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第46話 西方諸国会議

 東方圏に習って西方圏でも全国家を招集して定期的に会議を開くようになった。

主催者は西方の大君主ドラブフォルトであり、エスペラス王国で開催されている。


新帝国歴1434年末の今回は特に重要な問題があり、国王達だけでなく、出来るだけ多くの有力者を招いて開催された。


「我々の弱みは数が少ない、土地が狭いと言う事だが、強みもそれだ。東方は全国王に連絡が行きわたるまで一年かかる。だが我々は一ヶ月で十分だ、しかも帝国の転移陣を経由する必要がない」


全国家が海と接しているので帝国軍駐屯地、白の街道を通過する必要がない。


「さて、諸君に集まって貰ったのは最近貧富の格差拡大を原因とする民衆の不満からテロが多発している件だ。市民戦争から半世紀が経ち王侯貴族は再び傲慢になった。貴族に成り代わった富豪もそうだ。昔の反乱対象は貴族だったが、今は富豪や銀行などにも攻撃が及んでいる」


食糧庫や田畑を襲撃するような昔ながらの野盗集団は減り、現金や換金可能な装飾品、美術品の盗難事件が増えた。


「貴族も平民も一体となって帝国の経済力を追い抜こうと必死に復興に努め、成果は得られたが再び我々は分裂しようとしている。外国への投資拡大は一息ついて内部の不満解消に今後十年の重点を起きたい」


会議には王族だけでなく一定の資産を持つ平民も招かれている為、ドラブフォルトは直接彼らにも訴えかけた。


「また、奴隷の件だがこれも東西格差の拡大に結びついている。奴隷の死亡率が高い地域は国民全体の生産性、衛生状態も悪く悪循環となっている。我が国と商工会は改善を進める国については積極的に融資を行う用意がある」


格差解消の為に自分達も負担を分かち合うと宣言し理解を得た。

従者達は連れてこれないし、自分に発言権は無いが、水を注いだり書類を用意する侍従役としてクラウスもこの会議の内容を聞き、諸侯や富豪達にも同意を得られている事に満足した。


 ◇◆◇


 会議中、従者達は別の場所で待機していたのだがそこへ朝から何処かへ行っていたレドヴィルがやってくる。


「なにやってんだよ、お前」

「いやさちょっと変な話を聞いて」

「変な話?」

「ああ、テロの噂」


ちょくちょくストライキやデモに参加しているレドヴィルは仲間からそんな話を聞いた。


「テロの警戒は十分やってるだろう。今更何を」


諸国から王侯貴族以外にも重要人物が集まっているので王国議会の周辺は警備がかなり厚い。王宮では手狭なので今回は議会を借りて開催している。


「いや、どうも対象はこっちじゃなくて金目当てらしい」

「金?」

「金持ちの家とかさ。で、どうも誰かが扇動してるっぽいんだよな。昨日の夜になって急に話が来たらしい。お前の所もやらないか、みたいな」

「カモフラージュか」

「騒動が起きたチャンスに同時に襲撃すれば手が回らなくて皆、成功するって。警備はここから離れられないし、警察じゃ手が足りなくなるからってすぐに軍も動かせないし」


同時多発的に発生する富裕層を狙った強盗事件と政治的なテロかクーデターかすぐには判別できず、軍は任務外なので国王の命令があるまで動けない。


「便乗犯が増えそうだな」


まともな組織はそんな急な話に乗らないだろうが、普段から不満だらけで組織とはいえない不平分子の集団は違う。


「俺は止めとけっていったぞ。王宮も狙われそうだし、非合法活動で逮捕されたくないし」

「王宮も?」

「後宮に凄い財宝が眠ってるって噂もあったし」

「ラクナマリア様の事じゃん!」


カランは駆け出した。


「おい!」

「マナールは殿下に報告、他は来い!」

「ばっか、俺達だけで後宮に入れるわけないだろ!」

「うるさい!」


マナールとレドヴィルが報告に行き、アフドだけカランについて行った。


「大丈夫、そういう話ならもう来てるから。いちおう各宮殿に十分注意するように見回りを出してます。直接訪問したいなら殿下と一緒にね」


後宮を守る女性兵士は面識があってもカランを通してはくれず、クラウスに報告に行ったマナール達も同様でどちらもなかなか取り次いでもらえない間に爆発が起き、それは連鎖的に市中に広がった。


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