表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
爛漫ろまんす!  作者: 平野ポタージュ
女の國・玉戻し合戦
79/84

第七十五章「逆鱗」

「ちょ…ちょっとたんま~」


神美(かみ)達の居場所を突き止めた青龍(チーロン)は先に向かい、黄龍(ファンロン)黒龍(ヘイロン)は覚醒したケセラに乗ってその後を追うが……黒龍(ヘイロン)が青ざめた表情で口許を抑えたのと同時に、ケセラはゆっくりと止まる。

黄龍(ファンロン)は苛立ちが隠せず、黒龍(ヘイロン)に罵声を浴びせた。


ケセラのあまりの速さに酔ってしまったというのだ…


「また酔ったの!?、アンタそれでも五龍(ウーロン)!?」


「って言われてもぉ~…、今は人間だしぃ…」


「…ああ、ごめん───ついでにオッサンだったね」


「あああぁっ!!それ言わないでぇ!!」


「ガウッ?」


「大丈夫?」と言わんばかりの愛くるしい表情で、ケセラは黒龍(ヘイロン)に擦り寄るが、黄龍(ファンロン)は「そんな奴に慰めとかいらないから」と冷たく言い放つ。


「はあぁぁ~…ケセラ……キミだけだよ~オレに優しくしてくれるのは」


「きゅいっ」


「ったく、青龍(チーロン)は先に行っちゃうし!神美(かみ)達全然見つからないし!!」


「黄龍よ、そうカリカリしなさんな」


師匠はやれやれと首を横に振る


「カリカリもしたくなるってーの!」


「来る────」


「何が来るって?」


女装獣(じょそうじゅう)達じゃ…」


「はあ?────」


黄龍(ファンロン)が先に進もうとした瞬間、棘が付いた太い棒が振り翳されていた


「!……」

ブォンッ!!!────と、棒は振り下ろされたが

軽い身のこなしで避ける。棒が地面に食い込み、振り下ろした女装をした巨漢の男──女装獣(じょそうじゅう)は舌打ちをする。

辺りを見渡すと、巨漢の女装軍団に囲まれていた。


「無駄に整ったムカつく顔……────この狼牙棒(ろうがぼう)の餌となってもらおうかね」


「…アンタら、僕に何を向けてモノ言ってんの?」


「まあまあ、黄龍(ファンロン)落ち着いて~!餅はついてぇ~!」


「煩い!何その寒いギャグ」


「アンタら……黄龍と黒龍だね?───やっと見つけた……」


「あらあら、オレらの事知ってる系?───お姉さん見る目あるぅ~っ」


「何で僕らの事知ってんの?───人間に生まれ変わった事は、自分で言うならまだしも……世界に口外してない筈だけど」


「ふん……───アンタらが知らないだけで、世界は五龍が人間に生まれ変わってる事は知ってんのさ。あの龍仙女(ロンシィェンニュ)が、使命から逃げた事も……世界が災いに包まれようとしている事も……」


「くっだらない……。確かに龍仙女(ロンシィェンニュ)様が居なくなって……この世界は前よりかは争いが増えたかもしれない───でも、僕らは何があっても……あの方の分まで護り抜く。それに……あの()が居る───龍仙女(ロンシィェンニュ)様の意志を受け継いだ…」


すると女装獣(じょそうじゅう)は嘲笑う。


「…己の力を与え、魔物の乙女が覚醒する其の時……五龍滅び、世界は憎悪に包まれ…新しく生まれ変わるってね……」


「魔物の…乙女?」


「なんだそれ……───誰だよ、そんな出鱈目ほざいた奴───それじゃあまるで…龍仙女(ロンシィェンニュ)様が……あの子を利用して…僕らを───」


五龍(ウーロン)ってのは…案外おめでたい頭をしているんだねぇ……───龍仙女(ロンシィェンニュ)はお前らの存在を消して、この世界を滅ぼそうとしてんだ……」


「ねぇ───それ……ロンちゃん……龍仙女(ロンシィェンニュ)が言ったのか?」


「だとしたらなん─────」


次の瞬間───錫杖が女装獣(じょそうじゅう)の鳩尾に食い込む。その衝撃で女装獣(じょそうじゅう)は蹲り、呻き声を上げた。


「ごっめぇ~ん!あんまり笑えない冗談言われちゃったからさぁ~…───誰が存在を消すって?誰が世界を滅ぼすって?……それ、広めた奴教えてよ?───今すぐ殺すから」


「よせ、黒龍(ヘイロン)!!───そいつは人間ぢゃぞ!」


「ちょっと……早く玉娘(ユーニャン)様呼んでこないとまずくない…?」


女装軍団の一人が小声で囁く。勿論それは黒龍(ヘイロン)には聞こえていた


「何?その玉娘(ユーニャン)って奴が、広めたの?───じゃあ、そいつ……」


カンッ──────

錫杖は二つに分解され、拳銃のようなものに変化し…


「お仕置きしちゃおうかなっ」


引き金がゆっくり引かれた─────


ドォンッ!!!!!──────


黒龍(ヘイロン)!!!!」


止めようと黄龍(ファンロン)女装獣(じょそうじゅう)の前に立ちはだかるが


魂銃(こんじゅう)───……悪い子を食い尽くしてくれるかな?」


銃から放たれた黒い「魂」のような物は、黄龍(ファンロン)を避け、女装獣(じょそうじゅう)の身体を貫通した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ