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作者の恋  作者: 望月宵花
1.日常
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(1)

この作品に興味を持っていただき、ありがとうございます。

初めての投稿なので、ドキドキです。

 森川香南は、放課後特有の騒がしい教室を後にしようと、席を立ち扉へ向かった。


「香南、もう帰る?」

香南が振り返ると、そこに立っているのは親友の浜田理絵だった。理絵は香南より背が少し高いので、自然と見上げるようになる。

「うん。図書館に寄ってから帰るわ」

「そっか。相変わらず、本好きやな」

うちには真似できへん、と続けて理絵は少し大げさに肩を竦めた。


「それにしても、ええなぁ。もう受験終わった人は。羨ましいわ……」

そんな理絵の様子に、香南は思わず苦笑した。

「ほとんどの人は、これから受験よ。理絵は城西大行くのが目標でしょ?」

「そうや。ずっと前からの目標やった」

「じゃ、頑張らなきゃ。今が踏ん張りどころよ。私も応援しているわ」

「……でも、たまにどうしょうもなく不安になる時があるんや」


 香南は思わず、理絵の顔を見返した。理絵は普段のように明るく笑っていたが、その目には隠しきれない不安の陰が窺えた。香南は長く理絵と一緒にいるが、彼女がこんなにも不安がっているところを見たのは久しぶりだった。


理絵は三人姉妹の一番上の姉であるためか、元々の性格か、昔から面倒見が良い。香南の相談にもよく乗ってくれ、頼りになる。兄弟のいない香南にとっては、幼馴染で親友であると同時に、姉のような存在だった。

そんな理絵でも不安になることがあるのだ。そして、こういう時に自分を頼ってくれることはとても嬉しい。

香南は微笑し、理絵の肩に手を置いた。


「大丈夫よ。理絵ならできるわ」

「そうやろか?」

「ええ。絶対大丈夫。私が保証する」

 香南は自分を指差し、きっぱりと言い切った。その顔には先程までの人を安心させるような微笑ではなく、子どもが悪戯を思いついた時のような、無邪気な笑みが浮かんでいた。

理絵は一瞬面食らったような顔をし、次の瞬間には弾けたように笑い出した。


「ありがとう、香南。なんかやる気出てきたわ。どっちにしても、入試まであともうちょいやし、後悔せんように頑張るわ」

 そう言って笑った理絵の顔は、いつもの笑顔だった。


ご拝読ありがとうございます。

ご感想・ご指摘等々、いただけましたら、大変嬉しいです。

よろしくお願いします。

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