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星に願いを

TM様主催、「星企画」参加作品。星をテーマにした短編。


「ねぇ、吉野さん。紹介してっ! あたしどうしてもアイドルになりたいの」

 薄暗いテレビ局の廊下の隅で、小さな天使が俺に手を合わせながらそう言った。

「そんなこと言われてもなぁ」

そりゃ最近好調だけどさ、俺たちインディーズあがりにそんな伝手はねぇぜと俺、hiroこと吉野弘幸は答える。

「それにさ、そんなのショーマに言えば良いじゃん」

「翔兄に言ったってダメよ。頭ごなしに怒るだけだもん」

そして、俺に無理難題を突きつけてくる相手-笹本華野ちゃん-は彼女の兄の名前を出すと、そう言ってちょっぴり唇をつきだしむくれる。さらさらストレートの黒髪をフルフルと振るわせてヘビメタメイクの俺に詰め寄る様はまるで美女と野獣、いや、天使と悪魔。似合いすぎて笑えねぇ。

 

 ま、彼女の兄の翔真ショーマが許さないのも当然かもしれない。こんな『悪魔』の巣に『天使ちゃん』を放り込むのは正直俺だって気が進まねぇよ。


 待てよ、そう言や老舗アイドルグループ(アイドルにこう言うのもなんか変な話だが)『KIRARA』の第5次メンバー募集してたっけ。あそこならバックもしっかりしてるし、何より一回のオーディションに4桁の応募がある狭き門だ。まず間違っても、何もレッスンしてない華野ちゃんが受かることはないだろうし、それで落ちたら本人もあきらめがつくだろう。


 俺は、『KIRARA』の事務所の人からエントリーシートをもらって一緒に書き込み持っていってやった。


 俺がそんな手伝いをしてやったことも忘れちまっていた頃、ショーマがえらく不機嫌な顔でレコーディングに現れた。

「どうしたショーマ」

何気なく理由を聞いた俺は、

「どうもこうもねぇよ。はーちゃんの野郎、みんなに内緒で『KIRARA』のオーディション受けてやがったんだよ」

その言葉に一瞬で冷や汗が流れた。

「……で、良いとこまでいったの」

「俺の妹だぞ、もちろん最終選考まで残ってるぜ」

不機嫌なクセに、妹の快挙に胸を張るショーマ。お前がシスコンだってことだけはよーく分かったよ。


 そう、華野ちゃんはあの4桁の難関を潜り抜け見事『KIRARA』のメンバーに抜擢された。今や、『REAL BAMP』ショーマの妹Hananoではなく、Hananoの兄は『REAL BAMP』のショーマと呼ばれるほどに。


 後日、歌番組で一緒になったとき、

「吉野さんにね『KIRARA』のエントリーシートを持ってきてもらったとき、あたし絶対に受かると思ったよ。だって、『スター』にお願いすると叶うじゃん」

華野ちゃんはそんな妙にオヤジっぽいことを言って笑っていた。俺たち、その時6等星くらいだったと思うけど。


 じゃぁ、今度は俺の方が『REAL BAMP』の新曲のヒット祈願をしようかな。マイナス10等星クラスの君に願えば、ヒットは間違いないね。


 



 


実はコレ、同時に「ドリーム大賞」にエントリーしている、「交響楽-遠い旋律2-」のこれからのストーリー。


新たにあちらで書くつもりだったんですが、月後半異様に忙しくて。


おいおいあちらでも、このお話の別視点&その後の話を出すつもりですが、とりあえず、イベント短編ということでこちらにUPしました。

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