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38.王の継承

試練を終えた少女の手のひらには、かつてのものとは異なる炎が揺れていた。

 黒炎――それは”呪い”と呼ばれながらも、彼女が受け入れた”王の炎”。


 「……穏やかな炎」


 かつては荒々しく暴走し、制御すらできなかった黒炎が、今は少女の意志に従って揺れている。

 その感触は、まるで心と直接つながっているかのようだった。


 レイヴァンが少女を見つめ、静かに口を開く。


 「お前は”黒炎の呪い”を乗り越え、“王の力”として受け継いだ。

  だが、それはまだ”始まり”に過ぎない」


 「……始まり?」


 「そうだ。真に王となるには、“黒炎の証”を得なければならない」


 少女は眉をひそめた。


 「黒炎の証?」


 レイヴァンは頷き、地下の祭壇に刻まれた古びた紋章を指さした。


 「かつて”黒炎の王”ルシフェルが最後に残した”王の継承の儀”。

  それを乗り越えたとき、お前は正式に”黒炎の継承者”となる」


 「……継承の儀?」


 少女がその言葉を口にした瞬間、祭壇が低く唸るように震え出した。


 ズズズ……


 祭壇の中央がゆっくりと開き、そこから黒炎をまとった”剣”が現れる。


 ――黒炎の王の剣、“ルシフェルブレード”


 「この剣を手にし、“継承の儀”を乗り越えろ」


黒炎をまとう剣は、静かに祭壇の中央で佇んでいた。

 その刃は漆黒でありながら、鈍い光を宿している。


 (これが……黒炎の王の剣)


 少女はゆっくりと剣に手を伸ばした。


 ――その瞬間、意識が弾け飛ぶ。


 ドクン……!


 血が逆流するような感覚。

 全身を黒炎が駆け巡り、魂が引き裂かれそうになる。


 「ぐっ……!」


 膝をつきそうになる少女を、レイヴァンが見守っていた。


 「この剣は”王の炎”を受け継ぐ者にしか扱えない。

  だが、それは”ただの力”ではない――“王の意思”を受け継ぐ覚悟が必要だ」


 (王の……意思?)


 少女の意識が深く沈み込んでいく。


 そして、彼女は再び”記憶”を見ることになる。


少女の前に広がったのは、燃え盛る戦場。

 その中心に立つのは、かつての”黒炎の王”ルシフェル。


 しかし、その姿はぼろぼろだった。

 彼の黒炎はすでに衰え、敵に囲まれている。


 「……やはり、“呪詛”が……」


 ルシフェルは呟く。


 彼は魔王との戦いで”呪詛”を刻まれ、その力を封じ込められていた。

 このままでは、黒炎の力は呪いへと変わり、世界を焼き尽くしてしまう。


 (王は……どうしたの?)


 少女は固唾を飲んで見守る。


 すると、ルシフェルはゆっくりと剣を地面に突き立てた。


 「……この炎を、次の継承者に託す」


 彼は最後の力を振り絞り、自らの黒炎を封印したのだ。


 ――この剣に。


 (だから、この剣には……王の意思が宿っているんだ)


 少女の心に、新たな理解が生まれる。


 この剣を扱うということは、ただ”力”を得るのではない。

 “王の覚悟”を背負うことなのだ。


 「……私は」


 少女は意識の中で剣を見つめる。


 「この力を”呪い”ではなく、“王の炎”として受け入れる」


 その瞬間、剣が眩い黒炎を放ち、彼女を包み込んだ――


 ――目を覚ますと、剣が少女の手の中にあった。


 漆黒の刃が、彼女の意志に応えるように静かに揺れている。


 「……成功したな」


 レイヴァンが微かに笑う。


 少女は剣を握りしめる。

 これはただの武器ではない。

 王の覚悟と炎を受け継ぐ証――“黒炎の王の剣”


 そして、彼女はついに”王の継承者”となったのだ。


 「これで……私は、“黒炎の継承者”」


 少女の黒炎は、もはや暴走することはない。

 “呪い”ではなく、“王の炎”として、新たな光を放っていた。


 レイヴァンが静かに告げる。


 「お前の旅は、これからが本番だ。

  魔王を討つために――“黒炎の王”として」


 少女はゆっくりと頷き、剣を握りしめる。


 (……私は、もう迷わない)


 黒炎を抱きしめ、少女は新たな戦いへと歩き出した。

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