チーン!!
※昭和55年、私が高校生の時の作品のリメイクです。
32年前と言うことをお含み置きの上、ご覧下さい。
外は昼過ぎから冷たい雨が降り始めた、あたりはそろそろ暗くなってきている。
その年老いた男は最近一緒に暮らし始めた『彼女』を待っていた。
『彼女』はある日突然男の部屋に現われた。そして当然のように彼の部屋に居座るようになった。彼は最初、当惑しながらも無碍にはできず、受け入れてしまった。そして、今や「彼女」なしには生きられない自分を感じ始めている。
「雨に降られたりしてないだろうか。あの子は傘も持たないし……」
男は『彼女』のためにいつも開けてあるドアの前でそわそわしていた。
やがて『彼女』ははじめて来たときと同様に立っていた。
「やぁ、お帰り。寒かったろう」
彼は『彼女』を見つけると、急いで乾いたタオルを取りに走って、そのタオルに『彼女』をすっぽり包んで濡れた体を拭いた。だが、すっかり水気を取り去っても『彼女』のふるえは止まらず、
「でもお前、お風呂は苦手だったよな……」
老人はそう言いながら辺りを見回す。やがて彼は部屋の隅の一点を見て微笑んだ。
「そうだ…これはどうかな。待ってなさい、すぐ温かくなるよ」
「ミュゥ~……」
荷物もほとんどない彼の部屋におかれた真新しい白い箱。それは、日々の生活で自分の食事や『彼女』のミルクを温めるために重宝しているものだった。
彼はその白い箱の中に『彼女』を入れてつまみを回した。
―――チーン!!……――
ははは、誰だホラーが苦手だって言った奴は!
これは、その当時まことしやかに語られていた都市伝説を成文化したものです。
アメリカでは動物虐待の裁判まであったとか、いろいろ言われましたよね。
その年伝説はおばあさん(女性)だったので、リメイク時に男性にチェンジしました。
その方が、最初恋愛モノとミスリードもできますしね。