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タキオンの矢  作者: 友枝 哲
32/33

第31話 : 5、、、4、、、3、、、2、、、1、、、Mark!

<前話のあらすじ>

無事(?)に”OneYearWar”世界大会にエントリーしたルナ。

ソルは大会の規模の大きさに少しずつ罪悪感を感じてきていた。

大会当日、ソルはルナを連れて、E地区中央区にやってきたのだった。

会場には人が集まり始めていた。

ルナは遊技場前にいるアンドロイドに対して、大会の当日受け付けを申し込むのだった。


 

 コロニー3基準時間、昼11:25。


 ソルがルナを抱えて、ルナの上にシュレディンガーを乗せて、E地区中央通りに繋がる裏通りに着地した。


 ソルが物陰に入り、ルナとシュレディンガーを下ろすと、白いヘッドギアを外した。


 ソルのシャツに描かれている帯が赤色発光から黒色に変化した。


 ルナは、この前ソルにプレゼントされた、ダボッとしたジーンズに、コロニー落としのTシャツを着ていた。


 やはり胸に位置するコロニーが歪んでいる。


 ソルがキョロキョロして、周囲の様子を伺った。


「今のところ、問題なしだな。いいぜ。遊技場に行こう。」


 裏通りから中央通りに出て、少し歩き、遊技場に到着した。


 遊技場の看板には『OneYearWar 2299 世界大会 予選会場』とホログラム表示させていた。


 遊技場の手前ではアンドロイドが大音量で大会開催の旨を知らせていた。


「本日、OneYearWar 2299(トゥトゥナインナイン) 世界大会予選、開催です!!」


 それを聞いてか、人がぞろぞろと集まってきていた。


 ソルはその様子を見て、意識してかせずか、生唾を飲み込んだ。


 ルナがソルの心配を知ってか知らずか、普通に遊技場に方に歩いて行った。


 ソルは少し周囲を気にしつつ、ルナの横についていった。


 遊技場の前にはりょーたろがいた。


「よお。ルナちゃん。ソルから聞いたよ。今日は頑張ってね。

 って、やっぱりそのTシャツ。着てきたんだ。

 それにしてもヤバい絵だな。。。」


 ちょっとおっかなびっくりな顔でりょーたろがルナを見ていた。


 それに反して、ルナは自慢げな顔をしていた。


「え?これ?気にいってんだけどなー。

 これ着ると、なんか力出そうなんだよね。頑張れる気がするんだ!!」


 ルナがソルに向かって言った。


「そうだ!まずは登録しないとだね。」


 ソルは緊張で声が出なくなり、コクッとだけ頷いた。


 その様子をりょーたろが見て、皮肉っぽく笑っていた。


 ルナが登録を受け付けているアンドロイドの方に向かって歩いていった。


 ルナの足元にはシュレディンガーが、その少し後ろにはソルとりょーたろがついていった。


 ルナがアンドロイドに向かって話しかけた。


「大会の登録をお願いします。」


「お名前を教えてください。」


 ルナがアンドロイドに向かって言った。


「アン・ハサウェイです。」


 ソルがまた唾を飲み込んだ。


「リスト確認できました。個人認証に移ります。」


 その時、ルナがハッとした。


「あっ、ちょっと待ってください。」


 そう言ってルナがアンドロイドから顔を反らして、中腰の体勢になった。


 そして、ジーンズのポケットからコンタクトの入れ物を取り出した。


「えっ?お前、まだ着けて。。。」


 ソルがハッとして、口を押さえながらアンドロイドの方を見た。


 アンドロイドは特に何かをするわけでもなく、ただ待機していた。


 ルナが緊張した手付きでコンタクトの容器を開けた。


 ルナの手が少し震えている。


 なんとかルナは指の上にコンタクトを乗せた。


 そして、目に近づけようとした。


 だが、その時!


「ニャーーー!」


 急にルナの前にいたシュレディンガーがネコパンチを繰り出した。


 ネコパンチはルナの手を弾き、指の上にあったコンタクトは宙を舞った。


「あああーーーー!!!」


 ルナは叫びながらも、素晴らしい動体視力がコンタクトの位置を見事なまでに認識していた。


 そして、持ち前の反射神経でコンタクトに手を伸ばした。


 徐々にコンタクトとルナの手の距離が近づいていく。


 あと20cm、10cm、5cm、3cm、、、2cm、、、、、、1cm、、、、、、、


 キャッチ、成功!


 だが、左手を突き出したルナの顔の前にはアンドロイドの顔があった。


 アンドロイドの目がルナの目のサーチを開始した。


 ルナが慌てて目を瞑ったが、すでにサーチは終わっていた。


 アンドロイドがデータを照合していた。


 ルナが目を開けた。ルナの顔が歪む。


「あああああ。。。。」


 りょーたろが、まるで苦虫でも噛んだように、力一杯目を瞑り、口をつぐみ、手で顔を覆っていた。


 実はソルは内心少しホッとしていた。


 しかし、ソルは、それを悟られまいと心配そうな顔をしてみた。


 そして、数秒後、アンドロイドの目が照合完了し、赤色の表示が現れた。


(あっちゃー。。。)


 ルナはまだ心配そうにアンドロイドを見ていた。


 アンドロイドが質問を投げ掛けてきた。


「生体認証と照合されたエントリーメンバーを確認。

 ルナ小林様ですね。出場なさいますか?」


「えっ?なんで??」


 ルナは頭の上に?がいくつも付いていた。


「出場なさいますか?」


「あっ、はい。出場します。」


「かしこまりました。照合完了。受け付け完了しました。

 出場のタイミングが来ましたら、メッセージにてご連絡いたします。」


 三人がお互いを不思議そうな顔で見合った。


 シュレディンガーは座ったまま、ネコパンチした手を嘗めていた。


 三人は不思議そうにアンドロイドの側を離れた。


「なんでルナの名前で登録がされてんだ!?」


「私、やってないんだけど。。。」


「でも、確かにルナちゃんの名前だったよね?」


 三人が話しているところに、以前ルナと一緒にプレイした少年が別のアンドロイドで登録を完了させて、ルナに気づき、話しかけてきた。


「あっ、こんにちは。お姉ちゃんも大会参加するの?」


「こんにちは。うん。君も参加するの?」


「うん。うわー、お姉ちゃんと当たるの、嫌だな。」


 少年は心で思った通りの嫌な顔をした。


 それを見てルナが笑っていた。


「大丈夫だよ。かなりの人が参加するみたいだし、一緒にやる確率はそんなに高くないよ。でも、当たった時は、お互い正々堂々戦おうね!!」


 ルナが拳を突き出した。


「うん。分かったよ。お互い頑張ろうね。」


 少年がルナの拳に自分の拳をぶつけた。


 ものの数分であっという間に遊技場を取り囲むように人だかりができていた。


 ソルとりょーたろは周囲を見回していた。


「怪しいやつらはいないな。」


「ああ。今のところ、大丈夫そうだ。」





 ちょうど正午になった時、アンドロイドが試合開始の合図をした。


「それでは時間となりましたので、第一戦目を開始します。

 メッセージを受け取った十名の方はお好きな台にお座りください。」


 ルナに話しかけてきた少年が前に歩いていった。


 ルナが声をかけた。


「頑張れー!」


 少年は緊張からか少しひきつった笑顔でルナの方を見て手をあげた。


 すぐに十人全員が席についた。


「戦闘開始宙域は地球周回エリアです。

 それではただいまから五分間のセッティングタイムになります。

 五分終了後、ただちに開戦となります。

 戦闘時間は四十五分です。

 それでは始めます。セッティングタイム、スタート!!」


 台の上部にタイマが表示される。


(開戦まであと 4:59:99)


 各自、自分のアカウントでエントリーしているため、基本のセッティングはほぼ完了している状態であった。


 機体は戦闘機型が四人、メタリックステラ(ロボット)型が四人、そして、小型機群集型が一人、キューブ型機が一人であった。


 そのままのセッティングで機体をリニアカタパルトに配置する者。


 地球に近いエリアであるため、重力影響を考えてブースターユニットを交換する者。


 AIのプログラムを見直している者。


 様々な方法でセッティングを行っていた。


「あの子、ちゃんとブースター取り替えてる。さすがだな。」


「あの小型機体なら地球の重力あんまり関係なさそうだけど。」


「ううん。加速性能の高いやつにしてる。地球周回は思ったより重力影響を受けるんだよ。

 それより、一人も戦艦型がいないんだね。」


 りょーたろが軽く笑みを浮かべた。


「まあ、ここだとそうだろうな。」


 ソルはルナの目がイキイキしているのを見て、嬉しくなった。


 全員セッティングが完了して、腕を回したり、首を回したりしていた。


(開戦まであと 0:10:00)


 開戦に近づき、音楽が盛り上がりを見せていた。


 参加者それぞれが機体のブースターから青白い放射を放ち始めた。


 アンドロイドが一秒毎にカウントダウンを始めた。


(5、、、4、、、3、、、2、、、1、、、Mark!)


 全機、異なる母艦のリニアカタパルトから加速された。


 リニアカタパルトにいくつも並ぶ緑色のランプを勢いよく通過して、全機が宇宙空間に投げ出された。


<次回予告>

とうとうスタートを切った”OneYearWar”世界大会。

ルナは以前共闘した少年が出場している戦いの様子を見る。

少年の戦い方に心踊らせるルナ。

次回 32話 ”各機に告ぐ。本ミッションは地球座標系とする。座標、合わせ!”

さーて、次回もサービス、サービスぅ!!


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