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25.白銀の試練

白い少女が静かに腕を上げると、街全体がざわめいた。

 吹雪が渦を巻き、雪の中から黒い影が浮かび上がる。


 ――人の形をした、雪の魔物。


 それは、まるで街の住人たちの亡霊のようだった。

 目も、口もないのに、こちらをじっと見つめているような気がする。


 「試練を受けなさい、黒炎の巫女」


 白い少女の声が響くと同時に、魔物たちが動き出した。


 雪を踏みしめ、静かに、だが確実にこちらへ迫ってくる。


 少女は拳を握った。

 胸の奥で、黒炎が揺らめく。


 (この炎は……わたしのもの)


 逃げるつもりはなかった。


 レオニスが剣を抜く。


 「……やるしかねぇな」


 「ええ」


 二人は同時に動き出した。


魔物の一体が鋭く腕を振るう。


 氷の刃のように鋭い攻撃を、少女はひらりとかわしながら、

 手のひらに炎を灯した。


 ――黒炎。


 その炎を指先に集め、少女は魔物へと振りかざす。


 「燃えなさい!」


 黒炎が雪を貫いた瞬間、魔物がゆっくりと崩れ落ちた。


 だが、倒しても倒しても、新たな魔物が生まれてくる。


 (このままじゃ、きりがない……)


 その時、白い少女の声が響いた。


 「黒炎だけでは、この試練は越えられない」


 「あなたに必要なのは、炎を操る力だけではなく――」


 「この白銀の世界を、理解すること」


 少女は、はっとする。


 (黒炎を燃やすだけじゃなく……この雪そのものを……?)


 黒炎の力だけでは、ただの破壊にしかならない。

 だが、この雪は――


 少女は静かに目を閉じた。


 そして、雪にそっと手を触れる。


 すると――


 黒炎と雪が、ゆっくりと混ざり合った。


黒炎は、ただの炎ではない。


 それは、世界を変える力。

 炎でありながら、雪を受け入れることもできる。


 少女は、目を開いた。


 「……そういうこと」


 炎が、青白く輝く。


 雪と混ざり合ったその炎は、これまでの黒炎とは違う――


 闇と氷の力を併せ持つ、新たな炎。


 少女が手をかざすと、魔物たちの動きが止まった。

 まるで、新たな炎に驚いているかのように。


 「これが、わたしの答えよ」


 そして、少女は静かに指を鳴らした。


 炎が一瞬にして広がり、魔物たちを包み込む。


 しかし、それは破壊ではなく――


 雪とともに、魔物たちは静かに消えていった。


 レオニスが驚いたように少女を見つめる。


 「……やるじゃねぇか」


 白い少女も、ゆっくりと微笑んだ。


 「試練は終わったわ」


 「あなたは、黒炎の巫女として、新たな力を手に入れた」


 雪は、やがて静かに止み、街には静寂が戻った。


白い少女は、そっと少女の前に歩み寄る。


 「あなたの炎は、これまでの巫女とは違う」


 「破壊だけではなく、再生をもたらすもの……」


 少女は、黙って聞いていた。


 「けれど、それはまだ完全ではない」


 白い少女は、優しく微笑む。


 「あなたの旅は、まだ終わっていないわ」


 少女は頷く。


 黒炎と雪を操る力を手にした今、

 彼女の目指す道は、よりはっきりと見えてきた。


 「……行きましょう、レオニス」


 レオニスは頷くと、剣を背負い直す。


 「次はどこへ向かう?」


 少女は、遠くを見つめた。


 「黒炎の巫女が、辿り着くべき場所へ――」


 新たな力を手に、二人の旅は続く。

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