表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
爛漫ろまんす!  作者: 平野ポタージュ
謎の少女と医の國
56/84

第五十四章「杏寿」

九尾の狐の花千楽(ケセラ)が仲間に加わり、ケセラは本来の姿に戻ると、空を飛ぶ事ができるハイスペックな狐である事が発覚し、行動範囲が一気に拡がったのだ。

流石にあのまま歩いて旅を続けていたら、"また襲われて面倒臭い"と結論に至り、目的地に近い所は絶対歩くという条件付きで、ケセラに乗って移動する事が許された。


「のどかな村ぁ~」


とある、長閑(のどか)な村に到着した。

宿を手配、村を散策、一服…等々と五龍(ウーロン)神美(かみ)は自由行動を楽しんでいた───


「そこの旅のひとぉ~!、あなたに必要な情報あげるからちょっと付き合ってよぉ~」


幼く───少しませた子供のような喋り方をする同い歳くらいの少女に神美(かみ)は声をかけられた。

少女はニコニコと愛嬌のある笑顔に、お団子頭のツインテールがとても可愛らしかった。


「あなた、ふしぎなかっこーしてるね!。…何処かのおひめさま?」


「全然お姫様なんかじゃないよーーー!!、これは制服って言って~……って、なんて説明したらいいんだろ…」


「せーふく?、それって美味しい食べ物とか!?」


「あははっ、食べ物じゃないよっ。…あなた、名前は?」


「アタシは杏寿(アンジュ)!。この村の情報屋の娘だよっ」


「あたし、四ノ宮 神美(かみ)!────…痩せる為に旅してる系JKっ(その他色々あるけど…)」


「自分磨きの旅ってことぉ!?──すごーい!!」


「まあ、間違ってないか…なぁ?」


「でも~、今の神美(かみ)もすっごい可愛いよ?。」


「ア…杏寿(アンジュ)~~~っなんて良い子なのっっっっ!!!」


「だって、本当のことだもん。…じゃあ、綺麗になろうとしてる神美(かみ)に、いい情報をあげるね!。此処からずっと東に行くと山藍(シャンラン)国って国があるんだけど、そこにはね…"痩せる薬"があるの」


「痩せる薬っ!?」


「そ!、"薬師如来(やくしにょらい)"って呼ばれてる尼さんが作ってる秘薬なんだってぇ~。その尼さんは色んな薬を作ってる凄い人なんだよっ。数年前に"伝染病"が流行ったんだけど、その尼さんが作った薬で終息したんだよね~」


「伝染病…───(柘榴(シィーリオ)ちゃん達がなった病気と似たものかな…。その尼さんの薬があったら……)」


「あとね、最近山藍(シャンラン)国や───他の国もらしいけど、人の姿をした妖怪が現れるらしいの。」


「よ、妖怪!?…それって─────」


「でも、その妖怪はね────人を利用する……偽善者ぶった人間しか殺さないんだって……。───自分の罪なのに、人になすりつけるような人間しか……」


杏寿(アンジュ)の瞳が一瞬曇った。幼い少女は一瞬──年増の女性に見えた。


「だから、もし他国にいく時は気をつけてねっ」


「う、うん!」


「……、アタシ、そろそろもどらなきゃ!お父様にしかられちゃう!」


杏寿(アンジュ)、ありがとう!。色々と教えてくれて」


「えへへ、神美(かみ)は大事な"家族"だからっ」


「家族?────」


ブワッと強い風が吹く。


「わわ!?」


身体がよろけてしまい後ろから転びそうになったが、咄嗟に誰かに受け止められた。


「大丈夫か?」


「シャ……小龍(シャオロン)!?」


「そろそろ夕餉にしようとなったのだが…黄龍(ファンロン)赤龍(ホンロン)が揉めていてな…。お前に仲裁に入って欲しいのだが」


「まったく…あの2人ときたら~。あ、そうだ!小龍(シャオロン)あのね、あたしこの村で友達ができたの!」


「友か?、私が此処へ来た時───お前は一人で喋っているように見えたが……誰かが居たのか?」


「なにいってんのよ~!、ほら此処に……───って…あれ、杏寿(アンジュ)?」


杏寿(アンジュ)?」


「さっきまで……此処に居たのに。…あ、でも!この村の情報屋の娘って言ってたから…」


「可笑しいな…───情報屋に娘は居なかった筈だが……」


「ええ!?」


「……然し、お前の反応を見る限り───悪い娘ではなさそうだな」


「……うん。凄く…良い子だったよ。」


どうして、こんなに寂しい気持ちになるのだろう。


すると──白龍(パイロン)の手が、神美(かみ)の頭の上に乗った。


「そんな寂しそうな顔をするな。お前が逢いたいと願い続ければ……きっと、また逢える」


一瞬で神美(かみ)の心は温まり、白龍(パイロン)の腕に思いっきり抱き着いた。


「ありがとう、小龍(シャオロン)


「……れ、礼には及ばぬ」


少し照れた白龍(パイロン)と共に、とりあえず宿の厨房で揉めているであろう五龍(ウーロン)の元へと向かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ