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爛漫ろまんす!  作者: 平野ポタージュ
謎の少女と医の國
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第五十五章「嵐の前の静けさ」

「はあ?痩せる薬?。んなのある訳ないじゃん、馬鹿!」


「明らかに嘘くさぁ~っ」


「どうして直ぐに信じるんですか貴女は…」


「阿呆に付ける薬無し……」


「キュ?」


白龍(パイロン)以外の(ロン)達に直球で辛辣な言葉を投げかけられた神美(かみ)は、ほんの少し涙目になる。


「辛辣すぎ!!。ちょっとは信じてみようってならないの!?」


「最近は如何様(いかさま)が流行っているらしいですからね…、判断力が鈍りかけた老人達や…神美(かみ)さんみたいに信じて疑わない人間が狙われ易いと…」


「だーかーらー、本当だってば!!!」


「じゃあ、証拠となる物があるわけ?」


「だって、山藍(シャンラン)国に薬師如来(やくしにょらい)って呼ばれてる尼さんが居るって言ってたもん!。その人が作る薬で伝染病を終息させたって…」


山藍(シャンラン)国に…?」


急に目の色を変えたのは青龍(チーロン)だった。


青龍(チーロン)山藍(シャンラン)国を守護していたから…国の医者・医官の顔は全員覚えているのではないか?」


「ええ!!そーなの!?」


「こう見えて、皇帝専属の太医を務めておりました。…然し、私が山藍(シャンラン)を直々に守護しにていた時……、その様な方はいらっしゃいませんでしたね…。ましてや尼僧(にそう)が…薬を作るなんて…初めて聞きました。仮にそれが本当だとしたら…」


「後、その山藍(シャンラン)を含めた色んな国に、人の姿をした妖怪が現れるって…。ちゃんと詳しくは聞けなかったけど、これってもしかして惡神五匹(あじんごきょう)の事なんじゃないかな?」


「ま、どっちにしても行く当てがなかったんだし~、行ってみても良いんじゃないかな?。…少し、気になる事もあるし」


「気になる事って?」


「薬師の尼さんって……────なんか色っぽいよね」


神妙な面持ちで何を言い出すかと思えば、頬を少し紅潮させて、まだ見ぬ尼の薬師を脳裏に浮かべながら卑猥な妄想を、この変態僧侶は繰り広げていた。


「序にこの馬鹿を仕留める薬でも作って貰えば良いんじゃねぇーの?」


「そうですね……───国を離れてからだいぶ経つので、状況確認も含めて…その尼の薬師を尋ねてみましょう。……個人的に薬草作りには興味もあるので。効果が有る無いは別として」


「よぉし~!じゃあ山藍(シャンラン)を目指すぞ~!!」


こうして───神美(かみ)五龍(ウーロン)山藍(シャンラン)国へと目指す事になった。

ただ、黄龍(ファンロン)だけは一つ心に引っかかっていた


「……伝染病を終息させた…か」


その薬があれば、もっと違う道があったのではないかと……今は亡き友を思う。


(でも…、どうして後宮の流行病は終息を迎えたんだ…?。治療法は無くて…胸部を切り落として運良く助かる者も居れば死ぬ者だって居た…。現に今の後宮の上流階級の妃達は…数名、乳癌(ルーアイ)にかかった者もいた。でも、全員胸部を切り落とさずに奇跡的に回復していた…)


潤朱(ルンシュ)白蘭(ビャクラン)も胸はあった。


あの頃は自分の事で手一杯だったが、今思えば不自然な事も沢山出てくる。


(病を……敢えて流行らせたとしたら?)


柘榴(シィーリオ)は病にかかるように他の妃達を肥えさせたり…身体に害のある物を与えていたらしいけど……だったとしても、治療薬がなかったとしたら…ほぼほぼ死んでいても可笑しくない。

あの時の妃達は当時の上流階級以外の妃達は皆……


「…裏に…柘榴(シィーリオ)とはまた別の刺客がいた…?」


どっちにしても考えたくないし、腹が立つ。


黄龍(ファンロン)、渋い顔をしてどうしたのだ」


「な、なんでもないです!、あ…白龍(パイロン)──僕が作った餃子を食べて欲しく───」


黄龍(ファンロン)が作ったこの餃子もーらいっ!!はむはむ~…んーっ!!美味しいっっっ!!」


白龍(パイロン)の為に作った手作り餃子は、呆気なく神美(かみ)の胃袋へと消えていき、黄龍(ファンロン)の悲鳴は村全体に響き渡る。


暫しの平和な時───もうすぐ新しい戦いが始まろうとしていた

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