救世会編21
「はぁ、仕方ねぇな」
「すいません。私の我儘に付き合わせてしまって」
「いいよいいよ。で、道具屋についてだったよな」
「お願いします」
「風紀委員専属のサポーターがいることは知ってるよな?」
「はい。風紀委員活動のサポートをするという条件で、事件への関与、武装デバイスの所持が許されている人達ですよね」
「そうだ。サポーターは何人もいて、その専門分野ごとに呼び方が違う。俺みたいに情報を集める‘情報屋’。武器デバイスの仕入れ、調整を行う‘武器屋’。風紀委員の監視下のもと、風紀委員の仕事を戦闘面で手助けする‘喧嘩屋’。作戦に必要なありとあらゆるものを用意する‘道具屋’。サポーターの種類は大まかに言えばこの4つだ。他にも何個かあるけどな」
「あらゆるものを用意する・・・ですか。それはまた便利ですね」
「そうだな。けど、道具屋の人数は少ないし、金も結構かかるからそう気軽に頼めねぇんだよ」
「お金取るんですか!?」
「当然。俺達みたいなサポーターは、決してボランティアで動くことはしない。働いたら働いただけの代価はもらう」
「けど」
「間違ってるとは言わせねぇぜ。働いたら働いた分だけの報酬をもらうのは社会の常識だ。地域の安全よりも自分の安全。名誉よりも金。サポーターの大半はそんな奴らだよ。そんな厄介なやつらでも、風紀委員の連中は積極的に俺達を使う。風紀委員のやつらは将来いい就職先に入るための点数稼ぎがしたい。俺達は金が欲しい。需要と供給っていうやつだよ」
「・・そうですか。でも、風紀委員の方々の中には地域の安全を守るため、正義のためにやっている人もいます。見返りなんて関係なく」
「ボランティアの精神っていうやつか?俺から言わせれば、何の見返りも求めず、ただただ善行を積み上げるなんて、それこそ正気の沙汰じゃないよ。気味が悪い。まぁ、気持ちはわかるよ。そういう正義感は誰しも持っているものだと思うし、そういう気持ちに従って行動する人は尊敬できる。けど、思いやりだけじゃ人は助けられないんだよ。本当に人助けが上手い人っていうのは、そういうやりきれない現実と正面きって向かい合って、それでも人を助けるようなやつだよ。もちろん、自分を犠牲にするなんて、そんな間抜けなことを考えもせずにね」
「・・・」
「話が逸れたね。俺から話せるのはこんくらいだけど、他に聞きたいことはある?」
「・・ないです」
「そう。後1時間くらいで着くから、それまで四亜ちゃんも寝てていいよ」
忍のその言葉を最後に、車内での会話がなくなる。なんとも言えない微妙な空気になっているが、どうこうする気は俺にはない。忍と似たような価値観を持っている俺に、四亜のフォローが出来るはずがない。




