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カムバック!ファーストパス!

 前は筋斗雲を操縦することで精いっぱいでもあったしそれに夢中であったため乗ってるだけの状態でまじまじと移動風景を見ていると前回のタイトルの某アニメのオープニング映像にそっくりだなぁなんて思ったりして気づけばらき☆○たの泉こ○た並に熱唱していた。「ちょっと!」あっ、やべっ!耳元だったからうるさかったかな。「それ何の歌?」とナッツは怒ることもなく質問をしてきた。やはり聞きなれていないには好奇心が生まれるものなのだろう、それにアニソンとして名曲だしうるさく思われないのも納得だ。俺の歌唱力?それはマイナスポイントかもな、でも歌の良さで帳消しさ。「昭和の大人気アニメの主題歌」と答えるとぽかんとした顔でナッツは「昭和?アニメ?主題歌?なんのことよ、教えなさいよ」と興味心がパワーアップした。確かにナッツだけ天界の事を教えといて俺はなにも俺の世界の事を話してなかったな。よし、この機会に全部教えるか。俺のほとんどウィキペディア未満の現代社会のうんちくがとうとうネタがなくなり陰キャなりの知ってる知識つまりアニメやら漫画やらゲームやらの話に移行しようかと言う時だった、おおよその俺たちの行き先というかナッツの連れて行ってくれるところの全体像がようやく見えてきた。デカい、とにかくデカい。遠目で見て富士山くらいのインパクトがあるものなのだからついてみるとそれはフロリダの夢の国くらいの大きさはあるだろう。それになんか地域区間で音楽でも流しているのかポップなミュージックが聞こえる。いや俺の見立ては正しかったようだ、ぐんぐんと近づいていく筋斗雲により雰囲気も把握できたところどうやら行き先は遊園地らしかった。とほほ、帰宅部の俺の体力に夜から遊園地というか遊ぶのはちとつらいなぁ、なんてひとりごちでいると「ねぇ!ねぇってば!はやく続きを話しなさいよ!」とナッツが俺の話をせかしてくる。ていうかよく聞き飽きないものだなぁ、かれこれもう二時間以上は話してると思うんだがうなずきやらの反応も返してくるくらいに熱心であるし、なんというかこれから先は世間一般で言うオタクの話であるからにして少し申し訳なくなる。でも今でも「早くしろ、早くしろ」と言ってくるのでやれやれしょうがない期待してくれてるんだ、こうなりゃ俺の実話経験だが道で歩いてるだけで後ろから女子に「不審者がいる~w」とか言われるほどのキモオタぶりを見せてやるぜ!「みろ、人がゴミのようだ!」というのは俺ではなくナッツ。ちゃんと素質はあったみたいだ、ちなみにいやぁ天界でもあるんだな遊園地の一番上で語録をこれでもかと言うくらい言い散らしている。「んっんん~!声はこんな感じかしら?ねぇレン!どう?みろ、人がゴミのようだ!んっんん~!ねぇ!ねぇってば!似てるのかどうか聞いてるんだけど!?レン!」うわぁ、イタイ。まるで昔の声優にあこがれて声真似をしまくった俺を見てるようだ、当時の母親の心境がわかったよ。なので俺も母親をリスペクトして「いいんじゃないか?このままいけば金がとれるくらいだ!」と言うと「ほんと!?私才能あるのかしら!あぁ、今からでも下界に降りてその”声優”って仕事やってみようかしら!」と無邪気に顔を輝かせキャッキャと一人喜んでいる。なんというか現実を知らせるのがつらい。俺はそんな純粋無垢に目を背け遊園地内を一望できる景色を満喫した、一応ナッツもお金払ってたことだし楽しまなきゃ損だよな。まぁ流石にナッツのようにとはいかないが。俺はもうそういうから卒業したんだ、外でそういう事をして許されるのはこういう無邪気な女の子くらいなもんだ。やるなら家でだよな、まったく。おっとすぐ別の事を考えこむのは俺の悪い癖だな、今は目に神経を注ぐことだけを考えよう。叫び声が聞こえる、するとジェットコースターからである。不気味な音楽が聞こえる、それはお化け屋敷からである。ふむ、大体そろっていてさらに人も大勢いる。現世と比べ雲で作ってるので作りは荒いが全体的にダイナミックであり楽しめること間違いなしだろう。マスコットキャラクターのようなものはなくショーなどはないようだ、しかしテーマ性といったところでそもそも雲で作られているので世界観が勝手に出来上がっているようなものだ。それに客層は天使のみらしいので俺もナッツの力で飛べないが見せかけの物をつけられ、しかし園内で使うことは禁止されているためバレないそうだ。こうした点からこの天界遊園地はテーマ性のないフロリダの夢の国のような感じである。それにしてもありがたいことだ。いまや俺の住む国の夢の国は金持ち向けにシフトしており、それに入ったところで並ばされるという新エリアがどんなに楽しかろうとあまり足が進まないからな。未だにム○カ大佐ごっこをやってるナッツに「今日はありがとうな、こんないい所に連れてってくれて」と感謝の意を述べた。ナッツは「いや、いいのだよ、レン。代わりに今度下界からその映画を持ってきて私の家で見せてくれたらありがたいものだよ。」と口調がまだ変わっておらず要求らしき物を述べた。うむ、やっぱりジ○リは良いものだよなぁ、このハマり様をみると。いや、すこしMADキッズっぽい感じもするけどな。やっぱ語録を際立たせて教えたのが悪かったかね。まぁそれはさておき「あぁ、じゃあ明日持ってくるよ」と言うとナッツは驚いた表情で「明日!?」と問うてきた。なんだろうか。ナッツは目をウルウルさせ「もっと滞在してもいいのに、もう帰っちゃうの?やっぱり故郷が恋しい?」と下から弱ってる子猫のような有り体で言ってきた、それはずるいだろ。というか「いやいや、そのまま帰るわけじゃないよ。すぐ帰ってくるって。」と言うと「ほんとに?映画は今度でいいの。今離れたらなんだかレンがそのまま帰っちゃう気がして。私なにもレンにしてないどころかむしろ嫌なこと言っちゃたりしてるし。」なんて妙にしんみりしてるので「わかった、ナッツも一緒に行こう。それならいいだろ?」と勢いで言ってしまった。あぁ、俺ってなんてしんみりした場面に弱いんだろう。「本当!?一緒に行ってもいいの!」と顔を輝かせている。ふと本当に謙虚に物を言うようになったなと思った。ありゃ、そういえば懸案事項が一つあったな。「その翼ってとれたりするのか?」「あ、これ?取れるわよ、ほら」となんなく外してみせた。おいおい、痛くないのかよ。「痛くないわよ?」まぁ何がともあれ「なら行けそうだな。」「やった!」今日は笑顔が多くていいなとか思ったりして。それに恋愛合戦なんてもうないことだしこの夜景の未だに頂点にある観覧車のムードで告白でもしようかなとかも思ったりして。よし、いうぞ、いけ!ゴクリ。「(あ)」ってあれ!声を出したはずなのにかすれて声が出ない!おっと、ていうか冷静になってなに告白なんかしようとしてるんだ俺!「どうしたの?」そんな一人あたふたしてる俺を見かねたのかそしてもうム○カ大佐ごっこをやめたナッツが問うてくる。うむ、あらためて向かい合って座ってるので顔をまじまじと見ると鼻が通ってて目がくっきりとしていてふさふさの栗色の髪の毛がよく似合っている、とてもかわいい。あぁ、遠くにいかないで、離れないでなんてこんな子に言われたことが今まであっただろうか。嫌ない。それに降られるのも花のうちだろう、こんなので初なんてものもあるかもしれないからいっそ振られてみるというか玉砕覚悟で行くのが俺の今現在最高潮のバラ色人生に対する礼儀ではないか。一世一代のモテ期である。据え膳食わぬは男の恥。深呼吸をする、スゥー、ハッー。よし!言うぞ!「な、なに?さっきからなんか顔怖いよ?」「あ、あのさ!」「っ!?なっなに!」おっといきなり大きな声を出してしまった。それに立ち上がってしまった。しかし勢いも大事だ。うおおおおお。「………」「………」スゥー、ハッー。俺はまた深呼吸をして席に座る。これは別に日和ったとかそういうわけではない、戦略的撤退なのである。「あ、あのさ、なんなの?」まずい!こっちはまだクールダウンできていないのにそっちから仕掛けてくるとは!「いや、なんでもないっす。」「なんで敬語なの?今まで敬語だったことなかったじゃない。」「いや、本当に何でもないんで、っス」「ふーん、あっそ」そう、俺には現在クールダウンが必要なのだ、落ち着け俺。しばらくの間謎に微妙な空気間のまま誰も一言も発することもなくどんどん観覧車は眺めのいい景色を没収していく。よし!覚悟が決まった!これぞ黄金の精神や!いくで!「あ、あの!さっきは言いそびれたけど俺ナッツの事がs…」ガシャーンと言う音と同時に「降りてくださーい」という俺の告白を邪魔した係員の声。「…私の事が…なんなのよ?」「いや、何でもない、さあ降りよう」「いくじなし」なんかポツリと小言をナッツが言ってるようだったが俺は一世一代の告白が邪魔されて終わったことで燃え尽きていた。そのまま改めて告白する気力がなかった俺はジェットコースターでまるで陽キャのように手をあげながらキャーとかやったし、お化け屋敷では叫びに叫びと言う感じでとにかく全力で楽しんだ。その間ナッツは不貞くされた態度のようであったが観覧車を降りて以来ずっと気分は下り調子の模様であった。おそらく一度乗ってるから二度目にあまり感動を覚えないのであろう。だがその機嫌が悪そうな目が俺にずっと向いていたのはなぜだろう。とまあそんな感じで対照的な態度のまま天界遊園地は終わった。「いやー楽しかったよ。」と素直な感情を述べると「私は面白くなかったわ」と返ってくる。なんなのだろう、この落ち込み様。するとすぐにその疑問は解消した。「結局レンが観覧車の時に言おうとしてたことは何だったのよ!私はそれがずっと気になってしょうがなかったわ!」と怒鳴ってきた。う、うーん。返答に困る。よし、ごまかそう。「い、いやーナッツは可愛いなって言おうとしただけだよ」しまった!いくら浮かれ調子だからってなんてことを言ってしまったんだ!ごまかすにももっとほかの言葉があっただろうに。しかし存外ナッツの機嫌はそれで直ったようである。「ほ、ほんと?わ、私が可愛い!?」と言って喜んでいる。よかった。遊園地で笑顔で終わらないなんてそんなのあまりにも嫌だからな。しかし可愛いといっただけでこんなに喜んでくれるともっと言ってあげたくなる。「うんうん、可愛いぞ。くっきりとした目に透き通る鼻筋、おまけに整っている輪郭。童顔なのもポイントだな。パーフェクトだ。」おっと思わず思ったこと全部口に出してしまった。しかし言って損はなかったようだ。「………そんなこと思ってくれてたのね。ありがと。」顔が真っ赤である。当然俺もだ。あぁ、遊園地とはなんと素晴らしいものだろうか、浮かれ気分が余韻として残る分キザったいセリフもすいすい言えるし相手も酔ってる分いいムードにはなるし最高だぜ。とか思っていると「じゃあ、私のこと好き?」といくらムードだからってぶっこんでくる娘が一人。うーむ、ここが言い直すチャンスか?いや、でも流石に、だがしかし。と必死にない脳を使って思案するもまともな回答は得られずいつしか「好きだ」と言いながらキスしに行くバカが誕生した。

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