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爛漫ろまんす!  作者: 平野ポタージュ
痩身・後宮篇
17/61

第十七章「赤蛇」

南にある 火龍果(ほりゅうか)国と呼ばれる、常夏の国のとある酒場────

そこでは、国一番の盗賊集団・ 赤楝蛇(ヤマカガシ)の一味が噂話に花を咲かせていた。


「おい、白梨(はくり)国に伝説の美豚(ビトン)が現れたってウワサ本当かよ?」


「え、でも、それは皇帝が自ら処分したんじゃないのか?」


「ひぇ~~勿体ねーの。美豚(ビトン)を喰えば、願いが叶うってーのに…」


「まあ、俺等の様な盗賊には無縁の話だな……」


ゴクゴク────カタン!


「…美豚(ビトン)だ?」


酒を片手に…目付きの悪い"ヤマモモ"のような見た目のこの男は、 赤楝蛇(ヤマカガシ)の一味の一人、赤蛇(チージャ)という名の男だ。

耳には小さな輪っかの形をした耳飾りを沢山付けており、近寄り難い雰囲気を醸し出している。

そんな彼に臆せずに話せるのは 赤楝蛇(なかま)くらいであろう。


「お、赤蛇(チージャ)も興味あるか?」


仲間の一人が豪快に笑うと、赤蛇(チージャ)の隣に座っていたヨボヨボの老人が震える手で酒を呑み干した。


「アレじゃ………美豚(ビトン)は生きて……おるzzz……」


「「「「えぇぇぇ!?ホントですか(かしら)!!!」」」」


「……爺さん、起きろ」


赤蛇(チージャ)(かしら)と呼ばれた老人の鼻提灯を割ると、老人は「ハッ……」として我に返る。


「よし、お前達……漸くワシらの時が来たのじゃ……。美豚(ビトン)を手に入れ……あの《《変態僧徒》》達に仕返しをするのじゃ!!。ワシをこの様な老人の姿に変えた事を後悔させてくれる……zzz」


「うっひょー!!!、美豚(ビトン)が生きてるって事は……」


「一攫千金も夢じゃない!!!」


「女にもモテ放題!!」


「酒も飲み放題!!」


酒を片手に大はしゃぎをする 赤楝蛇(ヤマカガシ)の一味────一人を除いて……


(…《《ババア》》が護ろうとした餓鬼が、この世界に……)







グッギョグルゴオオオオオオオオオ


「お……お腹空いた……」


夜の麒麟宮に神美(かみ)の腹の虫が響き渡った────


(お風呂に入ってこいとは言われたけど……この空腹じゃ……湯船で気絶しそうだよ……)


重い足を引きずりながら湯浴み場に到着すると、先客が居たのか翡翠色の質素な衣が綺麗に畳んで置いてあった。


「この、衣の色……くんくん──そしてこの甘い香り………もしかして、黄龍(ファンロン)!!?」


神美(かみ)は服も脱がずに洗い場に突入する───


黄龍(ファンロン)!!元気になっ───」


ビュオォォ…………───


風で湯煙が晴れ──そこに居たのは、"胸を切り落とした"痕が残った身体を持つ女人……


「っ……!?──神美(かみ)……」


黄龍(ファンロン)………?」



《その犯人は、きっと自身も病にかかっていたのでしょう……》


青龍(チーロン)の言葉が脳裏を過った


黄龍(ファンロン)……貴方……」


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