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異能ゲーム部精霊戦争  作者: Rink
9/9

#8合宿〜一日目〜(其の四)

大広間に園崎の声が響く。

「強すぎんだよ。勝てるかよこんなの。」

その横で花咲と篠原も頷いている。

「そんなにか?」

「そんなになんだよ!」

そこまでではなかったと思うが。

「まぁ。今の状態なら神城君一人対四人でも互角以上なんじゃないかしら。」

そこまでなのか。

「こんなの勝負になるわけねぇだろ!」

園崎はまだ叫ぶ。

「光ちゃんの力もあったから勝てたのよ。」

棚田がフォローする。

「とりあえず、貴方達の力は見せてもらったわ。この合宿で強化しましょう。」

合宿だし、やはりそういうこともするのか。

「今日はここで終了しましょ。夕飯もあるし。」

「「「「「賛成」」」」」

花咲以外の声が重なった。

階段を上がり、リビングに向かう。

「ところで夕飯ってなんなんだ?」

「カレーよ」

「おー無難なチョイス」

「準備してくるわね」

みんなはリビングに入る。だが俺はキッチンに向かう。なんとなく心配だった。

「あれ?神城君リビングに行ったんじゃなかったの?」

「いや、なんとなくな」

「そう?これ見てよ!いい感じでしょ?」

キルはドヤァというように鍋を見せてくる。

「お前、これ最早スープカレーじゃねぇか!水入れすぎだ!シャバシャバじゃねぇか。」

「そう?普通じゃない?」

カレーからとろみが消えていた。というかほとんど水分だった。

「まぁ。お前がいいならいいんじゃないか?」

「嫌な言い方ね。そうさせてもらうけど。」

キルがカレー?を盛り付けていく。

「運ぶの手伝うよ。」

「ありがとう。」

俺たちはダイニングにカレー?を運ぶ。

「呼びにいきましょう。」

「そうだな。」

俺たちはリビングに向かう。

「飯できたぞー。」

今更だがこの家広いな。でもリビングとダイニング離さなくてもいいだろ。

そう思いながらダイニングに入る。

全員が席につきカレーを見て

「えっと、スープカレー?」

と声を揃えた。

「え?普通のカレーライスだけど?」

「キ、キルが言うならそうなのね。さ、さぁ食べましょう!」

「なんか貴方達嫌な感じね。」

「「「「「「「いただきます!」」」」」」」

食べ始めると味は悪くなかった。

「美味しいな。」

「そうね。」

「そうでしょ。」

「まぁでも、もうちょっととろみが欲しいな。」

「確かに。」

「れ、練習すればいいんでしょう!」

キルはらしくもなく恥ずかしそうに叫んだ。


食べ終わると全員でテレビゲームをした。

花咲が強いことが分かったが、予想通りとも言えた。


「さぁ、お風呂に入りましょう!女子全員で!」

「そんなに人数入れるのか?五人だろ?」

「大丈夫よ。うちの風呂広いから。ただ男子覗いたらどうなるか分かってるわね!」

「覗かねぇよ!園崎じゃあるまいし。」

「俺も覗かねぇよ!」


女子が全員風呂に入った。

最初は園崎と話していたがネタが尽きてきた。

「スマホ取ってくる。」

「おう。」


俺は取りに行く途中で問題に気づいた。

リビングと部屋の間に風呂がある。


部屋に着き、スマホを取って帰る。

ちょうど風呂のまえを通った時。

ガララッと音がして、そちらを見ると、パステルイエローの下着を着た棚田がいた。

「うわぁぁぁぁぁ!」

「キ、キャァァァァァァァァァァァァァ!」

俺たちは叫んだ。

俺が自分で目を閉じるよりも早く、棚田の腕が俺の首に入った。

俺の視界は暗転した。


目を開けると、鬼の形相をした女子が並んでいた。

「目が覚めたようね。言い訳を一応聞こうかしら。」

「スマホを取りに行った帰りでした。」

「スマホで撮りに行った?確信犯ね。」

「を、だよを!で、じゃなくて、を!」

「麗の下着姿を見たでしょう。」

「そうですよ。神城君の下にあるいらない棒切れちょん切って明日の燃えるゴミに出しましょう!ハサミ持ってきます。」

「篠原お前怖すぎるよ。マジでハサミ持ってくんなよ!」

篠原の意外な一面(正直知りたくなかった)が見れた。

1時間半に及ぶ必死の弁解でどうにか分かってもらえた。

風呂に入ったが。篠原の笑顔が瞼に焼き付いて休めなかった。あれは人を殺せるな。


風呂の後少し話した後全員寝ることになった。

「絶対覗かないでよ!」と棚田に念を押された。

覗いてなんになるんだよ。

まぁ俺は覗く時間も無いだろう。

覗かんがな!


全員が寝静まってから俺はリビングに行った。

「なんで光が知ってるかだったな。」

「そう。」

先に来ていたキルが答える。

「光は生まれた時からあの能力を持っている。」

「え?それっておかしくない?なんで生まれた時から能力を持ってるの?」

「その気持ちは分かるが、俺たちにも分からん。」

「そうなの。」

「続けるぞ。」

「どうぞ。」


「光が六年生になった時、あいつは精霊戦争に巻き込まれた。」

「あいつのチームは初戦で虐殺された。」

「光の能力で心の声が聞こえてくる。助けて、死にたくない、と。」

「光は生き残ったが戦闘不能と見なされた。」

「記憶の消去も行われず、光はその記憶の中で苦しみ続けた。」

「今ではだいぶマシになってはいるが。」

「光のチームの友達は次の日から記憶をなくして過ごしていた。」

「光は不登校のままだ。俺はこれを機に元に戻って欲しい。」


「そうだったの。」

「まぁ、今では大丈夫らしいからな。気にすんな。」

「明日からは能力の特訓に入るから。」

「了解。お休み。」

「お休み。」


光のことを言うのに抵抗が無くなってきた。俺もマシになってきているのだろう。

俺の意識は遠くなっていった。


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