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第48話 大規模テロ

 レドヴィル達がクラウスに報告出来た頃には爆発騒ぎがあり、それで業を煮やし手順を無視してクラウスに伝え三人でドラブフォルトに報告した。


「なるほど、攻撃の本命はこちらではないということか」

「はい」

「とはいえ私はここを動けん」


ドラブフォルトは警備責任者を呼んだ。


「警察長官は市中で暴徒の取り締まりを、ここの警備は軍に移行する。警察で手が足りないようなら軍は人員を出すように。近衛兵は王宮の様子を確認してきてくれ」

「陛下の護衛は?」

「無用だ。クラウス、お前には私の騎士を貸す。私の代わりに長官に協力して鎮圧せよ」

「はい」


首都防衛軍団が議会警備の補充に来るまでしばらく手薄にはなるが、ドラブフォルトは市中の鎮圧を急いだ。


クラウスを除く全員が指示に従って散っていく。


「父上」

「なんだ」

「私の従者を近衛兵につけてください。私には騎士が護衛につきますから従者は不要です。私の従者達は宮殿で最も襲撃されやすい高価な財宝を持つホーリードールに近衛兵よりも詳しい」

「確かに。クズネツォフと共に行け」


宮廷魔術師と従者達は頷き、近衛兵と共に出発した。


 ◇◆◇


 クラウスは騎士達を率いて襲撃されている銀行へと向かう。

道中で警察所属の魔術師達が市内全域に放送を流した。


「市民達は全員自宅へ戻り扉を閉めるように。現時刻以降、正当な理由なく外出している者は逮捕されます。繰り返します、外出は現時刻から明朝まで禁止です」


西方諸国会議で多くの人が首都に集まり、露店などを出して商機を逃すまいとしていた人々はがっかりして帰宅の道に着いた。

クラウスは騎士とその従者達に指示を出す。


「まだ混乱は広がっていない。早期に摘み取る。いいか、ただの強盗であれば無暗に殺害せず逮捕を優先する。父上が出した命令を理解し、過剰な暴力は振るうな」

「はっ!」

「殿下、銃はお持ちですか?」


警察関係者との橋渡し役として長官からつけられた警官の一人が銃を出そうとしたがクラウスは断った。最新型の片手で持てる拳銃だった。


「心配ない。自分の為に使ってくれ」

「はっ」


クラウス自ら市中を周り、市民を安心させ人々に家路を急がせた。

そのおかげもあって暴動が広がる前に早期に鎮圧され、首謀者が目指した同地多発襲撃による本命、首謀者のカモフラージュ効果は少なくなった。


 ◇◆◇


「魂の解放同盟。エイクの狂信者。獣人解放戦線、終末教徒などが参加している割には死亡者は奴隷商人だけで三名、重傷者10名前後、軽傷者50名前後だけか」


市中での犠牲者は少なかった。

大半は金目当てで爆発物も施設の人のいないところで使用されていた。


「逃げた奴隷や獣人が今後被害を拡大する可能性があります」


夕方になり、騒ぎが収まって安心したが護衛騎士はまだまだ気を引き締める必要があると注意した。


「そうですね。父上には長官から報告が行くでしょうが、これ以上騎士達を借りていていいのか確認します。我々はいったん引き上げましょう」

「はっ」


日没以降は闇討ちを警戒してまとまった数で行動する必要があるし、明かりも用意しなくてはならない。クラウスはいったん対策総本部になっている議会へと戻って父に報告することにした。


 ◇◆◇


「長官からも聞いている。よく犠牲を最小限に留めた」

「はい、連中の目的も人的被害を出す事ではなかったようです」

「そのようだ。美術館などから持ち去られた物を捜索するのが面倒だよ。まったく」


暴徒による経済的被害が各所で多数出ていて、金銭的価値の高いものばかりではなく生活用品なども略奪されていた。


「ま、それはいい。騎士達は夜間装備を用意して休憩を取り、出動要請にそなえよ」

「はっ」

「父上、王宮はどうなっていますか?」

「壁や門に爆発物がしかけられ、何ヵ所からか暴徒が侵入した。現在も戦闘中だが、ただの民間人で随時征圧されている。こちらはかなり死者が出ているな」


王宮に踏み込んだ暴徒については兵士達はさすがに容赦しなかった。


「父上」

「わかっている。ホーリードールも襲撃を受けて今、詳しい報告を待っている」


しばらくしてその報告が来た。レドヴィルだった。


「殿下、陛下!ラクナマリア様が・・・!


レドヴィルにしては珍しく血相を変えていた。

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