼から離れるべきだと思った。


 これ以上は、きっと彼の頭を混乱させてしまうだけだろう。

 今でも既に十分こんがらがってしまっていると予想は出来るけど、それでもあまり何でもかんでも教えて良いものではない。


 もし、彼とのえにしが、繋がっているのであれば。

 また、あたい達は巡り合うだろうから、それまでの宿題としても良いと思う。


 早く、気付いてギンジ。

 答えは、もう君の中にあるんだから。


 可哀想なギンジ。

 でも、きっと『守り手』の加護を受けられた君なら、きっと頑張れると思う。

 賢い君なら、きっと気付けるよ。


 だから、それまで、頑張って生きてね。

 きっと、追手はすぐそこまで、迫っていると思うから。


 さっきの相棒しゅうほうからの言葉は、あたい達の会話についてじゃない。

 あたい達が、捕捉されたから(・・・・・・・)だ。

 あたいの事を、何千年(・・・)と追いまわし続けている、蛇よりもしつこい連中(・・)から。


「『天龍族(アイツ等)』も、もうちょっと融通が利けば良いのにね………」


 そう呟いてから、空を蹴った(・・・・・)

 眼下に臨んだ(・・・・・・)ダドルアード王国は、もう昔の小国の面影なんて残していない、金と石で塗り固められた汚らしい街だった。


 そんな街でも、ギンジという同胞が生きていると分かっただけで、少しだけ好きになれた。


 願わくば、彼とまた生きて再会出来れば良いな。

 この寂しく、過酷な余生の中で、密かな楽しみにしておこう。



***



 なんだったのか。

 なんだったのだろうか、あの女は。


 『アンナ』と名乗った、あのフードを被った女は、言いたいことを言うだけ言って消えた。


 オレが、目で追えなかった(・・・・・・・・)なんて、久しぶりだ。

 ナイフを突き付けることは簡単出来たのに、最後に見せたあの動きは全く見えなかった。


 力量は、確実にオレより上だろう。

 そして、年齢も経験も知識も、オレを上回っている。


 何者なのか、さっぱり分からない。


 そもそも、あの女はどういうつもりで、オレに接触して来たのだろうか。

 名前は分かっても、素性や目的が完全に不明な上、意味深な事ばかりを言い残して消えた所為で頭がごっちゃごちゃだ。


 何故、あの女は、見ず知らずで初対面の、オレの体質に気付いたのだろうか。

 もしかして、最初の段階で反応していた覇気だろうか。

 やはり、『天龍族』に似たこの覇気は、使いどころを間違えると余計な面倒が起こりそうだ。


 しかも、何故あんなにも、オレにヒントをくれたのだろうか。

 彼女の言葉に、意味はあるのか?


 『異端の堕龍』、『龍王』、『石板』の『守り手』。

 新しく出て来たワードの数々に、頭がこんがらがりそうになるが、少しだけ分かったことはある。


 彼女は、オレ()と言っていた。

 『異端の堕龍』なのか?やら、『天龍族』の血を浴びたのか?やらと聞かれた時、そう言っていた。


 つまり、彼女も同じなのかもしれない。

 銀色の眼と、あの目の前にして(・・・・・・)|やっと気付く事が出来た《・・・・・・・・・・・》覇気が、良い証拠だ。


 オレと同じで、彼女も『天龍族』の血を浴びている。

 そして、彼女言っていた『異端の堕龍』とやらが、オレ達の総称になるのだろう。


 ああ、確かに異端だよな。

 生まれは違うのに、勝手に『天龍族』の仲間入りをしてしまったんだから。

 だから、『堕ちた龍』なのだろう。


 嫌な総称だ。

 ぴったりだと思う反面、泣きたくなってしまった。


 だが、泣いている暇はない。

 彼女のおかげで、少しだけ判明した事実がある。


 『天龍族』の居城『天竜宮』に、『女神の石板』があることが判明した。

 なんにせよ、不確定だった情報が、半信半疑とはいえ他人から聞けたのは僥倖。


 『石板』の『守り手』というのは、おそらく墓守はかもりよろしく『石板』を媒体に封印に使われている、眷属達の事を言っているのだろう。


 それは、オレが彼女に触れた時、確認出来た。

 加護、と聞けばすぐに分かる。

 オレの腹に巣食っている『闇』の精霊(アグラヴェイン)『火』の精霊(サラマンドラ)の事だ。


 彼等も元々は、『石板』の安置された『墓』の封印に、使われていたのだ。

 おそらく、間違いはないだろう。


 ただ、それ以外の言葉に関しては、残念ながら不確定情報が多い。

 鵜呑みにするには、まだまだ彼女を信用し切れる訳もなく、かといって戯言と流せる訳でも無く。


 再三のフラストレーションに、重い溜息が漏れた。


 しかも、最後に聞こえた(・・・・)、あの声はなんだろう?

 何語なのかもさっぱりだったのに、なぜかはっきりと聞こえたあの声は?


 アンナのものでは無かった。

 勿論、オレのものでは無かったし、店の中にいた誰のものでもなかった。

 そもそも、気絶しているのだから、店の中の人間?が声を発するわけも無いのだから。


 気になった。

 気がかりだ。


 だって、あの言葉は『どこか(・・・)で聞いた(・・・・)気がする(・・・・)のだ

 それが、どこだったのかは、思い出せないまでも。


「(………疲れたな。………色々と、)」


 久しぶりに、こんなにも辟易とさせられてしまった。


 突然降って湧いたアクシデントに、溜息しか出て来ない。


 あんな各上な相手が、まだこの世界にはごろごろと転がっているのか。

 なまじ、最近は各上相手でも少しは通用すると油断してしまっていたのも相俟って、もはや脱力だ。


 力無く、カウンターチェストへと座り込んだ。

 途端、冷や汗がどっと噴き出した。


 ついでに、疲れもあったのか、意識が途切れてしまうんじゃないかと思う程に視界が揺れた気がした。


 そんな中、


「………ん、ぅ」

「………一体、何が、」


 隣のローガンが、目を覚ましたようだ。

 しかも、消えたと思っていた店主も、カウンターの中からふらふらと起き上がった。


 気絶して床に倒れていたのか。


「………何が、あった?

 お前、一体、何を…!」

「言っておくが、オレじゃない。

 オレだって覇気についてはオンオフの切り替え、ちゃんと出来るようにはなった」


 まぁ、練習した訳では無いけども。

 それでも、意図的に発する事も出来るし、解くことも出来る。

 コツさえ分かれば、気配を消すのと同じだから、無闇に暴走したりはしない筈。


 そう言っても、彼女の中では覇気を発せられるのがオレだけで。

 胡乱げな視線を向けられつつも、もはや氷だけになったグラスを煽った。


「………奥の席にいた客、どうやら『天龍族』の関係者だったらしい」

「な、なんだと!?」

「まぁ、『天龍族』に直接関わりがあるようには見えなかったが、色々とオレの体質についてアドバイスをくれたよ」


 分からないことだらけではあるが、それでもアドバイスだった気がする。

 今にして思えば、注意喚起も含まれていた。


 彼女の瞳は、始終穏やかで、それでいてどこか憐れんでいるようにも見えた。

 憐憫を、オレに向けていた。


 きっと、オレとの共通点である『異端の堕龍』とやらの末路を知っているからだろうか。

 そう考えると、途端に彼女には親近感が沸くな。

 今から追いかけて、協力を要請した方が良いのだろうか?


 ………いや、無理だろう。

 もう、気配が遠すぎて、方角すら定かではない。


 なんつう、移動速度だ。


「………だ、大丈夫だったのか?」

「大丈夫、と言えば大丈夫だったな。

 けど、もし襲い掛かられていたら、多分死んでた…」


 はぁ、と溜息を零す。

 生きている事は僥倖だが、今はなぜか素直に喜べない。


 隣のローガンも、オレのそんな溜息に察しがついたらしく、恐々とした様子で体を緊張させていた。


 空気が、重くなった。


 そんな時だ。


「奥の席にいた客は、アンタの知り合いか?」

「え?」


 カウンターの中から、おずおずと言った様子で問いかけて来た店主。

 先程落として割ってしまったグラスを片手に、神妙な表情で(※虎か豹らしき顔なので、どうにも分からんが)奥の席を指し示した彼。


 そこには、飲みかけのグラスだけが残されている。

 なにか不都合があったのだろうか、と隣のローガンともども緊張してしまったが、


「勘定が終わってないんだが、」

「………ああ、そう」


 緊張は、一気に霧散した。


 思わず、2人揃って脱力してしまった。


 あの女、飲み逃げしやがった。



***



 結局、勘定はオレが済ませた。

 何が?って、あの意味不明な女が飲み逃げした分も含めて、オレ達が飲んだ分だ。


 意外にも、ローガンはそれほど飲んでいなかった。

 むしろ、後から来た筈のオレの方が、倍以上飲んでいたので吃驚したが。


 おかげで、オレもちょっとほろ酔い気味だ。

 頭の疲労がマックスな所為で、グロッキー状態一歩手前だが。


 ちなみに、あの女もそれほど飲んでいなかった。

 しかも、果実酒だけしか飲んでいなかったので、地味にお子ちゃま舌だったのね、とほっこりしたのは余談としておく。


 店の外に出た時、外は既に真っ暗だった。

 街灯も無いし、入り組んだ路地のスラム街は、夜目が利くオレでも先が見通せなかった。


 だが、人の気配はしている。

 それはすぐ近くにも、足下にもあって、どうすればいいのか判断に迷う。


 慣れ親しんだ気配へと視線を向けると、詠唱が聞こえた。

 敵意は無かったし、慣れ親しんだ声でもあったのでそのままにさせておくと、ぽう、とライトのような灯りが、店の前の一角を照らし出した。


「大丈夫だったのか?」


 そう言って、ゲイルは自棄に疲れた顔で、店の壁に座り込んで寄りかかっていた。

 太ももには、気絶しているだろう間宮の頭が乗せられている。


 ………むしろ、お前達が大丈夫なのか?

 怪訝そうな顔をしていたのに気づいたゲイルが、苦笑を零した。


「無法者たちの撃退自体は、問題は無かったんだ」


 そう言って、顎で指示されたのは足下だった。

 そこには、死屍累々とばかりに魔族達が転がっている。


 足下の気配は、これか。

 一番鋭敏に尖っていた気配の一人を踏んづけて、仲間と同じ夢の中へ旅立たせてやった。

 一人だけ、気絶したふりを決め込んでいたようだ。


 だが、ゲイルの言葉からして、魔族達の撃退自体は案外簡単だったようだ。

 現に、ゲイルも間宮も衣服に汚れは見当たらない。


 なのに、ゲイルは疲れた顔をしているし、間宮は気絶してしまっている。


 何があった?


「気付かなかったのか?

 お前が、中から凄い覇気を発した所為で、魔族達が気絶したのだぞ?」

「………違うし」


 ………濡れ衣だ。


 またしても、濡れ衣である。

 覇気を発したのはオレじゃない。


 店の中にいた、もう一人の同じ境遇の女だ。

 畜生、あの女、人に酒の勘定をさせたばかりか、濡れ衣まで着せやがって。


「違ったのか?………しかし、あんな覇気を発せられるのは、オレの知っている限りはお前だけだ。

 現に、間宮も気絶してしまっているし、オレも危なかったのだが、」

「違うし。オレじゃないし。さっき、店から人が出て来なかったか?」

「………いや?

 ただ、突風が吹いた(・・・・・・)かのように(・・・・・)勢いよく開きはしたが、誰も出て来なかったぞ?」

「………な、」


 なんだよ、それ。

 マジで、あの女どんだけの移動速度で、この界隈から逃げ出したんだよ。


 絶句した。

 思わず、オレはその場で立ち尽くしてしまう。


「………本当に違うのか?」

「………私とは別に、もう一人客がいたのだ。

 …私も気絶をしていて分からないが、目が覚めると消えていた……」


 ローガンが、絶句したままのオレのフォローをしてくれた。

 しかし、ゲイルの表情が解れることは無く、むしろ強張ったままだった。


 案の定、気付いたのだろう。

 自分達が、まったく目で追えない程の、力量のある人物だったと。


 そんな人物が、こんなところに紛れ込んでいたなんて、と。


 辟易とするのは、今日何度目だろうか。

 ついでに、何度目かも分からない溜息を吐き出して、


「なんなんだよ、今日は…!

 厄日か、コンチキショウ!!」

「Σ…ッ!?(ぴゃっ!!)」


 オレは、その場で怒鳴り声をあげた。

 心の底から、溜まりに溜まったフラストレーションを吐き出すようにして、吠えた。


 おかげで、間宮が飛び起きた。


 つくづく、今日は厄日である。

 オレにとっても、間宮にとっても、勿論朝から突き合わせてしまっているゲイルにとっても。


 先程の叫びと同様に、心の底から感じているごちゃまぜな感情に涙が出て来てしまった。

 恨み言を呟いても、仕方ない事だろう。


「………女難の相でも出てんのかよ」

「………。」

「………済まない」

「(………否定が出来ませんね)」


 ゲイルは黙り込み、ローガンは謝罪をし、間宮は首肯した。


 ラピスの事といい、ローガンの事といい、先程遭遇した同じ境遇であろう正体不明の女といい、今日は本当に女性に振り回される一日だった。


 おかげで、やっぱり涙が出て来た。

 そして、零れてしまった。


 最近、泣いてばっかり。

 ゲイルやローガンにあやされながら帰ったが、校舎に付いてからも泣き止めなかったのは、もうオレが限界だという証拠だったのかもしれない。


 ラピスの事もそうだし、ローガンの事もそう。

 結局、彼女達の本心は、分からないままだ。


 そして、新たに分かった事実と、分かりたくなかった末路。

 ついでに、地獄への招待状よろしく届いてしまった、『天龍族』、『白竜国』、『シュヴァルツ・ローラン』からの手紙。


 命日が迫っているだろう事も相俟って、その日は結局夕食の時間まで泣き止めなかった。

 ………とほほ。



***



 こうなったら、吐き散らかしてやる。


 閑話休題。


 泣いた。

 マジで。


 涙腺が決壊どころか、崩壊したのかと思う程泣いた。


 校舎に帰っても、オレは泣き止めなかった。

 ハンカチでは足りず、校舎に戻ってからはタオルに顔を埋めて泣いた。


 それは、もうおいおいと。


 心配した生徒達が半ばパニックになるぐらいには、ぼろくそに泣いてしまった。


 だって、色々と重なり過ぎたのだ。


 まずは、ラピスの事。

 一線を越えたは良い。

 しかし、その先がどうしても続かない、と思ってしまった。


 きっかけは、彼女の耳に光る、後生大事に身に付けられた遺品。

 亡き夫であるランフェジェットの名前の元となった、黒玉ジェットの事を知ってしまったから。


 おかげで、機嫌よく考えていた今後も、考えられなくなっていた。

 どうしても、その先には進めない、と感じてしまったのだ。

 だから、申し訳ないとは思っていても、オレはこれ以上前の進む事は出来ない無い。


 贈り物も出来ないままだ。

 指輪は重いと考えていたし、森子神族エルフの種族柄、親族以外の男女間で貴金属を渡すと、求愛行為になるなんて事をシャルから聞いた。


 そんなの、知らない。

 聞いた事も無かったと、今にして思い返す。

 何も、知らなかったのだ。


 と言う経緯もあって、そもそも贈り物自体を考えなくなったのである。

 全くもって、意気地なし、ここに極まれり。


 そして、ローガンの事。


 仲直り、というには、語弊があると思う。


 結局のところ、彼女がどんな想いを向けているのかは分かっても、本心が分かった訳では無かった。

 話も途中で、意味不明な『異端の堕龍』とかいうお仲間である飲み逃げ女(アンナ)に邪魔されてしまったのもある。


 飲みにでも連れ出して聞き出そうと思った。

 だが、2人きりになると堪え性の無いオレの事だ。


 ラピスの事を棚に置いて、彼女にころりと靡いてしまっては問題になる。

 禍根になる。

 だから、彼女の件にも、進展は望めなかった。


 更には、例の飲み逃げ女(アンナ)から聞き出せた、オレの存在や末路。


 『異端の堕龍』という総称を使われるオレは、あの飲み逃げ女(アンナ)と同類であり、予想していた通り、『天龍族』からは忌避される存在なのだという。


 しかも、彼女の口ぶりからすると、追い回される可能性が高い。

 彼女がそうだというのなら、間違いはないだろう。


 色々と、貴重なアドバイスは貰えたと思うが、正直に言うなら会いたくなかった。

 力量や格差を見せつけられて愕然としたのもあるし、知りたくなかった末路を聞かされた、もしくは見せられた気がして、どうにも尻の座りが悪かった。


 もう、会いたくない。

 けど、なんとなく会わないという選択肢が、今までの経験上無いんだろうな、と感じていた。

 もはや、辟易としてしまう。


 ………別に、散々呼称に使っている飲み逃げを根に持っている訳では無い。



***



 そんな問題ばかりの一日の中、更に舞い込んだ問題。


 それが、オレの元に届けられた手紙。

 しかも、一気に3通も重なった所為で、頭痛も三割増しである。


 ………成分の半分が優しさで出来た頭痛薬(バ○ァリン)を、切実に求む。


 まずは、『白竜国』からの手紙。

 この手紙は、後日と通達されていたタイムリミット、盟約の期日である3月の訪問日程について書かれていた。

 校舎に戻ってから、しっかりと確認したので間違いない。


 彼等、『白竜国』の国王であるオルフェウス、と以下護衛の騎士達が来るのは3月初旬。

 おそらく、オレ達としては冬休みの間となるだろう。

 なので、仕事で忙しいという言い訳は使えない上に、オレが出張ってまたしてもTHE・交渉人をしなくてはならないと予想されるので、もうどうしようもない。

 逃げ道は最初から無いのだ。

 当たって砕けよう。


 次に届いていた手紙は、食事会の誘い(しょうたいじょう)だった。


 それも、復讐か報復を目的としていると同義な、シュヴァルツ・ローランからの手紙だったのだ。


 日時は、2日後。

 つまり、今日。

 (※実はあれから、立ち直るまでに擁した時間が2日もあったのである。

 ずっと、泣いてたか吐いてたか、グロッキー状態で眠っていたのだ。………情けない)


 そして、その手紙にはこうも書かれていた。

 同行者は一切認めず、オレとゲイルの2人だけで来る事、と。


 もう、嫌な予感しかしない手紙である。

 同行者が駄目と言われても、いつも一緒な『闇』の精霊(アグラヴェイン)様頼りにしかならないだろうな。


 ………ただ、これには少々問題もある。


 オレは、多分大丈夫だと思う。

 アグラヴェインもいるし、いざとなればサラマンドラもいるからだ。


 しかし、問題はゲイル。

 コイツ、今日になってから、酷い顔色だったのである。


 なんぞ?と、思わず朝から吃驚した。

 オレの体調不良が回復したと思ったら、まさかのコイツが体調不良。

 風邪でもないのに、移してしまったか、と心配になってしまった。


 そして、案の定、ゲイルはぶっ倒れた。

 40度を超える高熱を出し(※保健室からソーラー電池の体温計かっぱらってあったから分かった)、ダイニングのソファーで休ませておいたが、何度もトイレに駆け込んでいた。


 これは、不味い。

 と、確認してみたのは、ゲイルの健康状態。


 『探索サーチ』を使って、彼の内部をくまなくチェックしてみたが、しかし、何の問題も発見されなかったのである。

 喉に炎症も起こしていないし、咳もしていなかった。

 やはり、風邪では無い。

 胃腸炎とか、胃潰瘍とか、それこそ盲腸とかも想定していたのに、何も無かった。


 しかし、滅茶苦茶吐いている。

 起き上がれないぐらいには、疲弊しているし顔色も悪い。


 そこで、気付いた。

 3日前の自分と同じ状態なのだ、と。


 所謂、心的外傷後ストレス障害だ。

 俗に、PTSDやトラウマと呼ばれるそれは、全体を大まかに分けると3つの症状が出る。


 精神的不安定による不安、不眠などの過覚醒症状。

 トラウマの原因になった障害、関連する事案に対しての回避傾向。

 事故・事件・犯罪の目撃体験等の一部や、全体に関わる追体験フラッシュバック


 おそらく、彼にとっては2つ目の、『トラウマの原因になった障害、関連する事物に対しての回避傾向』が、該当してしまっていると考えられた。


 何か、と言えばシュヴァルツ・ローランとの邂逅である。

 実の兄であるヴァルトは、ゲイルと最後に会った夜、それはもう凄まじい暴行を彼に与えた。


 実際、命が危なかったと思う。

 その暴行を受けた上で、更には薬を使われ心神喪失状態になっていた。


 仮に半分だけだったとしても、血の繋がった兄弟への所業とは思えない。

 トラウマになっていても、可笑しくない。

 そして、ゲイルは実際、トラウマになってしまっている。


 だからこそ、今日になってこんな症状が出てしまったのだろう。

 トイレの便座を抱え込んでいつもは頼もしい背中を丸めている彼を見て、やるせない気持ちになってしまったものだ。


 オレの為に、ここまでのトラウマを抱え込んでしまった。

 暴行を受けた理由は、オレの情報や秘密を秘匿する為だった筈だ。

 以前とは逆の立場になってみて、初めて彼の気持ちが分かった。


 これは、さぞかし、辛かろう。

 見ているだけと言うのもそうだが、気持ちが分かるからこそ。


 今日は無理をしないで、休んでいた方が良い。

 そう言っても、彼は首を縦に振らなかったが、とりあえずオリビアかラピスに協力を仰いで、彼は校舎に置いて行った方が良さそうだ。


 オレ一人、となるとまたそれもそれで怖いが………。

 まぁアグラヴェインには常時スタンバイ状態で頼むとしよう。


 ………魔力が保つかは知らない。

 考えない。



***



 そして、最後の手紙であるが、この手紙もまた地獄への招待状だった。

 

 『天龍族』からの正式な、招待状だ。

 こちらの手紙も、校舎に戻ってきてから確認したが、中にはわざわざ『覗き見』と『複写』を阻止する魔法陣が組み込まれていた。

 そんな魔法具も、巷にはびこっているらしい。


 通りで、最近発症したオレのファンタジーフィルターが反応していた訳だ。

 チカチカしていたのは、その魔力が内包されていたから。

 どういった技術なのかは、理解どころか用法すらも不明だな。


 ついでに、手紙を読んだ者の記憶に、直接(・・)刻み付けるなんて魔法陣も組み込まれていた所為で、オレは手紙を読み終わったと同時に、グロッキー状態だった。


 ………絶対記憶能力者(サヴァン症候群)である香神の気持ちが分かった瞬間だった。

 これは、きつい。


 なんてことがあっても、内容に関しては残念ながら忘れることは出来ない。

 出来れば、忘れていましたで押し通したくても、はっきりきっちりと頭に刻み込まれてしまったからには、素通りできなくなった訳だ。

 逃亡防止なのかよ、これ………。


 招待状によると、『天龍族』の居城『天竜宮』への訪問期日は3月末になりそう、との事だった。

 ご丁寧に、手紙をしたためてくれたのは、例によって例のごとく涼惇りょうとんだったようで、理由まできっちりと書いてくれていた。


 嫌な予感がしていたが、あながち間違いでは無かった。


 『天龍族』の王族に、『龍王』の生まれる兆しがあったのだという。

 『昇華』もしくは、それに準ずる兆候があれば、『天龍族』の王族の誰かが、次代の『龍王』として誕生。

 王として、即位する事になるのだとか。


 今まで、王位が空席だったのかという事にも驚いたが、どうやらその兆候が現れてから長くても1ヶ月は様子を見なくてはいけないらしい。

 なので、招待をしておきながら、訪問に時間が掛かってしまうけどゴメンね?的な事が書かれていた。


 ぶっちゃけ、オレとしては1ヶ月も猶予をくれて、ありがとうとしか思えなかった。

 まぁ、死刑執行の日取りが1ヶ月伸びた程度で、何が出来るのかと言われればそこまでだが、それでもだ。


 ………今後は、簡単に殺されない程度には、オレも鍛錬に力を入れよう。

 まぁ、ただの悪あがきとしか思えんだろうが。

 これまた、アグラヴェイン様の出番だと言っておくが。


 それなら、いっそオレのカンスト魔力総量を増やすことに、力を入れた方が良いのかもしれない。


 ………なんてことを考えていたら、


『お主は、我等が精霊の存在意義を、なんぞ思っておるのか』


 突然、昼間っから彼に対話(呼び出し)をされて、〆られたけども。


 だって、オレの短すぎる半生を、少しでも長くしたいんだもの!

 なんて言っても、彼のお怒りは収まらなかった。


 ………宿主オレが死んで困るのは彼も一緒だろうに、なんで怒るんだろう………?

 精霊にまで、オレ振られたの?


 閑話休題それはともかく

 

 例の手紙の中にあった、『龍王』という単語に、既に心当たりがある。

 あの飲み逃げ女(アンナ)が言っていた、詳細不明の単語の1つとして出て来たのだ。


 彼女曰く、歴代の『龍王』は、同胞の死を読み取れるのだと言う。

 どのような方法なのかは知らないものの、同胞の死と言うのは十中八九『天龍族』の仲間の死を、知るすべの事となるのだろう。


 とどのつまりは、『龍王』という存在が、オレの鬼門となり得るキーマンである。


 予期せずとはいえ、ましてやその姿も取っていなかったおかげで、知らず知らずのうちに『天龍族』を討伐してしまったオレ。

 きっと、その『天龍族』の記憶には、殺したオレの記憶も残っているのだろう。

 理性があったようには思えないが、それでも記憶と言うものは不思議なもので、案外残っていたりはするものだ。


 オレも、あの地獄の時期の最期に、心神喪失状態でありながら助けて貰った記憶が残っていた。

 その他の事は、一切覚えていなかったのに、生死の境目だっただろうあの時の事を色濃く覚えている。


 きっと、あの『天龍族』も、死の間際に憎きオレの顔を記憶したことだろう。


 『龍王』とやらがいつ生まれるのか。

 それは定かではない。

 だが、1ヶ月後には、生まれていると考えた方が無難だ。


 そして、その1ヶ月後が、オレの命日。

 ガンで余命1ヶ月を宣告されるのと、どちらがマシだろう。


 いやはや、もうオレには余生を楽しむ暇すらない。

 今後は、生徒達の為にも、スケジュールをかなり詰め込んでいかなければならないからだ。


 1ヶ月後には、もう彼等に会えないかもしれない。

 悲しませる結果になるだろう。


 そう考えると、オレの涙腺は結局崩壊したまま、収まってはくれなかった。



***

初登場アンナさん。

飲み逃げ女として、今後は定着しそうなキーマンともなり得る少女でした。


そして、色々重なり過ぎて、徐々に精神崩壊をしているアサシン・ティーチャー。

彼の平穏は、これからまだまだ先となるようです。


誤字脱字乱文等失礼致します。

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