第13話:だが、離れると、まだまだだな。。。
<前回のあらすじ>
家を壊れ、部屋にあった部品を奪われたソル。
ジャンク屋りょーたろはUnion-Roswellというマフィアからソルの部品を買い取った。
ソルがジャンク屋に来て、キラキラ煌めく5mm角のキューブ型メモリをりょーたろに見せた。
りょーたろはUnion-Roswellに狙われているソルを心配しつつ、そのメモリチップの読み取り機を取り寄せるのだった。
このメモリチップが世界を変えるものとは知らずに。。。
宇宙空間で巨大な爆発が発生した。
戦艦が破壊されて、その爆風の中からメタリックステラが飛び出していた。
だが、そのメタリックステラに対して、メタリックステラの手ほどの小型戦闘機が無数襲いかかる。
イオンビームを放つメタリックステラ。
一部の小型戦闘機が爆発する。
だが、まだ無数残っている小型戦闘機がメタリックステラに群がる。
次第にメタリックステラの腕、足、胴体に傷が入っていき、ついにメタリックステラが破壊された。
次の瞬間、ブッといイオンビームが一閃。
そのイオンビームはすでに壊されたメタリックステラとその回りに群がる小型戦闘機を丸呑みにした。
イオンビームの中で大きな爆発が発生した。
「おーっと、Z国の主力戦艦主砲が破壊されたメタリックステラまで巻き込んで、全てをなぎ払った!!」
実況のアンドロイドが叫んだ。
主力戦艦のユーザーがAIに指示をする。
「破壊されたメタリックステラなど、用はない!
敵旗艦に向けて突き進むのだ!!
全機、私に続け!!」
「そうはさせんぞ!
戦闘機部隊、あの戦艦は下面の防御が薄い。
12、09(ひとふた、まるきゅう)から回り込み、下部を叩くのだ!!」
戦闘機部隊が戦艦の下方に回り込み始めた。
メタリックステラは戦艦を近寄らせないため、旗艦の前に立ちはだかり、イオンビームを何発も何発も撃っていた。
しかし、戦艦の前にはイオン中和フィールドが展開されており、イオンビームがバチバチと音を立てて霧散していた。
「おーっと、いよいよ『OneYearWar』地球予選も大詰めとなってきた。
今のところ、Z国側として戦艦を操るナミエ選手がトップ!!このまま首位をキープすることができるのか。
そして、このままナミエ選手率いるZ国が押し込むのか?
それともE国が守り抜くのか。
いかがですか。B-DAI-N.Co『OneYearWar』開発部のドミノさん?」
「そうですね。最近はユーザーの方々によって新しい技術、戦術が作られ、AIもどんどん進化して来てますので、ここから急にE国が巻き返すことも起こり得ります。
今や一部プレイヤーのAIは軍のAIを越えるものまでありますので。
どうなるか、ここからが見物です。」
その様子を、コロニー3-104にいるB-DAI-N.Co社長のトミー宝田とリチャード・マーセナスが見ていた。
それらの予選内データは全て地球の二子山データセンターに置かれたB-DAI-N.Coのサーバーに蓄積されていた。
そして、同時にそれら蓄積された戦闘データを元に随時B-DAI-N.Co内のAIが更新されていた。
さらに、その更新されたAIを使い、他のAIとの対戦シミュレーションが行われていた。
それまでの開発されたAIを使った場合、他AIとの対戦において、戦闘宙域全体の中間から僅かに他AI側に寄ったところまで制空領域が取れることを示した線が引かれていた。
その線には(56%)と書かれていた。
だが、今回の予選データを投入し、学習したAIを投入した結果、中間からさらに他AI側に線が移行した。
その線には(61%)と書かれていた。
「マーセナス議長、我々のAIは、かなり進化してきておりますぞ。」
満足顔のトミーに比べ、マーセナスは満足していない表情を浮かべていた。
「だが、離れると、まだまだだな。。。」
その大会の様子をルナも見ていた。
「あーあ、今年こそ出たいな、大会。でもパパやママに絶対反対されるよなー。」
ルナの横にはシュレンディンガーがちょこんと座って、一緒に画面を見ていた。
すると、突然ルナの部屋のドアがノックされた。
ルナは慌てて、『OneYearWar』の画面を消した。
「ルナちゃん、いる?入るわよ。」
「うん。どうぞ。」
「まだ起きているのね。明日はパーティに参加しないとなんだから、夜更かしはダメよ。」
「うん。分かっているよ。ママ。」
「あと、ルナちゃんもそろそろ美肌プログラム始めちゃいなさいよ。
肌が完全に入れ替わるまで8時間はかかるんだから忘れないようにね。」
「なんかあれ、起きた時、ちょっと突っ張る感じがして嫌なんだけど。」
「ルナちゃんはまだ若いから分かんないでしょうけど、その年から始めて、頻繁に入れ換えしとくのがいいのよ。だから、やりなさいね。」
「はいはい、分かったよ。」
「地球の偉い人たちやその息子さんたちも来られるみたいだから、ちゃんとしとかないとよ。」
そういうと、ルナの母親はドアから出ていこうとした。
「ママは脂肪燃焼プログラムで、もう寝ちゃうからね。
そうそう。燃焼2kgでいいかしらね?それとも3kgにしようかしら。」
ルナが笑いながら言った。
「そんなことしなくてもママはキレイだよ。」
「ありがと。ルナちゃん、あなたもその美貌をちゃんと守るのよ。」
そういうと、母親が部屋から出ていった。
<次回予告>
Union-Roswellに狙われているソル。
だが、ソルはいつもと変わらず電子機器修理をしていた。
そこについに追っ手が迫ってくる。
ソルは追っ手を撃退しようとするのだった。
次回、第14話 ”ふう。どうしたもんか。”
さーて、次回もサービス、サービスぅ!!




