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暁のサラマディオス  作者: sin
EDeN編
5/5

楽園守護

楽園守護


三月末日(まつじつ)(あたた)かな空気が肌に流れる頃。

神園町、日動研の下――エデンガード本部。

待機室には、いつもの顔が(そろ)ってる。

「――――ふーっ……」

スポーツドリンクを(ひと)()みし、陽真は大きく息を()く。

サラマディオスと陽真自身のトレーニングを終え、一息つくところだ。

「やあ、陽真くん。――お疲れ様」

「戌門さん。俺も、強くならないと。ですからね」

 もう一口、ペットボトルを傾ける。

「そういえば、陽真くんにひとつ話があるんだ。」

「話、ですか?」



 面談用の個室で、陽真は戌門と机を(はさ)んで向かいに座る。

「前々から言っていたけど、君は現段階では特別隊員としてここに在席している。それは、知っているよね」

「はい。騎導士になった民間人に対しての一時的措置(そち)、と言ってましたよね」

「うん、そうだよ。もともと民間人だった君は『特別隊員』としてエデンガードならびにEDeNに在席、保護下に置かれる……という形式になっているんだ」

「それって、ある程度目の届くところに置くってことですよね」

「まあ、そうなるね。さすがに騎導獣の力を手にしたんだから、そのまま放ってはおけない。しかし、民間人を無理に従わせることもできない。そういった人を一度『特別隊員』として在席させ、当人の保護観察をするんだ。そして一定期間後までに、特別隊員にある選択をしてもらう」

「ある選択、とは」

「ひとつは、騎導士の資格を捨てて、戦いと無縁(むえん)になること。――もうひとつは、そのまま正隊員として入隊し、戦い続けるという事だ」

「逃げるか戦うかのどちらか、ですね」

「前者の場合は、その騎導士はデバイスとエデンガードとの接触(せっしょく)を捨て、今後一切騎導獣と関わらないようにする。後者の場合は、過酷(かこく)な戦いに身を投じることになる」

「もし、前者の場合には騎導獣はどうするんですか?」

「騎導獣は一度契約した騎導士が死亡するまで、その契約は消せない。騎導士が戦いから離れた場合には当人の契約が解除されない限り、その騎導獣は封印される。たとえ、それがどれほど強力な騎導獣であろうとも、我々は当人の意思を尊重(そんちょう)する。巻き込んだうえに危険な戦いをさせる訳にはいかないからね」

「では、後者は?」

「騎導士としてエデンガードに加入して、作戦に参加してもらう。その場合、命の保証はできないから、相応(そうおう)の覚悟が必要だ」

「その二つのうち、どちらかを選ぶんですね」

「ああ。――ここからは先は君が決めるんだ。逃げるとしたら、止めはしない。戦うのなら、仲間として歓迎(かんげい)する」

 そう言われても、陽真の心はもう決まっている。

 初めてサラマディオスと出会ったあの日から、その想いは変わらない。

 いや、これからも変わらないだろう。

「……俺は――」

「ちょっと待った!」

陽真の発言を、戌門は(さえぎ)る。

「まだ、答えは言わなくていい。」

「だ、だけど……!」

「――君の心が決まっているなら、もう一度、その答えの理由を考えるんだ。本当に、心の底からそう想えるのか。――――それでも君の心が変わらないのなら、その時に答えを聞くよ」

 そう言い残し、戌門は退室した。

(答えの、理由……)

 陽真は「誰かを護りたい」という願いのもとに騎導士となった。だが――本当に、そうなのだろうか。本当に、戦う必要があるのだろうか。戦う以外の方法だって、あるかもしれない。戦うのなら、後悔はないのか。

戌門の言葉は、そう問いかけるようだった。



「はーっ、はーっ……」

 面談室から出たあと、陽真はひたすら走り込んでいた。考えているうちにどうしようもなくモヤモヤして、それを吹っ切るためランニングに没頭(ぼっとう)していた。

 待機室へ着くなり、陽真はバテた身体を床に転がす。

「おいおい、ヘロヘロじゃねーか。休息もトレーニングのひとつなんだぞ」

 倒れ込んだ陽真を、源悟がひょいと(かつ)ぎ、ソファに寝かせる。

「すい、ません……。ちょっと……」

 息も()()れだ。

 それほど、陽真のモヤは深かった。

 今まで「誰かを護るため」として戦闘を繰り返した陽真。もう決心はした。そのハズだったが、考えるうえで妙な違和感(いわかん)が生じた。

 「護りたい」という気持ちは本心だ。戦う必要も知っている。現にあの選択では「戦う」のほうを選ぶことは、今でも変わりない。

 ならば、このモヤは何なのだろうか。本人にさえ理解できない。

 「答え」は決まっているのに、何故(なぜ)なのか。

 陽真は、その理由を求めていた。

「……」

 陽真の意識は、そのことで集中していた。

 迷い、なのか。それすら(つか)めない。

「お前、大丈夫か?」

「あ、はい。大丈夫、です」

「オーバーワークは体に毒スよ」

 机で軍用機のプラモデルを作っているハクが忠告(ちゅうこく)する。

「わかっては、いるんですけど……」

ふと、陽真はハクに(たず)ねる。

「――そういえば、ハクさん達はどうしてエデンガードに入隊したんですか?」

随分(ずいぶん)唐突(とうとつ)スね……」

「ちょっと、気になりまして」

 んー。と考え、ハクが語る。

「オレは、スカウトで入ったんス。南乃サンも別んとこにいたんスけど、ヘッドハンティングされてエデンガードに来たんス。で、東司令はEDeN本部から、北咲サンは日動研から異動したんス」

「では、ハクさん達はそれでエデンガードに?」

「ここからは人それぞれっスけど、オレは『地球の平和の為に、力を貸してほしい』って言われて、オレの技術を買ってもらったんス。オレはそれが(うれ)しくって、そのまま入隊したんスよ」

「そう、なんですか……」

「まっ、理由は人それぞれにあるんスよ。興味(きょうみ)(ほん)()のひとも、給与(きゅうよ)優先(ゆうせん)のひとも、それだって同じ目標でここで戦っているんス。陽真クンも、そうスよね?」

「俺、ですか?」

「陽真クンにも、その『目標』と『理由』があるから、ここにいるんスよね」

「目標と、理由……」

「そうでなければ、こうやってトレーニングとかはしないスよね?」

「は、はい……」

 ハクの言葉を聞き、陽真はひとつ気づいた。

 自分に求められた答えは「なぜ戦うのか」ではなく、「なぜ護るのか」だ。

 「護るための戦い」は「理由」ではなく「目的」。

 では、「理由」は何なのだろうか?

 今まで人助けは当然と考えていた陽真。それを「当然」で済ませる「理由」が、今回の問いであった。


「ねえ、戌門クン。陽真クンに何か言ったの?」

司令室に入るなり、戌門は朱美に問われる。

「……僕はただ、特別隊員への選択を伝えただけだよ」

「――へぇ、そう」

「あとは、彼の選択次第だ。……彼なら、きっと――。」



(『理由』……)

 「当然」と思っていた事柄(ことがら)に、「理由」を見出すのは難しい。気づいたときには「当然」というのが「理由」に成り代わっているからだ。

 本部からの帰り、ファストフード店でコーヒーをかき混ぜながらも、それを考え込んでいた。

「戌門さんも、難しいコト言うなあ……」

視線は依然(いぜん)とコーヒーの(うず)に向けられる。

「陽真さん、ですよね?」

 ふいに声かけられ、振り向く。そこには、意外な人物が。

「……翔夜?」

「やっぱり、陽真さんでしたか」

「お前、どうしてここに?」

「どうしても何も、休憩ですよ」

 翔夜は陽真の隣の席に座り、アップルパイとジュースの乗ったトレイを置く。

「代表といっても、以外と働きづめじゃないんですよ」

「へぇ……。ってか、翔夜。学校はどうしてるんだ?」

「四年前に大学卒業しましたから、ご心配なく」

「……ほんとハイスペックだよな、お前って」

 駄弁(だべ)りながら、冷めたコーヒーを流し込む。

「翔夜はさ、その代表って役職、自分で決めたのか?」

「半分はそうですね。昔から英才教育で育って、いつか父の役に立ちたいと目標にしてました。だけど、まさか十代のうちにその企業の代表になるなんて、夢にも思いませんでしたよ」

「そりゃ、そうだよな」

「でも、アイジスに入ったのは、僕自身そこに魅力を感じたからです」

「――翔夜は、自分で自分の生き方を選んだってワケか」

「そんな格好(かっこう)いい話じゃありません。ただ単に就職先を選んだだけのことですから」

 話の内容とは裏腹(うらはら)に、アップルパイをかじる翔夜の顔は、(とし)相応(そうおう)(おさな)さだった。


「じゃ、俺の家はこっちだから」

「はい、陽真さんも、また明日」

店を出て、大通りの曲がり角。陽真は自宅への帰路(きろ)へ着く。

翔夜と別れ、左へ曲がりかけた、その時。

「オーイ、ハルマー‼」

 聞き覚えのある、騒々そうぞうしい声――――明だ。

「どーしたの、ハルマ。いま帰り?」

「……そんなとこ」

「あたしもいま帰り。けれど残念だなあ。時間があればとっておきの新情報をお届けしようとしたんだけどなー」

「わかったわかった。春休み明けに聞いてやるよ」

 陽真は騒がしい明を軽くあしらい続ける。下手にのると、おそらく三時間くらいは話続けそうだ。

「それなら、仕方ないっか。……ていうか、そこの子って、ハルマの知り合い?」

 別れ際だった翔夜に、明が気づく。

「あ、ああ……まあな」

「……どうも、羽柴翔也、です」

 翔夜も引き気味に挨拶する。

「へぇ、翔夜くんっていうんだ。あたしは十賀明、ヨロシク!」

「はい、こちらこそ……って、わわっ⁉」

 明は翔也の手を握るとブンブンと振る。勢いで翔夜も揺れる。

「それより、明。なんか急いでたんじゃないのか?」

「――――ああっ! そうだった! じゃ、あたし急ぐから。バイバーイ」

 とんでもない速さで、明は遠ざかった。

「まったく……話し始めて、勝手なやつだよ」

「今の明さんって、陽真さんの友達ですか?」

「ああ、同じクラスでな」

「それに、十賀って苗字でしたけど、まさか……」

「ああ……源悟さんの妹、なんだとさ」

「――どうりで似てると思いましたよ。ホント、嵐のようなひとでしたね」

「嵐、か。――()(たと)えだよ」



()くる日。いつものように陽真はエデンガード本部へ向かう。

昨日中考え通したが、まだ満足な答えは見つからなかった。

今日こそなにか掴めるかも、と思い、今日も自身とサラマディオスの鍛錬(たんれん)に打ち込むつもりであった。

いつも通りの道順で司令室・待機室へ向かい、廊下を辿る。

「こっち……だよ……」

聞き慣れない、()んだ声がささやく。

「こっち……だよ……」

「誰だ――?」

 陽真は声のした方向、左側の廊下を注視(ちゅうし)する。

 そこには、見慣れない少女がいた。

 ()っ白い服を着て、髪は長い。(とし)恰好(かっこう)は、陽真と同じくらいに見える。

「――君は?」

「着いてきて……」

陽真が問いかけると、少女は廊下の奥へと駆けていく。

「待ってくれ――――」

 少女のあとを、陽真は追いかける。何故だか、彼女のことをほうっておけなかった。

「こっちだよ……」

 少女を追うと、まるで案内するように奥へ進む。

「こっち、こっち……」

 追ううちに二フロア降りて行った。そこは確か「研究資材置き場のため、立入禁止」といわれていた。しかし、それでも陽真は止まれなかった。

「ここだよ……」

 少女は地下七階にあたるはずのフロアの突き当りまで行き、そこの扉の中へ入る。

「ここは……?」

 陽真も(おそ)(おそ)る扉をくぐり、奥の部屋へ足を踏み入れる。


「……⁉」

 その光景に、陽真は目を(うたが)った。

 その部屋は、まるで陽の光が降り注ぐかのように優しいあたたかさがあった。

 足元には土や花、木までもが設置されている。

その奥には小さな白い小屋があり、この部屋だけが別の空間のように思える。

「こっち、だよ」

 少女の声だ。小さな家の前に先程の少女が佇んでいた。

 陽真は駆け足で、少女のそばへ近づく。

「やっと、会えたね」

「き、君は一体……」

「わたしは、未言(みこと)。いまの名前は、大庭(おおば)未言(みこと)

「ミコト、か。――俺は竜杜陽真。陽真、でいいよ」

「……陽真、わたし、会いたかった。あなたと、赤き竜の騎導士と」


 その少女、未言は不思議な雰囲気の少女であった。

 とても(やわ)らかく、暖かい。どこか神秘的にも感じられる雰囲気があった。

 陽真は未言に言われ、木陰(こかげ)に腰を下ろす。

「ここ、俺が入ってもよかったのか?」

「本当はダメなんだけど、陽真は特別。……内緒(ないしょ)だよ」

 やはり、彼女の独断のようだ。

「それに、どうして俺が騎導士ってわかったんだ?」

「……グレムリンが教えてくれたの」

「グレムリン? ああ、ドクターのことか」

「でも、それだけじゃない。あなたからは、とても強い心を感じた」

「俺の、心を?」

「うん。熱く、雄々しく、優しい……そんな心」

「そ、そうか?」

 未言の水晶のように(よど)みない瞳は、本当に陽真の心が見えているようだった。

「……けれど、その心の一点だけ、ぼやけている。まるで、太陽を雲が遮るみたいに」

「……‼」

「いま、あなたは悩んでいる。そうでしょう?」

図星だった。

「そう、なんだ。昨日からちょっと引っかかってることがあるんだ」

「わたしでよければ、おしえて」

「……」

 未言は陽真の両手を握る。そして、真剣なまなざしを向ける。

「……俺、誰かを――みんなを護りたいって思って、騎導士になったんだ。昔から人助けが好きで、それまで誰かを助けたい、護りたいって思うのはいつしか当然になってた。だけど、ある人の言葉で気づいたんだ。俺は、どうして人を護りたいのか。その理由が、見えないんだ。ずっとずっと当然だと、当たり前だと思ってたんだけど、違う。それを『当然』と思える理由があるはずなんだ。俺は、それが見えないんだ……」

 なぜに初めて会ったひとに、ここまで話したのだろうか。

 そんなことも考えられないくらいに、陽真は打ち明けた。

「……ゴメン、俺自身の問題なのに……」

「ううん、話してくれてありがとう。――わたしも、あなたのことがわかった」

「俺の――こと?」

「うん。あなたは……陽真は優しくて、勇敢(ゆうかん)で、それでいて――――とても、臆病(おくびょう)なんだね」

「……⁉」

 陽真は未言の言葉に驚愕(きょうがく)した。その一言で、体中に電撃がはしるようにこわばった。

「陽真は、ずっと心にフタをしてたの。人助けをするのは、誰かを失いたくない。誰かの悲しみを見たくない。そう思ったからなんだと思う。だから陽真は『悲しみ』や『苦しみ』を恐れた。そして、その恐怖を閉じ込めて、無意識に考えないようにしたの」

「……」

「だけど、その『恐怖』があったからこそ、陽真は優しくなれた。陽真は勇気を持てた。――わたしは、そう感じるよ」

 その時、陽真に幼い頃の記憶がフラッシュバックした。

 ずっと、思い出さなかった。あの日の記憶――――――。


 その日、陽真は大きな事故にあった。幸い、陽真の家族は無事だったが、その時の光景は、恐るべきものだった。

 黒煙(こくえん)に閉ざされた空。吹き上がる炎。傷つくひと。(なげ)くひと。

 その地獄(じごく)絵図(えず)は幼い陽真のトラウマとなり、陽真の脳はそのことを「なかったこと」として処理し、自分がその当事者であったことを完全に封じた。

 しかし、その「恐怖」だけは身体が覚えていた。それが陽真に「護りたい」という感情を(いだ)かせていた。

 陽真自身がそのことに気づく(すべ)は、まったく無かった。


「そ、そうだ……。俺はあの時……」

 陽真の身体は突然に(ふる)えだす。得も言われぬ寒気(さむけ)におそわれるように。

「は、陽真……!」

 心配そうに、未言は陽真を見つめる。

 しかし、陽真はその震えを、一瞬で消し飛ばした。

「陽真……?」

「……そうだ。俺はあの時、恐怖した。だからって、逃げたくない」

 今の陽真には、恐怖と戦う勇気があった。

「あんなことは、二度と御免(ごめん)だ。だから、俺は戦う。恐怖と、悲しみと、それをうみ出す存在と! ……そうだ、臆病ならそれでいい。俺は、誰かを失うのは、(いや)だ!」

「……よかった。陽真、もう大丈夫だね」

「――ありがとな、未言。俺、お前のおかげで大事なことに気づけたよ。これが、俺の護る理由なんだ……」

「ふふっ。――いまの陽真の心、すごく眩しい」

 陽真と未言、二人で笑いあう。

 そのとき、未言に異変が起きる。

「……‼」

「! どうした⁉」

「……見えた」

「見えたって、なにが?」

「……幾多(いくた)の悪魔が、この地に舞い降りる。この地は、戦場になる……‼」

「――なんだって⁉」

「はやく……知らせないと!」

 未言は家の奥へ駆けてゆく。部屋の内装とは浮いたデザインの通信機に、未言は伝える。

「敵が、来ます……!」


 同時刻の司令室。未言の連絡が、リアルタイムで(つな)がる

「東司令、未言さんからの通信です」

「よし、繋げ」

『応答、お願いします!』

「聞こえている。また予言が?」

『はい……。敵が、来ます……!』

「わかった。では、いま君の感じたことをしっかり教えてくれ」

『……数多くの敵が、ここに来る。――そういうイメージです』

「うむ……。西ヶ丘、高感度ソナー起動。機械屍反応を調べろ」

 高感度ソナーは通常のものより高性能だが常用はできない。

 そのため、切り札として温存される。

「了解ス。ソナー起動、検知開始。……えええっ⁉」

「どうした⁉」

「は、反応あったっス……。出現時刻は推定で今夜0時。数は……およそ、三十体……‼」

「な、なんだと……⁉」

「嘘でしょ……」

 全員、驚愕する。最近二・三体で現れたのでさえ異常事態なのに、今回は三十体。文字通り、(けた)が違う物量だ。

「それに、分布が東西南北の四方に分かれてるス。まるで、ここを囲い込むように……」

「……南乃、神園町全域に緊急避難警告を出せ。この町は、地獄になるぞ……‼」

「了解。町民への避難勧告、自衛隊への支援要請、行います」

(戌門の睨んだ通りか……。何者かが、ここを狙っている……‼)

 エデンガードは、厳戒(げんかい)態勢にはいる。


「三十体だって⁉ ……くそっ!」

「……陽真」

 未言は、陽真の(こぶし)を手で包む。

「未言……?」

「……闘って、陽真。あなたと、サラマディオスの力で……‼ 陽真が、みんなを護って‼」

「……わかった、お前の気持ちは受け取った。――行ってくる!」

 陽真は部屋から駆け出し、司令室へ向かった。

「陽真、お願い……」

 決死(けっし)の闘いの、時は迫る。



 司令室。メンバーが全員集まり、作戦会議を始める。

「よし、みんな揃ったね。――これより、作戦会議を始める」

 マップを展開する。神園町の地図に光る点が多数点滅する。

「聞いての通り、反応を検出した数は……約三十体」

「おい、マジかよ……害虫(がいちゅう)じゃあるまいし……」

「それに、この配置……四方からの同時攻撃のようですね」

「うん。今回の敵の動きは、あまりにも不可解(ふかかい)だ」

「これじゃあ、まるで俺たちに総力戦でも仕掛けるような……そんな量ですね」

 多数で四方より同時攻撃。偶然でこのような事はできないはずだ。

「で、オレたちはどうするんだ?」

「敵の出現地点は、郊外(こうがい)に当たるエリアだ。僕達はそれぞれ防衛線を張り、機械屍の市街地侵入を阻止する。その為に、騎導獣は一体ずつ分かれ、それぞれの方角で機械屍を迎え撃つ」

「それは、一体の騎導獣で複数の機械屍と交戦すると?」

「うん。敵は同時に出現するから、一か所ずつ回っては、手薄になる部分ができる。二手に分かれてもそれは同じだ。だから、少々無謀(むぼう)だが、この手しかない」

 三十対四、多勢(たぜい)無勢(ぶぜい)だ。そのうえこちらは防戦であるため、かなりの難戦(なんせん)だ。

「無論、町を犠牲(ぎせい)にすれば、できない戦いではない。だけど、それじゃあ町民の心も犠牲にすることだ。そんなことはあっちゃならないんだ。――みんな、頼む」

 戌門が頭を下げる。

「――――やりましょう、戌門さん。ここはみんなのかけがえない場所なんだ。俺は、ここを護りたい!」

「オレも乗ったぜ。たかが機械屍の二体三体、駆除(くじょ)してやるよ」

「僕も同意見です。一人あたり七、八体……難しい話ではないと思います」

「みんな……、感謝(かんしゃ)する」

 ふたたび戌門が深々(ふかぶか)頭を下げる。

「では、避難が完了し次第、各ポイントで待機だ」

「了解!」



 数時間後、日も(しず)み始める頃。

「町民の避難率100%。シェルターへの移動は完了しました」

「よし……! 騎導獣部隊、出撃開始!」

「了解!」

 騎導士は一斉(いっせい)に格納庫へ向かう。

「陽真くん、今は……」

「わかってます、『いまは戦いに集中』ですよね? あと、答えの理由は――見つけましたから」

「そうか……!」

「じゃあ、行きましょう!」


格納庫にて、騎導獣のスタンバイ。

「みんな、騎導獣の状態は万全だ。――頼んだよ!」

「ありがとうございます、北咲さん。――行ってきます!」

 陽真は北咲に合図を送り、サラマディオスの背に乗る。

『今回の戦闘は過去にない激戦よ。各員、気をつけて!』

『こっちも全力でサポートするっスよ!』

『全員、勝ってこいよ!』

「……はい!」

 騎導獣のカタパルトが駆動する。発進の準備が始まる。

 それぞれの騎導獣を乗せたリフトが移動。ハッチへと続く。

 ハッチが開くと、沈みかけの()の光が差す。

『ハッチ、展開完了。出撃、どうぞ!』

 出口のシグナルが、緑に点灯する。

「行くぞ、サラマディオス!」

「駆けろ、ケルべラグ!」

「やるぞ、ベヒモッド!」

「飛べ、グリファーズ!」

 四体の騎導獣たちは、戦場へ向かった。



それぞれの騎導獣は比較的自身の得意な地形を選ぶ。

 南部の平地はケルべラグ。

 東部の港付近はベヒモッド。

西部の山岳はグリファーズ。

北部の森林はサラマディオス。

各騎導獣のスペックを活かせる地形だ。

時間は午後十一時五十分ごろ。いつ襲撃するかわからない敵に備え、一時も気は抜けなかった。それまでの時間はおそろしく早く感じた。

いつもは所々についている街灯も消え、投光器(とうこうき)と月明かりだけが照明(しょうめい)となる。

「もう、そろそろか……?」

 気持ちは焦るばかりだった。


「西ヶ丘、レーダーは?」

「反応は通常ソナーでも感知できるレベルになったス。出現予定は変わらずっス」

「隣接区域も、対策は終えてます」

「騎導獣たちも、万全です。……やれますよ、必ず」

「嵐の前の静けさ、か」

「――いいや、これは台風の目だ。我々はもう嵐の中だ」

司令室に入るなり、ドクターは返答する。

「……ドクター、来たのか」

「勿論、これほど興味深い状況を観察しない手はないよ」

「ドクターがここに来るなんて、珍しいスね」

「まあ、大画面で鑑賞したいからね」


『そろそろ予定時刻よ。気を引き締めて』

「――はい」

 陽真も、時刻を確認し、できるだけ見晴らしの良い位置をとる。

『みんな、準備はできてるかい?』

『おう、翔夜の作った武器、使わせてもらうぜ!』

『こっちも、イカロス・ライフルの調整はしました。予備弾倉もセット済みです』

「こちら陽真。いつでも戦闘可能です。」

『各自、敵との長期戦に備えて、オラクルの残量には注意して。』

「――了解」

 サラマディオスもイフリート・ジャベリンを展開し、迎撃体制となった。

『予定時刻まであと3、2、1、予定時刻到達、来ます!』

 時計の針が両方「12」を差し、日付が変わった途端に、異変が起きる。

 長い地鳴りを伴い、銀色の巨躯(きょく)が月光に照らされる。――機械屍だ。

 通常のもの。発光体を複数持つもの。飛行するもの。

 さまざまなタイプで、徒党を組んでいる。

『――戦闘開始だ‼』

 騎導獣は、敵陣を(にら)む。


 南部の平地、ケルべラグの交戦地。

「ようし、見えた」

 ケルべラグの手には対機械屍狙撃銃シヴァ・スナイパーが装備されている。

 端末の照準は、機械屍の中心を(とら)えた。

 イカロスとは違い、こちらは単純なギミックのため、照準を合わせればそのまま発砲できる。

「……今だ!」

 ケルべラグがトリガーを引く。冷気を()びた弾丸が飛ぶ。

 この装備の弱点は、その威力の低さだ。だが、ケルべラグの冷気と戌門の射撃センスがかさなれば、その弱点は()きに(ひと)しい。

 弾丸は機械屍の中心にほんの小さな穴を開ける。核を打ち抜かれた機械屍はその場で静止、自壊を始めた。

「使い勝手は、最高だ!」

 続けて、他の機械屍を捉える。


 東部の港、ベヒモッドの交戦地。

 機械屍の集団は、海から迫っていた。

「そんじゃ、コイツのお出ましか!」

 ベヒモッドが担ぐのは、超大型多連装砲ガイア・ランチャーだ。

 ガトリング砲のように円形に並んだ砲口を、浅瀬の機械屍集団へと向ける。

「ふっ飛べぇぇぇぇぇ‼」

 スイッチとともに、一斉射(いっせいしゃ)。大型の砲弾が乱れ飛ぶ。

 砲弾は着弾し、大爆発を起こす。その中で対機械屍の爆薬が炸裂する。

 硝煙が止むと、ヒビだらけの機械屍が現れる。

「こンの野郎っ!」

 ベヒモッドはランチャーを投げ飛ばし、機械屍へ接近。ひび割れた体にパンチをぶち込む。

 ぐしゃっと形を崩し、破片が飛び散る。その破片を浴びた機械屍も、同様に壊れた。


西部の山岳地帯、グリファーズの交戦地。

切り立った地形を、飛行型機械屍が接近する。

身軽なグリファーズは軽い動きで飛び回る。

「改良したイカロスなら、ここからでも……!」

空対空の地形、グリファーズは上空よりライフルを撃つ。

前の戦いでのデータにより、イカロスの命中精度は格段に向上した。

ライフルの一撃で翼をもがれ、機械屍は落下する。

「確実にトドメを!」

 地面に落ちた機械屍に、続けて打ち込む。機械屍の身体は三ヵ所撃ち抜かれ、爆散。

 寄ってくる機械屍も固有武装で弾き、ライフルで銃撃。

「ここから先、お前らには通さない……‼」


北部の森林、サラマディオスの交戦地。

「俺たちの本気を見せるぞ、サラマディオス!」

「グオォォォォォォォォォォォ‼」

 サラマディオスも気合の入った咆哮(ほうこう)をする。

 迫る機械屍にジャベリンを投げつけ、ぶっ飛ばす。

「こいつっ!」

 ジャベリンを突き刺した機械屍へ接近。刺さったままのジャベリンに炎を叩き込む。

 炎はジャベリンを伝い、機械屍の体内へ注がれる。

 もちろん機械屍の身体は耐え切れず、赤い光とともに飛び散る。

「次は……!」

迫る機械屍に、ジャベリンを突き立てる。


「各騎導獣、順調に敵を撃退しています」

「やっぱり、みんな強くなってるス」

 司令室のマップの光点がひとつ、またひとつと消失する。

「……しかし残念だ。これでは通常の戦闘とほとんど変わらないじゃないか」

「まあ、ドクターもそう言わずに。みんなを信じましょうよ」

 北咲はドクターをなだめる。

「これで、終わってくれればいいのだが……」

「まだ、です……」

 突然、司令室に来訪者が現れる。

 それは、未言だった。

「き、君は……?」

「‼ 未言、何故ここに⁉」

「ごめんなさい、グレムリン。わたし、どうしてもここに来たかったの」

 未言に対し、珍しくドクターが驚く。

「しかし、『まだ』とは……?」

「あの後、またひとつ見えたんです。金色(こんじき)の悪魔が、来るって……!」


戦闘開始から数時間。

各部では最後の機械屍にトドメを差し、戦闘にひと段落をつけた。

「こちら陽真。機械屍との戦闘終了」

『了解。僕も片付いたよ』

『オレにかかれば、あれぐらいどうってことねえよ』

『こちらも残存ありません』

「やっと、終わった……?」

『いいや、各員、警戒を続けよう』

 まだ敵が増える可能性を考慮し、警戒は続ける。

『みなさん、今回使用した武装はどうでしたか? できれば感想を聞きたいです』

『ああ、スナイパーは良かったよ。ただ……接近されて、壊されちゃったよ』

『確かに、スナイパーは多対一には不利ですよね。そこは狙撃武器のジレンマというものです』

『けれど、一機は落とせた。距離に気を付ければ、実戦では有利になるよ』

『はい、参考になります』

『翔夜、ランチャーなんだけどよ……』

『どうでしたか?』

『……悪ぃ、海に投げちまった』

『えええええ⁉』

「ははは……」

なんだか話声を聞くと、心が安らいだ。

『は、陽真……!』

 通信より、未言が叫ぶ

「み、未言?」

『なにか、来る……‼』

「――え?」

そのとき、未知の物体がサラマディオスの眼前に迫った。

()け――――!」

 間に合わない。不意打ちを食らったサラマディオスは大きく傾いだ。

「な、何だ⁉」

 未知の物体を確かめる。

 その姿は、機械屍のものだった。翼と複数の発光体を持った、複合型といえる。

 そして、決定的な違いがあった。――体色が金色だった。

「こいつ、普通の機械屍と違う……?」

『金色の、悪魔……』

 金色の機械屍はサラマディオスへと襲い掛かる。

「……押し返せ、サラマディオス!」

 体当たりを仕掛ける機械屍を掴み、逆に投げ飛ばす。

「ジャベリンだぁ!」

 次に、ジャベリンを構えて突貫する。

 キィィィン!

 ジャベリンは機械屍の身体に当たり、金属音を響かせる。こちらの攻撃が、弾かれた。

「硬い……ッ!」

 速度だけではない、装甲も強化されているようだ。

 至近距離、機械屍は至近距離で光線を打ち出す。サラマディオスはどうにか防御で耐える。

「ふ、ふんばれ……」

 どうにか()()りをきかせ、敵との距離を広げさせない。

 サラマディオス本体は耐え切ったが、ジャベリンは破壊されてしまった。

「これ、何度も食らったら危険だな……」

 相手の攻撃が危険なら、させなければいい。

 さらに接近を試みるも、相手の光線で近づけなかった。

 強炎槍や火炎弾にしても、チャージ中にやられるだろう。うかつに使えない。

「くそっ、こいつめ……」

 中距離で膠着(こうちゃく)状態に陥る。お互い下手に動けない。

 陽真は一瞬の隙を探す。そのタイミングで一撃与える算段だ。

(よく見ろ、あいつの動き……)

 相手の動きに、意識を向ける。こちらの付け込める、一瞬あればいい。

(どこだ……?)

相手の動きを探る。そのとき、翼に若干の動きがあった。

(――――ここだ!)

 機械屍は、光線を飛ばした。が、サラマディオスは猛スピードで光線の間をくぐり抜ける。

「――――捕まえた!」

 渾身の一撃を、右拳に(たくわ)える。次に機械屍が反応するその前に――叩き込む。

 サラマディオスの拳は機械屍の身体にめり込み、勢い余り地上へ落ちる。

「まだ――終わらない!」

 落下した機械屍めがけ、固有武装を装備し、全速。

 サラマディオスの剣が、機械屍の身体を切り裂く。だが、トドメには遠い。

 ダメージを負った機械屍は翼を腕に変え、地上戦に移り、もう(ひと)太刀(たち)ふるうサラマディオスに、カウンターを仕掛ける。

「っ――――」

 機械屍の拳は、サラマディオスの剣より速かった。サラマディオスは、防御も回避もできない。ただ、その拳を受けるのみ――――。

 そう思った矢先。

「こっちには、まだ闘う力があるんだ」

 青色の閃光が、機械屍の拳を止めた。そうなると、逆にサラマディオスの剣が機械屍を()()ける。

「また、助けられましたね――戌門さん」

サラマディオスの後方にはケルべラグ・ベヒモッド・グリファーズの三体が(そろ)っていた。

「これは競技じゃない。なら四対一でも――卑怯(ひきょう)ではないだろう?」

「ダチの助けなら、大得意だぜ」

「陽真さん、あいつを倒せばこの局面も終わりです。――行きましょう!」

「戌門さん、源悟さん、翔夜……恩に着る‼」

 機械屍は腕の氷を砕き、ふたたび迫りくる。

「よし、もうひと仕事だ!」

 ケルべラグは銃を撃ち、敵の動きを封じる。

「僕だって!」

 グリファーズの薙刀は、連続で機械屍の身体を貫く。

「こいつも、もってけ!」

 ベヒモッドは全重量をかけ、槌を振り下ろす。

 これだけの波状(はじょう)攻撃で、金色の機械屍でも確実にダメージは負う。

「陽真くん、決着は君がつけるんだ‼」

「了解‼」

 サラマディオスは炎エネルギーを全開。すべてを剣に集中させる。

「うおぉぉぉぉぉぉぉぁぁぁぁ!」

 全力のサラマディオスの加速で、剣を機械屍に突き刺す。しかし、核にはまだ遠い。

「もっとだあああ‼」

 その状態でサラマディオスは剣先から火炎を照射。

 機械屍の身体はエネルギーの奔流(ほんりゅう)に流れ、空中で留まる。

 サラマディオスの剣はエネルギーを巨大な炎の(やいば)と変え、天に伸びる。

「これが……俺とサラマディオスの全開だあああああああ‼」

 炎の刃を振り下ろし、機械屍に全エネルギーをぶつける。

 炎の刃は奔流ごと切り裂き、機械屍の身体は真っ二つに別れる。

 機械屍はエネルギーに焼かれ、全身を炎で包まれる。

 そして、エネルギーの収束(しゅうそく)に巻き込まれ、その巨躯を炸裂させた。


ここに決死の闘いのピリオドが打たれた。


『機械屍、消滅確認。市街地への被害、検出なし。……皆、ありがとう!』

『……やった! やったっス! エデンガードは無敵っス!』

『四人とも、よく、やってくれたな……‼』

「あ、ありがとうございます……」

 司令部から称賛(しょうさん)の嵐が送られる。

「陽真くん……僕達の勝利だ。僕達が、ここを護ったんだ」

「言ったろ? 機械屍なんか楽勝だって」

「厳しい戦いでした……けど、乗り切れましたね」

「ああ、この勝利は、みんなで掴んだ……!」

『騎導獣のことは心配ない。僕があとでメンテしておくからね』

『ああ、見事な戦闘だったよ。私も……大満足だ。これからの研究は大いに進歩するよ』

(それに、未言――いや、予言の巫女(みこ)・ヴォルヴァの力の一端(いったん)拝見(はいけん)できたしね)

 体はボロボロだが、もうそれすらも忘れるほどに勝利の喜びは大きかった。

「あの、戌門さん。俺、答えの意味、わかりました」

「……言ってごらん」

「俺、今まで人助けをしていたのは『悲しみ』とか『苦しみ』が怖かったから、それを見ないようにするためだったんです。だけど、気づいたんです。その恐怖があったから、俺は勇気を持てた。そして――――『誰かを護りたい』と思うようになったんです」

「……」

 戌門は口を閉じ、陽真の話を聞く。

「俺は、臆病なんです。だから、誰も失いたくない。……そのために、俺は闘います。みんなに『恐怖』や『悲しみ』を与える奴らと……!」

「……成程」

「これが、俺の戦う理由――護る理由です」

「……わかった、では改めて聞こう。君は『戦うこと』と『逃げること』。――どちらを選ぶ?」

 その問いを聞いた陽真は、ニッと笑い、「答え」を出す。

「俺は、『戦うこと』を選びます。そして、『恐怖』と、『悲しみ』と、それをうみ出す存在と闘います。――――それが、俺の『答え』です」

「……陽真くん、僕は君を歓迎する。ようこそ、エデンガードへ」

「はい、よろしくお願いします‼」

 (よる)(やみ)()くように、朝日が昇る。戦士たちを、祝うように。

『……陽真』

「未言、どうした?」

『……護ってくれて、ありがとう』

「――それが俺の『答え』、だからな」

 空も明るくなる。雲一つない、快晴だ。

「じゃあ、本部に帰ったら、陽真くんの入隊パーティをやろう。」

「へへへ、これからも一緒に闘えてうれしいぜ、陽真」

「僕も、陽真さんが仲間だと心強いです」

「それにしても、今日はいい天気だ。心にしみるよ」

騎導獣たちも、心なしか嬉しそうだ。

「――――じゃあ、帰ろうか」

 

「サラマディオス、お前はこれからも俺の相棒だ」

「グオオ!」

 サラマディオスは、喜びの声を出す。

「へへっ、お前も嬉しいか」

 輝く朝日が、サラマディオスを照らす。

「これからも、一緒に闘おうぜ――――――サラマディオス‼」

陽真の言葉に(こた)え、サラマディオスは咆哮する。




陽真の運命は、サラマディオスと出会い、大きく形を変えた。

この先に待ち受けるは絶望か、希望か。

それは、彼らの手に委ねられた。

はたして彼は、どのような「答え」を出すのであろうか。

陽真とサラマディオスは、闘いになにを見つけるのか。

永き戦いが、ここに始まった。


そして、今日も暁は輝く――――。 


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