表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
タキオンの矢  作者: 友枝 哲
12/32

第11話:これってメモリじゃ。。。

<前回のあらすじ>

富裕層で学校で勉強に勤しむルナ。

ルナは翌日パーティーに参加することになっていた。

時を同じくして、ソルは貧困層に住むお婆ちゃんの医療ポッドを修理していた。

その時、マフィアが借金回収に来た。

そのお婆ちゃんは、とある事情からマフィアに借金を抱えていた。

思わずソルはその借金を肩代わりしてしまう。

その後、何が起こるとも知らずに。。。


 

 屈強な体躯のアンドロイドが両手で抱えるほど大きな箱を数個運んできて、ジャンク屋の店の前にドカッと置いた。


 その箱の中には数々の電子部品が入っていた。


 突然の出来事にりょーたろが店の前に出てきた。


「なんだい?これ。」


「これを全て買い取っていただきたい。」


 りょーたろは箱の中の部品に見覚えのあるものがあった。


 りょーたろがその部品を手に取って、じっと見つめた。


(S/N=SRN2951413、購入者 : ソル)


 手に取った部品にひも付けられた形で、その部品の情報が、BCDを通して空中に表示された。


 りょーたろは慌てて箱の中にある部品をもう一つ手に取った。


 同じように空中に表示されたウインドウから購入者がソルであることを認識した。


 りょーたろが部品からアンドロイドに目をやった。


「これ、うちから、ある技術者に売った部品みたいなんだけど。


 なんであんたたちが持ってる?


 しかも、それ以降の購買記録がないな。」


「あ?お前はだまって買い取りゃいいんだよ。」


 後ろにいる一体のアンドロイドが言い放ったが、リーダー格と思われるアンドロイドが右手を挙げて、それを制し、言った。


「これは我々が合法的にある者から押収したものだ。


 文句があるならUnionユニオン-Roswellロズウェルに来い。」


 りょーたろがその名前を聞いて、面を食らった顔をした。


「ロ、ロズ、、、」


 リーダー格のアンドロイドがりょーたろを見ていた。


 りょーたろは視線を動かさず、アンドロイドの服の肩部分に”UR”と描かれたエンブレムを認識した。


「分かった。全部買い取らせてもらう。」


 りょーたろがアンドロイドが示した口座にお金を振り込んだ。


 その後、すぐにアンドロイドたちは貧困層では珍しいイオンクラフト車に乗り込み、その場を去っていった。


 それを確認した後、すぐにBCDでソルに連絡を入れた。





 ソルがアパートの屋上で呆然と立ち尽くしていた。


 目の前には壊されたドア、崩れた壁、家具の残骸があった。


 ソルの視野に”Calling りょーたろさん”の文字が浮かんでいた。


「おい、お前のとこの部品、うちに流れてきたぞ。どうなってる?


 しかも、相手はUnionユニオン-Roswellロズウェルだ。こりゃ、やばいぜ。」


「ああ、そうみたいだな。」


 ソルが力なく返事をした時、屋上へ行くためのドアが開いた。


 そこからこのアパートの大家が出てきた。


「あんた、Roswellロズウェルと何か揉めたのかい?


 それなら、悪いけど、もうこれ以上、この場所は貸せないよ。


 小屋だって壊されちゃってもう。。。


 あんたには良くしてもらってるし、こんなこと言うのも何だけど。」


「分かったよ。今までありがとう。」


 大家が、その言葉を聞いて、何か申し訳なさそうな顔をしていた。


 大家は再び下の階に降りようと移動を始めたが、一度振り返り、何か言い出しそうになったが、それをやめ、首を振りながら下の階に降りていった。


 その会話を聞いていたりょーたろがソルに言った。


「とりあえず、今からうちに来いよ。」


 少し考えて、行く宛もないソルは素直にその提案を受け入れた。


「悪いけど、そうさせてもらうよ。」


 りょーたろの元に行く前に、ソルは家に置いてあった大事なものを探した。


 ソルが落ちている家具の残骸を取り上げると、そこには写真があった。


「あった。あった。」


 それは机の引き出しにしまってあった、まだ家族みんなが仲良かった頃の写真だった。


 母親も祖父も祖母も、そして幼いソル自身も笑っていた。


 ソルが遠い目でしばらくその写真を見ていた。


 そして、軽く息を吐き、さらに別のものを探し始めた。


 ソルは崩れた壁の破片を取り除き、それを見つけた。


「あった。おじいちゃんの。」


 ソルが瓦礫の中から万年筆を取り上げた。


 それは崩れた壁の下敷きになっていたせいで、持ち手の部分にヒビが入っていた。


 ソルが拾い上げた時、そのヒビが入った部分が割れてポロっと落ちた。


 と同時に万年筆の中から小さいキューブが一つ転げ落ちた。


 約5ミリ角のキラキラと光を反射させるキューブをソルが拾い上げた。


 少し古い型だが、制御基板で良く見る部品であることを認識した。


「これってメモリじゃ。。。」


 ソルはまじまじとそのキレイに煌めくキューブを眺めた。


<次回予告>

ジャンク屋と呼ばれる中古電子部品店に着いたソル。

店主りょーたろがソルを諭すように話す。

あいつらには関わるなよ。と。

壊された自分の家から拾い上げた煌めくキューブ。

このキューブから新しい世界が広がるのだった。

次回、12話 ”あなたの明日はいつ来るのでしょう?”

さーて、次回もサービス、サービスぅ!!


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ