1-6 大体合ってる日本神話 -冥界-
——「司命と!」「司録の」
「「大体合ってる日本神話!」」
司命
「はい、始まりました。
記念すべき第一回!」
司録
「何ですか、これは」
司命
「冥界に疎い太野礼阿のために、
教育係として叩き込んでやろうという趣旨だよ。
ぼくたちの冠コーナーだから、
元気よく頼むぜ」
司録
「なるほど。
元気は保証できませんが、
事実に忠実にお伝えします。
何から解説すれば?」
司命
「そもそも冥界とは? 冥府とは?
というところじゃないか。
人間って滑稽だよなあ。
死んだらどうなるかも知らないまま
生き続けているのだから」
司録
「冥界は、死者が漏れなく訪れる場所です。
〝あの世〟とも呼ばれますね」
司命
「一日ざっと四千人のお客様だ。
予約は不要、キャンセルは不可」
司録
「その中核にある〝冥府〟が、
ぼくたちの職場兼住まいです。
三途の川を渡ると、たどり着きます」
司命
「外見は宮殿、機能は役所に近いな。
夢はないが、秩序はある。
食堂のメシはうまい」
司録
「死んだ人間は、
まず冥府の中の階段を、
ひたすらに上ります」
司命
「エレベーターはございません。
筋肉痛、待ったなしだ」
司録
「そして、死後三十五日目に
〝裁きの間〟へたどり着きます」
司命
「そこで待ち構えているのが、
我らがエンマ様。
それに、思いやりの化身、
司命様と司録様だ」
司録
「……」
司命
「エンマ様の下す判決についても
説明してやったらどうだ?」
司録
「死者の行く先は、七種類に分かれています。
人間道、餓鬼道、地獄道など
輪廻をくり返す六道と、
もうひとつは浄土です」
司命
「好みに合わせて、どうぞ」
司録
「まあ、浄土は、
菩薩様みたいな者だけが行ける特別区ですね」
司命
「ほとんど都市伝説だな」
司録
「善良な人間なんて、いませんから」
司命
「で、ぼくたちに
〝業務改善命令〟を申し付けたのは
高天原の神々だよな」
司録
「高天原とは、
天津神と呼ばれる神々の住まいです」
司命
「冥界が〝暗〟なら、高天原は〝明〟。
こっちが霧の中の役所なら、
あっちは雲の上のリゾート地みたいなもんだ」
司録
「ぼくは冥府が落ち着きます。
暗くて閉塞感があるから」
司命
「変わったご趣味で」
司録
「あの無駄に活発な娘が、
冥府を気に入るわけがありません」
司命
「人間の覚悟なんて、当てにならないからな」
司録
「まだ試用期間ですしね。
きっと十日ともちませんよ」
司命
「あはは! じゃあぼくは七日に賭ける」
司命・司録
「「以上、〝大体合ってる日本神話〟でした!」」
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