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タキオンの矢  作者: 友枝 哲
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第54話 : 次は逃さないっ!!

<前回のあらすじ>

ルナは”OneYearWar”の世界大会でとうとう優勝を勝ち取った。

「もうサイコー!!」

そうして、ルナはあまりの疲労に気を失ったのだった。

その頃、ソル、りょーたろはマフィア”Union-Roswell”の屋敷に殴り込みをかけ、アンドロイドを全て撃破していた。

だが、そこに現れたのはマフィアの人間部隊。

そして、ソル、りょーたろは体力も尽きかけていた。

「もうサイコだな。。。」

それでもソル、りょーたろは最後の力を振り絞り、取り巻きたちを相手に戦い続けるのだった。


 

 ソルは痛みに顔を歪ませながらも、打ち込まれるレーザーを避けつつ、さらにブラック・ロズウェルに向かって進行した。


 りょーたろもソルと同じように取り巻きの放つレーザーを躱しながら、一人の取り巻きを両手で掴んだ。


 りょーたろは、ソルと同じように、壁に向かって取り巻きを放り投げた。


 疲労困憊のりょーたろは投げるモーションが終わり、一瞬堪らず大きく息を吐き、吸い込んだ。だが、その間、動きが止まってしまった。


 ソルと繋がるJAM-Unitのおかげでりょーたろも取り巻きたちの思考が入ってきていた。


(撃たれる!)


 りょーたろが回避行動を取ろうとした。


 だが、りょーたろはすでに体力の限界に達していた。


 激しく肩で息をして、足の踏ん張りが利かなくなっていた。


 レーザーを回避しようと、りょーたろは地面を蹴ったが、その力が十分入らなかった。


 りょーたろを狙ったレーザーが飛んできた。





 ソルがブラック・ロズウェルの方に高速移動した。


 すると、ソルとブラックの間にレーザーガンを構えた取り巻きが入ってきた。


 その取り巻きがレーザーを放った。


 ソルがそのレーザーを若干の身体の傾きを変えることで避けた。


 それを見た取り巻きは、ソルがまるでレーザーをすり抜けたような錯覚さえ起こした。


 取り巻きはレーザーガンを捨て、ナイフを構えた。


 急速接近するソルに向けて取り巻きがナイフで横切りした。


 ソルはそのナイフに向けて左手を上から右手を下から振り、拳でナイフを挟み、見事にナイフを折った。


 折れた刃が天井に突き刺さる。


 そうとも知らず、取り巻きは手を振りきった。


 だが、目の前には全く無傷のソルが掌底を自分の胸に当てていた。


 取り巻きは一瞬時間が止まっているように感じた。だが、次の瞬間、自分の身体が宙を舞い、吹き飛んでいた。


 ブラック・ロズウェルは自分の身体のすぐ横を取り巻きの一人が吹き飛んでいくのを見た。


 ソルはブラック・ロズウェルを睨みながら小声で言った。


「次は逃さないっ!!」


 ソルがブラック・ロズウェルに向けて移動を開始した。


 ソルの後ろで取り巻きが壁に衝突する激しい音がした。


 ソルは思考共有化デバイスを通して、りょーたろと繋がっていたため、りょーたろが放り投げた取り巻きの音だと分かっていた。


 だが、次の瞬間、ソルの思考にノイズのような信号が入ってきた。


 そして、その直後、後ろでりょーたろの叫び声が木霊した。


「ぐああぁぁーーー!!」


 ブラック・ロズウェルの後ろの壁にソルの掌底で吹き飛んだ取り巻きが大きな音を立てて衝突した。


 視線を部屋の奥に移したブラック・ロズウェルが叫んだ。


「止まれ!!」


 ソルは異常事態を感じて、止まらざるを得なかった。


 ブラック・ロズウェルが手を挙げ、周囲の取り巻きの攻撃を止めた。


 レーザーによる攻撃が止んだ。


 ソルが恐る恐る後ろを振り返った。


 りょーたろが取り巻きの一人に腕を極められ、もう一人に髪の毛を掴まれていた。


 加えて、りょーたろはレーザーによって脚を撃ち抜かれ、脚から血を流していた。


 ブラック・ロズウェルが取り巻きの一人からレーザーガンを取り上げた。


 そして、ソルを見て、不敵な笑みを浮かべ、言った。


「なかなかやってくれたじゃねーか。

 これだけの戦力をここまで削ぐとはな。

 想像以上だ。」


 ソルがりょーたろからブラック・ロズウェルに視線を移した。


 ブラック・ロズウェルの奥の壁に叩きつけられた取り巻きが気絶から首を振りながら意識を取り戻した。


 状況を把握できなかったが、素立ちのソルに気づき、レーザーを咄嗟に放った。


 そのレーザーがソルの左腕を貫いた。


「うぐぅーー!!」


 ソルの身体が傾いた。


 身体の傾きのおかげで、身体に向けて放たれた2発目のレーザーは空を切った。


 ブラック・ロズウェルがそれを見て、怒りの形相に変わり、即座にレーザーをその取り巻きに向けて何発も放った。


 レーザーは取り巻きの腕に、胸に、頭に直撃した。


 取り巻きが構えていたレーザーガンが腕ごと地面に落ち、その後、取り巻き自身も崩れ落ちた。


「おれの楽しみを奪うんじゃねーよ!このボケ野郎が!!」


 ソルに激しい痛みが襲った。


 その情報はりょーたろにも伝わっていた。


 りょーたろの顔もより激しく歪んだ。


 ソルの腕からは血が滴り落ちていた。


 ブラック・ロズウェルがレーザーガンを振って、ソルにりょーたろの方に移動しろと指示した。


 ソルは従うしかなかった。


 ソルがりょーたろの方に近づいた。


 ソルとりょーたろがギリギリ手が届かない距離に来た時、ブラック・ロズウェルが言った。


「止まれ。」


 ソルは素直に止まった。


 ブラック・ロズウェルが笑いながら話し始めた。


「さて、どうしてくれようかな。」


 周囲を見て、散々破壊されたアンドロイドや部屋の様子を見て、続けた。


「やれやれ。

 こんだけのことをやったんだ。それなりの苦しみを味わってもらわないとな。

 それに、そうだ。

 おまえら、見せしめって知ってるか?

 これは良い機会だ。

 おれに逆らうとどうなるか、それをじっくり見せつける。

 それによっておれの商売もやりやすくなるってもんだ。」


 ブラック・ロズウェルが取り巻きの一人に指示した。


「おい!撮れ。」


「ハッ!」


 取り巻きの一人が視線で録画を開始した。


「開始しました。」


 するとブラック・ロズウェルがその取り巻きの前に立ち、話し始めた。


「負債返済者の皆さん、こんにちは。

 突然ですが、今からこの者たちの公開処刑を実施します。

 ご覧いただきたい。この部屋の有り様を。

 この者たちは私のUnion-Roswellに乗り込んできて、数々の兵士たちを破壊してしまった。」


 周囲を見回したブラック・ロズウェルがソルとりょーたろの方に向いた。


「だが、もうここまでだ。

 皆さんにはどんなに足掻こうが私のUnion-Roswellには勝てないのだということを頭に叩き込んでおいていただきたい。

 歯向かった者はこうなるのだということを。」


 そういうと、レーザーガンでソルの右脚を撃った。


「ぐわぁぁーーー!!」


 ソルが撃たれた右足を押さえた。


 右足に力が入らず、思わず倒れそうになった。


 ブラック・ロズウェルはソルに近づき、体勢の崩れたソルの顔をレーザーガンで殴った。


 ソルは咄嗟に反撃しようとしたが、囚われたりょーたろに気が回り、どうすることもできなかった。


 ソルが倒れそうになり、右手を床についた。


 ソルが息を荒くしてブラック・ロズウェルを睨んだ。


 ソルのこめかみから血が流れた。


 ブラック・ロズウェルがその顔を見て、顔を歪めた。


「てめえ、まだそんな顔が!!」


 ブラック・ロズウェルが床についたソルの掌をレーザーで撃ち抜いた。


 ソルが痛みで倒れた。


 ブラック・ロズウェルは頭に血が昇り、録画していることすら忘れていた。


「てめえはとことんおれを怒らせる天才だな!

 てめえの顔見ると虫酸が走る!」


 そう言うと、ブラック・ロズウェルはソルの胸ぐらを掴み、再度レーザーガンでこめかみを殴った。


 ソルは怒りが込み上げ、反射的に反撃の手が出た。


 だが、すでにレーザーで撃ち抜かれ、力の入らない左手が緩く振り回されただけだった。


 ブラック・ロズウェルは間一髪のところで避けた。


 左手から滴る血がブラック・ロズウェルの頬に飛び散った。


 その行動を見て、取り巻きがソルを取り押さえた。


 ブラック・ロズウェルが頬の血を指で拭き取り、血の付いた指を舐めながら言った。


「おっと、まだそんな元気があったか?

 お前、お友達がどうなってもいいのか?」


 ソルが取り押さえられながらもりょーたろの方を見た。


 りょーたろを取り押さえている取り巻きがレーザーガンをりょーたろの頭に押し付けていた。


「止めろ!分かった。おれはなにもしない。だから。。。」


 ブラック・ロズウェルはその言葉を聞き、恍惚の表情を浮かべた。


「ならば、さあ、今ここでおれに(ひざまず)けぇ!!

 そうすれば、お友達の命くらいは助けてやってもいいぞ。」


 取り巻きがソルから手を離した。


 ソルが両ひざを床についた状態でゆっくり腰を前に倒し始めた。


 その時、りょーたろがソルに向かって叫んだ。


「ソル!お前!!そんなことするな!!

 おれのことはいい!!お前がそんなこと。。。」


 取り巻きがりょーたろのこめかみにグイッとレーザーガンを押し付けた。


 りょーたろがその取り巻きを睨んで言った。


「撃てよ!撃てば良いだろ!!」


 ブラック・ロズウェルがそのやりとりを見て、再び不快な表情になった。


「友情ごっこなんてやめろ!!どうせそんなもん、薄っぺらいんだからよ。」


 ブラック・ロズウェルがレーザーガンで指示を出した。


「そいつ、放してやれ。」


 取り巻きがりょーたろを放した。


 りょーたろが膝立ちのソルのもとに脚を引き摺りながら寄っていった。


 ブラック・ロズウェルが攻撃の届かない距離でしゃがみ、りょーたろに向かって言った。


「おい、お前。

 お前に今から人生の選択をさせてやる。

 選択肢は二つだ。

 一つ、今、こいつを置いて、素直に家に帰れ。

 そうするならお前の命は保証してやる。

 後腐れもなしだ。

 そして、もう一つ。こいつと一緒に今から、もう生きていたくないって思うくらい酷い拷問を受けるか。

 どうだ?

 どうせお前はこいつに付き合わされただけなんだろ?

 それでわざわざ命を落とすことなどない。

 家に帰っちまえよ。」


 りょーたろがうつむいた。


 そのりょーたろを見て、ソルが言った。


「りょーたろさん、帰るんだ。おれのことはいいから。」


 ブラック・ロズウェルがソルの言葉が終わるか、終わらないかのうちに、レーザーガンでソルの右脇腹を撃った。


「ぐわぁぁーーー!!」


 ソルが倒れ込んだ。


「あー、すまんな。

 大切な臓器が1つなくなっちまったかぁ?

 生きたまま取り出してやるから覚悟しとけよ。」


 りょーたろが顔をあげ、倒れ込んだソルを抱え、ソルの脇腹を押さえた。


 そして、ソルに向かって言った。


「ソル、すまん。」


 りょーたろがソルから手を放した。



<次回予告>

窮地に追い込まれたソル、りょーたろ。

滴る血。情け容赦のない暴力。

だが、絶体絶命のピンチにあることが起こる!!

二人は助かるのだろうか。

次回、第55話 ”つまりはお前たちにお灸を据えるということ”

さーて、次回もサービス、サービスぅ!!


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― 新着の感想 ―
 数の力をここまで押し切る二人の超人ぶりもすごいけど、ブラックさんの壊れぶりもすごい。テロメライザーの技術で長寿になったせいでしょうか。  寿命が延びる分だけ、こじれ始めるととこことんこじらせてしまう…
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