アイスが溶ける頃に
暑い夏の日は
冷たいものが欲しくなりますよね。
そんな時、アイスクリームなんか最高じゃないですか?
皆さんは何味がお好きでしょうか。
溶けないうちにお食べください。
「暑い…暑い…アイス欲しい…」
私は帰り道を重いリュックを背負って歩いていた。
夏休み直前になっても面倒くさがって物を持ち帰らなかった私が悪いのは重々承知しているのだが…
リュックの紐は肩に食い込み、家から持ってきた紙袋にもファイルや資料集が大量に入っているからとっくに取っ手は外れて両腕で抱えて持っていた。
汗が首をつたう。
私は学校でいつも購買のパンを買っているのでお小遣いなら持って来ていた。近くに自販機でもあれば、ジュースを買える…
確か通学路に自販機があったはずだと思いながらヨロヨロと歩いていると、フワフワと目の前に緑の風船が飛んできた。
「風船?」
すると後ろから
声がした。
「あ!お姉ちゃん!風船取ってくれたの?!」
振り返るとそこには少女がいた。
格好がなんとも不思議で白いマントに青の狐面、真っ赤な蝶ネクタイとここではあまり見ないハロウィンの仮装のようだった。
「はい、これ」
格好には驚いたけれど手に取った風船を渡す。
少女は嬉しそうにピョンピョン跳ねた。
「ありがと〜!ねね、お姉ちゃん!近くにね、アイス屋さん来てるの!行かない?」
アイス…今私が最も必要としてる物だ。
「教えて…くれる?どこにあるのかな?」
私が聞くと少女は私の手提げを持って案内してくれた。1つ荷物が減っただけで随分と楽になる。
「ほら、あそこだよ!」
指を差した場所には見るからに涼し気な水色のアイスクリーム移動販売の車があった。
味はバニラ、チョコ、イチゴなど沢山種類がある。
「あの、すみません…アイス1ついただけますか…?」
声をかけると、中からは青髪で青の丸メガネ、黄色いシルクハットをしたピエロのメイクの男性店員が出て来た。少女と同じく何かの仮装なのだろうか?
「おや!またお客様を連れてきたね!偉いぞ〜」
私の荷物を持っていた少女は店員さんに頭を撫でられて嬉しそうにどこかへ駆けていった。
店員の笑顔はどこか作り物のように見えた。
見送った店員さんは私に向き直ると改めて挨拶をした。
「いらっしゃいませ!荷物はこちらへどうぞ!アイス1つだったね!味は何がいい?バニラ?それとも、チョコかな?」
私は荷物を渡しながら、じっくりとアイスを見る。全部美味しそうでどれにしようか悩んでしまう…
「よし、決めた!クッキーアンドクリームください!」
店員さんはニコリと笑い、カップにアイスをよそった。
「はい!溶けないうちにどうぞ!」
受け取ったアイスクリームを一口食べる。冷たくて甘い。クリームの濃厚さとクッキーのザクザク感が癖になる。
また一口、また一口と食べていくうちに私は思い出していた。
小さな時に両親と食べたアイスクリーム。あの時も今みたいに暑い日で、アイスの冷たさが最高だった…
楽しかった思い出が、次々と蘇り…消えていく。
まるで…アイスが溶けるように…
あれ、私は、何をしているんだっけ…
何をしにここにいるんだっけ…
そもそも…
ワタシは誰だっけ…
遠くで店員さんの声がした。
「お支払いありがとうございました。」
今日もどこかで、少女は子供の手を引いている。
いかがでしたか?
冷た〜いアイスクリームのお話は楽しんでいただけたでしょうか?
あなたの身の回りにも、アイス屋さんは来ているかも知れませんね。
また次のお話でお会いしましょう
帰り道は、お気をつけください。




