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10 白創の古


「レオル様、サポーターへの応募が百名を突破したそうです。また面接をしますか?」


 レオル達は酒場で昼食を取りながら今後のパーティの方向性について話していた。


 先日アッシュが加わったことで、パーティメンバーは四人。残りは一枠となる。

 サラダを口に運んでいるルリエの問いに、レオルは首を振る。


「いや、サポーターはまだ待とう。その前にクエストをこなして、このパーティに足りないものを見つけたい」


「五人目はその不足を補う人を選ぶってことね」


 とチトセは納得したようにうなずく。


 非戦闘員の五人目は、補助魔法を使うサポーターか、回復魔法を使うヒーラーが一般的だ。

 レオル達のパーティは防御力が非常に高いため、ヒーラーよりはサポーターを優先すべきという考えで全員一致していた。


 しかし、サポーターは言ってしまえば何でもありの役割だ。それぞれの専門分野を活かして味方を補助することができれば、どのような職業の者でもギルドに登録することができる。


 そのため玉石混交で人数が多く、レオル達のパーティへの応募は殺到している。


「まずはこの四人でパーティ登録したいんだが、登録する為にはパーティ名が必要だ。俺はあまり得意ではないんだが、何か案はあるか?」


「白や銀や青など想像しやすい色を入れるのはどうでしょう」


「いいと思うわ」


 その後、四人であれこれと話し合い、パーティ名は『白創の古』になった。

 真っ白な歴史の一ページに伝説を創り、古となるまで名を残す。そんな意味を込めていた。


 ギルドに戻るとパーティ登録し、さっそく受付嬢に受けられるクエストを確認した。

 レオル達の求めた条件はそれなりの難易度があり、時間の制約が短いもの。


「それなら丁度いいクエストがありますよ。白創の古の皆様にご依頼させていただきたかったのです」


「俺達に?」


「はい、レオル様は二度も魔物を倒した実績がありますので」


 受付嬢の説明はこうだった。


 レオル達が魔物を倒した後、鼻の良い特殊な冒険者が似たような魔物の匂いを近辺で嗅いでいるという。


 街にまた魔物が現れた場合、対抗する手段が無い為、その匂いが消えるまではギルドに常駐し、緊急時には戦って欲しいとのことだった。


「もちろん、報酬は一線級パーティの基本額をお支払いしますし、その間のギルドでの飲食や寝泊まりも無料とさせていただきます。緊急時にギルドを防衛していただいた場合は、狩った魔物や怪物に応じた追加報酬も出させていただきますよ」


「悪くないクエストだな」


 飲食寝泊まり無料であれば金欠を回避できるし、その間にパーティの細かな動き方や互いの能力の詳細について話し合うことができる。


「慌てることはありませんからね。ゆっくり活動を始めるのもいいと思います」


 満場一致で、白創の古はしばらくギルドに滞在することとなった。


 その後、レオル達はギルドの下で寝食を共にし、戦法や連携を共に考え、ギルドの方向性について議論を交わし、互いの冒険や故郷の話などについて語り合った。


 短い時間ながらも戦術は固まり、レオルはかつて在籍していた『碧撲の徒』よりも強いパーティになるような予感がしていた。


 そして三日ほど経った頃。


「あの、白創の古の皆様。私と一緒に来ていただけますでしょうか?」


 食事を終えて団欒していたレオル達に、受付嬢が久しぶりに声をかけてきた。


 三日間何も起こらず平和だったため、クエストは終了だろうかと考えたレオルだったが。


「魔物が、レオル様を呼んでいます」


 その言葉にレオル以外のメンバーの表情に緊張が走った。

 

 最強の人類の敵とされる魔物には知られざるランクがあり、人に近いほど強いということだけは判明している。


 レオルを連れてこいと言葉を発したのであれば、アッシュ加入前の三人で倒した魔物より格上の存在であることは間違いない。


 さらに、レオルを名指しで指名しているということは、先日倒した魔物の敵討ちの可能性が高く、レオルに対して何らかの対策をしている可能性もある。


 レオルは先日の戦いでは使用可能な技の五パーセントも見せていないため、自身の対応力が魔物の準備を上回っているだろうと考えた。


「問題ない。案内してくれ」


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