くるみの憂鬱と危機感
私は黄昏れているのだろう。それはなぜかというととあるクラスメイトの男子がいつしか行方不明になったから。心配の気持ちで胸がいっぱいなはずなのにこの痛みは何だろう、このズキズキと痛む胸の痛みは何だろう。きっとそれは不整脈、そうこれは不整脈。改めてその男の子への気持ちの再確認をしながらスーパーへと足を運ぶ。お母さんに頼まれたのはカレーライスの材料だけだったんだけど、あれ?お使いに頼まれてないものまで持ってなきゃならないのかしら。一瞬カラスかと思ったその黒い影は夕焼けを背景に風の切る音が擬音語となって私たちの住む町を覆うんじゃないかってくらいの速度で私の元へ落ちていく。怖いという感情は私の余分にある視力により助けなきゃという気持ちに転換した。私の眼がとらえたものは例の行方不明のクラスメイト、私が四日前に保健室でからかった男の子、まぁビンタしちゃったけどね。それなりの友好関係は保ってるはず。助ける義務はあるはずだ。おっと、すでにもう風の切る音が聞こえるくらいの近さまで来ている、受け止めなくちゃ。そういって私は先祖代々天使の力が宿るといわれている秘法を使い受け止める。ドスン!音が遅れ、そしてその音の発信源は地面のめり込んだ音だった。まったく私がこんな天使の素質を持っていなかったら死んでいたところだったわ、ってあれ?この感じ、天使のパワーだわ。レン、なんでなの、まさか死んでいるの?いや、しっかりと質量はある。でも天使の力に触れるなんて死ぬようなことでもなきゃありえない。なんなのよ、なんなのよあんた。行方不明になったと思ったら空から舞い降りてくるししかもその天使の力の感じ相当な力の持ち主、きっと四大天使にも劣らない、それに女だわ。どんな事しでかしたのよ、まったく。でも、でも、本当に………その後はまるで言葉が浮かばずただ無事だったクラスメイトを抱きしめているのだった。何をやっているのだろう私。感情の奔流の波におぼれていた私はそのあとすぐに危機感を覚える。そういえばレンはこんな天使から下界に落とされていたけれど生きてるのを確認されたらまた降りてきて殺されるかもしれないわ。到底こんな力を持った天使にかなうはずがない、ならばせめて結界を張ってレンをかくまわなきゃいけないわ。まやかし程度ならせめて効くだろうし時間稼ぎになるいい手段。それにレンにもいろいろ聞きたいこともあるしね。ともかくこのままレンを家に帰したりしたら殺されること間違いないわ、まさか家に守護神がいるのでもあるまいしね。私の家に連れて帰ろう、そう決めた私はすぐさまレンを抱いたまま買い物袋はおいていって家へと駆けこんだ。




