ハイジーナ処理世代のヒーロー
有紀はほんとうは独身の若い男と付き合って仕事を頑張りながら少しでも条件の良い男との結婚を夢見る女の子でいたいと思っているのに、
男に頼らず自律した人生を送っている子供を産むこともしない40代の美しい女に強く憧れている。
ところがバーテンダーのバイトをしている大学生タケシとの関係は忘れていた有紀の素直な想いを沸き立たせてしまい、有紀の心を動かしてしまったようだった。
タケシが有紀について驚かされたことは有紀の美しい裸体の肌質だけではなく有紀が10歳の女の子のようだったことだ。
これまでタケシにとって身近な女性は母親だけだったから、目の回りの小皺やウエストとは言えないお腹に膝の上のたるみと横ジワみたいなものが全く無い有紀の若い身体と、首から下に全く毛がないことにも驚いた。
毛だらけの裸のタケシが驚いていることを察したエステティシャンの有紀が解説してくれたのは、
海外のセレブや若い女の子達と同じように日本の女優やモデルはたいていハイジニーナ脱毛を受けているということと、日本でもこのような脱毛は普通になってるということ。
さらに裸の有紀が語る、女のデリケートゾーンは本当は蒸れやすくて不衛生になりやすい部位だからアンダーヘアが無ければ清潔さを保てるの、というところは絶対に聞かなくて良かったとタケシには思えた。
余計な話も沢山しなければリアルで女の子とは抱き合えないんだと知ったタケシは、ちょっと面倒だなと感じたことでこれまでの自分よりちょっと大人になった気がして、大人になるということは分別をつけていくための経験を増やしていくことで、妖精のように美しい女の子がワキガだという事実があっても動じないこととかだ、と思った自分が可笑しくて「カルペ·ディエム」のバイトで知り合う女性達との会話から出来る限り人生のまだ知らないいろんなことを学びとることにした。
タケシは次のバイトの定期ミーティングで片瀬に聞いてみたいことが出来たのだが、なんと言えば良いのかがわからなかった。
月に一度、店を開けるために出勤するより20分早く集まって客とのトラブルの芽がないか、客のプライバシーに入り込まない範囲でのシンパシーの示しかたはどうすべきかなど、バイトスタッフが相談したいことについて精神科医の片瀬のアドバイスを聞くのも心理学部のタケシにとっては興味深いことだった。
タケシが聞いてみたいことは却下されそうなプライオリティの低そうな疑問だった。
’女性のハイジーナ処理へのこだわりについて、年代別には、どうなのか…?‘
実際令和の日本では、
人生を楽しむための欧米女性達とは違って、介護を受けやすくするるために高齢女性達の広い年代でハイジーナ処理することが増えてきていることを若いタケシは知らない方が良さそうだ、スベスベでなくてトゲトゲの衛生上処理は。