表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
爛漫ろまんす!  作者: 平野ポタージュ
女の國・玉戻し合戦
77/84

第七十三章「白龍覚醒」

一瞬の隙で巨漢の女装集団に捕らえられてしまった。

手は後ろにやられロープのような物で縛られ、身動きが取れない状態だった。

白龍(パイロン)赤龍(ホンロン)だったら女装集団をなんとか出来るが、相手は人間であるので無闇に手を出す事は出来ないのだ……。


「あーーん!!もう着せ替えし甲斐があるぅぅぅ~!!」


「触んなカマ野郎!!」


然し、胸板をくるくると人差し指で撫でられたりと……(主に赤龍(ホンロン))色々と限界が迫っていた(主に赤龍(ホンロン)が)


「あんッッッッ────ツンな所もぉ~~…ス・テ・キ」


肥娘(ひむすめ)はこっちに来な……───たんと扱いてやるよ」


玉娘(ユーニャン)神美(かみ)の首根っこを乱暴に引っ張る。


「きゃっ…!、ちょ、ちょっと!もう少し優しく引っ張ってよ!」


神美(かみ)!!」


「ひとまず、アタイらの城に来てもらうから───そこの美形二人は……ちょっと協力してもらうよ」


「ちょっと!二人をどうする気なの!?」


「どうって…………────最新作の着物が手に入ったから、それを着てもらうに決まってんでしょ!!!!?」


「…………………はい?」


「だから……下手に抵抗したら、いくらイイオトコでも……殺すわよん?」


玉娘(ユーニャン)が懐から短剣を取り出すと、白龍(パイロン)赤龍(ホンロン)の喉仏辺りに先端部分を交互にあてた


(逆らったら…二人が危ない…───でも、あたし一人じゃ…。せめて黄龍(ファンロン)達にこの状況を伝えられたら……)


すると、薬指の指輪が一瞬だけ光った。


(指輪……───これって、皆に繋がってたりするの?)


でも、この指輪は、現実世界からこの世界に来た時…、偶然だったかもしれないど小龍(シャオロン)と引き合わせてくれた。

思いが強ければ強い程…その相手に届くとか?


(一か八か……やってみるしかない!)


皆!!!───────聞こえる!!?────

お願い!助けて!!!






「───つーかさ、遅い!!!」


「どこまで行っちゃったんだろうねぇ~……───まあ、白龍(パイロン)赤龍(ホンロン)が様子を見に行ったから大丈夫だとは思うけど~」


「だとしても……何かあったんじゃ」


「捜しに行った方が良さそうですね…───何やら嫌な予感が……」


皆……!!───お願い……助けて!!!


神美(かみ)さんの声?……」


「え?神美(かみ)ちん?───……聞こえないけど……」


「いや…でも確かに今…声が────」


黄龍(ファンロン)!!黒龍(ヘイロン)!!先生!!聞こえる!?───

お願い…!!今、変なオネェ軍団に囲まれちゃったの!!……なんか此処、(ジョ)の国っていう────


「オネェ軍団…?───(ジョ)の国…とは」


「ひぃえぇぇ…!大変なことになっのぢゃ!」


「ガウッ!!」


「師匠!ケセラ…!」


ケセラ(覚醒ver.)の頭部に乗った師匠が慌てた様子で青龍(チーロン)達に駆け寄り、神美(かみ)達が捕らえられた事を伝える。


赤龍(ホンロン)が機転を利かせてくれたお陰で、なんとかあの女装(じゅう)共に見つからずにすんだわい」


「女装(じゅう)?」


「ちょっと蒼猿!…じゃあ、神美(かみ)達はそのオネェ軍団に…」


「…玉を取られた猛者達が集う……(ジョ)の国……───まさか、此処までのものになってるとは……」


「という事は……今の神美(かみ)さんの声は…」


青龍(チーロン)…お主───あの仙女の声が聞こえるのか?」


「え!?」


「ええ……───何故かは分かりませんが……はっきりと彼女の声が」






神美(かみ)さんの声?……


え?神美(かみ)ちん?───……聞こえないけど……


いや…でも確かに今…声が────


「やった!!伝わってる!!」


「アンタ…さっきから何コソコソやってんだい」


「あ…え、えーと…その」


「怪しいね……──しかも、ここらじゃ見かけない服装だねぇ……無駄な贅肉もついてて肌もツヤツヤまっちろ……──何処の国の姫さんだい?」


「ち、違います!!あたしそんな姫とかじゃ……───てゆーか!無駄な贅肉っていわないでよ!」


「…こうなったら、徹底的に調べてやるよ───おい、この娘の服を全て脱がせ」


「イエッサー!!」


「いっ……いやあああっ!!!触らないでーーー!!」


「止めろ!!」


「テメェ等……」


「アンタら、勘違いしないでくれる?───女なんかこれっぽちも興味ないのよ。変なブツでも持ち込まれたらたまったもんじゃないからね───大丈夫……アンタ達は後でたーっぷり可愛がってやるさ」


「大人しくしなっ!」


巨漢女装男の一人に押し倒され、制服のリボンが乱暴に引っ張られ、制服が着崩れる


「や…やめて!!やだー!!」


「フン……無駄にハリがいい肌だね……───腹立たしい」


「やめ───ろ───」


カッ!!!!!───────


白龍(パイロン)は目を見開き、身体から放たれた風圧で玉娘(ユーニャン)達を吹き飛ばす。


「いやんっっっ!!?なんなんこの風!?」


「あの美形黒髪男子から急に…!!」


明らかにいつもと雰囲気が違う白龍(パイロン)神美(かみ)は動揺を隠せずにいた───

美しい青い瞳は少し濁り、鞘から剣を抜き取ると玉娘(ユーニャン)達に向けた。誰かが何か言葉を発したら、殺めてしまいそうだった


「おい、お前───」


赤龍(ホンロン)が言いかけた瞬間、剣の先端部分が白い龍に変化していき…

「殺せ────…この醜い人間(いきもの)達を」


《ガアァァァァァァァッ!!!!!》


白い龍は咆哮を上げた


「駄目ッ!!!小龍(シャオロン)ッ!!!────」


「その青い瞳……奇妙な力に剣の龍は───アンタ、西方を守護する白龍かい?───何十年か前くらいに、世界で災いが起こり始めた時───五龍(ウーロン)が人間に生まれ変わったって……噂があったけど──まさか……」


玉娘(ユーニャン)はニヤリと笑い、挑発するかのように白龍(パイロン)に近付く


「ほれ、その剣でアタイを殺してみなさいよ。普通の人間なら何も起こらないでしょうけど───アンタが五龍(ウーロン)の白龍なら"禁忌を犯す"って事で、西方の国は滅びるはず…」


(白梨(はくり)国が…!?───…待って、龍は人間を殺したら守護していた国が滅びる?───じゃあ、黒龍(ヘイロン)は…人を殺してない!!」


沁華(シンファ)達は葡華(プーファ)国に居る……───

《…そりゃあ…、アンタは人間殺した事あるっちゅーて、有名やで?》


惡神五凶(あじんごきょう)饕餮(タオティー)が前に言っていた───

黒龍(ヘイロン)は人を殺した事があるって……


でも、もし殺したら葡華(プーファ)国は滅びてるはず……


(じゃあ、黒龍(ヘイロン)は誰かを庇って罪をワザと被った……?)


もしかして……────


「───そんな物……数千年前に分かりきっていた……───愛してしまった時点で……殺める覚悟は出来ていた──国一つが滅び、例え呪縛になろうとも…………その娘に触れる事は許さぬ。」


「案外、自分勝手なもんだねぇ…五龍(ウーロン)って奴は…。だけど、嫌いじゃないよ───」


「戯け!!」


白い龍が玉娘(ユーニャン)に襲いかかろうとした瞬間、ガッ!!────と、何かに噛み付く音が生々しく響いた


「……仙女!!」


「なっ…!?────…ア、アンタ…」


「────!!……か……かみ……」


神美(かみ)玉娘(ユーニャン)を庇い、左肩を負傷する。


「あ…!!…うっ!!」


「仙女!!!」


どさり───と、神美(かみ)は地面に倒れた


「…………アンタ達、そこの白龍を城に連れて行きな。後、肥娘(ひむすめ)を担いで、そこの赤い美形くんはアタイに着いてきてちょうだい。」


そう言うと、玉娘(ユーニャン)赤龍(ホンロン)のロープを短剣で斬る。


「…テメェ……!!」


「殴るのは後回しよ───その娘、ヘタすれば死ぬぞ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ