表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
爛漫ろまんす!  作者: 平野ポタージュ
謎の少女と医の國
48/84

第四十六章「決意の門出」

「餅のようだな……お前の頬は」


「…………え」


神美(かみ)の両頬を掴んで、むにむにと触る白龍(パイロン)は、一頻り堪能したら再び眠ってしまった。この男は…


「な……んなのーーーーーッ!?」


「なにが~?」


「いやだから……人のほっぺ触るだけ触って寝ちゃうとか……って…ぎゃああ──んぐ!?」


真横にいつの間にか、その男は並んでスヤスヤと眠る白龍(パイロン)を眺めていたのだ。

神美(かみ)は悲鳴を上げようとしたが、口を塞がれる。


「しーーっ!!起きちゃうって!!」


「ふぇ……ふぇいふぉん!?(ヘ、黒龍(ヘイロン)!?)」


「ちゃんと話せたかい?」


「…白龍(パイロン)って、八方美人というか……天然人垂らし!?」


「あはは!今更気付いたのかい?。…自分の事は二の次の奴でさぁ~、欲が無いと言うか……どうやったらこんなに慈愛深くなれるんだろうかね……」


黒龍(ヘイロン)は……その──…人が嫌いなの?」


「うーん…キミの事は、結構好きだよ?」


「ちょっと、茶化さないでよ…」


「茶化してないさ───キミは、素直で真っ直ぐで…穢れない心を持った人間。」


「う……そんなストレートに言われちゃうと…」


「自分が何故、龍に生まれてしまったのか──…善悪関係なく、オレ達はこの世界の人間を護らなくちゃいけない。例えそれが罪人だったとしても…───…神美(かみ)ちんはさ、どうしようもなく嫌いな相手とかはいるの?」


「そんなのいっぱいいるよ!!!。今でも、あたしの体型のことを馬鹿にしたやつらとか、お母さんとおばあちゃんを酷い目に合わせて…柘榴(シィーリオ)ちゃんを騙した僵尸(きようし)とか…、あたしは絶対に許さないと思う。でも、憎んでたらさ、もっと傷つくし…ムカつくだけだし。だからこそ、忘れない為にも相手を想うの…。想って、想って…いつか自分のした過ちに気付いてもらうために…」


神美(かみ)は「それでも人間だからさ…骨折しろ…とか思っちゃったりしてっ」と笑った。


「あたしね、最初に黒龍(ヘイロン)と出会った時に、人間に対しての殺気を感じたの…────でもね、それと同じくらいの希望を感じたよ。だからさ…あたしは、あたしが感じた黒龍(ヘイロン)を信じるよ。貴方は人間を殺したりしないって……。なんだかんだで助けてくれそうだしっ」


「……キミには───(つくづく)驚かされるねぇ。いやー参った参った!!、神美(かみ)ちんさ、オレの嫁さんとかに────」


「なりませんっ!!」


「え~、つれないなぁ…。でも、今のオレの主はキミだからさ、護らせてくれよ?龍仙女(ロンシィェンニュ)──」


その名を改めて聞くと、自分は龍仙女(ロンシィェンニュ)として器のある者なのか……なる資格があるのか……。


(あたし…普通の高校生なのになあ…。)


此処に来てから考える暇もなかったけど、あたしは痩せて呪いを解かなきゃいけないのに……

龍仙女(ロンシィェンニュ)までちゃんとやれるの?。それに……元の世界は…今どうなってるんだろう…───


(あたしは……元の世界に戻りたい?───それとも、この世界で…皆と?───)


「あーーー!駄目だ!!モヤモヤするから考えるのやめる!!」


「うお…!、急にどうした?」


「なんでもないよっ。てゆーか!惡神五凶(あじんごきょう)の封印解けちゃったんでしょ!?。それってかなりヤバくない!?」


「───ヤバいに決まってんだろ」


険しい表情で、これもまた唐突に気配もなく現れたのは黄龍(ファンロン)だ。

龍という生き物は、どうしてこうも気配がないのだろうか……。


「陛下!…───じゃない……、白龍(パイロン)!!起きてください!!」


普段陛下呼びの黄龍(ファンロン)が、態々白龍(パイロン)と呼び直した理由────

それは、一旦──帝を退位する事になったからだ。

本来であればこのまま退位し、龍仙女(ロンシィェンニュ)と共に世界を護るのが役目であるのだから。

然し───予想外の惡神五凶(あじんごきょう)の封印が解かれた事と、神美(かみ)の痩身の事など、問題は山積みである。


(悩んでる暇なんてないよね…!。それに…あっちに帰っても……もうあたしには家族が居ないから───)


今は、五龍(ウーロン)達の傍にいたいと

そう思う神美(かみ)だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ