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悪魔の御子  作者: 奏響
第1話 赤と銀の輪舞曲
6/71

血色の瞳(上)

 目覚まし時計を止めた記憶はなかった。

 カインが見た文字盤は設定時間を大幅に遅れていた。身体を起こそうと動いた途端に頭に激痛が走り、思わず顔をしかめる。

 昨日、帰宅したのは夜中の1時半を過ぎていた。

 隣室にライの姿はない。壁に掛けられているコルクボードに、“今夜は帰らない”というメモが残されているだけであった。どうせまた女のところだろう、そう思いながらキッチンで汲んできた水を一気に飲み干す。少し飲み過ぎたか? などと思いつつ、ふらふらとした足取りでベッドに雪崩れ込んだ記憶はある。

 それ以降はまったく覚えていない。

 カインは溜息を吐きつつ何とか身体を起こした。二日酔いになるほど飲んだ自覚は当の本人には全く無い。にもかかわらずこの有様だ。

 最近のカインはいつもそうだった。仕事の後は我を忘れてしまうほど酒に溺れてしまう。

「体がもたないな、マジで」

 引き攣る笑みを浮かべ、カインはすっかりくしゃくしゃになったシャツを脱ぎ捨て、シャワールームの扉を閉めようとした。

 その時、チャイムが部屋中に鳴り響いた。

 ライではない。彼なら鍵を持っている。

 カインは面倒臭そうに朝陽を受けて光る銀色の前髪をかきあげ、外も覗かずに鍵に手を掛けた。

 上半身裸であることに本人はまったく気にかけていない様子、と言うよりも忘れているらしい。普段なら慌ててバスローブぐらいは羽織る余裕を見せるのだが、頭がはっきりしていないのだろう。

 開いた扉の向こうにいたのはアイラだった。彼女の右手にはご丁寧にも今朝の新聞が握られている。

「朝っぱらから何のようだ」

 カインは機嫌悪そうにこめかみを押さえた。その姿にアイラは呆れた様子でハンドバッグから小瓶を取り出した。

「・・・何?」

「二日酔いの薬に決まってるでしょ。あんた真夜中に電話掛けてきて、散々喚いて一方的に切ったでしょうが。」

「・・・電話、したのか?」

「覚えていないか、やっぱり」

 言われてカインは頷く以外になかった。

 アイラはつかつかとカインの寝室に入り、床に転がっていたモノを拾い上げた。

「切れた後、コールしたら不通になっていたわよ」

 カインは口を開けて唖然としてしまった。

「・・・嘘だろう・・・? だって・・・」

 受話器が転がっていたことにも気づかなかったのだ。

 カインは頭を抱えた。今までで一番最低な酔い方だ。・・・いや、もっとも最低だったのは『あの時』か。

「だから持ってきたのよ。さっさとシャワーを浴びていらっしゃい。いつまで女性に上半身を晒しているおつもりかしら?」

 アイラは冷めた目で浴室を指した。カインは今更ながら我に返った。そして、己が何も羽織っていなかったことに気づくのだった。

 後ずさるようにカインは慌てて浴室に駆け込む羽目になった。

 アイラが面白そうに“くすっ”と笑うのを背後で感じながら。


 熱いシャワーを浴びてカインがバスローブ姿で出てくると、テーブルには淹れたてのコーヒーが置かれていた。

「勝手にいじらせて貰ってるわよ」

 卵は半面? 両面? と訊くアイラに、カインは「半面」とだけ答えた。

 空腹のときの方が薬が効く、というのでカインは小瓶の蓋を開け中の液体をまず少し飲んだ。特別味もなかったのでカインはくいっと飲み干し、テレビのチャンネルをあちこち無駄に変え始めた。

「馬鹿やってるんじゃないの。冷めないうちにどうぞ。」

 さっきの卵の皿をテーブルに置き、優雅とも言える手つきでアイラはコーヒーカップを手にとった。

「いただきます」と言ってカインは有り難く馳走になることにした。まずコーヒーに口をつける。

 美味い。

 体中に渦巻いていた二日酔いという毒素が一気に浄化されるような気分だった。

「薬が効いてきたみたいだ」

 ようやく自然に笑えるようになった。アイラも口元を緩める。

「じゃあ患者に出せるわね」

 がしゃんっ!! と食器が跳ね飛んだ。幸い中身は無事のようだが。

 カインの身体がわなわなと震える。

「おーまーえーなー!! また人をおもちゃにしやがってっっっ!!!」

 怒鳴った瞬間、キーンと頭の中で金属音が鳴り響いた。カインは思わず涙目で頭を抱え込んだ。

「大声出すから。ちなみにそれを言うなら実験台よ」

 しゃあしゃあと言ってのけるアイラにカインは脱力した。

 今日は分が悪すぎる。普段からそうなのに、この状況下では明らかに不利である。どうしようもないとはこういうことを言うのだろうか。

 カインの口から幾度めかの溜息が漏れた。

 何を言っても茶化されるのが落ちのようだ。昨夜のことを相当根に持っているのだろう。始終あのイヤになるぐらい優しい笑みを浮かべているのだから困る。

 暫くは食事に専念することにした。食器の触れ合う音とテレビCMだけが耳に届く。

 時折会話を挿んだ朝食を終え、カインは着替えに自室に戻った。その間にアイラは片づけまでしてくれたらしい。戻ったときにはすでにテーブルを拭き終わった後だった。

「アイラ」

「何?」

「あのさ・・・」

『では、今朝のトップニュースです』

 アイラに呼びかけたカインの言葉をテレビの美人キャスターが遮った。彼女はよく通るソプラノで淡々と与えられた原稿を読み進めてゆく。

『昨日夕方、大手ソフトウェア会社社長であり、政治家としても名高いフランク=アンドレア氏が殺害された事件で、パリ警視庁は暗殺の疑いが濃厚であるとの見解を発表しました。現在も捜査は続いており、現場のビルでは-・・・・・・』

 カインは手近にあったリモコンを取り乱暴にチャンネルを変えた。

『暗殺はプロの手口と見られ・・・』

 また変える。

『・・・―と、発表されています。アンドレア氏はこれまでにも悪い噂がたっていましたし・・・』

 ぶちっ と、電源を切り、リモコンをソファに放り出した。カインはアイラに向き直った。

「・・・訊かないんだな」

「わかりきったことは訊かない主義だわ。」

 にこっ と笑うとアイラは新聞を屑篭の中に落とした。

 彼女には適わない。そうカインは思った。セシルにも、ライにも、だ。今になって改めてカインは自覚した。どれほど彼らに救われてきただろう、と。

 それこそ幼いときから。どんなときも。どんなことがあっても・・・。

「そういえば、お前今日は何の用だ?」

「はい?」

「はい? じゃねーよ。用があってきたんだろう?」

「あ、そうそう。そうだったわ」

 アイラは本当にたった今思い出したらしい。ただ、都合よく思いついただけなんじゃないのか? という言葉はとりあえず飲み込んだ。

 余計な言葉は身を滅ぼすだけである。

「来週末イギリスに帰んなきゃならないのよ」

「何かあったのか? 実家だろう?」

「妹の婚約パーティーですって。そんなことで呼びつけないでほしいわ。まったく」

 言いつつも顔は正直だ。嬉しそうに笑っている。

 恋人同伴の帰国だろう。

「それはおめでとう。妹・・・マリアだっけ? にもよろしく言っといてくれ」

「ありがとう。結婚式にはみんなを呼ぶわ。あの娘も会いたがっているのよ」

「で、その用は何だったんだよ」

 カインは逸れかけた話の軌道修正を試みた。

「だーかーらー、そのお土産を買いにいくんだって。・・・付き合ってくれるわよねぇー、もちろん」

 アイラの極上の笑みはカインに無言の威圧を与えた。覚えていないが、昨夜は散々迷惑をかけたらしい。これで逆らえば命の保障はない。

 カインは大人しく頷き了承した。別に今日一日腐っているつもりだったのだ。気分転換ぐらいにはなるだろう。

 と、思ったのは大きな間違いだった。


「おい! いくつ買えば気が済むんだ? おまえはっ!!」

「あと一店よ。うるさいわねぇ。今日一日付き合うって言ったのはあんたよ。しっかり持ちなさいよ! 落としたら承知しないからね!!」

 アイラは振り返って ――― カインにははっきり言って偉そうにしか見えないのだが ――― 口を尖らせた。

 彼女の手にはハンドバッグしかない。反面、カインは両手に紙袋と箱を抱えさせられている。

 土産とか言っていたが、その殆どが自分へではないかとカインは思わずに入られなかった。

「あ、素敵。このスカーフいいわ」

 カインの思いなぞ気づきもしないのだろう。さっさと店の奥に消えてしまったアイラに、慌ててカインも彼女を追う羽目になった。

 その店は婦人服のブランドを扱っていた。棚には洋服以外にもハンカチーフ、スカーフ、香水、化粧品、バッグ等々所狭しと陳列されている。

 奥の鏡の前でアイラがとっかえひっかえスカーフを試している。化粧の濃い店員が下手な誉め言葉を盛んに並べ立てていた。馬鹿な観光客相手ならばすぐにでもその気にさせそうな勢いだ。

 いい加減にしてくれ! とカインは叫びかかった。

 女という生き物はどうしてこう光物だとか、買物だとかの類に情熱を注げるのだろうか? 男にはわからない心理なのかも知れないが。

(判りたくもないな・・・)

 心の内に溜息をつき、カインは何気なく視線をアイラに戻した。

 気に入ったのがあったらしく、彼女は嬉々とした表情で近づいてきた。

「終わったのか?」

「・・・何か嬉しそうね」

「えっ!? き、気のせいじゃねーか? とりあえず終わりだろ・・・!?」

 まるで、刃で貫かれたかのように一瞬息が詰まった。

 カインは無表情な顔で、息を止め静かに振り返った。

「どうしたの?」

 怪訝そうにアイラが訊ねた。が、すぐに彼が凍りついた理由に気づく。

 はっきりと感じ取れる殺意を含んだ視線が、ウインドウを貫き2人を刺していた。

「いつから・・・?」

「つい今し方。嫌な視線だ、どろどろしやがって。女連れだから殺りやすいと思っているんだろう」

「なんでよ」

「いざとなったら人質にできる」

 まぁ・・・無理だろうけどな、と付け加えるのも忘れなかった。が、そのためにさりげなく繰り出された渾身の一撃を食らったのは言うまでもない。

「で、どうする気?」

「も、もちろん」

 腹部の辺りを擦りながら、カインはにっと笑った。

 アイラの瞳に鋭い光が宿る。

 カインがすでに銃の確認をしているのに気づいたのだ。

「俺の、だ。面白がって手を出すなよ。」

「誰がタダでやるもんですか」

 アイラらしい発言である。

 2人は顔を付き合わせ頷き合うと、何食わぬ顔で店を後にした。

 2ブロックほど歩くと、案の定視線の主は数メートル置いて後をついてくる。

 2人とも思わず笑った。

(下手な尾行。素人じゃない)

(こんなやつを差し向けてどうする気だ、いったい・・・)

(誰の差し金よ? アンタ知ってるんでしょ?)

(さぁてね・・・)

 カインはアイラの肩を押すようにして急に薄暗い路地へ進路を変えた。

 彼らを尾行していた主は、2人の思わぬ行動に慌てて後を追って路地に入った。

 しかし、ついさっき入ったばかりのはずの2人の姿はそこになかった。

「野郎! 何処に行きやがった!!」

 レスラー並みの体格の男が左右を見渡して怒鳴った。

 この路地に入ったのは確かだ。

「出てこいっ! このヘルメイ=スカル様が遊んでやるぜ!!」

「貴様などと遊んでやる暇はない」

 バスッ、という鈍い音と共にヘルメイの眼前を横切って銃弾が壁にめり込んだ。

 男が顔を横に向けた。

 そこにはサイレンサー付きの銃を片手で構えたカインの姿があった。

 サングラスが外され、真紅の瞳が露わになる。

 つい先程まで女の買物に付き合わされて不平不満を並べ立てていた男とはすでに別人だ。

 炎のように赤いのに、氷のように冷たい瞳。

 ヘルメイはその大きな身体を細かく震わせている自分に気づいた。そんな姿を否定するかのように、大袈裟にナイフを取り出す。

 大振りのアーミーナイフ。殺傷能力には優れているものの小回りが効かない。戦場ではないのだから、こんな路上では全く向いていない。

「うぉりゃぁぁぁー!!」

 大層な掛け声と共に、ヘルメイはナイフを突き刺すように繰り出してきた。が、カインはそれを冷静に、素早くかわしていく。

 突き殺せないとわかると今度は振り回し始めた。

 しかし、カインを捕らえるなど百年かかっても無理な話である。

(いい加減このバカの相手も面倒臭くなってきた・・・)

 ヘルメイはまだ真っ赤な顔でナイフを振り回してくる。

 引き際を知らないバカほどどうしようもない。

 カインは一瞬の隙をついてヘルメイの太い腕を両手で掴み、動きを止め180度男の巨体を回転させ地面に叩きつけた。

「ぐっわぁぁっっ!!」

 ヘルメイは潰れた蛙のような叫び声をあげ、利き腕を押さえた。ついでに腕まで折られたようだ。

 痛みに耐え切れず、安易に顔をあげ上体を起こそうとした。

 瞬間カインの蹴りがまともに腹に入った。

 叫び声をあげる間もなく、その勢いで今度は巨漢を壁に叩きつけられた。

「おい」

「ぐっっ・・・」

 カインは銃口をヘルメイの顎にあてがった。

 鈍く光る銃身にヘルメイは恐怖を感じた。生まれて初めて感じる死の恐怖を。

「誰に雇われた」

「・・・・・・」

 判っていながらも、わざとカインは問い質した。

 ヘルメイは言葉を失った。

 感情の片鱗さえ見えない眼。この眼を見た途端に全身は凍りついたように口さえも自由に働かなかった。

(この男の眼は正気じゃねぇ・・・。本物だ)

「どうした。何か言ったらどうだ?」

「うっ、あっ・・・、がっっ!!」

 突然低く呻いたかと思うと、かくんっと首がうなだれた。

 巨漢の首に目をやると、そこには一本の針が刺さっていた。

 カインは黙ってアイラを振り返った。もちろん銃口はそのままだ。

「モルヒネと自白剤の混合薬よ。痛みを麻痺させ自白をスムーズに行う・・・まぁ、とある軍からの依頼で作ったんだけど」

 アイラの『仕事』は製薬関係がウェイトを占めていた。その種類は精神安定剤から毒薬、果ては薬品を使った爆薬まで幅広い。専門は外科だからメスを持つこともあるが、内科的知識も専門医の遙かに上をいく。彼女自身も手術よりは薬品の調合が性に合っているという。

「もちろんそれは試薬よ。人体実験がまだだったからちょっとさせてもらうわ」

 アイラは“針”の入ったケースを振ってみせた。

 シニカルな笑みがよりいっそう彼女を美貌の魔女に仕立てる。

 その美しき薔薇の棘に刺され、彼女の獲物は死を迎えるのだ。

「そろそろかしら」

 言葉通りヘルメイがうっすらと瞼を開いた。

 モルヒネの効果で、死にそうなくらいの痛みですら感じていないようだ。しかし全身は小刻みに震えていた。

「誰に雇われた」

 カインは先程の質問を静かに繰り返した。

 ヘルメイは焦点の合わない眼で銃口を向けたままのカインを見た。

「や・・・奴。お、おぉ・・・まえ・・・もし・・・て・・・」

「奴? 奴とは誰だ?」

「お・・・ま・・・知・・・、ぐぅっ、がぁっっ!!」

「!?」

 急にヘルメイはもがき苦しみ始めた。激しく喉を掻きむしって。

「おいっ、アイラ!」

「おかしいわ! 苦しむはずは・・・」 

 今まで静かに傍観していたアイラも異変に気づき近づこうとした。

 その刹那、アイラの瞳に何かが映った。

「どきなさい! カイン!!」

 突然叫んだアイラの声にカインは反射的に後方に飛び退いた。

「うぎゃぁぁぁ―――っっっ!!」

 ヘルメイの断末魔と共に鮮血が噴出した。そして静かにその首を胴体から滑り落とした。

「なっ・・・」

 カインは顔を強張らせた。いきなり目の前でこんなことが起きれば、彼とて驚かないはずはない。

「どいて! カイン!!」

 アイラはすかさずヘルメイの巨体に駆け寄った。死体には触れないように監察を始める。

 切り口はとても滑らかで、ご丁寧に骨まできちんと切断されている。まるでかまいたちにでも襲われたかのように。

 先程の針が死体の傍に転がっていた。彼女はそれを白いハンカチに取る。

 急にアイラが顔を上げた。カインも同様に見上げ、視線の先にある陰を見つけた。顔はこちらからでは判別がつかない。どうやら向こうもこちらを見ているようだ。

「・・・糸」

「アイラ・・・?」

 怪訝そうにカインはアイラを見た。彼女は何か確信めいたように呟く。

「アイラ」

 カインはもう一度名を呼んだ。

 するとアイラは返事もせずに立ち上がり、カインに荷物を突きつけた。

「え・・・」

「何ぐずぐずしてるのよ、話は後よ後。警察に捕まりたくはないでしょ!!」

 言うが早いかアイラはすでに走り出していた。

「アイラっ!」

 カインは再び慌てて彼女を追いかける格好となった。

(あと・・・2人)

 カインはちらっと壁際に転がる死体を見やった。

 それはただの肉の塊としか彼の瞳には映らなかった。

 感情のない、暗殺者の瞳には・・・。

「ふふふ・・・いい『演出』でしたよ、ヘルメイ。貴方のおかげでとても盛り上がりました。まぁ、最後はあまりにも無様だったので私が幕を引かせていただきましたけどね」

 高らかに笑う男が足早に立ち去る2人の姿を見てそう言い放った。

 アパルトマンの屋上。

 そこはアイラとカインの視線の先。

「我々のことも気づかれたのではないか?」

 もう1人、2人が気づかなかった男が訊く。

「おそらくね。そうでなくては面白くない。『芝居』は始まったばかり、今は一幕終わっただけに過ぎない・・・。第二幕は美しき出会いの物語です。『彼』と『私』の、ね。・・・心配しなくても貴方の出番はありませんよ。この『芝居』は三幕ものです。第三幕でセ・フィニ(終幕)・・・。結末を楽しみにしていてください、素晴らしいものになりますよ、きっと。ね、ムシュウ」

 男はその言葉には答えなかった。

 下ではようやくパトカーが到着した。

「酷いな・・・、これは」

 現場の凄惨さに刑事たちはただ顔をしかめ、立ちつくしか方法がなかった。



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