コミュ力と言うのは共有の話題を持ったところから始まる
ギシギシ。ん?なんだ足音?雲の上でも足音ってするんだな~?でも、もう少し寝かせてくれよナッツ。俺は今空から落下したばかりで疲れてんだからさ……ん?俺落下したよな、筋斗雲でも追いつけないくらいの凄い速度で。なんで生きてんだ?さっきから暗闇なんだがこれは俺が目を開けてないせいだろうか?いや、瞼の感触はちゃんと目に伝わっている。それでもちょっと怖いけど、パチリと目を開けてみるとそこは俺の家でもなくまたしてやナッツの家でもなかった。というより家と言う感じがしない、殺風景が過ぎている。家具は俺の寝ていたベッドしかなく病院ほど清潔感は保たれていない。しかし蜘蛛の巣一つ見当たらずゴキブリも「おもんない部屋やな、ほなさいなら」とでも言って去っていくようなそんな廃墟以上病院未満という不思議な部屋だった。間に普通がなく家と言える感じもしない。しかしそんな変な部屋に対し落ち着いている俺がいた。なんだろう、この気持ちは。雰囲気はまるで違うが数日前寝ていたナッツの部屋にいるような感じがする。この気持ちは部屋の模様からくるものじゃない、何かの力だ。なんなのだろう。「あ、やっと起きましたか。」といきなりいつから開けていたのかわからないくらい自然に入ってきた女が一人、しかもそれは俺の同級生、正直タイプではないがスタイルがよくモデルをやっていて最近よく話しかけてくれているくるみであった。俺はとりあえず「ここはどこだ」と尋ねてみた。するとくるみは平然と「私の家です」と言った。いやいやまったく最近女の子の家に上がり込む頻度が俺多すぎないか。ふーやれやれ、ということは俺の今までの経験上これくるみフラグ立ってるな。恋愛シュミレーションをリアルで復習した俺にもう敵はいない。恋敵的なものを用意しないと止められないのだぜとか心にキモオタの風をふかしているとくるみはニコニコと俺を見て笑いながら「母上もいますよ」と言った。おっと見透かされていたか。しかしくるみの様子が保健室の時とは全く違う………イメチェンでもしたのかしらん?こんなおしとやかなキャラには見えなかったぞ、もっとこうなんだ某虚無の使い手みたいなツンデレをイメージしていたのだが違ったようだ。どうやらファッションツンデレだったようだな。「ファッションツンデレか、流行るかしら」「は?」「いやこっちの話」まずいまずいつい心の声が漏れていた。いかんぞ、俺。キモオタが持てるのは二次元のみだ。ナッツの場合はオタクイコールキモいという世間一般の方程式を知らないので例外だったが現代社会の王道恋愛においてオタク知識はけにも役に立たない。しまった、思えば王道の恋愛は一つもコンプしていないじゃないか。しまったなぁ。今相手がナッツならここでアニメの知識で場を盛り上げられるのだが相手が現代社会の女子なら通用しないだろう。今はサブスクでアニメが身近になっているとも聞いてはいるが一般人が見るものとしてまずまず00年代以前のものはないだろう、というかセル画と言っても通用しないだろう。つまりアニメはアニメでもジャンルが俺と世間の人とでは違うわけでありまた同じ趣味であるものと会ったとしてもそれは俺と同じような外見をしたやつしかありえないわけであり目の前にいるのはモデルにもなった美少女であるからにして俺は相手から話題を振られるまでは答えは沈黙状態なのであった。「………」「………」「………」「………ってぷはーもう限界」ん?なんだろう。俺の美貌に恐れ入ったのかな?ずっと見つめ合ってたわけだしな。「こんなキモい顔とずっと向き合ってるなんて目が腐るわ!」絶句だった。「なにその顔?あんたもしかして自分がかっこいいなんて思ってたの?バカじゃないの、そんなキモオタ丸出しの顔でさ。」ここまで男心を傷つけておいてくるみはさらに肩を怒らせ顔も怖い顔になっていきながら「私保健室での事未だに許してないんだからね!」と怒鳴る。いやいや怒鳴りたいのはこっちなんだがな、モデルさんよ。なんか言い返さなければこっちの面子に関わる。相手をあおるには若干の事実を付け加えればなおよし、と言うかリアルに「保健室の事ってなんだっけ?」と疑問を呈した。くるみは信じられないという顔をしながら、しながら、何も言ってこなかった。え?俺の鼓膜は騒音受け入れ態勢に入っていたというのに………ついに母性に目覚めたのだろうか。そりゃそうだよな、あんだけ人を怒鳴り散らせば冷静になって怒鳴られた人の立場になって考えもする。そしてそのうちその思考から生まれた考えは巡り巡って母性へと変わる、そしたら世界にヒステリックな女性は消え、アクシズ落としはなくなり俺も某グラサンノースリーブ男も世界中の男子全員ハッピーということだ、ちなみにマゾヒストは入れていないよ…なんてそんなことがあってたまるか。ほら見ろ自分。彼女泣いてるじゃないか………ん?泣いてる?え、泣いてる?泣かせたのは誰だよ全く。キョロキョロ。あれ、おかしいぞ人どころか幽霊さえいない、ドッペルゲンガーでなく人なぞそうそういない。ということは俺ですか、泣かせたのは。「またオレ何かやっちゃいました?」せっかくのなろう主人公なので言ってみたが「バカ!」バチン!ポチャン………罵声とビンタと誰かの涙であった。いやかっこよく書かれてるけど実はくるみのビンタが痛すぎて思わず涙が出ちゃったってのは内緒な。バタン!と勢いよくドアが閉められる。そういえば女の子に暴力されるのも最近増えてきたな。ナッツといいくるみといいなぜ手がでてしまうのだろう。人間は対話と言う手段があるのにな、全く。しかしふーやれやれ。鈍感系主人公になるのも一苦労だな。このビンタでかなり懲りたのでやめようと思う。俺は嫌なことがあったら寝るタイプなのでもう一度寝ることにしよう。丁度ベッドと密接している壁の高い所に窓がありそこから覗かれる月は連想ゲームを俺に強要してくる。なんせ月と言ったら竹取物語、現在進行形で俺の置かれている状況は月ではないが空の上の高い所に彼女がいる。自然と今頃ナッツは俺を探しに地上へ向かってきてるのかなとか家でもう俺の事は諦めてすやすや寝てるのかなとか考えたりとまるで俺は平安時代のよもすがら彼の事を考える貴族の娘のようだった。俺はその妄想による一番最悪なケース、あっさり捨てられ今頃ナッツはすやすやであるというので脳内パニックになりかけたところで団子もないとまともに見て楽しめるものじゃない地球の周りを廻る衛星から寝具へと目を移し体もそこへ移しボフンとダイビング。当然受け止められるのであるが精神的にはどこか過不足なままだった。てことで神様に頼ろうと思う、おーい神様ー!「な、なんじゃ」とかすれ声で俺の脳内で応答してくる神様だったがなぜか電話のように神様の近況が騒がしいのがわかる。なんだろう。「そ、それはな、お主がこの脳内通信に慣れてきたからじゃ。うわっ!っとこんなことを話している暇はなかったのだった!いかんいかん。いま妻とけんかしていての、ほんとを言うとワシ妻とはソリが合わんのじゃよ。でもあっちがよってくるもんだからしょうがなくいてやったが限界での丁度一人お主がかわいそうに下界で一人路頭で迷っていたのでそれを言い分に妻から離れてたのじゃよ。すまんな」と気軽に衝撃の事実を打ち明けられコメントに困っていると続けて「さっきまで神様専用キャバクラにいたんじゃが見つかってしもうての、そこで天使に預けてるって言ったらそれで人間の面倒なんかいいじゃないといわれてしまっての、反論できずにそのまま今現在妻とバトル中じゃ。おそらく負けるじゃろう、なにせ妻は七福神の娘じゃからな。ということで負けたらもう二度と下界には降りるなと言う条件でのバトルフィールドでの、逃げたらワシ神様じゃなくなるんじゃつまるところもう詰み状態なんじゃ。てことでなんの縁か偶然紹介してやったウォールナッツにこれから面倒見てもらってな、いやというよりその娘が原因でこうなったのかの、ふっふっふワシもボケたかいの!はっはっは、ぐはっ!」とうめき声を残しそのまま神は脳内通話を閉じた。なんだったんだ。何も言う暇なく勝手に逝っちまいやがったよ。やっぱり神様でも妻には勝てないんか、女性は強しだなぁ全く。神様でも勝てないんじゃ俺でも勝てるわけないよなってあれなんだか気が楽になったぞ!当初の目的は達成したわけだ?ありがとう、神。なんか貧乏神って設定はどこへ消えたのかそれに名前もいまだ判明せずにいなくなったけどお前の事は忘れない。精神的余裕ができた俺はそのまま二度寝と言う現代社会においての禁忌を躊躇なく犯すことにした。というか俺既に展開にも行ってるし社会的に外れてるな?なのでセーフだな、ムフフ。と一人笑いながら眠りにつくという行為は外のドゴォ!と言う爆音により妨げられることになる。なんなんだよ全く勘弁してくれよ。ベッドの上プラス爆音には苦い思い出があるんだからさ。俺は深夜テンションで調子に乗ったあの時の苦々しい気持ちを胸に部屋を出た。部屋の外では未だに野菜の名前の異星人が出てくる某人気漫画さながらの特大戦闘音を放出中だが対照的に家の中はひっそりとしていて生活臭もせず生気がまるでない。外のアトラクションのような音がなかったらひよってドアをそっ閉じしていたかもしれないくらい不気味である。ギシギシと歩く音。家の床からきしむ音がするなんて程おんぼろな家には見えないのだが本当にここはお化け屋敷かよ。玄関が見えてきてそこの曲がり角からいきなり謎の人物が突如現れる!………こともなく自然に玄関から外に出る。くるみ情報によると親がいるとのことだったが幽霊はいるかもしれないが人間のいる気配はまるでなかった。離れでもあるのかね。すこし歩いてみよう。じゃりじゃり。ん?思えば地面が砂利だな、なんでだろう。俺は周りを見渡してみるも不思議な景色と言ったら自然すぎてわからないくらい堂々と目の前に立っていた鳥居ぐらいであった、ぐらいであった………ってここ神社かよ!やけに静かで謎にくるみが巫女服のコスプレしてるなーなんて思ったらそういう事か。俺がアニメとかゲームとかで巫女服見慣れすぎてるからかなんとも思わなかったぞ、やはり引きこもり帰宅部はこういう非常識な考えに陥ってしまうものなのかと一人自己嫌悪に陥る。しかし無理して部活やって危機感勝手に持ったって心労がたまるだけなのだよなと心のリスカをペロペロしていると「キャッ!」と女性体が飛び込んでくる。なんだなんだ、遠目から見ようと必死に音のない方へ行っていたのにもうここまで来たのか。巫女服の女の子か、くるみか?なんて思っていたら違った。黒髪清楚のロリっ子、なんちゃら症候群が流行っているとある豪雪地帯の村にいる例のあの子が現実世界に現れたのかと錯覚したくらいにそっくりであった。にぱーとか話すのだろうか?期待して待つ、待つ……って気絶してるじゃないか!なんだよもう、せっかく介抱してあげたよアピールができないじゃないか。まあ良いか。どうやらこの子以外も戦っているバトルロイヤルのようなのでこの子を俺の寝ていたベッドまで連れていくとするか。ガキン!ガキン!わお、目視できるほど近いぞ戦いが。まずいまずい、さっさとくるみ宅へ舞い戻らなければ。じゃりじゃりじゃり、バタン。砂の音が巻き添えを食らいたくない必死な俺の鼓膜によく響いた。周りの環境音の方がさらに大きな音だったのにもかかわらず。ギシギシ、バタン。ようやく安全圏に入った。しかしベッドが一つしかないな?俺は子供のころ床で一度寝てみて朝の背中の痛さのと言ったらたまらなくそれ以降トラウマになっているためいくら愛するレディーであっても寝床を床に移すわけにはいかない。しかしながら当然突然異世界転生して虚無の使い手に藁で寝ろと言われたら喜んで寝るけれどもそれとこれとは話が別だ。ここはライトノベルの世界ではない、なろう小説の世界なのだ。俺は立場をわきまえてるわけであり現実を見ている。けれどもそんな苦しい思いを他人にましてやか弱いおにゃのこに共有させるほど俺は鬼畜王でも勇者でもない。さらに布団は一個しかないのであるしいくら初夏の気候と言ってもまだまだ気温は十℃前後、ここは寒冷地北海道なのであるから寝る時には当然なくてはならない必須アイテムだ。結論、俺は添い寝することにした。起きた低めのボイスで椅子を振りかぶってばんばん俺にたたくような凶暴な真似はせんといてねと黒色だけれどもちょっと紫がかった綺麗なまだ名も知らぬ子の頭をなでながら抱き枕の要領でその子をハグすると鼻孔に心地よい花の香りが舞い込みそのまま眠りについた。




