表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/15

それは結局…セクハラでは?

 恋愛合戦が始まった、と大見得切り出したはいいが元はクソ陰キャの俺である。女の子に何か仕掛けるなんてそもそも声をかける事さえ精神力を半分くらい消費するのになぜできよう。ならばさっきはなぜできたのかということについてはただのイキリである。陰キャだってイキる時はグイグイ行くものなのだ。ただし時間がたてば来るクールタイムによりすぐ自己嫌悪に陥るためもう二度とイキりというスタータイムは解け女子という名のク○パ大魔王には到底かないやしなくしかし時間が経つとまたイキリタイムは使用可能になってるかもしれないという希望的観測により俺はさっきからずっとジト目で俺を警戒心満載で見ているナッツを尻目に俺は家の外に出た。決して気まずくなって家を飛び出たのでもないし、さっきの言動が恥ずかしくなって風に当たって頭を冷やそうとして出たわけでもない。前述のようにこれは戦略的撤退である。ということで外に出たはいいが一面雲景色。ここは本当に天界なんだなと実感しつつ、天国に続き天界も空のイメージがあると思うが本当にそうなのかもしれないくらいうっとうしいくらい雲の密集してて分裂しそうにもないのにも関わらずひんやりとしたそよ風が吹いていた。今の俺の自己嫌悪状態であるからにして熱々の体には丁度よかった。流石天界極楽だな。この俺を冷やしてくれる風たちにより冷静になってみて考えると風が吹いているのに雲が動かないのは雲の重さで動かないのかもしれないと思った。よく考えれば俺の今立っている地面も雲だし、さっきから動いてないしな、なんて感じで初めての天界なので色んなことに興味尽くしだ。恋愛合戦は一時休戦だな、ってことで俺は天界の色んな所に行ってみた。孫悟空が乗ってたような筋斗雲みたいなものにも乗ったし、色んな雲をなめてみたりもした。なめた雲の中には綿あめなんじゃないかってくらい甘い雲もあったな、あれは美味かった。あ、そうだナッツにも分けてやろうかな。今更思い出したところでかなりの距離を筋斗雲で飛行しちゃってるからもうどこかわからないがかなり飛行しながらなめまくっていたのにそうそう甘い雲なんてものは見当たらなく大体の雲は当たり前っちゃ当たり前だが泥水の味しかしなかったし希少なものであるはずだ。きっと喜んでくれるだろう。女子は貢ぐと堕としやすいってなことも聞いたことがあるし、それに精神的苦労を要して恋愛攻略するなら肉体的苦労を要した方がまだましだ。よし、来た道を戻ってみるか振り向くとさっき通った道が雲で覆われていていつしか風も強く吹いていた。これはまずい。来た道がわからなくなる!間違えずに来た道通り行っても綿あめ雲は流されていることだろう。あ!向こうから雷雲が近づいてきてら!あ、あかん。ナッツの恋愛攻略なんかより俺の命の方が最優先だ。ひとまず雷雲から避けなくては、ってうわあ!もうかなり接近してきてる!速度が速い、それに風も自然と俺の方に吹いてきているからかこっちに向かっているし逆風の中は流石に筋斗雲でも逆らって進むのは厳しい。あぁ、月光が俺を照らす。焦りも出てきた、まずいまずい。眠いし空腹だし筋斗雲の操作も危うくなってきた。「ドーン!」「うっひゃあああああ!?」雷の音だ!鼓膜ちぎれるかと思ったわ!ああ、早く方向転換しないと筋斗雲のハンドルを握って、あれ?手元足元が空を掴んでいる。もしかするとだが俺、振り落とされてる?ヒュウウウウウ。あぁこの音は風を切る音だ。今更現実逃避しても遅い、遠ざかる雲がデカすぎてあまり実感もわかなかったが風を切る音でわかる俺は墜落したんだ。いやでもまだ希望はある、未だに地面は見えないので落っこちるまでにはまだ時間はある。そう、神様を呼ぶのだ。「神様ー!」俺は自由落下しながら叫ぶ。「呼んだ?」と俺の耳元で神様の声がする。助かった…ん?神の姿が見当たらない。なぜだろう?「それは脳内に直接語りかけているからじゃよ」とやけにのんびりとした声で答えてくれた。「いやいや俺死にそうなんですけど、脳内会話なんてドラゴン○ールで憧れてたけど今じゃなくてよくないっすか。早く助けてくださいよ。」「いや、ワシ今神界のキャバクラにいての知らんと思うが天界と神界は微妙に遠くての、間に合わぬ。すまんな。」一瞬絶句する俺。え?じゃあ最後に会話したのはこの無能のボケ老人ってわけ?ははは冗談きついぜ。と現実逃避していると脳内思考を盗み聞いたのか「誰がボケ老人じゃい、まったく天使でもないのに調子に乗ってからじゃ。しばらく頭を冷やすことじゃな、まぁ死ぬことはないから安心せい。じゃあワシはハッスルタイムに戻るからじゃあの。」と神が言った。しかし死ぬことはないって言っていたがどういうことだろうか。こんな下が見えないくらいの高さで落ちればいかに地面が雲だって死んでしまうのではないか、意外と地面雲硬かったし。あーあ、死因セクハラも嫌だが他人のうっかりミスで死亡もなかなかオツなもんじゃないな。まぁ死ぬことにオツもくそもないかアハハ。「なーに死にそうになってんのにニヤニヤしてんのよ気持ちの悪い。あーあ、やだやだ。なんでこんなクソッタレ犬野郎のために翼を消費しちゃってるのかしら。」と急に悪口のジャブを食らったと思ったら何時しかの状態と同じくナッツちゃんに抱きかかえられていた。「あんた神様に聞いたけど筋斗雲なんか初心者の癖にどこまでも飛び回っていってバカじゃないの?天界散策したいなら言いなさいよ連れて行ってあげたのに。どこまで行ってたのよ、ったく。あ、次セクハラしたら落としてあげるから覚悟なさい。」と口は悪いがなかなか優しい本性を見せてくるナッツちゃん。惚れてまうやろー、なーんてな。でも助かったぜ。「まったく見渡しても雲ばかりなのになにが楽しいのかしら。人間の考えることはわからないわ。」「綿あめみたいな甘い雲があったもんだからナッツちゃんにも食べさせてあげたくてね。」なんて言ってみる。さっきからブツブツ言ってるもんだから話し相手が欲しいんじゃないかと思った俺はそう間違えていたわけでもなかった。ここから弾丸トークが続く。「なによ、ナッツちゃんって。これでも人間より格式の高い天使よ?きちんと正式名称のウォールナッツ様と呼ばなきゃダメなんだから、まぁでもその呼び名もあんたみたいなダメ犬が考えたにしては可愛いもんだわ。大目に見てあげる。それにしても綿あめ雲なんてよく見つけたわね。あれは希少な天然菓子雲よ、めったに取れないもんだから結構値段もするのよ。あれ?そんないいもの私にあげようとしてこんな遅くまで寒い中探していたの?」しゃべりだしたら止まらないやつだな全く。それにしても確かに寒いな、肌を触ってみたら冷たくなっていた。こりゃ風邪ひいてるかもな、あれほっといてもしゃべりだす奴だと思っていたがどうしたのだろうと思ったら、いつからか俺の顔をずっと見ていた、それもやけにうっとりした目で。さっきの話を寒いというワードを拾うのみであるという半分で聞いていたためなんという反応を俺に期待しているのかまるでわからない。しかしあまり待たせると悪いし適当な受けごたえしてもこれから恋愛合戦をしていくうえで印象が悪くなるだろう。即決でいい加減じゃない対応…結局さっきと結論は一緒だった。まるでわからない。とりあえず俺はニコリと笑いかけ右手でグッドマークを作ってみた。「な、なによ。そうならそうといいなさいよ。」と反応はそっぽを向かれた。あちゃ、失敗か。やれやれ、女心はわからん。「意外と優しいところあるんだ。」ブウウン!風が切った音で何も聞こえなかったが確かになにか今ナッツが言ったはずだ。「ん?なんか言ったか?」「な、なんでもないわよ!バカ!」また不機嫌な対応をされた。なんていったんだ一体。まぁ今は不機嫌な状態だしあまり話しかけるのも控えるか。そのままお互い無言の状態で風に運ばれていった。夜風が寒くもあったがナッツの体温でだいぶ緩和された。ふと思ったが抱きつくのもセクハラではないのだろうか。現状確かに少し俺もエロいシチュエーションだなぁ、とか思ったりしていることだし。実際に聞いてみた(とあるテレビ番組みたいな声調)「は?じゃあやめれば?そ、そんなに私に抱き着くのが嫌なら落ちて死んじゃえばいいじゃない!」「いや、別にそんなこと言ったつもりはないんだがな、ただナッツが嫌かなとか思ったりして聞いてみただけなんだ。」「呼び捨て!よ、呼び捨てにしやがったわこの駄犬!」バシッ」翼でビンタされた。かなり痛い。「だ、抱き着くことなんて50人も堕としてきた来た私にとってはエロくもなんともな、ないことなんだから!」なぜか切れ気味である。いや、焦ってるのか?まてよ、確か本当に堕としてきたのかは真偽不明なんだよな、自己申告であるわけで。本当はただのウブな女の子?だとすると見得を張ったりするとこも俺と似てるなぁ。あーよく見ると汗がじわじわ出てきてる。抱き着いてるからよくわかるぞ。ふふふ、こいつも際どい状態だったんだな。なんてニヤニヤしているとまた翼でぶったたかれた。だから痛いんだってばよ!「な、な、なーにニヤついた顔してんのよ。堕とすわよ。で、で、でさっきの話の続きだけどほ、本当にハグなんてえ、エッチな行為の一つにも入らないんだから!そりゃあまああんたみたいな童貞野郎にはこっぱずかしい行為かもしれないけれども大人の女性の私からすればへのへの河童よ。むしろ夜風で寒いときに暖かくてちょうどいいわ。」なんて高慢な態度で俺の触れてはいけない「童貞」という言葉を口に出されてものだから流石に俺でもカチンとくる。陰キャにだってプライドはある。よし、やるぞ!「ーーーーーっ!な、なにすんのよ!」少し強めに抱き着いてみる。「大人な女性には効かないんじゃなかったか?」と返してやると何も言えないようだ赤くなってうつむいている。勝った!恋愛合戦に入るのかどうかは知らんがとにかく勝った!ははは、思えばナッツは見た目はロリで出てるところは出てるってなもんだしほんと子供に見えてくるな。しかし子供と言っても体はさっきも言った通り出てるところは出てるので侮れない!合法ハグなので顔に埋もれるくらい腹に押し付けてみる。おや、汗がどんどん垂れてくるな。しかしその匂いもなかなか良い!親が見たら泣くような変態行為を見た目小学生から中学生の間くらいの見た目ロリっ子にやっている俺は自分でもやってて犯罪者の素質があるんじゃないかと思い始める。でもそんな思いを振り切って思わずやってしまうのが女性の体の魅惑である。それに聞けばハグはストレス解消に多大な影響を与えるというではないか悲惨な人生を送ってきた俺にとって求めていた物であること間違いなし、つまりこれは俺の性欲という心の野獣からくるものではなく精神的困憊からでるヤケ酒に近い感覚であるのだ。決して性欲からくるものではないという言い訳がしたいわけではないのだ。そう俺の善の心にはむかう論理を打ち出して決定打を与えると罪悪感はなくなりスッキリとした気持ちで合法セクハラハグ行為に勤しむことにした。うーむ、それにしてもたまらん。スリスリ。あっ、っと思わず肌スリをしてしまった。いやこれは夢中になっていてやってしまったことではない。この魅惑的な体がそうさせたのだ、ってあぁー!またしてしまう!スリスリ。スリスリ。スリs…ドゴォ!いってええええ!今度は拳骨か!?なんだそのパワー!?俺の悪い頭がさらに悪くなるじゃないか!なんてことを、と抗議の声をあげようとした愚かな時代が俺にもありました。見上げると顔が怒りのせいか恥ずかしさのせいか真っ赤になっているナッツの姿があった。「あ、あ、あんたねぇ…いくらハグがセクハラ行為じゃないといっても肌スリとは何事かしら?いつからあんたは犬になったの?」え、いやあなた俺の事さんざん犬呼ばわりしてましたやん…「なによ!その不満げな目は!」あっ…なんでもないっす、と思わず目を伏せる俺。情けなし。しかし怖いものは怖いのだからしょうがない、俺にも幾分かの非はあったことだし。「何ブツブツ言ってんのよ!あんたの非?幾分じゃなくて大アリよ!まったくま、前の、お、おお、おっぱい触ったことだってキ、キ、キキ、キスしたことだってそうだけどあんたはすぐ調子に乗る!べ、別にハグはいやらしい行為なんて前言撤回はしないわ、あんたが落ちないようにするためにしょうがないことだし。でもねあんたすぐ調子に乗る癖がいけないわ。いくらハグといっても限度を知りなさい!限度を!別に恥ずかしいってわけじゃないわよ!でもこの調子でいくとまたあんたがえっちぃ行為をしてきそうでドキドキする、じゃ、じゃなくて!気持ち悪いのよ!わかった!?これからは普通に抱き着いていきなさい!もうすぐでつくんだからおとなしくしてなさい、このエロ猿!」といつの間にか空中停止してガッツリ説教を食らっている俺。気分はナーバス。でもそれはハグが解消してくれるさ。なんやかんや俺にハグされるのも許してくれるしいいやつだよな、なんかさっきの反応もウブっぽくて可愛かったなぁ、おっと。思わず惚れかけたな。でも惚れてもおかしくないくらい可愛くていいやつだよな、こんなたった短期間でそれが感じ取れるくらい本当にいい女だ。まぁあっちから告白してきたらないこともないかなって感じかな!い、いや別に告白するのが照れ臭いなんてわけじゃないぞ。あぁ、でも本当にいい女だな、とずっと抱き着いていると思う。ナッツの放ついい匂いと温かさと抱き心地により何時しか俺は眠りについていた。「ほら、ついたわよー、って寝てるじゃない。まったくだらしのないんだから。まぁでも私のために綿あめ雲をこんな時間まで探してくれたのよね。フフフ、まったくしょうがないやつなんだから!」とレンを背負いながら家に帰るナッツの顔は晴れやかだった

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ