表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
爛漫ろまんす!  作者: 平野ポタージュ
惡神五凶~封印解かれたり~
40/84

第三十九章「後宮戦争3」

玉座が設置された間に、神美(かみ)五龍(ウーロン)が集結した。


後宮の女官長が亡くなり、不在となった今─────

それをいいことに、妃候補達が勝手気侭をしているとのこと。それの主犯者が白虎宮の上流階級の妃・白蘭(ビャクラン)だと言う。

自分を陛下の正妃にしなければ死んでやるだの、なんとも幼稚で知性を感じられない。

それについて頭を抱えていたのは、麒麟宮の上流階級の妃・黄杏(ファンシィ)でありながら、宦官までをも務める──翠麟(スイリン)の姿になっている黄龍(ファンロン)であった。

妃達の中で的にされかけている、帝は玉座に座りなが額に手を当てる。


「え、てゆーかさ~、白龍(パイロン)って上流階級の妃達を奥さんにしてなかったの?」


バリボリと煎餅を食べながら、無神経な事を発する隻眼の僧侶・黒龍(ヘイロン)は頬杖をつく。

「オレなら上流から下流まで、全員奥さんにしちゃうけどねぇ~っ」と、うへへ…と、下品に笑みを浮かべていた。この男は変態な上に女誑しである。


そう────本来なら、皇帝陛下は正妃とは別の妃と関係を持っていても可笑しくは無い。

それは、世継ぎや政治的なものにも関係していく。

もう一人か二人……世継ぎが出来ていても良い時期とは言いたいが……この龍…この男・白龍帝(はくりゅうてい)は──────奥手であり、堅物の天然記念物であった。


「……そんなんで国の主とかやってたのかよ。聞いて呆れるな…」


フンと、馬鹿にしたように鼻で笑う赤龍(ホンロン)


「はあ?、アンタに陛下の何が分かんだよ?言ってみなよ?」


「わー!!黄龍(ファンロン)落ち着いて!。赤龍(ホンロン)も、そんな風に言っちゃ駄目だよ。」


「…はいはい───そりゃあ悪うござんした」


「うんうん、偉い偉い!」


「って…!、頭撫でんな!!」


「反省してないけど、赤龍(ホンロン)が謝るなんて珍しいねぇ~。」


「おい…変態僧侶…、次なんか言ったら殺すぞ」


喧しくわちゃわちゃとしていると、青龍(チーロン)が静かに挙手をする。

「───…で、その事について私から一つ御提案が御座います。…陛下と神美(かみ)さんに"交尾"をして頂くのはどうかと」


シン……────と静まり返り、全員が一瞬でサーッと青龍(チーロン)の傍から離れた。

?を浮かべている青龍(チーロン)は、その方が効率的でしょ?と言わんばかりの表情を浮かべていた。


「え……ちょっと……そこそこ永く一緒に居たけどさ…あんな破廉恥な事言う子だっけ?」


「…俺に聞くな…」


「アレで巫山戯てないのが…───恐ろしい奴…」


「こ……こ……こここここ"交尾"だと!?」


「だ……だだだだだだだからッ!!!!!しないってば!!!!」


「ふふ…、満更でもなさそうじゃないですか?」


「ちょ…ちょっと!!なんで陛下と…か、神美(かみ)が交尾しなきゃなんないんだよ!?」


美豚(ビトン)の呪いを解くには、痩せるか・異性と交わるか・根源となるものを殺すか……───…陛下は皇后となられる妃と世継ぎを作らねばならない……貴方は五龍(ウーロン)で、何れは白龍として戻る身ですよ。お二人は相性が良さそうですし……身体の相性も───」

「ええい!!言わんで良いわいッ!!!」


黄龍(ファンロン)が頬を紅潮させ、青龍(チーロン)の肩を掴み制止した。


「だって、"接吻"しましたよね?───…愛してなければ、出来ることではないと思っています。貴方の性格上…尚更ね────」


「あ……愛している…とは────……わ、私は!!…神美(かみ)を救いたいと思っただけで…深い意味は───」

ズキン…!…─────と、神美(かみ)の胸は何故か痛む。その痛みと同時に激しく湧いてきた怒り。


「じゃあ……その白蘭って人を奥さんにしたらどうなのよ……」


「な……何を言う──」


「別にあたし!!交尾なんかしなくたって、痩せてやるわよッ!!!……小龍(シャオロン)に迷惑かけるつもりないから!!。どーぞっ、綺麗なお妃様とイチャイチャしてくださいっ!。ふんっ!」


「何を怒っているのだ…!。それに…"いちゃいちゃ"とはなんだ?」


「あたしは小龍(シャオロン)と交尾なんかしないから。あたしはあたしの力で痩せるし、みんなに……迷惑かけるつもりもないし!!。それに……好きな人と結ばれなきゃ、意味…ないでしょ?」


「……これは───無神経でしたね…申し訳御座いませんでした。」


「だから、あたしが正妃になる件も…無しで良いから。……小龍(シャオロン)が好きだと思う子と…幸せになって」


「……お前は───私が他の妃と…夫婦(めおと)になってもよいのだな?」


「うん───だって、あたし達恋人同士でもなんでもないでしょ?」


「……───分かった。」


「ちょっと!陛下!?」


「……白蘭(ビャクラン)と言う妃と面会する。」


「僕が嫌ですッ!!!」


「あらら」


(心底どうでもいい……めんどくせぇ)


一つの"意地の張り合い"がきっかけで、二人の心の距離に変化が(もたら)されるのでした。

そして……────白龍(パイロン)白蘭(ビャクラン)の面会の前夜───

神美(かみ)黄龍(ファンロン)から、白虎宮の侍女の一人・鈴夜(リンイェ)が、ダイエットに協力をしたいと、申し出た事を伝える。


「僕さ……、上流階級の妃の中で、白蘭が一番嫌いだったんだ…。」


「なんで?」


「アイツは性格が最悪な奴でさ……───正直、なんであんな奴が人間なのかが理解出来ないよ。偽善者ぶって、自分が犯した罪は人に擦り付け……──持ち前のあざとさと育ちの良さで、周りの人間は騙されて落とし穴にはまる……」


「絵に書いたような……悪女!!」


「ねえ、そんな奴に陛下が盗られても良いの!?───僕は嫌だッ!!!」


「そ……そんなこと言われたって……」


「悔しいけど……、僕は神美(かみ)とだったら…………陛下は幸せになれるんじゃないかって……思ってた。」


その言葉は神美(かみ)にとって、悲しくも…嬉しくもあった。然し、今更どうやって白龍(パイロン)に自分の気持ちを伝えて良いのかが分からない。


「……幸せは……その人自身が決めるものだから」


「君って、案外素直じゃないんだね…───本当は、好きなんじゃないの?。陛下……───白龍(パイロン)の事……」


好きなんて言ってしまえば、きっと……泣いてしまう。

深い意味が無いと言われたあの時────

じゃあどうして、"お前の生きる意味にはならないのか"と、言ってくれたのか……。

死のうとした自分を何故叱って、救ってくれたのか


「思えば思う程……────だんだんムカついてきた!!!」


「え……?」


黄龍(ファンロン)───あたし、白虎宮に行く!。んで、明日の面会…止めてくる!。あたし、小龍(シャオロン)に……聞きたいことあったの思い出したから」


(素直に……行かないでって言えば…───解決するのに……。面倒臭いけど……仕方ないか)


黄龍(ファンロン)はやれやれと肩を竦めたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ