カコノイタミ
3月14日。
うちの中学は、周りの学校より卒業式が遅い。
そのため他校の友達も出席できるのだ。
みんな小学校の時の友達や彼女を呼んでいた。
俺はもちろんユキを呼んだ!
ヒロにもあわせたかったかったからな•••
面倒な卒業証書授与式もおわって最後のHR。
俺は泣きとも笑いとも言えない顔をしていた。
部活の引退の時に死ぬほど泣いたから、もう涙なんて乾ききっていた。
それより早くユキに会いたくてたまらなかった。
最後の「さようなら」をして、軽く小走りで昇降口へ向かった。
そこには何人もの親たちと誰かの友達がわんさかいた。
その中にいるはずのユキの姿をひたすら探し回った。
なかなか見つからない•••
20分くらい探してもみつからない。
裏のほうに行ってみよう•••
あまりひと気の無い体育館裏のほうにいってみた。
さすがにこんなところにはいないだろ
と諦めていたが人影があったのだ!!
ようやくあのショートカットの女の子を遠くに見つけた!
「おーーーぃ!! ユキぃ•••」
しかしその隣には、あの見慣れた後ろ姿があった!
ヒロ????
走って駆け寄る俺に、2人はようやく俺に気付いた。
「なにしてんだよ? お前ら•••••」
「なにが?」
「なにが? じゃねーよ!
なんでお前らがこんなところにいるんだよ?」
「お前、まだわかんないのか」
2人の口調は、いままでとは全然違っていた。
まるで別人みたいに落ち着いていて、寒気がするほどだ。
「わからない? お前はなに言ってるんだよ?」
「あんたってー。 意外とバカなのね」
「ちげーよ ユキ 。 鈍感がぬけてるって」
「あっ そっかぁー キャハハハハハ」
「な? なに言ってんだよ•••••」
「いやー あんたはいいよーに使えたわ」
「使う?」
「そっ。 欲しいって言えばなんでも買ってくれたしね!」
「ホント、お前のデレデレぶりには毎日爆笑だったぁ」
「ヒロダメでしょ? よう君はユキのこと大好きなんだからー」
「あ、そうだったな 。 わりぃな? 」
「キャハハハハハハハ」
「どうだ? 楽しかっただろ? 半年も好きなやつに貢いでたんだぜ? しかも相手はまったくその気がないのにな?」
「キャハハハハハハハハハ かわいそー」
「お前が•••••••元彼だったのか。」
「あ?」
バキッ!!!!
俺は鼻から温かい液体が流れる感覚を味わった。
い、いてぇー・・・!?!?!?
初めて人の顔面を殴られた瞬間だった。
もう何がなんだかわからないよ・・・
「元 だと? 今もだわ ばーか。 まだ彼氏ぶってんじゃねーよクソが」
「いったそーー・・・」
「気にすんなや。」
俺はこの気持ちをどうすればいい?
だれにぶつければいい?
あ。。。。。。 いた。
「おい! 大丈夫か!?!!?」
「よぅタクヤ。 どうした?」
「どうしたって・・・ なんだその真っ赤な顔は?」
「あ? あぁ。 なんでもないよ。 顔洗ってくる。」
顔を洗っているとき、少し遠くから「きゃーーっ」という叫び声が聞こえた。
「なんか騒ぎがあったっぽいな?」
「なんだろうな。 まあいいだろ。 打ち上げいこうぜぇ」
「あれ? お前後日が良いとか言ってなかったか?」
「そんなこといったっけ? まあいこうぜ」
このとき俺は思ったのだ。
人を本気で愛することは一生できないんじゃないのか?
いや、愛することは出来ても 愛し合うことは出来ないんじゃないのか?
そうだきっと出来ない。 ましてや学生の俺達にそんなのは不可能だ。
所詮「愛」だの「恋」だのは暇つぶし。
さて、俺は高校ではどんな恋をしてやろうかな・・・ ふふふっ 楽しみだ。
この4ヶ月後、俺はアキラさんと出会う。