表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
爛漫ろまんす!  作者: 平野ポタージュ
あたしは伝説の食材
8/84

第八章「皮と具」

「へ、陛下!…我々が!」


「貴方様に捜させる訳にはまいりませぬ!」


神美(かみ)が飛び出した後、白龍(パイロン)が直ぐ様に追いかけようとすると、家臣達は慌てた様子で制止したのだ。


「……気遣い感謝する───しかし、これは私の責任だ。」


「陛下、お言葉ですが……あの娘は呪いの食材と呼ばれた美豚(ビトン)…。陛下が何故そこまで、あの娘を気にをかけるのか……」


「それに、美豚(ビトン)は今直ぐにでも始末せねばならぬと……───伝説ではそう語り継がれております」


「あの娘は呪いの食材ではない」


「し、しかし……!」


「心美しき娘だ……───穢れを知らない、乙女なのだ」


すると──白龍(パイロン)の身体は白く輝き始め、龍の姿へと変身した。


「そなた達も、いずれあの娘の人柄に惹かれるであろう……。───…今は、それで良いのだ」


「へ、陛下!!」



ビュオォォォ!!──と、突風が吹くと、白龍(パイロン)は消えてしまった。






「ね…ぇ、あなた……もしかして、小龍(シャオロン)が……好きなの?」


「……ええ、そうよ───アタシは、あの方の為ならば……命を捧げる覚悟も出来てるの。……でも、白龍(パイロン)は…───貴女を護る事でいつも頭がいっぱいで……───アタシの気持ちも……残りの(ロン)の気持ちもお構い無しに……」


「どう…して?……小龍(シャオロン)は……あたしを」


「情に触れてしまったから───貴女の生みの親の……────五龍(ウーロン)として生きていたのに、そんな使命や…世界を不安定にさせてしまっても……───何があっても護ると誓ったのよ───貴女の母親の代わりに、白龍(パイロン)は!!─────」


ドオオォォォォォォンッ!!!!!!


突如の衝撃波によって室内が破壊され、黄龍(ファンロン)龍尾(りゅうび)に捕えられていた神美(かみ)は解放され、外に投げ出されてしまった。


「うわあああ!?」


神美(かみ)!!!─────」


ドサッ……!!!────


(……あれ?、痛みが……無い───)


「って!!───シャ、小龍(シャオロン)…!!」


「っ……───間一髪と言った所か……」


白龍姿の白龍(パイロン)は、自分の背で神美(かみ)を受け止めたのだ。


「お、重かったよね!?。どうして……───助けに来てくれたの?」


「……私は無神経だった────そなたの気持ちも考えずに……、傷付けてしまった」


白龍(パイロン)は身体から白い光を放ち、人間の姿へと戻る。そして、神美(かみ)の頬に手を添えて…


「済まなかった……」


「っ……」


(なんて、綺麗な人なんだろう……。)


硝子玉の様な綺麗な瞳───長くて黒い髪────透き通るような白い肌……


神美(かみ)は、心がときめいた。


しかしそれを、嫉妬が混ざった黄金色の瞳が見逃さなかったのだ。


白龍(パイロン)……ッ!!」


黄龍(ファンロン)…、一体之はどういう事なのだ?。……神美(かみ)に……、何をしようとした?」


「…白龍(パイロン)…、貴方は変わってしまった……────美豚(その娘)を見つけた時から……」


「……下がれ─神美(かみ)。」


小龍(シャオロン)!?……何をする気なの!?」


「……この(ロン)は、五龍(ウーロン)の禁忌を破った───…人間に手を掛けようとしたのだ」


白龍(パイロン)は、腰元の鞘から剣を抜き

黄龍(ファンロン)に突き付けた。

黄龍(ファンロン)は、白龍(パイロン)のその行動にショックを受け、身体から黄金の光を放ち──────


「ッ……!?──そなたは……、いつも柘榴(シィーリオ)と共に居る…後宮の妃の……」


泣きじゃくるその美しい少女の顔を見た白龍(パイロン)は驚愕の表情を浮かべた。


「ッ……あぁぁッ!!───……ッ……やっと……やっと……白龍(あなた)に……追いついたのに……ッ────」



(どんな思いで……)


神美(かみ)は無意識にそっと、黄龍(ファンロン)を抱き締めていた。


「ッ!?…な!!何をするのよッ!!!───」


「───寂しかったよね……────ごめんね……、ごめんね……ッ───大好きなんだよね……、白龍(かれ)の事が……─── 龍仙女(おばあちゃん)の事が」



痛い程──伝わってくるから……





神美(かみ)、痩せるとは別に、ばあちゃんとの約束じゃ』




ええか?、世の中色んな個性を持って、宿命を持った生物が居るんじゃ


お前はその生物の中の、人間っちゅーもんにたまたま生まれたに過ぎん。


その生物の中にゃあ、捻くれて拗らせて…

そらぁ、えれぇめんどくせぇ、理不尽な馬鹿も存在するけどなぁ


「大丈夫だよ……、ちゃんと…貴方の気持ち分かってるよ」


『お前はそんな《《馬鹿》》を包める、肉まんや小籠包の皮的な存在になってやれ。具があるからこそ、皮がある。』


『ばあちゃん、何言ってるかさっぱりだよ』


『アハハ!、今に分かるぜよ』


皮だけじゃ────具だけじゃ───


「寂しいもん……、そんなんじゃ……」


幼き頃におばあちゃんに言われた事を、やっと理解が出来た気がする。


でも、それは……、言葉にするにはまだ難しいような……


「あたし、四ノ宮神美(かみ)って言います!。…あたし……黄龍(ファンロン)と友達になりたい!───だから、貴女の名前を教えて?」


おばあちゃん────あたしは、包める皮になれるかな?


包める皮になれたら、また……


神美(かみ)の所に、帰ってきてくれる?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ