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80話 村上たち

 高島と前田が一条さんを賭けて戦うことになった。初めそれを聞いたとき自分の耳を疑った。しかしライオス教官がそれを保証したと聞いて事実と認めざるを得なくなった。

 どうも建国祭の式典を抜け出して王都をぶらついていた前田たちは、なんと町中で高島と一条さんに会ったらしい。そこで10日後高島と戦うことにしたそうな。曰く高島にもチャンスをやる、高島に負けたら一条は諦める、と。ま、そんなことはないだろうけどな、と高笑いしていた。

 前田としてはお遊びのつもりなんだろう。あの無能の高島に負けるはずはない、と。負ける可能性なんてみじんも考えていない。だから一条さんを諦めるなんて言い出したんだろう。勇者になったら一条さんを聖女にしろなんて言い出すぐらい一条さんに執着してる奴だ。負ける可能性がある戦いでそんな賭けはしない。


 友人としては気分が悪い。高島がなめられているのもそうだし、一条さんをモノみたいに賭けの対象にしていることもそうだ。

 

 せめて高島の元を訪れて様子を見たかった。そして激励したかった。しかしなぜか一ヶ月後のトーナメントまで城の外への外出は許されなかった。まさか俺たちが高島の元を訪れるのを防ぐため?それは考えすぎだろうか。

 ともかく激励もできないとなると・・・。俺たちに出来ることはないか。前田と高島が戦うことになったと聞いてすぐ、美穂にも相談した。すると、こう言ってくれた。


「和久くんがトーナメントで前田くんに勝てば良いんじゃないですか?」


 そうだ。そのひと言にはっとした。一条さんが聖女に指名されるのは前田が勇者になったとき。前田が勇者になるには俺たち召喚者どうしのトーナメントで優勝しなければならない。そこで俺が前田に勝てば・・・。明日の模擬戦で高島が負けたとしても前田の野望は阻止できる。


 さて。ではどうやって強くなるか。それが難しい。正直言って、普段の訓練で強くなることは難しいと思う。だって行進とか型の練習しかしていないし。型が美しくなったからって敵を倒せるはずがない。あとはたまに思い出したように、というか前田が言い出したときに少し模擬戦をやるくらいだ。その模擬戦も前田に痛めつけられないように適度に降参するだけのもの。こんなんで強くなれるわけない。それくらい俺だって分かる。じゃあどうするか。

 そこで思い出したのが、高島の話だ。高島は筋トレと模擬戦でトレーニングしてるって言ってたっけ。筋トレはまあ一人で出来るとして・・・。問題は模擬戦の相手だ。誰かいい相手はいないかな。そんなとき、思い浮かんだのは山本だ。


「山本。俺はトーナメントで前田に勝ちたいんだ。だから協力してくれないか?」


「その気持ちは分かるけど・・・。僕が役に立つかなぁ?」


「俺と模擬戦してほしいんだ。人と戦う訓練をするだけでも大分ちがうと思うんだ」


「・・・分かった。僕も高島くんと一条さんのことは心配だから。僕でよければ協力するよ」


 とある訓練の帰り、山本にこう言ったら快く協力してくれることになった。有難いことだ。


「話は聞かせてもらった。うちも協力するよ」


「水野?」


 そこに割り込んできた少女。ギャルの水野愛理だ。


「うちも高島と一条さんには世話になったからね。二人のピンチって聞いたらうちも頑張るしかないっしょ」


 そうやって水野はニカッと笑った。正直、とても有難い話だ。水野はステータスも高いからいい訓練相手になるだろう。 


 そんなこんなで訓練が終わった夜に山本や水野と模擬戦をするようになった。初めはつたなかったが、だんだん見れるようになったと思う。いつも見守ってくれる美穂も、みなさん強くなりましたね、と言ってくれる。もちろんたった数日だから、慢心することはできないけど・・・。でも少しばかりの自信はついた。

 それにしても高島と一条さんのためにこうやって協力してくるとは・・・。俺としてもうれしい。大友先生だって、前田と高島の戦い自体をやめるように前田やライオスに何度も訴えてくれていたし。結果中止になることはなかったが、そうやって行動してくれる辺り、やはりいい先生だなと感じる。


 さて、明日、前田と高島の決闘の日だ。頑張れ高島。お前が勝つのが一番いい。だが勝てなくても俺たちが前田を倒してやる。だから無茶だけはすんな。

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