カコノコイ
今回は長めにがんばります笑
新入生たちがそろそろ所属する部活を決め始めていた。
「今年のバスケ部は強い」
そんな話を聞いて俺は複雑な気持ちになりつつも、あまり考えないようにしていた。
部室に入ると、もう一年たちが来ていた!
はりきる気持ちもわかるがな…
歓迎会での俺はかなり評判が良かったらしい。
部室に入ったら次々と声をかけられて、ぶっちゃけ面倒だ。
そそくさと部室をでて、階段を少しずつ上がっていく。
ガチャっ………!
「ふぅー………。」
「疲れてるな」
そんなゴミゴミした部室から抜け出して、
俺は今、屋上にきた。
さっきからいないと思ったら、この人ここに居たのかよ。
「当たり前っすよ~。なんすかアレ?みんなノリが若いですよ!」
「まぁまぁ…。一本どうだ?」
「………………いただきます。」
二人同時にライターを使う音がした。
言っておくぞ?
俺は決してヤンキーとか不良の類いじゃねぇ。
アキラさんもだ!
かっこつけとかではなく、単純に吸いたくて吸ってるだけだぞ!
勘違いすんなよ!?
2人の吐いた煙が空に消えていった。
「ふっ…」
「なんすか?」
「んっにゃ別に。お前も一年の時はアレくらい若かったぞ?
まぁお前の若いとあいつらはまた違うけどな」
「うるさいです……。
あの時はなんか気持ちがむしゃくしゃしてたんです…」
「もしあいつらがそうなったら、お前が話を聞いてやれ。今度はな」
「わかってますよ。アキラさんにしてもらったことを、全部してやりますよ!」
「やり過ぎるなよ。」
そういい残して、アキラさんは重いドアを開けて階段をゆっくり下りていった
あれから1年か…
あの時アキラさんに助けてもらわなかったら、俺はもっとひどくなっていただろう。
中学時代の俺はあまり人と(特に女子と)しゃべらない方だった。
必要以上に人としゃべることにあまり意味はないと思っていたのだ。
そんな俺をアイツは良いカモだと思っていたのだろう・・・。
そんな俺でも何でも話せるような親友はいた。
バスケ部で汗をかいている時はいつもより笑顔でいる時が多く、先輩も同級生もいっぱい話しかけてくれていたからな。
やっぱり運動はいいものだな・・・ なんてね
「お前。 好きなやついないのかよ?」
「おい、タクヤ・・・ ウチの中学にそんなかわいいやつが居るとは思えないんだけど」
「はははっ! お前は顔しかみてないのか!?」
「ヒロは相変わらず元気だけが取り柄だよな・・・」
「ホントだよ。俺もタクヤも部活後は疲れるもんだぞ?」
「お前らは年寄りか!? あっはははは」
「お前がガキなだけだ・・・ 夏も終わったのにまだ残暑が残るこんな毎日はイヤになるね。」
季節は9月。
夏休みも終わってまただるい学校が始まっている。
しかし俺はそんな毎日にも一つの楽しみがあった。
塾の夏合宿で知り合った違う中学の一人の女の子「ユキ」とのメールだ。
いかにも女の子らしい文面に、いつもニコニコしている俺だった。
このことはまだ、ヒロにしか言ってない。
家が近所のヒロと2人になるといつもこの話をふってくるのだ。
「お前。ユキとはどうなったんだよ?」
会ったこともないのにコイツはあの人を呼び捨てで呼んでいるのだ。
少しむかつくね・・・
「べつに普通にメールしているぞ?」
「遊んだりしないのかって聞いてるんだよ!」
「ばか! まだ付き合ってもねーのにそんなことできるかよ・・・」
「じゃあ。 今コクってみろよ?」
「・・・・・はあ!?!?!?!?」
「だってずっとメールしてるんだろ? もういいんじゃねーの?
お前だって、いつ言おうか迷ってたじゃねーか」
「そう・・・だけど・・さぁ・・・」
「ほれ。 男なら電話でズドーーーンとよ!」
「だってよ。 元彼がしつこいって言ってるんだぜ?」
「元彼?・・・・・」
すこし黙ってヒロは難しい顔をしている
こんなヒロの顔をみたのは初めてだ。 いつも無邪気みたいな顔のこいつからは、想像できない顔だった。
そして、
「関係ねーよ! お前が守ってやればいい話だろ?」
「まあ・・・な?」
「ほれ。イケイケ」
「わかっ・・・た。 じゃあ帰ったら電話してみる・・・。」
「さすがお前だ! 結果を楽しみにしているぞ!!」
結果は・・・ まあ、良かった。
すごく嬉しい。 ただそれだけが心のあふれていた。
俺とユキはもう、進路が決定していたから休日デートは当たり前だった!
毎週ずつ、楽しい思い出が1つ1つ増えていった。
年が明けてまた学校が始まるころには、俺の左手の薬指のはキラキラ光るリングがあった。
ヒロもすごく喜んでくれていた!
そんな幸せが中学最後の日に、一気のぶっ壊れた・・・