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兵どもが夢の跡

 「小っちゃな頃からエロガキで十五で性欲魔人と呼ばれたよ~ちー○ぽみたいにとがっては触る女皆胸揉んだ♪」目が覚めると俺の傍らにはわけのわからないおそらく替え歌であろう物を気持ちよく歌っている爺、その本性は神がいた。「あーあーわかってくれt…」「あーもういいもういい音痴爺!」と途中で遮ると威厳もくそもなく神はすねたように黙った。そんな爺のことはさておき、俺の今いるところはどこであろうか。見たところ俺の家にある部屋の間取りではなくなんというか全体的に神々しかった。表現するのが難しいのだが空気が地球っぽくない。薄金色がっているというか、っておいおい今気づいたが俺が今まで寝ていたのはベッドじゃなく宙に浮かぶ雲だったのか!となるとここは神の世界?少なくとも地球ではない。異世界転生?おいおい、この作品のコンセプトはそういうのじゃないぞ、しっかりタグ付けもしてあるし。あ、俺は死んでしまったのだろうか。するとここは天国でこの自分の今座っている雲もこの部屋の雰囲気も説明できる。もし死んだと仮定すればあのナッツちゃんに殺されたのだろうか。とすると死因はセクハラということになる。うわあ、死にてえ。天国の両親に死因なんて説明すればいいんだよ…もっかい死にてえ。今度は情けない死に方をしないように注意していきたい、よし神にそう頼むか。「生き返らせてくれ、神様。」我ながら単刀直入だとは思うがこれくらいすっきりした言葉の方が相手に伝わりやすいもんなのだよと誰かに向けて講釈をたれながら神の様子を伺うと神はきょとんとした顔を浮かべていた。流石にタブーすぎて何言ってだこいつ状態か…と諦めていると「いや、お主はまだ死んでいない」と神はちょっと引っかかるような言葉だったが希望に満ちた回答をしてくださった。よかったー、流石に死因セクハラは情けなすぎるよななんて安堵の感情を抱きつつ、ほっと息をつくと「ここはお主が先程セクハラしまくった天使ウォルナットの部屋じゃ。さっきまだ死んでいないといったのはこれから誰かさんにセクハラを受けた天使が部屋に戻ってくるからじゃ。わしが今ここにきたのはこれがお主の見納め時かのうともってな。神は中立であるがうえましてやセクハラをした大変羨まし、じゃなかった変態糞野郎にお助け申すなどわしの面子にも関わることでもある。つまり言いたいことはご愁傷様じゃの。ちなみにさっき歌ってた替え歌の原曲はギザギザ○ートの子守歌というぞ。ではさらばじゃ。」と神は言いたいことだけ言って帰っていきやがり、そのクソジジイが言い終わった瞬間にセクハラ被害者ことナッツちゃんが扉を開き部屋に入ってくる。チラリと横見をするとまるで「私たちは買われました」なんて表情しながら入ってきてらっしゃる。あぁ、好きでもない相手に胸は揉みしだかれるわキスはされるわでしかもされた相手はクソ陰キャなんて人間でも天使でも最低な気分だよな。俺もそう思う。でも仕方なかったんだ、弁解するわけでもないけど声で降ろしてくれなんて聞こえなければ他に伝える手段がなかったんだ。いや、思いつかなかったんだ。この浅知恵性欲エロ河童をどうか許してくれと念じながらまさか自分から話しかけれるはずもなく起きたら気まずくなるのを察して俺は寝たふりを決め込む。寝たふりを決め込むまでの所要時間は一秒もかからなかった。ふっ、我ながら完璧な瞬時の寝たふり。これはバレていないはずだ。とりあえず起こしてくるのかたたき起こしてくるかの二択だがナッツちゃんの出方を待とう。スタスタ。こちらに近づいてきているようだ、一応殴って起こされるかもしれないし身構えた方がいいかなんて警戒の必要はなく、ペタリと先ほどまで神が座っていた椅子に座る音が聞こえる。ふー、とりあえず殴ったりするのは俺が起きてからにするようだな。どうしよう、ずっと寝たふりもつらいし本当に寝てしまおうかなんて思っていると突然「チッ!このクソ陰キャ童貞!」とナッツちゃんは舌打ちと一緒に寝たままの俺に悪口をプレゼントしてくれた。俺に250の精神ダメージ。しかもこれだけで終わらずまだまだ地獄の俺への精神ダメージは続く。「なんでこんな人間なんかの下等動物なんかと付き合わなきゃならないのよ、あのクソジジイめ。私の前科帳消しにしてやるからなんて言っといてやらなきゃ刑期伸ばそうとしてたなんて後から聞いたら脅迫じゃないのよ。このマセたクソガキにどんな価値があるっていうのよ全く。そういう行為はウリエル様に捧げるって決めてたのにあのクソジジイのせいで台無しよ。首元のキスマークなんてもう取れないじゃないのよ。こうなったら堕天使並みの外道行為でこのクソガキの恋心をぐちゃぐちゃにしてやるわ!私だってまだ恋に恋する思春期真っただ中の百歳よ相応の屈辱は取らせてやるわ!私の座右の銘は肉体攻撃よりも精神攻撃、殺しよりも生殺しよ。それにこんなくだらない人間を殺して本当に堕天使になったりしたらどうしようもないしね。あーあ、早く起きてくれないかしら。あんなことしたのに暴力も振るわずむしろ優しいだなんてそれはもう人間の男にとっちゃ天使よね、あ、天使か。でもどの人間の雄にしても堕ちるときの表情と言ったらないわ。もう五十回以上堕としてるけれどもそこからの降られた表情の落差と言ったらここから始まるんだわって感じがして本当にいいのよね、あれ。早く目覚めないかしら。起きたら美少女天使ウォルナット様がいるなんて奇跡よ奇跡。」随分と長い独り言ですね、全く。初見は本当に可愛いなこの子なんて思ってたけどこんなひねくれたロリババアだったとは。ちょっと惚れるに惚れれなそう。もう何も言ってこないな、そろそろ起きようかしらん。決して今まで寝たふりしてたなんて顔はどんな感じだろうかと二十回くらいイメトレした所で俺は寝たふりをやめ、体を起こす。うーん、と背伸びをして横を見ると天使がいて驚く、振りをした。うむ、我ながら上出来だ。ナッツちゃんも違和感を感じて内容で笑顔で「起きた?」とちょっと上目遣いな感じで聞いてくる。先ほどの独白を聞いていなければ惚れていたかもしれない笑顔だった。なんと続けて自分の胸を持ち上げながら「これが揉みたかったんだね、おマセさん?」と少し頬を赤らめながらはにかむようにして聞いてくる。これは流石に俺好みのシチュエーションすぎたため自然とたってしまうしまうあそこを制御できない。流石五十人以上落としてきた小悪魔だ、完璧に人間の男の勘所をついてきている。ナッツちゃんは俺の一部盛り上がってるところに気づくとふーんと言いながらそこをなんと触りながら「これでセクハラはおあいこね」なんて自然といつの間にか胸と胸触れ合うまでに近づいてきて耳元で囁かれる。なんだろう、本当に胸が震えて感動する時に起こる脳みそがじーんってする感じわかりますか?今の俺そんな状態です。ナッツちゃんの攻めは止まらない。相変わらず耳元で「キスマークまでつけられたんですよ?みてください」と俺の肩に顎をのっけて俺の目の前に自分の首が見えるようにしてくる。確かにまるでスタンプのようにキスマークが残ってある。これを俺がつけたのかーなんて感心してると「責任取ってくださいよ、私もキスマーク…」なんて言いながら俺の首に唇を近づかせてくる。ちょっっっ!それはまずいってばよ!とちょっと某忍者のようになまってしまうくらい焦る俺。ふと鼻で息を吸ったらバラだろうか?とにかくナッツちゃんのいい匂いがふんわりとかおる。それで頭がぼーっとする。あぁ、自分キスされるんだな初めて…なんて感慨にふけっているとどんどん俺の首元に近づいてくるナッツちゃんの鼻息で再び緊張感が生まれる。思わず俺は目をつぶっていた。決して怖いからつぶってるのではない。正気じゃないときこそまともに目を見開いて現実を受け止めようとすると脳みそがこれ以上情報を増やさないために瞼をクローズダウンしてしまうのだ。あぁ、南無三…!期待で胸が膨らむ三十秒、ん、三十秒?少し長すぎやしないか?それにもう鼻息はかかってない。まさか!と思い目を開き正面を見るとしてやったり顔でにやついている自称天使本性小悪魔がそこにいた。そのロリババアは口でこそ語ってないが顔で「まさかこのウォールナッツ様に一度ならず二度も破廉恥な行為ができるとか思ってたの?哀れな性欲お猿さん。」とこの知っててかつまんまと策にはまった俺をあざ笑っていた。くそう、色気が強すぎるぞこのババア!しっかり罠にハマってしまったが最後までこいつにいい気にさせておくわけにはいかない。ここでガッカリだとかそういう表情をしてはいけない。むしろ反撃を加える感じで言うんだ!よし、一杯食わせてやる、というセリフが決まった俺はニヤニヤしてこちらを見てるナッツに向け見下すような表情を作る。それをみたナッツは意外な顔をしてちょっとムッとした表情を浮かべた。いい調子だ、がこれで終わりではない。俺は陰キャだがやるときはやる男だ、と自分を勇気づけ今度はどもることもなく言い切る。「首にキッスはまだ君には恥ずかしすぎたようだねごめんよ。でも無理にキスマークは返さなくていい、キスマークを恥ずかしがってやめた時の君の表情で十分さ。」最高にキザというか単純に気持ち悪いセリフだが効果はてきめんのようだ。ナッツは困惑の表情を見せている。「な、なによ。照れてなんかないわよ!というかあんたドキドキしながら目つぶってたじゃないのよ!あんまり嘘をつくもんじゃないわ!」とまくしたてるように言うが「いや、俺は目をつぶってるように見せかけるのが得意なもんでね。君の独り言も全部聞かせてもらったよ。俺のセクハラでそんなにも傷つけてしまって申し訳ないと思っている。」すまなそうな調子ですましていってみる。ナッツは聞かれていたことに対し大変動揺しているようだった。しかしナッツはすぐに立ち直り「聞かれてたのならわかるでしょう?あれは思わせぶり作戦だったのよ!あんたなんかすぐ堕として見せて絶望の淵に叩き込んでやるんだから!」なんて大胆にも開き直ってきた。しかしこの開き直る理論には少し破綻しているところがある。ナッツの独白より俺のセクハラ行為をウリエル様と最初にしたいと言っていた点、そして開き直るほど真っすぐな性格、俺を堕としたいという目的意識、この三点から思うところは俺を堕とすのならば性行為をするのが手っ取り早いのにしてこず、開き直る性格ならばやりかねないことでもある、またウリエル様まで性に関する行為は断っているという発言から実はナッツはウブではないかということだ。それは俺が鎌をかけることではっきりするだろう、聞いてみよう。「俺を堕とすのならまずキッスくらい照れずにできないとな。」とニヤリと笑いながらと問いかけの意味を兼ねて返してみると「な、なによ。別に照れてなんかないわよ!」とナッツは赤面しながら返してくる。もしかして本当に照れてできそこなったのか!こいつ、カモだ。こんな奴に人間の男子どもは引っ掛かり続けていたのか、五十人も…俺は陰キャのクソ童貞野郎だがここまでウブな奴にまで堕とされるほどヤワじゃない、それにきっとナッツは年齢詐称で今まできてきたに違いない。見てろよあの世の無念にくれた男子ども。俺が今この天使と対等な位置にたっている。逆に惚れさせて無念を必ずや晴らしてくれる!と俺は謎の使命感に暮れる。今ここに対等な立ち位置である人間と天使の恋愛合戦が始まったのであった。

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