第二十八章「美しく、天真爛漫」
白梨国の宮殿の方へと舞い戻りと連れられた五龍一行
「へぇ~、此処が白梨国の宮殿か~!。なんか静かだね」
「……ちょっと、静か過ぎすぎじゃない?」
外の方に出ると、見張りと護衛の武官もおらず
国の主である帝が不在である宮殿は不気味な程に静かだった。
("人の気配"はしない……だが、……これは!)
「気を付けて下さい……────何か様子が可笑しいです。」
「この気配…………阿吽の森で感じた気色悪いのと同じだ」
「ああ~、あの僵尸って奴か。」
「僵尸……!」
「ほお、良くぞお気づきですな……───流石は五龍様と言うべきですかな?」
「お前達は……」
いつの間にか何百人かの武官に五龍は囲まれていた。
怪しい笑みを浮かべ、その瞳は人間のものでは無かった────
「僵尸……貴様ら!!文武官含め家臣達に何をした!?」
「おやおや……国の主であるお方がはしたないですぞ……。安心なさい───家臣や宦官……文武百官達は、我々僵尸達が憑依させて頂きましたので……生命に別状はないですよ……。まあ、五龍様達が攻撃をしなければ…の話ですが」
「最低……ッ!!何処まで汚いのよ!アンタ達!」
「おやおや、そんな口を効いて……───何も護れなかった黄龍が……一番汚れているのでは?。貴方があの時救う事が出来れば……柘榴様も我々に身体を奪われる事もなかったでしょうに……」
「ッ!!………お前ら……」
「黄龍、落ち着きなさい。易い挑発ですよ……。それに、中身は僵尸ですが、本体は人間です…。下手に攻撃を与えれば…死にます」
「ウフフ……、流石は青龍───賢いですねぇ……。然し……我々は貴方達全員を殺さねばならないのです。なので……美豚も死んで頂く事になります。ウフフ……大丈夫ですよ……我々が欲しいのはあの肉体ですから……───直ぐに貴方がたの元へと送って差し上げますので御安心を。…あ、今物凄く腹がお立ちになられたでしょう?……でも……今の我々に貴方達は手を出せますかねぇ?」
僵尸達は剣を五龍達に振り翳す
「死ね────五龍ッ!!!」
『汝、神秘の羽衣よ!!悪しき妖魔から龍を守りたまえ!!────神秘衣!!』
上空から現れた桃色の煌めく羽衣が五龍達を包み込み、剣は弾かれた。
『よぉしっ!吹き飛べ~!風!!』
突如の突風の風圧により、僵尸達は吹き飛ばされ、無数の剣が地面に転がり落ちる。
五龍を包んでいた羽衣はゆっくりと解かれ、"持ち主"の元へと天に向かって戻っていく。
「この……羽衣は!!────」
白龍は上空を見上げ、その羽衣身に纏う人物に驚愕をした─────
「神……美?」
肉付きが良く愛らしい面影は全く無く、無駄な贅肉など付いていない美しい体型の少女……。
だが……、あれは神美だと───
白龍の本能が悟る。
「わお!めっちゃ身体軽い~!痩せてるってこんな身軽なのぉ~!?。心も身体も飛んでっちゃいそう~!。あー!スマホで今の自分の写真撮りたいよ~!!」
地上にゆっくりと着地した瞬間に、自身の体型に改めて喜びを感じているようだ。
五龍含め、僵尸達は驚愕していた。
一体の僵尸が恐る恐ると
「き……貴様!?何者だ!!」と、問うと
美しい天真爛漫な少女は口角を上げ───
「あたしは、四ノ宮神美!─── 龍仙女よ!」




