鞄作りのための素材集め1~まさかクリムゾンは…~
今回のはやたら長くなりそうでしたので二回か三回に分けますね(^_^;)
「フフフ……ようやく……ようやくですよ。さあ、鞄を早く作ってしまいましょう…」
「うむ……そうだな。それはいい、早くそうしよう……」
月は完全に昇りきり、また下り初めようとしている森の中、僕達は完全に疲れきった表情のまま背中を合わせて寄り添いあいながら僕はようやくてにいれた素材を手に持ち、クリムゾンは両手で最早荷物いれとかした大量の、肉やら何に使うのかわからない素材やらを纏めて集めてある魔封じの網を持っている。
何故このような状態になっているのか、と説明するためにはまず、あの夕方のモヒカンのゴブリン達を『炎弾』で倒した後から話をしなくてはならないのでそこから話をしましょう。
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まず、結局は僕があの『炎弾』?でゴブリン達を倒した後には魔封じの網いがい焼死体すら残っておらず、鞄系のアイテム作成に必要な素材はゴブリンからは何もとれませんでした…。
ちなみにここでゲームの世界が現実になった事での違いがあったのだが、この世界では死体に耐久力があるようで魔物や人のHPやSP(Soul Pointの略)がなくなって死んだり、凍死などの現象や状態異常で結果的に死んでからまたHPかSP分のダメージを与えると死体は消滅するらしい。
なら、どうやって素材を回収するのかというと『ステータス』があったことでもなんとなくわかっていたのだがクリムゾン曰く『分解』という誰でも使えるらしいスキルがあってそれを使うと魔物は素材やアイテムに、人は持ち物と装備、そしてギルドや国で発行される住民票やらギルドカードの強化版の個人認証アイテムになるらしい…。
現実的なのにここはゲーム的なんだなあとか思いつつ誰かを殺しても隠蔽が楽なんじゃないだろうかと疑問があったので質問したところ個人認証アイテムは死の直前の事を映像化して再生でき、なおかつクリムゾンでも破壊できないようになっているらしいので隠蔽が難しいというか破壊することは不可能らしい。
ちなみに僕はゲームにはそんなスキルなどなかったので持っていない。
なのでクリムゾンが持っていて当然という風に説明していたので申し訳なさそうにいうと
「そういえばユーステミアは持っていなかったのだな…。うむ、しょうがないから私の権限でスキルを付与しておこう。……うむ、なんと言うかやっぱりユーステミアは一人にするのは心配だな…」
と、最後の過保護な発言には僕は苦笑しつつお礼を言ってから『ステータス』を確認するとNewという文字と共に分解というスキルがはいっていた。
これに僕は新しいスキルが入手できた喜びに思わず頬がにやけたが、先程の『炎弾』?の炎がひいて仲間がどうなったのかでも見にきたのかあのモヒカンのゴブリン達の仲間が森からこちらをみていたので戦闘用に思考を変えてから先程の戦闘で『炎弾』が何故ああなったのかを思考し始め、なんとなくそうだろうという仮説ができたので、確認のため今度は『炎弾』の氷雪系バージョンの☆3の初級スキル『氷弾』を50㎝くらいの冷気の塊を飛ばし、敵を凍死ではなく凍らせるのを主軸にしつつ拡散を意識したところ今度はちゃんと50㎝くらいの冷気の塊が真っ直ぐ左手から飛び出し当たる直前に拡散し辺り一帯のゴブリンを氷付けに、ではなく数個の小さな氷柱ができていて確実に凍死させていた。
この結果によって仮説がほぼ実証されたので私は満足そうに微笑んでいるとクリムゾンは当然だがよくわかっていないようなので当然の疑問をかけられた。
「なあ、ユーステミア…。今度のは『氷弾』に聴こえたんだが『氷弾』って普通拡散しないしあんな見事に氷柱までたって凍死したりしないだろう…?どういう事なんだ…?」
「それはですね…多分というか確実に魔法使いの固有スキルの『魔導の神髄』というものの効果ですよ」
そう、これはかなりの自信を持って言える仮説だが転生されてから追加されていた職、魔法使いの固有スキルだろう『魔導の神髄』の効果だろう。
『魔導の神髄』の効果は創造した形に属性を付与したスキルを放てる、というものだった。
…あきらかに内容からもわかる通りチートなのだが多分魔術を使う前にイメージを想像する事によってその魔術を原型にした別物を創造したんだだろう。
…まあ威力は想像を超えましたが…
なのでこれを言えばクリムゾンにも理解できると思ったのだが……
「な、ちょ、ちょっと待て!『魔導の神髄』?『魔導の悟り』ではなく、か?……ユーステミア……まさかとは思うが魔法使い以外魔術系を全てのスキルを手に入れているか……?」
「え、ええ、元々魔術系のを集め終わってからスキルを集めはじめましたから…」
ちょっとクリムゾンの焦りようから何か不味い事でもしてしまったのかと不安になってきたのですが…
「やっぱりか…。うむ…なんていうかなその固有スキルだが…この世界では私とユーステミアしか持っていないスキルだな。それなら確かにあの馬鹿みたいな威力も納得できるな。それに…うむ、ユーステミアが持っているのは驚いたし呆れたが友達同士同じものを持っていてるのはうれしいものだな。うむ、流石私のユーステミアだ」
と、最後の言葉は性別を感じさせないというか男装すればまず爽やか系イケメンだとか言われるだろう笑顔で言われて少しドキッとして顔が赤くなってしまった。
あれ…なんでそんな考えで僕はドキドキして赤くなっているんですか!?
………まさか心まで女性的になってきましたか…?
と、ちょっとショックを受けつつ赤くなってしまったのははずかしかったので
「そ、そうなんですか!えっと、とりあえずゴブリンから素材を『分解』して取ってきますね!」
焦って逃げようと思ったのだが
「ちっ…」
なんていうか…赤くなってしまって羞恥で逃げようと思ったし最後の舌打ちで冷静になってから最後の『私の』というところを思い出して、それに触れていたら赤くなるどころでは済まなかった気がしたのでゴブリンの素材を採取に行ったのは正解だったらしい…
ていうかクリムゾンは普通だと思っていたのですけど今の僕は女の子だし…あの反応まさか百合趣味なのですか…?
などと悶々と考えているとゴブリンの前について、少し疑問を感じたのでクリムゾンに疑問を問いかけた。
なんだか困った時の某ネコ型ロボットみたいな感じに なってきましたね…。
「あの…クリムゾン、魔物とかは凍死の状態でも『分解』は可能なのですか?」
「ん…。ああ、凍死は状態異常扱いだから疑問だったのか。一様死んだ状態の死体の状態異常は死亡原因がしるされているから大丈夫だ。安心して採取するといいぞ、ユーステミア」
凍死や焼死は知っていたけどあれってそういう意味だったんだ…
「そうなんですか…知りませんでした。ありがとうございます、クリムゾン。では…『分解』…あれ?」
ええ…今の反応でわかったかも知れませんがまたスキル柄みというかゴブリン柄みで予想外の事態です…
と、僕が首をかしげていると首をかしげているのを疑問に思ったのかクリムゾンが来たのですが…
「ん?どうした?ユーステミア。…ああ、なるほどな…というかまさかだな…」
「 ええ…本当そうですね…。まあゴブリンの肉なんて聞きませんしね…」
今の発言でなんとなくわかったかも知れませんが…
「「ゴブリンは魔物というより亜人種判定だったんだな(ですね)…」」
そうなんです…個人認証アイテムこそ落ちませんでしたが『分解』で残ったのはゴブリンの装備だけでした…
あと予断ですが数体世紀末モヒカンなる頭装備のカツラを落としたのですがかなりいりませんね……