翼獣勇戦
翼獣勇戦
三月末日。陽真はアメリカの大地を踏みしめていた。
「人生初アメリカ、だぁ……」
なぜ陽真はアメリカにいるのか、数日前に遡る。
エデンガード本部の待機室にて。戌門が陽真に質問する。
「そういえば、陽真くんの学校って、もう春休み?」
「はい、もう四月まで登校日は無いですよ」
「それなら……提案がある」
なにやら戌門は、要件があるらしい。
「今度、関係施設へ訪問することになってね。――君もどうだい?」
「――――俺も?」
「うん。君にも有益になると思って、ね」
「俺は、構いませんよ。……ところで、場所は?」
「アメリカへ行く」
「――――――え?」
そうして現在。彼らはアメリカを訪れていた。
「おーい、陽真くん。」
「あ、今いきますよ、戌門さん」
郊外の更地にエデンガード所有の航空機で着陸。そこから戌門の車で移動する。まるでどこかの大金持ちのような豪華さである。
「悪いけど、今回は観光の時間は無いんだ。急ごう」
戌門は申し訳なさそうに謝り、アクセルを踏む。
「この辺りって、建物とか全然無いんですね」
車で移動中、周りにはコンクリートで均された平地や、手つかずの地面、草地しかなく、ビルや民家らしきものは、見受けられない。
「アメリカって、もっと建物が多いかなって思ってましたけど」
「それもそのはずだ。ここはもう施設の敷地内なんだよ」
「――――このだだっ広い空間が、全部⁉」
「そうとも」
「……」
あまりのスケールの大きさに、陽真は驚き方がわからない。
「――――着いたよ」
車を停めると、目の前には大型のビルが建っていた。おそらく日動研ほどはあると思う。
「ここが僕らの目的地……、兵器メーカー『アイジス』の本社ビルだ」
「兵器……って、銃とか戦車とか、ですか?」
「そんなところだね」
兵器メーカー・アイジス。出迎えられた陽真と戌門は、正面ゲートを通る。
「このアイジスというメーカーは兵器産業でも特殊なところでね。各国の自衛隊や警察用の機器のみを製造してるんだ。今の日本の自衛部隊のものもここ製の銃器を使用してる」
「へえ……」
日本の一般市民の陽真にとって兵器産業というものには良いイメージが湧かなかったが、ここはそういうのとは別なようだ。
「『奪う』為の武器ではなく、『護る』為の武器。――それがここのモットーなんだ。……僕はチョット挨拶してくるから、ここで待っててもらえないかな?」
「あ、はい」
ビル正面ゲートよりエレベーターで移動して、三階のロビー。戌門はそのまま廊下の奥へ進んでいった。いくつかのイスやソファ、テーブルが並んでいるが、人影はない。
陽真は立ちっぱなしじゃしょうがないので、備え付けのコーヒーを貰い、外側のイスに腰を下ろす。外側の壁はガラス張りで、平原や山々が一望できる。現地時間で朝の八時ぐらいなので、山の向こうに朝日がみえる。
紙コップのコーヒーをすする陽真。そこにひとつの声が聞こえた。
「あなたは……日本の方、ですよね?」
声のほうを向くと、子供が一人、立っていた。
アイジスのロゴのついた野球帽をかぶっている少年。陽真に比べて年下のようで、まだ幼さの残る顔立ちと高めの声だった。どうやら日本人らしい。
「あの、日本語通じますか?」
「ああ、大丈夫大丈夫。ちゃんと聞こえてるよ」
陽真の返答に安堵した少年は、陽真の近くへと歩み寄る。
「すみません、突然に」
「ああ、いいって」
「僕の名前は羽柴翔夜、です」
「俺は竜杜陽真。よろしくな」
「珍しいですね。陽真さんくらいの歳の人がここに来るなんて」
「ああ、知ってる人の付き添いで、な」
「ここって、兵器開発の会社ですから、近い歳の人はあまり見かけないんですよ」
それから数分ほど会話を交わすうちに、足音が近づいてきた。
「やあ、陽真くん」
「戌門さん。そっちはもう終わったんですか?」
「うん。それじゃ次は……」
戌門の視線が、翔夜へと向く。
「あ、戌門さん。こいつは――――」
陽真が紹介しようとした途端に、戌門はニコリと笑顔を浮かべ、
「やあ、ここにいたのか、翔夜くん」
「ご無沙汰してます、戌門チーフ」
「――翔夜を、知っているんですか」
半ば呆れ気味に陽真は言う。戌門の人脈には驚き疲れていた。
「じゃ、改めて紹介させてもらうよ。彼は羽柴翔夜。兵器メーカー・アイジスの代表取締役だ」
「代表……って、翔夜が?」
「――僕としては、あんまりそう言われるのは苦手なんですけどね……」
自分の目の前にいる、この少年がこの会社の重役だとは、にわかに信じられない話だ。
しかし、戌門の言う話ならば妙な納得感があり、すんなりと受け入れてしまえた。
「じゃあ、俺はここの重役に馴れ馴れしく……」
「あ、気にしないでください。陽真さんの方が年上なんですから」
「……それと、もうひとつ。――――翔夜くん、アレを」
「――はい」
翔夜は、戌門に言われるとウエストポーチから「何か」を取り出す。
「――陽真くん、君はコレの意味が理解できるよね?」
「勿論です。コレは――――――オラクルデバイス、ですよね」
翔夜の手にあったのは、緑のオラクルデバイスだ。
それが意味することは、ただひとつ。
「彼も、僕たちと同じく――騎導士なんだ」
「……だから戌門さんはここに俺を誘ったんですか」
「いや、本題は別だよ」
やはり騎導士の紹介のために陽真を連れてきた訳ではない。
「僕のほうから要請したんです。陽真さんと、サラマディオスに」
「――俺たちに?」
「はい。――ここへ来る前に陽真さんたちの事は存じ上げていました。炎を纏う竜型騎導獣と――――所詮で変異まで使いこなした新たな騎導士の事を」
「そこで、陽真くんにひとつ、頼みごとがあってね」
「頼み事、ですか」
「――――では、参りましょう。説明はそこで行います」
先程のロビーとはうってかわって薄暗い地下の空間。LEDの灯りが点在する空間で、三人は移動する。
「まさか陽真さんが件の騎導士だったなんて、驚きましたよ」
「なぁ、翔夜は俺の事、どうして騎導士だってわかったんだ?」
「戌門さんが『今日一緒に連れてくる』って言ってたので、それでわかったんです。実際には戌門さんが来るまで気づきませんでしたけど」
「いやあ、今回は陽真くんが来てくれて助かったよ。そのおかげで予定を早められそうだ」
コンクリートむき出しの廊下には、それぞれの声と足音しか響かない。
「それにしても、随分と奥まで行くんだな」
「エデンガードや騎導獣に関わる事ですから、こうやって目立たないところでやってるんですよ」
静まり返る通路を奥へと進んでいく。その先には見るからに厳重そうな扉がある。
「少しお待ちください」
翔夜が扉の横のパネルを操作する。ロック解除の操作だろう。
パスワードやらIC確認、指紋など諸々のチェックを行っていた。
『確認完了』
アナウンスと共に、重厚な扉が開錠された。
その先にもいくつかの扉があり、パスボックスのように開いたり閉じたりを繰り返した。
「……ここが最後の扉です」
五つ目の扉が開かれ、光が注ぎ込んだ。
轟音。一番先に感じたものはそれだった。静寂の空間から一転し、そこはけたたましい音が鳴り響いてた。
陽真たちが入った部分は小部屋になっており、音源とは防弾ガラスで仕切られていた。あとはいくつかの制御コンピュータにそれに向かう人間が、多くても十人はいなかった。
そして、何よりも目を引くものが、ガラスの向こう側にあった。
「陽真くん、これが今回の目的の一端だ」
「……‼ コレ、って――」
そこにあったものは、車両一台ほどはある巨大なライフルであった。
サイズからして、人間用のものをスケールアップしたような構造だ。こんな兵器を作る必要性は、ただ一つある。
「もしかして、このライフル……騎導獣用の、ですか?」
「――正解だ。ここでは秘密裏に、騎導獣専用の武装が開発されているんだ」
「これは、代表」
一人、翔夜へと近づいてきた。
「ご苦労様です。――状況は」
「はっ、ただいま射撃試験二十回終了しました。結果は想定通り、万全の状態です」
翔夜は印刷した資料を受け取り、目を通す。
「やっぱり、機械的不備はなし、か……」
小難しそうな顔をして、翔夜は紙を睨む。
「今回、陽真くんをここに招いた目的は、サラマディオスで個々の装備の使用テストを願いたいからだ」
「じゃあ、サラマディオスにあのライフルを?」
「いいや、あれは翔夜くんの騎導獣専用にチューニングされたものだから、別の汎用型でテストするんだ」
ガラスの向こう側の空間にあるのは、ライフルだけではない。銃火器といっても拳銃・ショットガン・バズーカ等が、それに剣や槍といった近接戦の武装もある。
「ちょうどサラマディオスとケルべラグの輸送機も着いた頃だろう。――陽真くん、そろそろ始めようか」
「――はい、了解です」
「僕も一緒させて頂きます。」
「よし、それじゃ二人とも、行こうか」
機械室に隣接するその部屋は、同じくガラス張りで奥の部屋の様子がうかがえる仕組みとなっている。この部屋は先ほどの部屋が床面とほぼ同じだったのに対し、床面から二十メートルほどの高さ――――戦人態の騎導獣の目線とほぼ同一の高さだ。それが横に長く続いていた。
奥の部屋はエデンガードの騎導獣の練習場のような広大な空間だ。壁側にはウエポンラックがあり、その武器の種類も様々だ。
サラマディオスとケルべラグの入ったコンテナもその空間へ運び込まれていた。
騎導獣の長距離移動はこのように専用コンテナに格納され、別個の輸送機によって移送される。これは騎導獣の機密保持やオラクルの節約の面で効果的である。また、このコンテナは自走式で、無人操縦により少しばかりの移動もできる。
「早速、コンテナを開けるよ」
戌門の手元の端末のスイッチで、コンテナが開く。フタが畳まれ、内部の騎導獣がその姿を見せた。騎導獣を降ろすとコンテナを自走させ、十分な距離を開ける。
「これがサラマディオスですか……」
サラマディオスをまじまじと観察する翔夜。
「成程……情報に間違いはなさそうですね……」
「そう。単純な戦闘能力ならエデンガードの騎導獣のトップかもしれないよ」
「そうですか……」
翔夜はサラマディオスに、どこか「覇気」のようなものを感じていた。この騎導獣は自分たちのそれとは次元が違う。そう思えた。
生来、物事にはデータ尊重の考え方だった翔夜をして、目に見えず、数値化できない「何か」を感じることは本人でさえ珍しいと思えた。
「そういや、翔夜の騎導獣はどこなんだ?」
「あ、それならここに隣接した格納庫に待機してます。今、呼んでみますね」
翔夜は部屋のコントロールパネルのレバーを引く。すると、広大な部屋の壁が一ブロック開いた。
「進路よし。――グリファーズ、おいで!」
翔夜が緑のオラクルデバイスを掲げて呼びかけると、開いた通路から、鳥のようないななきが上がった。
「キォォォォォォ……」
それに続き、軽快な足音が徐々に大きくなってゆく。やがて、その足音の主がその姿を眼前に現した。
「こいつが僕の相棒。――――騎導獣グリファーズです」
それこそ、騎導獣グリファーズの姿であった。
しなやかな四肢に鋭い瞳、そして大きな翼をもつグリフォンの騎導獣だ。
「これが、グリファーズ……」
「グリファーズはその翼で飛行し、機動力を活かした戦法を得意としてます。反面、攻撃力はほかの騎導獣に比べてあまり高くはありません。しかし、その瞳は敵のウィークポイントを精確に見出し、効果的に戦うことが可能なんです」
「同じく飛行できるサラマディオスに比べても、空中でのスピードはこのグリファーズの方が勝ってるね」
「へえ……!」
「では、今回のテストを始めましょう。まずはサラマディオスからお願いします」
「よしっ、俺たちからだな。――――行くぞ、サラマディオス!」
「グオオオオ‼」
気合十分。とばかりにサラマディオスが咆哮する。
戦人態のサラマディオスの傍に、装備が並ぶ。
「今までの戦績を見る限り、陽真さんとサラマディオスは接近戦が得意なようです。なので、陽真さんには近距離タイプの武装を試してもらいます」
「じゃあ、俺の担当はこの槍か?」
「はい。それとアサルトライフル、ハンドガンの合計三種を計測します」
「わかった。……で、どうやって計測するんだ?」
「それは、こいつを使います」
翔夜の指示に従い、サラマディオスの眼前に巨大な金属塊がせり上がる。面積は機械屍一体ほどはある四面体だ。
「このターゲットはミスリルとほぼ同じ硬度の合金製です。これを破壊してください」
「了解だ! まずは……この槍からにするよ」
サラマディオスはラックから大型の槍を取り出す。アルファベットの「Z」のように三つ折りにされたそれを伸ばすと、サラマディオスの足から腰ほどの長さになった。
「その槍の名称は《イフリート・ジャベリン》です。サラマディオスの高熱量火炎に対応して、この槍自身も高熱度を纏い、敵を溶断する。という武器です」
「これ、同じの三本あるけど?」
「全部モノとしては同じですけど、強度と重量のバランスを変えてあるんです。いまサラマディオスの手にあるのは、最も軽量で強度が低いタイプです」
「そう言われても、ほとんど同じだよなあ……」
実際に持っているのはサラマディオスなので、重量のことは陽真には実感できなかった。
「まず、サラマディオスの炎をその槍にできるだけ注ぎ込んでください」
「よし、ありったけだ!」
陽真のイメージを受け、サラマディオスは右手の槍に炎を集める。
槍の先端は赤熱し、発光すらしていた。さらにエネルギーを集中させると、色は赤というより白になっていた。
「サラマディオス! ジャベリンでそいつをぶち抜け‼」
白熱した槍を振りかぶり、力を込めた。
その時だった。鈍い音を立て、ジャベリンは自壊した。
ぐしゃっ。と槍はV字に折り曲り、凄まじい蒸気を吹きながら爆散。拳から飛び散った欠片はドロドロに融解していた。
「あ、あれぇ……?」
「やっぱり、あの強度じゃ耐えられませんでしたね。強化型を用意して正解でした」
呆気にとられた陽真を後目に、翔夜は冷静に評価を下した。
「次は、この強度重視モデルでお願いします」
「今度は、大丈夫だよな?」
「それは今から調べます」
「だよなぁ。――サラマディオス、もう一度だ!」
二本目のジャベリンを展開し、もう一度、サラマディオスは炎を込める。
一度目と同様、ジャベリンの先端が白熱するほどに温度は高まる。
「――よし、これで最高温まで出てるはずだ」
「うん、コレが現状のサラマディオスの全開出力だね」
ジャベリンの本体は、サラマディオスの固有武装のように激しい炎を纏っていた。
「これなら、いけそうです!」
「――なら! サラマディオス、全力でぶつけてやれ‼」
サラマディオスはジャベリンを振り上げ、四面体めがけ一気に突き出す。
ジャベリンの先端はまるで飲み込まれるかのように、四面体の中心部へ埋まる。続いて、四面体は突き刺された隙間から光と熱気を噴き出した。そして、一本目のジャベリンと同じ末路をたどった。
「――翔夜、これでいいか?」
「これは……想定以上の代物ですね」
今度は、翔夜が呆気にとられていた。
その後もテストは続いた。
続けて行ったサラマディオスの射撃テストは、散々な結果だった。
拳銃を構えるのはよかったが、狙いは全然。
アサルトライフルの方は至近距離ならまずまずの命中率だったが、距離を広げると加速度的に命中率は下がった。至近距離なら、とは言ったが実際にはそんなものを使うより固有武装などで肉弾戦を仕掛けた方が有効なほどだ。
サラマディオスの火炎弾は実戦クラスの命中精度だったので、これは陽真とサラマディオスの戦闘スタイルには銃という武器の相性が合わなかった。――といったところだろう。
実際、銃器に慣れ親しんでいない日本の高校生の陽真が銃を使うというイメージがうまくつかめなかったのも一因だろう。
一方で、戌門・ケルべラグ組は狙撃銃の試験を行った。
こちらは初めてと思えぬほどに使いこなし、固有武装ではなし得なかった長距離射撃をクリアした。
反面、威力のほどは及第点といったところで、まだ改良の余地はあった。
一時休憩の時間。
「はあ……」
「まあ、陽真くん。そんなに気を落とさないで」
「でも、あそこまで外したら落ち込みたくもなりますよ」
「けれど、陽真さんとサラマディオスには優れた接近戦のセンスがあります。僕が見るには、陽真さんはその長所を鍛えた方が有効的かと」
事実、陽真の格闘戦センスは、光るものがあった。翔夜としては、下手に射撃を覚えて器用貧乏になるよりも、格闘戦一辺倒の方がサラマディオスにより向いていると考えた。
「じゃ、敵が遠距離から来たらどうすんだよ」
「簡単です。遠距離にならなければいいんですよ。遠いなら、近づけば済む話です」
「……お前って、意外と脳筋だな」
「でも、陽真さんの性には合うでしょう?」
「……ごもっともで」
翔夜の発言に、陽真は苦笑いして返す。
「――そうだ、気になってたんだけど、今回の武器って実戦で使う予定なんだろ?」
「はい、そのための運用試験じゃないですか」
「なら、実戦のとき、どうやって騎導獣につけるんだ?」
「――そう聞かれると思って、用意しておきましたよ」
翔夜の端末から、マップが表示される。
「……なんだコレ」
「騎導獣への装備運搬ルートの想定図です。市街地ではトレーラーによる陸輸、郊外や海上では輸送ジェットからの投下、緊急時には専用カプセルで目的地まで射出――と、数パターンの経路を検討中です」
「こういう外付けの装備のテーマはあくまで『騎導獣の戦法の多様化』が目的だから、いざという時の切り札になれるように、綿密に計画してるんだよ」
「なるほど……」
「では、休憩もほどほどにして――――」
『警告。警告。』
「! これは……」
『警告。本社敷地内のレーダーに反応。種類は、タイプG』
「タイプG?」
「ここでは緊急時のタイプで分けてるんだよ」
「そして、タイプGは――――機械屍です!」
『警告。警告……』
「……陽真くん、翔夜くん、急ごう!」
「――了解!」
「わかりました。――上部緊急ハッチ、開きます!」
翔夜の号令で、広大な天井の一画が開く。そこから太陽光が注ぎ込んでいる。
「陽真さん、騎導獣はあのゲートから地上に上がってください。僕たちはあのエレベータで」
「ああ!」
三人は緊急時エレベータに乗り込む。そして、瞬く間に地上へ向かう。
緊急エレベータは本社ビルから離れた草むらに出た。カモフラージュの芝生からせり上がり、シャッターが開いた途端に三人は飛び出す。
同じくして、三体の騎導獣も緊急ハッチより飛び出した。
「――敵は⁉」
陽真は辺りを見回すが、機械屍の姿は無い。そんなはずは、と考えた矢先。
「――――――⁉」
陽真たちに、巨大な影が落ちる。咄嗟に真上を見上げ、影の正体を探る。
「これは……」
「大分、厄介なことになるね……」
その影の主こそ、機械屍であった。それは陽真が今まで見た個体と違い、腕の代わりに翼をもち、明らかに飛行していた。
「気をつけて、あいつは見た目以上に素早いんだ」
あざ笑うように忌々(いまいま)しい巨体が視界を遮る。
「あっちが素早くても、サラマディオスだって!」
サラマディオスは急加速。三人の真上の機械屍に飛びかかる。
空中で肩を並べた瞬間、サラマディオスは右拳を機械屍に打ち付ける。
「追いつけた……いや違う」
確かに拳は当たった。しかし機械屍は寸前に体をずらし、直撃を避けた。打撃を受けた機械屍はぐるぐると回転し、依然と空に位置した。しかも、無傷の状態で。
(届いても、ダメージがないんじゃ……!)
今回の敵が陽真にとって初めて相対した、サラマディオスより速い敵だった。
それまで敵対した機械屍は全て、サラマディオスよりは速度で遥かに劣っているものばかりであり、唯一、模擬戦をしたケルべラグのみが自身よりも速い存在だった。だが、今回のように自身より速く、それでいて飛行する敵との戦闘経験は皆無だ。
(――だからって、諦めるなんてできるかよ!)
しかし、その事実だけでは、陽真の心は折れやしなかった。
空中に躍り出た機械屍は、サラマディオスを睨む、光線発射体勢だ。
「……来るかっ!」
サラマディオスは体勢を持ち直し、身構える。
「――ここは僕たちが!」
その時、翔夜が叫んだ。まるで疾風のごとくひとつの影が機械屍を捉えた。
翔夜の騎導獣、グリファーズだ。
戦人態のグリファーズのキックには反応しきれなかった機械屍はバランスを崩す。
「助かったぜ、翔夜、グリファーズ‼」
「陽真さん、あいつはグリファーズなら追いつけます。グリファーズが囮になります!」
グリファーズは機械屍より高度をとり、固有武装――――刃が鳥の翼のような形状の薙刀を構える。
「それに……僕達もお忘れなく!」
地上ではケルべラグが固有武装の銃で援護射撃を繰り出す。
ケルべラグの銃弾は広範囲へ撃たれ、機械屍の行動範囲を狭める。
「ケルべラグでは空戦はできない。僕は援護に徹するよ」
「はい! お願いします、戌門さん!」
「陽真さん、僕たちも行きましょう!」
「ああ!」
グリファーズは囮に。ケルべラグは援護に。各々に反撃を始める。
「お前なんかに、グリファーズは捉えられないよ!」
先手はグリファーズだ。猛スピードで機械屍の注意を引く。
「そこだぁ!」
翻弄される機械屍に、グリファーズの薙刀が迫る。一瞬の隙を突く一撃だ。
しかし、威力は微小。少し傷をつける程度だ。
だが機械屍は警戒し、即座に振り切り後退する。
「――ビンゴ!」
機械屍が後退を始めた直後、ケルべラグが発砲する。
数発が命中。ダメージはさほどでもないが、やはり機械屍は進路を変える。だが、その先に待つのはグリファーズの刃だ。
「逃げ道なんて、作らせるか!」
ふたたびグリファーズは切りかかる。機械屍は避けられない。
ケルべラグの射撃により退路を断ち、グリファーズがそのスピードで追撃する。
二体の騎導獣のフォーメーションにより、機械屍はスピードを完全に殺された。
「このまま一気に!」
もはや攻撃も身動きもできない機械屍に、容赦なくグリファーズは連続攻撃をかける。
機械屍の周囲を高速で動いてるにもかかわらず、精確にただ一点だけを攻め続ける。見る見るうちに機械屍の傷口は広がってゆく。
「一撃じゃ届かなくたって、続けていれば、いずれは届く!」
グリファーズの斬撃は終わらない。何度も、何度も、繰り返す。
ついに、機械屍の傷は中心の核にまで達していた。
すると、グリファーズは機械屍の後方へ回り込み、押さえつける。
「今です、陽真さん! コイツにとっておきの一撃を!」
「ああ、翔夜と戌門さんが作ってくれたチャンスだ。逃してたまるかぁ‼」
サラマディオスは剣を構え、機械屍の核を目がけて、突貫した。
サラマディオスは全速で迫り、剣の切っ先が核に触れる。
その寸前、異変は起きた。
あの時と同じだ。機械屍は金属音を轟かせる。サラマディオスも警戒し、到達寸前で動きを止めた。
「⁉ ……何か来るぞ⁉」
やはり機械屍の身体が変化した。身体中にいくつもの穴を開き、鈍色の弾を吐き出した。
「――離れろ!」
危険を察知し、それぞれ騎導獣を後退させる。だが、その反応速度に対応できず、鈍色の弾を浴びてしまった。
鈍色の弾は全方位にばら撒かれた。その弾自身に破壊力は無かったが、厄介な性質があった。それは着弾後に粘着質となり、付着後すぐに硬化する。というものだ。
陽真たち三人は近くの防護壁で難を逃れたが、騎導獣はそうもいかなかった。
サラマディオスは全身に受け、地面に叩き落とされた。ケルべラグは腕を固められ、地面に固着してしまった。これで攻撃と回避が封じられた。
幸い、グリファーズはその反応速度に追いつきほとんどを回避できたが、翼と左足に被弾してしまった。手は使えるが、身動きは不可能なため、機械屍の近くへは移動できない。
「くそっ、サラマディオスが動けない!」
「どうやら、これは壊せそうだけど……時間はかかるね」
「それじゃあ、あいつの思うつぼですよ!」
体の自由を奪われた騎導獣たちを後目に、機械屍が着地する。
「あいつ、なんで降りたんだ……?」
「これは……まずいね、かなり」
着地した機械屍はその場で静止し、身体を発光させる。
「戌門さん、あれは?」
「奴は――自爆するつもりだ」
「――――自爆⁉」
「うん、映像で見たことがある。ああなった機械屍は一定時間後に体内のオラクルを炸裂させ、大爆発を引き起こす。このままじゃ、この一帯が吹き飛ぶね」
「その、タイムリミットは?」
「――およそ十分。それまでに奴を一度ダウンさせれば、止められるはずだ」
「だけど、この状態じゃ……」
「ああ、それまでにあの接着剤みたいなのを壊さないと……。だけど、この調子じゃ壊せるまで十二分はかかりそうだ」
「くそッ……」
もはや打つ手なし。そんな風に陽真は考えたくなかった。
(このまま死ねるか……。何か、答えは……)
その時、翔夜が言う。
「ひとつ、提案があります」
「提案?」
「おそらく、この状況であいつをダウンさせるには、これしかないかと」
「――なるほど。翔夜くんはアレを使うつもりか」
翔夜はただコクリ、と頷く。そして、端末で呼びかける。
「技術班、応答願います!」
『こちら技術班。万全の状態です』
この声は、先ほどの部屋にいた研究員だ。
「指定したポイントへ、至急《イカロス》を出して下さい」
『! ですが、あれはまだ……』
「一刻を争います。ただちにお願いします」
『……了解しました。無人トレーラーで一分以内には到着します』
「――ありがとうございます」
安堵した顔で、通話を切る。
「……翔夜くん」
「――僕だってこのまま死は選びません。ここで終わるなら、最期の一秒まで抗います」
翔夜の気配が変わる。今まで以上に、一層引き締まる。
そこに、六輪駆動のトレーラーが駆けつける。
「――よし」
トレーラーはグリファーズの手元まで移動。グリファーズは手を伸ばし、後部コンテナから《イカロス》を取り出す。
「これって、あの――」
「これが騎導獣専用大型ライフル――コードネーム《イカロス》だ」
グリファーズが手にしたのは、あのガラス越しに見た大型ライフルだ。
「これで手が使えたのは不幸中の幸い、地獄に仏でしたよ」
銃身のベルトで腕と固定し、その大きな銃口を機械屍に向ける。
「射撃姿勢よし。調整開始」
グリファースがライフルを構えると、翔夜が腕の端末で操作を行う。
端末の画面はイカロスのスコープと同期し、そのデータを参考に微調整をする。無論、グリファーズ自身の構えも必要不可欠な条件だ。
その多くの数値を調整し、最大限の威力を導き出すのが翔夜の役目だ。
「傾きよし。風圧よし。トルク調整よし。――ターゲット、ロックオン」
スコープの照準が、機械屍の中心部を捉える。
「カウント、3、2、1、……トリガー‼」
指示に合わせ、グリファーズが引き金を引く。
激しい音を伴い、大口径の銃弾が飛ぶ。
その勢いは留まることなく、標的へ向かう。
そして、その銃弾は――――空を切った。機械屍のわずか数メートル逸れていった。
「くっ……」
翔夜が顔を歪める。
このイカロスという兵器は極めて複雑な操作が必要だ。この銃は威力が絶大な反面、反動もけた違いに大きい。そのため、緻密な計算による距離算出、銃の角度調整、出力制御、標的補足が必要になる。なお、それらの調整は翔夜の頭脳とグリファーズの目による視覚情報があって初めて成り立つものであった。
だが、今までの命中率は、0%であった。
試験場のように、銃自体を地面に固定したうえで固定の的には命中するが、実戦ではそうはいくわけがなかった
原因は翔夜からグリファーズへ命令の伝わるコンマ単位のラグによる計算の狂いか、本来パワーに劣るグリファーズが反動を受けるためのズレだといわれる。
しかし、この兵器はそのグリファーズ自身が装備し、引き金を引かなければならないというジレンマになっていた。仮に一部分でも他の騎導獣に代えた場合、誤差はさらに大きくなるだろう。
解決策は、その誤差すら計算することだが、翔夜でも苦戦するほどだ。
今の状況でイカロスを出したのは苦肉の策なのかもしれない。だが、それと同時に唯一残された活路でもあった。
(どこだ、どこが違ったんだ……?)
翔夜は苦悩する。ここでは失敗は死に直結する極限状態だ。そのうえで前例のない難題を突破しなければならない。考えるたびに焦りが増大する。体が震える。
まるで死神が自分の背に張り付いているかのようなプレッシャーに苛まれていた。
(どうすれば、どうすれば……)
「翔夜ぁぁぁ‼」
「わ、ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼」
突如、陽真が叫ぶ。
「な、なにを……」
「――――お前、いま怖いのか?」
「――え?」
「翔夜は、今この状況が、怖いのか?」
陽真が語りかける。
「……はい、怖くてたまりませんよ。でも……」
「――俺も怖い」
「え?」
「あんなのがあと十分で爆発して、そのままみんな吹っ飛ぶ。そう考えたら怖いに決まってる。――――だから俺は、『考えない』んだ」
「――考えない?」
「そうだ。『怖い』って考えたら、余計怖くなっちまう。だから始めから『怖い』なんて考えなきゃいい。『失敗』が恐ろしいなら、『失敗』のことは考えない。俺は今までそうやってきたんだ」
「……ふふっ。あははははははは!」
陽真の理論を聞き、翔夜は思わず笑い出す。
「お、おい、翔夜?」
「――――どうしてそんな簡単な事、気づかなかったんだろう。ずっとずっと最善を尽くそうって思ってて、間違えないようにって考えてて……だけど、もっと単純で良かったんだ」
なんだか、世界が変わったような気がした。
死神の感覚など、遠くへ消し飛んでしまった。
翔夜の心は、不思議と穏やかだった。
「陽真さん、ありがとうございます。陽真さんのおかげで大事な事に気づけました。――――今なら、できる気がします」
柔らかな笑顔で返し、ふたたび画面に注視する。
「翔夜……‼」
「今の彼なら、やってくれるよ」
画面には数値が並ぶ。弾数は残り九発――残されたチャンスの数。
集中する翔夜の精神は、深く沈んでく。ネガティブな雑念は一切ない。
(心が、静かだ……)
翔夜の脳は、いつも以上にスムーズだ。
その分、騎導獣からの情報もより鮮明になる。
(グリファースの感覚が伝わる。これなら……!)
先程より速く調節を済ませ、発射態勢になる。
「ターゲット固定。……トリガー‼」
イカロスが火を噴く。弾丸が高速で飛ぶ。
だが、命中はしない。今度は機械屍の身体に掠る。
「また外れた⁉」
「――次!」
間髪置かずに二発目、三発目。
やはり掠り傷だけだ。
(僕は考え過ぎてたんだ。感覚を優先させれば――‼)
瞬時に数値を変える。そして、
「――トリガー‼」
四度目の発射。弾丸が直線を描く。
焦点に見える機械屍めがけ、一直線。
そのひとつの線は――――――標的を、捉えた。
――――キィィィィィィィィィィィィィ‼
衝撃波が広がる。空間が震えあがる。
その一撃に耐え切れず、機械屍はその場で崩れる。
「――やった、やったぞ翔夜‼」
「ああ、見事だったよ!」
「あ、当たった、んだ……」
翔夜の顔から笑顔がこぼれる。
「機械屍のエネルギー反応が低下してる。これで自爆は阻止した!」
「サラマディオス! 俺たちも負けてられないぞ‼」
「……グオオオオオオ‼」
だが、経過した時間は九分ほど。まだサラマディオスは動けない。
サラマディオスは力任せに鈍色の物質を引き剥がそうとする。
「まだだ! まだ……!」
「……陽真さん、戌門さん、僕が時間を稼ぎます‼」
ダウンしていた機械屍がふたたび立ち上がろうとしていた。
「あいつ、起き上がるのに時間がかかるんだ。……じゃあ!」
起き上がった騎導獣は羽ばたきのアクションを起こす。その無防備な瞬間を、グリファーズは見逃さない。
「一度当たったんだから、外さない‼」
機械屍の足が地面から離れた直後、イカロスの弾丸が襲う。
翔夜は、最も不安定になるタイミングを見抜き、相手を行動させない。
三回ほどこれを繰り返すと、既定の時間まではたやすく稼げた。
「……動け、サラマディオス。」
サラマディオスが力を入れると、鈍色の塊はバラバラに砕けた。
「やっぱり、これには限度があるんだ」
同じく、ケルべラグとグリファーズも拘束から逃れる。
「やられた分、お返ししないとな!」
雄々(おお)しく立ち上がるサラマディオス、ケルべラグ、グリファーズ。
「陽真さん、これを!」
無人トレーラーが今度はサラマディオスの前に止まる。
「これって、さっきのジャベリン⁉」
「イカロスと一緒に積まれてました」
「そんなら、ありがたく使わせてもらうぜ!」
サラマディオスはイフリート・ジャベリンを構え、気合を入れる。
機械屍は危険を察知したのか、また穴を開く。が、しかし。
「そうそう同じ手には乗れないね……!」
ケルべラグの乱射で、体中の穴が凍りつく。こうなると機械屍に残された手はない。
最後の手段、なのだろうか。機械屍は真上にすっ飛ぶ。
「――逃がさねえ!」
サラマディオスは急加速し、機械屍を追う。機械屍の動きは最初ほど機敏ではなくなっていた。最大加速したサラマディオスは、ついに機械屍を捕まえる。
「こん……のおおお‼」
ジャベリンで機械屍を突き飛ばす。機械屍は上昇をやめ、真横へひとっ跳び。
「サラマディオス、全開だああ‼」
ジャベリンに炎を集める。サラマディオスを中心に火炎が渦を巻く。
奇しくもこの武器の名称でもある炎の魔人・イフリートのようだ。
「いっけえええええええええええ‼」
紅蓮の業火を纏ったジャベリンを、一気に投げ飛ばす。
猛スピードでふっ飛ばされた機械屍は、もはや的と等しかった。
音速を超えるかの勢いで空を飛ぶジャベリンはさながら流れ星の様相で機械屍の胴体にぶっ刺さる。そのまま暴れまわる炎に飲み込まれ、青空のうえで炸裂。巨大な火球となって火の粉を散らしながら、雲散霧消した。
サラマディオスは火球から飛び出したジャベリンを華麗にキャッチした。
「これで、一件落着……かな」
「あれがサラマディオス……言ってたとおり、心強いですね」
「ははは……ありがとう」
その日の夕方。
到着時と同じ飛行場。
「なあ、ここは大丈夫なのか?」
「ええ。機械屍の襲撃による被害は、どうにか最小限に抑えられました」
「……そっか」
「陽真くん、そろそろ出発だ」
戌門が声をかけた。
「――僕も資材が片付き次第、日本のエデンガードに合流します。そのときは、また一緒に闘いましょう。」
「ああ、また会おうぜ、翔夜」
一時の別れをして、陽真はアメリカを後にする。
陽真たちを乗せた航空機は、だんだんと小さくなってゆく。
「……ありがとうございます、陽真さん。また……!」
機内にて
「……散々(さんざん)なアメリカ旅行になっちゃったね。」
「次来るときは、のんびり観光できるように願いますよ。」
「数日後には翔夜くんとグリファーズが日本に戻ってくる。僕達も彼には負けてられないね」
「はい。――俺、もっと強くなります。皆に、負けないくらいに」
「……その心意気、大事にするんだよ」
後日、エデンガード本部の待機室。
陽真が源悟たちにアメリカでの激戦を伝えていた。
「――あれはどうなるかわかりませんでしたよ。あんな塊でサラマディオスが固められて」
「――そんなの、オレとベヒモッドなら、簡単に砕いちまうぜ」
「でも、そんなの見た事ないス。機械屍がそんな機能を使うなんて……初耳ス」
ハクですら、そんな行動は知り得なかった。
「ねえ、ハク。妙だと思わない?」
「確かに、かなり妙スよね、南乃サン。ここ最近の機械屍は頻繁にデータ外の行動を起こしてるス」
「何か、よくない事が起きなければいいけど……」
不安を感じる二人を、源悟が笑い飛ばす。
「ははは、そんなもんは今考えなくてもいいだろ」
「そりゃ、そうスけど」
「今までだってオレたちは勝ってきたんだ。ならば、負けやしないさ」
「……源悟って、前向きよね……」
「それが自慢だからな」
「――源悟さんの言う通りです。僕たちなら、勝てますよ」
ドアが開き、幼さの残る声が話す。
「……羽柴翔夜、エデンガードに帰還しました」
「おお、翔夜、日本に帰ってきたのか!」
「ちょっ……いきなり頭撫でないで下さいよ源悟さん」
「おかえり、翔夜くん」
「南乃さんも、お変わりなく」
「いやあ、先日は大変だったスねえ」
「いいえ、戌門さんに陽真さんがいましたから」
翔夜が帰ってくると、みんな翔夜に向かってゆく。翔夜は少し困惑してる。
「よっ、翔夜。もう日本に着いたんだな」
「こんにちは、陽真さん。これからまだやる事が山積みですけどね」
「そっか、じゃあ俺も一緒に行っていいか?」
「はい、ちゃんとイフリート・ジャベリンも持ってきましたから、有効に使ってくださいね」
「ああ!」
翔夜が帰ってきて、エデンガードもより賑やかになった。
陽真は奮闘する翔夜の姿を見て、俺も負けてられないな。と、決意を新たにした。
陽真は、今日も仲間と共に。




