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タキオンの矢  作者: 友枝 哲
49/85

第48話 : SF映画じゃ・・・

<前回のあらすじ>

ルナは”OneYearWar”世界大会決勝のため、地球に降り立った。

時を同じくして、マフィアUnion-Roswellによってりょーたろのジャンク屋、そして、ソルの0時間通信デバイス=タキオンコミュデバイスを生産していた部屋を破壊され、ソルとりょーたろは何かを作り、マフィアUnion-Roswell邸の前に立っていた。

”OneYearWar”開始のカウントダウンが始まる。

Union-Roswell邸の前ではアンドロイドの中でソル、りょーたろを攻撃するカウントダウンも始まっていた。


 

「4、3、2、1、Mark!」


 カタパルトから各機が射出された。


 ルナのオル・アティードも緑のランプを勢い良く通過し、宇宙空間に投げ出された。


 哨戒機が射出されるや、早速遠距離型重力子レーダーに敵機の反応が映った。


「やばいぞ!5000km圏内だ。」


「イオン中和フィールド展開、急げ!!」


 勢い良くイオン中和フィールド用のミサイルが前方に打ち出された。


 ルナも咄嗟にJAM-UnitをONにした。


 すると機体の発光部が赤に変化したかと思うと、すぐに虹色に変化した。


 深紅の機体(オル・アティード)の表面から虹色の波動が出力され、全方位に伝わっていった。





 Roswell邸の門の前に立つアンドロイドたちは、ソル、りょーたろへの攻撃開始のカウントダウンを始めていた。


(4、3、2、1、、、)


 次の瞬間、アンドロイドの大腿部が開き、アンドロイドたちは一斉にレーザーガンを取り出した。


 その直前、ソル、りょーたろは思考で制御レベルを変更した。


(Gear03)


 二人のシャツとレギンスに描かれた黒い帯が赤色になり、すぐに虹色に発光しはじめ、何か空間を歪めるような波動がソル、りょーたろから周囲に広がった。


 アンドロイドは全員が躊躇なく、ソル、りょーたろにレーザーガンを向けた。


 だが、瞬間、アンドロイド全員が何かに痺れたかのように振動した。


 そのため、わずかに遅れて、レーザーが射出された。


 ソル、りょーたろはアンドロイドが振動した隙にお互い逆方向にサイドステップを行い、射出されるレーザーを回避した。


 高速に移動しながら、ソルはプラズマ放射の銀色の筒を取り出し、りょーたろは腕に取り付けていたパワーアームを展開した。


 ソルの銀色の筒からはプラズマが放射され、刀の長さまでプラズマが伸び、いかにも高エネルギーを放射しているような音を立てていた。


 りょーたろのパワーアームは指のような関節が伸び、ちょうどアンドロイドを掴めるほどのサイズに広がった。


 ソル、りょーたろがそれぞれ避けた先に再びレーザーが各アンドロイドから撃ち込まれた。


 だが、すでにソル、りょーたろはプラズマ刀、パワーアームを携え、別の位置に高速移動していた。





 ルナの虹色の波動が全方位に伝搬した後、ルナの額にチリチリとした感覚が伝わってきた。


「来るっ!避けて!!」


 ルナの機体、オル・アティードの側面に付いているイオン放射ブースターが光を吐き出し、オル・アティードは横方向にシフトした。


 移動した直後、オル・アティードがいたところに主砲級の直径20mのイオンビームが撃ち込まれた。


 ルナの後方で爆発音とイオンビームが中和される音が鳴り響いた。


 ルナは咄嗟にイオンビームが撃ち込まれた敵戦艦の主砲めがけて、アサルトユニットからビームを射出した。


 ルナには敵戦艦がイオン中和フィールドの穴から攻撃してきたのが、何となく見えた。そして、その穴めがけてイオンビームを撃ち込んでいた。





 敵戦艦の主砲前方にイオン中和フィールドが展開され、先ほどイオンビームが通り抜けた中和フィールドの穴が塞がれはじめた。


 その時、戦艦の管制用AIが何かを察知した。


「えっ?」


 それは0.1秒にも満たない時間であった。


 中和フィールドの穴めがけて、イオンビームが飛び込んできた。


 ほぼエネルギーが減衰していたが、それでもまだいくらか砲筒を溶かすだけの威力が残っていた。


 そのイオンビームにより主砲の一部が破壊された。


「そんなバカな!?SF映画じゃあるまいし。まだ4500kmは離れているんだぞ。。。」





「各機、気を付けろ!!主砲による反撃を開始する。」


「中和フィールド一部開口。射線に入るなよ。警報鳴ったらすぐに避けろ!!」


「主砲、撃ち方、よーい!!」


「各機に告ぐ!本ミッションは宇宙座標系とする。

 太陽方向正対、惑星周回方向水平、ポラリスサイドを上面とする。座標、合わせ!」


 後ろの戦艦から主砲が前方に対して、撃ち込まれた。ミサイルも同時に撃ち出された。


 ルナが座標合わせのボタンを押すと同時に再び前方からのイオンビームの射出を感じ取った。


「また来る!避けて!!」


 オル・アティードが再びシフト行動を取った。


 オル・アティードが先頭を走っていたので、その一帯の戦闘機、メタリックステラがオル・アティードの後に続き、シフト行動を取った。


 その直後、バチバチという音と共に直径5m以上はあるイオンビームが機体群の中を通りすぎた。


 オル・アティードは十分な距離をもって回避できていた。


 だが、ルナの発する虹色の波動によってAI機にもれなくディレイが発生していた。


 そのディレイは仲間にも影響を及ぼしていた。


 そのため、避けきれずに破壊される戦闘機、メタリックステラが何体かいた。


 オル・アティードは再び前方の中和フィールドの穴に向けイオンビームを放つ。


 そして、すぐにオル・アティードのアサルトユニット4つ、ブースターユニット4つをコックピットボールに集め、前方に向け全力加速し始めた。


 一気に他の機体を置き去りにする。それは味方機への影響を抑えるためでもあった。





 ソルが壁を走り、アンドロイドに与えたディレイを活かして、レーザーを避け、壁を蹴り、1体のアンドロイドに接近した。


 ソルは地面に着地し、地面を滑りながら、プラズマ刀を下から上に振り上げた。そして、さらに移動する。


 ソルがいなくなった場所では斜め45度に真っ二つになったアンドロイドがゆっくり崩れ落ちていた。


 そして、その破壊されたアンドロイドの周囲に再びレーザーが走った。が、当然、そこにはすでにソルの姿はなかった。


 りょーたろも地面を左右に蹴りながら、レーザーを避けつつ、1体のアンドロイドに接近してはパワーアームでアンドロイドを掴み、一瞬のうちに握り潰した。


 アンドロイドの腕や腰が逆向きに折れ曲がった。


 関節を形作るメカの一部からは循環液が飛び出し、電気が小さく稲光を出していた。


 りょーたろはそのアンドロイドをレーザーガンを構えているアンドロイドの方に放り投げた。


 その時には、ソルが別のアンドロイドを真っ二つに切り裂きつつ、ソルは再び移動していた。


 ソルに当たることのないレーザーがそこかしこに照射されていた。


 りょーたろは握り潰し、放り投げるモーションを行うためにその瞬間ごとに立ち止まっていた。


 そのアンドロイドを放り投げるモーションの度に、周囲から放たれるレーザーが徐々に自分に近づいてきているのを感じていた。


 あるタイミングでりょーたろは放り投げるモーションと同時に大きく息を吐いた。


 りょーたろはそれほど強化ウエアに慣れていなかったため、少し過負荷になっていた。


 りょーたろは息を吐き出す前に何かの細長いデバイスを周囲の床に数個落とした。


 そのデバイスから光のカーテンのようなものが展開された。


 光のカーテンのせいでアンドロイドたちからりょーたろが歪んで見えた。


 だが、アンドロイドは、歪んで見えるりょーたろに向けて、この時ばかりと躊躇なくレーザーを撃ち込んだ。


 レーザーがりょーたろに向けて直進してきた。


 しかし、レーザーが光のカーテンを通過した時、折れ曲がり、りょーたろを避けて斜め後ろの壁に着弾した。


 そこはちょうどソルがギリギリ通過したところだった。


 ふとソルが移動しつつも驚いた顔をした後、笑みを浮かべてりょーたろに言った。


「それはさすがに読めないから。」


 りょーたろが息を整えつつ、うっすら笑いを浮かべて言った。


「ははっ、すまん。」


 ソルも、りょーたろも笑いを浮かべたまま、再び高速移動をしはじめた。





 オル・アティードがシフト移動をしながら、高速前進していた。


「来るっ!!」


 ルナが大きくレバーを倒して回避行動を取った。


 周囲の戦闘機、メタリックステラにもルナの認識した情報が送られ、他の機体も同時に回避を始めた。


 それでも直径が20mもあるビーム砲に巻き込まれる機体が少なからずいた。


 後方からもビームが放たれた場所に対して、ビーム砲を撃ち込んでいた。


 ルナはある程度先行したところで、あまり巻き込みを起こさせないために、急速に10、10(ひとまる、ひとまる)方向、つまり進行方向左斜め上に進路を変更した。





 敵戦艦や戦艦周囲のメタリックステラ部隊が一機の戦闘機の動きを捕捉していた。


「あの速度!RedDevilだ!!

 急速に01、01(まるひと、まるひと)方向に旋回。

 狙い撃て!!」


「メタリックステラ大隊、RedDevilを迎え撃て!!」


 メタリックステラ約30体がRedDevilの移動方向に対して移動を開始した。





 オル・アティードの後方から進行していた戦闘機部隊、メタリックステラ部隊に対して、ビームがそれほど飛んでこなくなっており、敵正面に向けてスムーズに展開できていた。


「RedDevilを援護するぞ!!

 照準など合わせなくても良い。

 とにかく前方に対して、ビーム砲を撃ち込むんだ!!」





 レーザーガンを構えるアンドロイドの手首部分をソルがプラズマ刀で払い切った。


 他のアンドロイドが撃つレーザーがソルを追いかけてくる。


 ソルは止まることができず、腕を失ったアンドロイドの前をすり抜けつつ、別のアンドロイドに飛びかかった。


 腕を失ったアンドロイドは肘を折り曲げ、ロケット砲をソルに向けて打ち出そうとした。


 りょーたろがそれを感じ取った。


 りょーたろは飛び上がり、掴んでいたアンドロイドをロケット砲を打ち出そうとしているアンドロイドに放り投げた。


 ロケット砲が今にも射出されそうにところにアームによって潰されたアンドロイドが衝突した。


 ロケットはソルに向けて飛んでいかず、放り投げられたアンドロイドに衝突し、その場で大きな爆発をもたらした。


 衝突したアンドロイド2体が爆発の衝撃でバラバラになった。


 ソルが飛んでいった先にいたアンドロイドがレーザーガンを捨て、上腕二頭筋部分から細長い棒を取り出し、両手で棒の端を持った。


 すると、すぐに棒が高い音を立てながら赤く光る。その棒をソルのプラズマ刀を受け止めるように構えた。


「SF映画じゃねーんだよ!!」


 ソルは捨て台詞を吐いて、プラズマ刀を真上から真下に振り抜いた。


 アンドロイドが上段防御の構えに持ち上げた超振動子刀とソルのプラズマ刀が接触するほど近づく。


 しかし、ソルの持つプラズマ刀は実体のないエネルギー放出の塊であるため、超振動子刀をも真っ二つにし、さらにアンドロイドまでも真っ二つにした。


 ソルは2つに分かれたアンドロイドを押し退け、その先に着地した。


 左手を地面に付け、プラズマ刀を持つ右手を横に伸ばし、右足を折り曲げ、左足を伸ばし、姿勢を低くして着地ポーズを決める。


 だが、別のアンドロイドが後ろ向きになっているソルに向けて、レーザーガンを撃ち込もうとした。


 その時、レーザーガンを持つ手が震え、若干のディレイが生じた。


 その隙にソルは高速移動を開始していた。


「着地ポーズくらい決めさせてくれよ!!」


 ソルを狙ってレーザーを撃ち込んだアンドロイドの背後にりょーたろが移動してきた。


 レーザーを何度も撃つアンドロイドをパワーアームで鷲掴みにして、レーザーガンを撃っている他のアンドロイドに向けて放り投げた。


<次回予告>

戦闘の火蓋が切って落とされる。

一気に進撃するルナことRedDevil。虹色の軌跡を描きながら戦場を爆発で彩る。

ソル、りょーたろもアンドロイドをなぎ倒していく。

身体能力強化ウエアを身に付け、そこに描かれた帯を虹色に光らせて。

そうして、彼らは一気に敵陣中央に進撃していく。

果たして無事に戦いに勝つことができるのか?

次回、第49話 ”これが恐怖というやつなのか。。。”

さーて、次回もサービス、サービスぅ!!


<ちょっとあとがき>

今回書いている超振動子ブレード、別のアニメでは”プログレッシブナイフ”と呼ばれていると思います。(笑)

そして、映画”星の戦争”やロボットアニメで描かれていたような高エネルギーブレード、その映画では”ライトセーバー”、ロボットアニメでは”ビームサーベル”と呼ばれていたと思います。(笑)

今回、この2つがかち合うシーンがありました。

大人になり、映画やアニメなどでそのブレード同士がかち合うシーンを不思議に感じたのを覚えています。

明らかにブレードに実体がないため、きっとすり抜けて切りあっちゃうんだろうな、と。(笑)

まあ、映像的にはかち合った方が剣劇になるので、絵になるのは確かですが、一応私の書く小説はハードSFということで実際に基づいて描いてみました。(笑)


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― 新着の感想 ―
 ソルだけでなくりょーたろーさんもそういうことができる人でしたか。  ゲームの邪魔する悪いオッサンを懲らしめるために、パワードスーツ的なモノを着て人型ロボットと格闘戦。  技術の進歩の無駄遣いここに極…
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