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【BL】泣き虫で小柄だった幼馴染が、メンタルつよめの大型犬になっていた話  作者: 雪 いつき


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7/9

7.模試の結果


 二ヶ月後。模試も終わり、そろそろ文化祭や体育祭の話が出始める頃だ。


 三年生は受験を控えているものの、高校最後の思い出にと、うちの学校では準備期間一週間という強行スケジュールが組まれる。その間は授業は午前中だけ。学校に泊まり込むのも有りという、よく学びよく遊べを体現したような学校だ。


 理央(りお)は一年生だから、授業時間は変わらずに、一ヶ月間かけてじっくりと準備をするはずだ。



 少しだけ浮かれた雰囲気の廊下を歩き、目的の場所を目指す。下校する生徒たちと擦れ違いながら辿り着いたのは、一年生の教室が並ぶ廊下だ。


「理央は、まだ来てないか」


 一緒に見るのもなんとなく気まずいし、先に見てしまおう。


 壁に貼り出された大きな紙へと視線を向け、順位表の一番下、二十位からゆっくりと名前を追っていく。



「十七……十五……」


 十位を過ぎると、グンと総合点が上がる。


 理央は文系科目が苦手だから、さすがに今回は見送りかな。


「九位……三位、………………三位っ?」


 油断しながら名前を追っていた俺は、思わず声を上げた。




『三位 平瀬 理央(ひらせ りお)




 何度見ても、理央の名前だ。

 でも、学年で、三位?

 まだ二ヶ月しか経っていないのに?


「勉強、苦手なふりしてた……?」

「あの時の点数は、嘘じゃないよ」

「っ、理央……」


 突然背後から声がして、ビクッと跳ねた身体を抱き締められた。周囲にはちらほら人がいるけど、今の俺はそれどころじゃない。


「こんな短期間で、どうやって?」

「すごく、頑張った」

「頑張ったにしても……」

「ものすごく勉強したんだ。(おう)ちゃんの、……凰太朗(おうたろう)の恋人として、相応しくなりたいから」

「っ、理央っ……」


 耳元でそっと囁かれる。理央の気持ちを知った今、こんな甘い声で名前を呼ばれてはたまらない。



「えっ、理央やばっ」


 理央の腕の中から抜け出そうとすると、後ろから知った声がした。理央のクラスメイトの女の子だ。


「あのっ、これはっ……」

「三位ーー!?」


 え……あ、抱き締められていることに対する反応かと思ったら、そっちだったか……。


「坂口センパイ、こんちはーっ」

「うん……こんにちは……」


 理央の男友達からは、普段通りの挨拶をされた。二歳しか違わないけど、今の子って、こういうスキンシップは普通?



「理央、三位か~。今回、理系科目厳しかったのに……って、厳しかったからか」

「理央、数学満点だったもんね」

「理系全部な」

「すごい通り越してこわい」


 理央が答えると、一気に賑やかになる。


「うちら文系得意だけど、理系で死んだ」

「それはそう。わたし文系ほぼ満点なのに、十三位だったしー」

「それでもすごいよ。学年で十三位なんだから」

「えっ、凰ちゃん先輩やさし~っ、惚れるっ」

「惚れるな。呼ぶな」


 理央は俺を抱き締めたまま、彼女たちの逆方向に身体を移動させる。いや、いくら理央の方が体格がいいからって、軽々と動かされすぎじゃないか?


「独占欲やばぁ。理央君、また一緒に勉強しよーね」

「……ああ」


 デレた、と笑い合いながら、彼女たちは帰って行く。……最後まで、俺が抱き締められていることには何も言わないまま。



 そこでようやく、理央の腕の中から解放される。代わりに手を繋がれて、廊下の端まで連れて行かれた。


「……あいつら、あれでいて成績いいから。この前のテスト用紙見せたら爆笑されたけど、勉強会しようってなって……」

「そっか。いい友達だな」

「一人とじゃなくて、みんなでの勉強会だから。教室とかファミレスで」

「うん。……うん?」


 やけに詳細を教えてくれるな?


「……あ、そっか。大丈夫だよ。友達だって分かってるから、疑ったりしないよ」


 浮気を心配しているのかと思ったら、そうだったみたいだ。まだ恋人でもないのに浮気というのもおかしな話だけど。


「勉強の方は、疑ってごめんな。何か理由があって得意なのを隠しているのかと……」

「その方が良かったんだけどね。なんでも出来てかっこいい、って思われたかったし」


 理央は苦笑したけど、すぐに真剣な顔をして俺を見つめる。



「俺は年上にはなれないけど、凰ちゃんにかっこいいって言って貰える男になるから。だから、年下でも俺のこと……」

「ちょっと待て。俺は、年上が好きなわけじゃないぞ?」


 秀兄ちゃんに会った時も違和感があった。思い返してみれば、岡本が理央を怖いと言っていたのも、理央が敵対心を燃やしていたからか?


「でも凰ちゃん、ずっと秀兄ちゃんのこと大人でかっこいいって言ってた。岡本って人も、騒がしいけど、なんか余裕みたいな雰囲気出すし」

「そりゃ秀兄ちゃんは憧れだったから……岡本、余裕みたいな雰囲気あるか……?」


 いつも明るくて堂々としているのは間違いない。でも、テスト前にノートを見せて欲しいと言って泣きついてきたり、女子にフラれたから慰めてくれと言って泣きついてきたり……泣いてる姿ばっかり見てる気がするな。


「二人にそんな感情はないよ。理央相手みたいにドキドキしないし」


 まさか年上が好きと思われていたなんて。

 笑い飛ばしたはずが……余計なことを言った気がする。




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