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第三章 映画館にて

 約束の10時になる5分前に映画館に着いた。5分前だったが早乙女先輩はすでに着ていた。

「おはようございます。」

「あっ、おはよう。約束の時間の20分前に来ないと遅れるでしょ。」

「いやっ、5分前でよくありません!?」

思わずツッコんでしまった。いや、早すぎるだろ⁉まぁいいや。それより長田がいないな。…まさか、寝坊か…?あり得るな。あいつ、遠足の前日とか眠れないタイプだし。まずいな。10時30分に映画始まるのに。

「今日見る映画ってどんなのなの?」

「えーと?『転生放浪記 前世で最強の侍は、転生しても強かった!THE MOVIE』ってやつで、今ある映画の中で一番いいかなって思ったやつです。」

「他にはどんな映画あるの?」

「他には…幼児向けのしかないです…。」

「そう…どうりで子供が多かったのね…。」

周りは親子連れが多かった。なんで今日なんだろう。転ホロ、人気なのに…。

「ねぇ、黄瀬津君は、私のこ…「遅れてすいませーーん!!!」

「うるせぇよ!」

はぁ、やっと来たか。というか先輩、何か言いかけたよな?まぁ後で聞こう。

「さて、全員来たし。そろそろ行きますか。」

「まっ待って…いっ息が…ぜエゼエ…」

「お前が遅れたんだろ。さっさと行くぞ。」

そう言い捨てて、俺はスタスタと映画館に入った。早乙女先輩は少し長田を気にしたようだが、俺の後を追って入った。

「まっ待ってよー!」

そして、チケットを買い指定された席に座った。座っている順番はこんな感じ 長田 先輩 俺。長田いわく、なにが起きても早乙女先輩を守れるようにするため、らしい。絶対先輩の隣に座りたいだけだろ、こいつ。 

そうこうしている内にCMが始まった。

へぇー、夏にあのアニメの映画出るのか。そんなこと考えている内にホラー映画のCMが始まったとき…

「ん?」

突然、先輩が早乙女先輩が手を握ってきた。

「あの先輩?」

「……」

唇が震えている。…もしかしてホラー苦手なのか?あの完璧超人(長田に聞いただけだけど)の先輩が?

ガァウ!!

びくっ!!

ゾンビが吠えたシーンで先輩が驚いていた。…確定だ。まさか先輩がホラー苦手だとはなぁー。いやまぁ

誰だって苦手なものはあるよな。

数分後…やっと映画が始まった。先輩も手離してくれたし。

やっぱ転ホロ、面白いなー。

「っ!」

先輩が太ももを触ってきた…なんで?

「ちょっやめ…」

「っ!」

やっと離してくれた。どうやら無意識にやっていたらしい。いやっ無意識にそんなことする⁉

チラッ

先輩が視線で謝ってきた。なので俺も視線で(大丈夫ですよ)という意味込めて送る。人は目で伝わるからいいよな。

シュン…

前言撤回。全然伝わらなかった。俺は小声で

「大丈夫ですよ。」

ホッ…

伝わったみたいだな。先輩ってリアクション分かりやすいな。

そして、映画が終わった。

「おっ俺、ちょっとトイレー!」

そう言いながら走っていった。世話しねえ奴。…そういえば

「あっそれね。いや、黄瀬津君は私のことどう思っているのかなーって。」

「…尊敬してます。」

「っ!」

「すごく尊敬してます。なんでもできるし、真面目だし。俺とは正反対だ。」

まぁ、全部長田に聞いたことだけど。…うわべの言葉に聞こえるかな。

「…君も何でもできるじゃん。成績だって私より良いし。」

「あっ俺自分でやろうと思ったことないです。」

「えっ?」

「先輩みたいに自分から努力しようと思わないです。俺は…真面目じゃないし。」

本当は…

「たっだいまもどりましたー!」

「うるせぇよ!」

びっくりしたー。こいつ、周りに誰もいないからって大きい声を出していいわけじゃねえぞ。

「さて、長田も来たし、そろそろ帰りましょうか。」

「あっ、まっ待ってくれ。」

うん?

「あの先輩に伝えたいことがあって。」

えっ、いやいや早いだろ。

「初めて見た時から好きでした‼付き合ってください‼」

…あー振られるな。確実に。だから遊びに行くぐらいしたほうが良かったのに。

「ごめんなさい。私、好きな人いるから。」

やっぱりな。でも先輩って好きな人いるんだ。

「誰なんですか⁉誰が好きなんですか⁉」

長田が今にも泣きそうな顔で叫ぶ。

「ヒ・ミ・ツです♡」

そして先輩は、星が飛び出しそうなウインクで返した。

「じゃあね」

「さいならー。」

そして先輩を見送った後

「どうしてだよー‼!」

「当たり前だろ。」

よくうまくいくと思ったな、こいつ。

「うっ、ううっ、うっ…」

「ほら泣くな、置いてくぞ。」

「まっ待てよー!この冷凍人間ー!」

こいつ、自滅して八つ当たりとは、そういうところだと思うなー。

こうして俺たちも映画館を後にした。

これを読んで下さった方。ありがとうございます。お手数をおかけしますがアドバイスなどコメント頂けると幸いです。できれば、優しめの意見だと嬉しいです。

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