第七十九章「傷み」
(あの銃……何かを吸い取った?───)
黒龍の銃───で撃たれた人間は、まるで生きる力を奪われたようだった。
一気に老け込んでしまい、一人で歩けずに仲間の力を借りてやっと手足を動かせる様子。
(それにしても……、女装獸達が言っていたことが…本当だったとしたら……───龍仙女様は、神美を利用する為に?……───でも、魔物の乙女ってどういう意味───)
ゴンッ!!!!───────
棍棒で殴られたような音が響き、黄龍の脳天に直撃した空からの落下物を見て周囲は驚愕した。
「か、神美…ちん!?」
先程まで殺気丸出しだった黒龍でさえ、正気を取り戻すくらいだ。
「ッッッッッッ~~~~~どっから降ってきてんだよ!!お前は!!怒」
脳天に大きなたんこぶが出来上がった黄龍は、己の脳天に直撃した神美に掴みかかろうとした。
「……う」
「!……神美…───その腕……!」
「……いてて────って!!……黄龍!……黒龍!!…それに、ケセラ…師匠も!。ついでにオネェの皆さんも…なんでこんな所に……」
「馬鹿!──それは僕らの台詞だよ。てゆーか、その腕どうしたの!?」
「腕?────」
神美は自身の腕に目をやると、まるで食物が傷んだかのように爛れていた。
「!!……な、何これ……」
「キュウ~…」
心配した表情を浮かべたケセラが神美の腕を舐めようとしたが、師匠が慌てた様子で阻止をする。
「仙女……、お主…身体が傷み始めてるのぢゃ…」
「傷み…始める?」
「…お主の生まれた世界が、お主を生かす為の空間と気候が備わっている。要は、酸素と同じぢゃ。これは余の世界と共通する事……」
「師匠…それってつまり……」
「今仙女の状況は、常に息を止めている状態ということぢゃ……。主に身体の方ぢゃがな……───このままでは…身体が腐り切ってしまう」
「それって、神美が死ぬって言いたい訳?」
「はっきり申してしまえばそうぢゃ…。今直ぐに元の世界に帰るか……────若しくは、此方の世界とお主の世界を一体化させるしかない。」
「そ、そんな事ができるの!?」
「ぢゃが、それは一時的なもの───本来交わる事のない世界と世界が繋がれてしまえば、空間と人間一人一人に歪みが生じてしまうぢゃろう。そして、例えそれでお主が助かったとして、世界は乖離され、消滅するか…───運が良ければどちらかの世界の片方だけが残るか」
「そんな……───そんな事…絶対ダメだよ!!」
皆が生まれたこの世界────あたしが生まれたあの世界を─────
ドォンッッ!!!──────────
銃声音が辺りに響いた。
「黒龍……お前─────何を…して」
黄龍は、ゆっくりと倒れていく神美を抱き留めた。
「あはは……────あははははっ!───さて……見せてもらおうかな……」
黒龍は笑っていた──────自身の銃で、神美を撃った後に




