パクッ
ううう……ここはどこだ。
俺は生きて……いるのか……?
吹出す炎の中で力尽きて倒れたと思ったのだが、体からは先ほどの熱がどんどん引いていく。
天国へ上る時ってこんな感じなのだろうか。
「ウンギャ」
「……クレージドラゴ―ン?」
ゆっくり目を開けるが……辺りは暗い。真っ暗だ。だが、確かにクレージードラゴ―ンの声が聞こえた気がした。
「ウンギャ」
聞こえたというより、声が周りから聞こえる……かなり大きな声で……。
「も、もしかして、お前が俺をくわえて助けてくれたのか――!」
――やわ噛みも覚えたのか!
「ウンギャ!」
「あ、ありがとう……クレージードラゴ―ンよ」
アホドラゴンなどと言って悪かった――。目から涙が止めどなく溢れた。首から上は……。
「カーっぺ!」
ガチャン、カラカラ……。
……。
思いっきり地面に吐き出されて転がった……。そんなにマズいの俺? 体にはクレージードラゴ―ンの唾やヨダレがべっとり付いている……。
唾とヨダレ……いったいなにが違うのだろうか……全身唾臭い……。
「おおっと!、デュラハン、無事だったのか!」
「心配させやがって!」
ソーサラモナーとサイクロプトロールが微妙な表情で両手を出し、引っ張り起こしてくれた。
死にぞこないとは……俺のことなのかもしれない……。全身ヌルヌルだ。
「もう、本当に死んだかと思ったじゃないの! バカバカバカ!」
サッキュバスが鎧の胸の部分をトントンと叩く……。
「泣かないでくれサッキュバスよ」
……勇者にキスしようとして追い掛け回していたくせに。
辺りを見渡すと火の吹き出しは止まり、周りの火事も消し去られていた。
「火の吹き出しが止まった瞬間に俺の『凍えるようなボケ潰し』で周りの火は全部消え去った」
……たまには役に立つようだ。
「原油の吹き出し口は大きな岩で栓をして、封印を施したから二度と地上に吹き出すことはないだろう」
サイクロプトロールの顔や体も原油で真っ黒だ。汚れ具合が……凄く強そうに見えるぞ。やはり巨漢のサイクロプトロールはこうでなくてはいけない。
「……封印を施したと言ったが、どんな封印なんだ」
「ああ」
ソーサラモナーが笑いながら答える。
「クレージードラゴ―ンの糞が岩の上にタップリ掛かっているのさ」
糞って言うな――糞って! せめて上品に……アッパと言って欲しいところだぞ。
「冷えればカッチカチさ」
「……そうか。なら安心だ」
誰も触りたくないだろう……。
読んでいただきありがとうございます!
ブクマ、感想、ポイント評価、面白かったらレビューなどもお待ちしております!
身近にできるCO2削減を考えて実践しましょう!!
決して無理はいけません。人はCO2を排出しなくては生きていけないからです。